特別企画
こんなに出てました! 2020年発売レンズ振り返り(カメラメーカー編)
2020年12月28日 19:10
先日公開した「こんなに出てました! 2020年発売カメラ振り返り」に続き、ここでは2020年に発売された主な交換レンズについて、各社の傾向なども踏まえながら振り返ります。(編集部)
オリンパス
オリンパスの映像事業が日本産業パートナーズに譲渡されることが発表されたのは2020年6月24日。そして2021年1月1日からOMデジタルソリューションズとして事業を継続していくことになった。2020年に発売されたのはズームレンズが2本。フラッグシップ望遠ズームの「M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO」は2021年1月の発売予定だ。
254gと軽量なPROシリーズの標準ズーム。同社にはM.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO(382g)もあるが、開放F値を抑えてさらに軽量化が図られた。
35mm判換算で200-800mm相当の画角となる望遠ズーム。それでいながら重量を1,120gに抑え、手持ち撮影もしやすいボリューム感になっている。同クラスのマイクロフォーサーズレンズではテレコン対応という部分も特徴で、2倍テレコンバーター(MC-20)と組み合わせれば焦点距離は400-1,600mm相当になる。
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キヤノン
キヤノンは今年、一眼レフカメラ用の交換レンズを1本も新発売しなかった。すべてフルサイズミラーレス機用のRFマウントレンズだ。
使い勝手のいい焦点距離を継承しつつ、開放F値を抑えた標準ズーム。特徴的なCenter Focus Macro機能は、フォーカスの可動範囲が広がり近接撮影が可能になるというもの。MF限定かつ像面湾曲が大きくなり中央部にしかピントが合わなくなるが、レンズ先端から最短2.5cmまで寄れるため、特殊表現的に使えそうだ。
EOS R5/R6と同時に発表された4本のレンズのうち、望遠ズームのRF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMと、RF600mm F11 IS STM、RF800mm F11 IS STMは、特にミラーレス機であることを生かした設計が特徴的なレンズ。一眼レフの位相差AFセンサーではF値がある程度明るい必要があったので、AF対応の暗いレンズは作りづらかったのだ。特に600mmと800mmは沈胴式で軽量であり、この焦点距離にしては廉価に手に入る超望遠レンズ。またこのとき、中望遠マクロのRF85mm F2 MACRO IS STMも発表されている。
RF50mm F1.8 STMは、一眼レフEOS用で人気の定番レンズとなっている"EF50mm F1.8"のRFマウント版。手頃なサイズと価格で、こちらも人気を得そうだ。
RF70-200mm F4 L IS USMは、F4通しの望遠ズームレンズ。当初は12月上旬発売予定だったが、十分な供給量を用意できないとのことで延期になった。
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シグマ
同社はカメラも製造・販売しているが、ここではレンズメーカー編に含めた。
ソニー
ここ数年望遠系に力を入れていたソニーだが、2020年の発売レンズは広角・標準系の3本だった。
FE 20mm F1.8 Gは広角単焦点レンズ。比較的小型で最短撮影距離はMF時で0.19m。レンズ先端から10cmくらいまで寄れる。
広角端で12mm F2.8という仕様が特徴の大口径広角ズーム。同社には「FE 16-35mm F2.8 GM」や「FE 12-24mm F4 G」もあり、とりわけ広角系ズームが充実してきている。
10月23日に発売されたα7Cのキットレンズとして登場。開放F値と望遠側の焦点距離を抑えた小型・軽量の標準ズーム。単体では2021年1月に発売予定だが、α7Cのレンズキットからバラして売りに出している人もいるようで、中古市場では早々に見かけた。
ニコン
一眼レフカメラ用のFマウントレンズで、フラッグシップ一眼レフのD6と同時に開発発表された。D6本体より先に発売されたが、明らかに東京五輪に当ててきたレンズ。望遠ズームというよりも、120mmまで広角側も撮れるサンニッパという印象だ。
その他はミラーレスカメラ用のNIKKOR Zレンズで、すべてフルサイズ用。開放F2.8通しのズームレンズは広角側のNIKKOR Z 14-24mm f/2.8 Sと望遠側のNIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR Sが発売。これでZマウントにも、いわゆる大三元が揃ったことになる。
NIKKOR Z 24-50mm f/4-6.3とNIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VRは、共にZ 5のキットレンズとして設定されている。上位グレードのS-Lineではない無印のフルサイズ用レンズで、開放F値だけでなく価格と重さも抑えめ。前者は望遠端を50mmにし、沈胴式レンズにすることで小型化されている。後者は高倍率ズームらしくレンズ交換しづらいシーンを想定してか、S-Lineばりの防塵防滴仕様と贅沢なところがニコンらしい。
