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PENTAX新APS-Cフラッグシップ機に新情報

22日の配信映像より 佐々木啓太氏が実機の感触を伝える

リコーイメージングは7月22日、「これからのPENTAXカメラが大切にしていくこと」の第2部映像を配信した。

同映像は7月16日にPENTAXのブランドビジョンが打ち出された映像の第2部。第1部でリコーイメージング株式会社代表取締役社長の高橋忍氏と対談した写真家の佐々木啓太氏が引き続き登場し、株式会社リコー商品企画部の若代滋氏とともに新型のAPS-Cセンサー採用機について掘り下げる内容となっていた。

写真家の佐々木啓太氏(左)と株式会社リコー商品企画部の若代滋氏(右)

メカについて掘り下げ

第2部のスタート早々、新型のAPS-Cフラッグシップ機が佐々木氏に手渡された。持参のPENTAX KPとファインダーの見え具合を比較した佐々木氏の第一声コメントは「すごくクリア」という感想だった。

新型APS-Cフラッグシップ機

続けて「ひろく見える」という佐々木氏。若代氏はこの見え具合とファインダー倍率実現のために、ペンタプリズムの素材に加工難易度の高い高屈折率硝材を採用しているのだと説明した。

このプリズムの搭載は2017年から検討を進めてきたと続ける若代氏。基礎検討に遡れば、さらに以前から取り組んできていたものだと感慨深げに振り返った。

新型APS-C機のファインダー倍率は1.05倍となっていると話す若代氏。APS-C機の中でも最高クラスの倍率となっていると続けた。同社のAPS-C機をふりかえってみるとK-5やK-7は0.92倍、K-3やKPでは0.95倍だった。数値上でも大幅に倍率が向上していることがわかる。

ぜひ明るいところでどう見えるのかをみてみたいとコメントする佐々木氏。若代氏はKP比でみると10%明るさが向上しているのだと説明した。

「自分の目で見ているよりもキレイというか、よりクリアに見える。気持ちいいですね」とファインダーから目を離さない佐々木氏に、いかに自然に見えるかに注意して開発をしていったと若代氏は説明した。

操作系にはフォーカスセレクターを搭載

続けて話題はボディサイズや操作系に。「思った以上にコンパクト」とコメントする佐々木氏に対して、KPよりもマウントから背面モニターまでの厚みは薄くなっていると説明する若代氏。小型ボディと操作性の両立のために様々な手の大きさの人からサンプリングして、ボタン類の配置なども調整・最適化していると続けた。

新型APS-Cフラッグシップ機と持参のKPの操作系の違いを確かめる佐々木氏

自身の手を大きい方だと話す佐々木氏は、カメラによっては色々なところで手が余ってしまうことがあるが、新型機ではそれがなく「ずっと使ってきているような感じ」と、手への馴染みが良いと笑顔を見せた。

新型機の天面側には大型のステータスモニターが搭載されている

新型機では新たにフォーカスポイントのセレクターにジョイスティック形状の操作部が設けられている。他のボタンとの干渉もしないよう調整を繰り返してきたと続けた。また、これ以外の操作ボタン類も大きくなっているとコメントした。

カードスロットについて言及する場面もみられた。カードスロットはデュアル構成となっていることが、今回はじめて明らかになった。詳しい言及はなかったが、スロットの厚さ・形状からSDカードを採用しているものと想像できる。

シャッターにはリーフスイッチを採用

新型機のシャッターボタンは645ZやK-1などで採用していたリーフスイッチを採用しているという若代氏。ミラーのバウンドなどの無駄な動作も抑えこんだ機構となっていると話す。佐々木氏はKPでは「押します」という感覚だったものの、新型機では「すっとはいってくる」と感触を表現した。

自身は連写をすることはあまりないとしながらも、シングルAFで撮影していてもカメラが「クッ」と止まってくれると次に次に、いきたくなると話す佐々木氏。新型機にもそうした感覚があるとコメントした。

画づくりはどうなるのか

今回の映像中では、実際に撮影された写真は紹介されることはなかったが、センサー、画像処理エンジン、アクセラレータユニットはいずれも完全に新規のものとなっていると若代氏は説明した。

センサーの画素数自体はAPS-Cという枠の中で、おおよそ想像の範囲に収まるものとなっていることだろうとしながらも、画像処理エンジンの刷新により数値以上の低感度画質が得られるようになっているとコメント。「繊細な描写と優れた解像感を感じてもらえるはず」として、「低感度の画質にも期待していただきたい」と自信を見せた。

スターレンズにもシルバーモデルを

新型機に関する情報としては、CP+2020で展示予定としていた内容を紹介した「まぼろしの参考出品PENTAX製品」(5月15日配信)の内容と一部重複する部分があったものの、新しい展開に関する紹介もあった。

同社はK-1などでもリミテッドモデルとしてシルバー塗装が施されたモデルを発売していたが、今回、それらのカラーにあわせて一部のスターレンズからもシルバー塗装を施したモデルを展開していくと発表した。

披露されたレンズは3本。HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW、HD PENTAX-D FA★85mmF1.4ED SDM AW、HD PENTAX-D FA★70-200mmF2.8ED DC AW。いずれも35mm判フルサイズセンサーに対応する製品だ。

HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW
HD PENTAX-D FA★85mmF1.4ED SDM AW
HD PENTAX-D FA★70-200mmF2.8ED DC AW

これらカラー展開にあわせて、K-1 Mark IIについてもシルバーモデルを展開していくと話す若代氏。台数限定となる見込みだとしながらも、ユーザーに喜んでもらえることを第一に製品を展開していく、とコメントした。

K-1 Mark IIのシルバーモデル(写真はバッテリーグリップを装着した状態)

もちろん新型機でもカラーバリエーション展開が、と期待をみせる佐々木氏に対して、これまではブラックモデルが先行してシルバーモデルは生産が落ち着いてきた頃におこなう流れだったと説明する若代氏。シルバーモデルでは特殊な加工をしているため、早期の展開は難しかったのだと舞台裏を明かしつつも、ユーザーに不便をかけてしまうことのないように、新型機ではブラックとシルバーの同時展開を予定していると説明した。

新型APS-C機のシルバーモデル

シルバー塗装が施された新型APS-C機を手渡された佐々木氏は、カメラはブラックカラー派だとしつつも、パンダ仕様(シルバーボディにブラックカラーのレンズをつけたり、ブラックボディにシルバーカラーのレンズをつけたりして白黒の組み合わせにした状態)にした実機を見比べて、手持ちのレンズがブラックで統一していることから、シルバーボディもありだな、と続けた。シルバー塗装自体も、ギラギラした感じではなく、落ち着いた印象を受けると実機を手にした感想をコメントした。

新型機のこれから

具体的な発売時期や価格に関しては、今回触れられることはなかった。が、今後は同社Webページなどで新型機に関する情報を順次公開していくという展望が語られた。

今回の第2部映像公開とあわせて、新型機に関するWebページがオープンしている。これまで配信された映像も公開されているので、まだ見ていないという方はチェックしてみてはいかがだろうか。

これからのPENTAXカメラが大切にしていくこと(第2部)

本誌:宮澤孝周