24mm、35mm、50mm、85mmに続く、S-LineのF1.8単焦点レンズ。動画用途を想定して画角変動を抑えた仕様を盛り込むなど、ミラーレスカメラ用ならではのポイントも押さえている。
NIKKOR Z 50mm f/1.2 Sは、ZマウントとしてはNIKKOR Z 50mm f/1.8 S(税込実売8万2,500円前後)、「NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct」(税込実売113万8,500円前後)に続く3本目となる標準レンズ。
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パナソニック
35mmフルサイズミラーレスのLマウント用Sシリーズレンズが2本発売。今年はマイクロフォーサーズ用Gシリーズレンズの新製品はなかった。今後はF1.8単焦点の24mm、35mm、50mmや、70-300mm F4.5-5.6が予定されている。
ズーム域を広角側にズラし、ちょうどいいところを狙った標準ズーム。小型化されたフルサイズミラーレス、LUMIX S5のキットレンズでもある。思えば、かつてコンパクトデジタルカメラのズーム域を広角寄りに再定義したのもパナソニックだった。
LUMIX S 85mm F1.8は、Sシリーズ用としてはLUMIX S PRO 50mm F1.4に続く、2本目の単焦点レンズ。LUMIX Sシリーズはズームレンズ主体でいくのかと感じていたところに、ポートレート向けの手頃な中望遠レンズが登場した。
富士フイルム
約44×33mmフォーマットのミラーレスカメラ用Gマウントレンズは2本が新登場。GF45-100mmF4 R LM OIS WRは35mm判換算36-79mm相当の画角になり、標準ズームレンズとしては32-64mmF4に続く2本目。フジノンレンズGF30mmF3.5 R WRは、35mm判で24mm相当の画角になる広角レンズ。GFX用レンズは合わせて11本になった。
APS-CのXマウント新レンズは3本。XC35mmF2は廉価な位置づけのXCレンズで、35mm判換算で53mm相当の画角になる標準レンズ。重さは130gと軽量。XC銘はこれまでズームレンズだけだったので、単焦点レンズは初となる。
Xシリーズで初となる開放F1.0の大口径レンズ。2018年の開発発表では標準レンズ50mm相当の画角になる33mmだったが、非常に大きくなりすぎるということで50mm(35mm判換算で76mm相当の画角)に変更された。
レンズ構成を継承した二代目。ただし、防塵防滴・耐低温設計になり、手ブレ補正効果も1段分向上、絞りのAポジションにロック機構を追加した。また、若干だが小型・軽量化している。
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ライカカメラ
M型用の交換レンズが4本発売されたが、いずれも既存製品をベースにしたバリエーションモデル。光学性能等に違いはない。すべて3月発売。
リコーイメージング
2020年に発売されたのは、すべて35mmフルサイズ機向けの「D FA」レンズ。シルバーエディションも登場した。今後の展開としては、のちにK-3 Mark IIIと明らかになるAPS-Cフラッグシップ機の開発発表と共に、APS-C用の「HD PENTAX-DA★16-50mmF2.8(仮称)」やフルサイズ用の「HD PENTAX-D FA 21mm Limited(仮称)も予告されている。
開放F4におさえた望遠ズーム。「AW」こそ付かないが防滴構造であり、機動性の高さを特徴とする。最大撮影倍率が0.32倍と高め。APS-C機では35mm判換算107-322mm相当の画角となる。
HD PENTAX-D FA★85mmF1.4ED SDM AWは、フルサイズデジタル一眼レフ向けの大口径中望遠レンズ。上位グレードを示す「★」(スター)付きレンズで、性能追及を感じる約1,255gという立派な体躯。
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特殊レンズの拡充にも期待
こうして振り返ってみると、いくつかの傾向が見えてくる。例えば標準ズームでは、小型化を狙って望遠側を短くした製品が出てきた。パナソニック「LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6」、ソニー「FE 28-60mm F4-5.6」、ニコン「NIKKOR Z 24-50mm f/4-6.3」がそれだ。いずれも各社の小型・軽量タイプのフルサイズ機にキットレンズとして設定されている。
また、レンズメーカー製のものも含めて単焦点レンズを見ると、大きくて高性能なものだけでなく、小型な個性派レンズという流れも生まれてきたように見える。せっかくミラーレスカメラ化でボディが小さくなったのだから、組み合わせるレンズも小型なものを歓迎する人が少なくないということだろう。
一方で、「このマウントならばこのレンズ」という定番が生まれづらくなっているようにも感じられる。ただこれは、サードパーティ製レンズも含めて市場にたくさんのレンズが登場しているからという贅沢な悩みかもしれない。何しろ、目的や用途に応じてユーザーが選びやすいのはうれしい。一方で、プロ用機材という面ではシフトレンズやマクロレンズといった、いわゆる特殊レンズの拡充も期待したいところ。
レンズメーカー編はこちら→こんなに出てました! 2020年発売レンズ振り返り(レンズメーカー編)