ニュース

キヤノン、超望遠ズーム「RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM」の詳細仕様を発表

動画対応のナノUSM採用 1.4倍・2倍の別売エクステンダーも用意

詳細が発表されたRF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM。装着しているボディはEOS R5

キヤノンは7月9日、かねてより開発が報じられていたRFマウント用交換レンズ「RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM」の詳細を発表。あわせて、1.4倍と2倍のテレコンバーター「EXTENDER RF1.4×/2×」の具体的なスペック・対応レンズを公表した。

RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM

本レンズは、2月13日のEOS R5開発発表と同時に開発が報じられた超望遠ズームレンズ。これまで外観のみが公開されていたが、このほど詳細な仕様が明らかになった。発売は9月下旬の予定で、価格はオープン。同社オンラインショップでの販売価格は税別33万5,000円。

発売済みの大口径望遠ズームレンズ「RF70-200mm F2.8 L IS USM」と同じく、全長可変式のズーム機構を採用。可搬性に配慮した製品。これにより収納時のレンズ全長を約207.6mmとするなど、コンパクトにまとめあげられている。

付属フード「ET-83F(WIII)」を装着した状態

EFマウント版の超望遠ズームレンズ「EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM」(全長は193mm)よりも望遠側の焦点距離を伸ばしながらも、同等のサイズとなっている。また三脚座を除いた重量は約1,370gと、これも同じく三脚座を装着していないEF100-400mm F4.5-5.6L IS II USMの約1,570gよりも軽量となっている。このコンパクト設計を可能とした背景について、同社はRFマウントによる設計の自由度がひろがったことが、その理由のひとつだと説明している。

100mm側。装着しているカメラはEOS R5。三脚座を装着した状態で自立する。三脚使用時の重量バランスも良さそうだ
500mm側。組み合わせているカメラはEOS R5で変わらず。ズーミングでも三脚座を軸にして重量バランスを保っている
参考:EF 100-400mm F4.5-5.6 L IS II USM(2014年12月発売)

レンズ構成は14群20枚。このうちスーパーUDレンズを1枚、UDレンズは6枚が用いられており、色収差を補正しているという。また、ゴースト対策としてASC(Air Sphere Coating)を採用。入射角が大きな光に対して反射を防止できる効果をもつコーティングだという。

緑:UDレンズ 赤枠部:IS(手ブレ補正)ユニット

フローティング機構の採用により、近距離撮影時の画質を向上させているという。フォーカス群とフローティングレンズは、それぞれを個別のモーターで動かす「電子式フローティングフォーカス制御」としている。

100mm時の最短撮影距離は0.9m(最大撮影倍率は0.12倍)で、500mm時の最短撮影距離は1.2m(最大撮影倍率は0.33倍)となっている。また、近距離でもストレスのないフォーカス制御が得られる点も特徴だとしている。

光学式の手ブレ補正機構(IS)も搭載しており、補正効果は約5段。ボディ内手ブレ補正機構との協調動作が可能となるEOS R5/R6との組み合わせでは、約6段分の補正効果が得られるという。なお、ボディ内手ブレ補正機構をもたないEOS Rとの組み合わせでも、約5段分の補正効果を発揮する、としている。

ISは3種類の動作モードから選択が可能。モード1は静止している被写体、モード2は流し撮り、モード3は不規則な動きをする被写体向けに使用できると説明している。

鏡筒は防塵・防滴構造を採用。沈胴機構採用による塵やホコリが混入するのではといった声に対しては、通気ルートを確保することで意図しないダスト吸入を抑制し、かつ防塵部材を配することで対策を施しているという。このほか、レンズ前面にはフッ素コーティングが施されている。

1.4倍/2倍のテレコンバーターに対応

RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMは、同時に発表されたテレコンバーターにも対応する。製品は「EXTENDER RF1.4×」と「EXTENDER RF2×」で、それぞれ1.4倍と2倍の2製品によるラインアップとなっている。発売は7月下旬の予定。価格はオープン。同社オンラインショップでの販売価格は、RF1.4×が税別6万3,000円、RF2×は税別7万5,000円。

防塵防滴に対応した構造を採用しているほか、コーティングの適正化も盛りこまれているという。また、外装塗装には同様、温度上昇を抑制するための遮熱塗装が施されている。

[2020.7.13修正]EXTENDER両製品について「フッ素コートが施されている」と記載していましたが、正しくは「コーティングの適正化」となっている旨メーカーより連絡を受け、該当箇所を修正いたしました。記してお詫び申し上げます。

EXTENDER RF1.4×
EXTENDER RF2×
左から、EXTENDER RF1.4×、同2×

7月9日時点での対応レンズは、RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMのほか、RF600mm F11 IS STMとRF800mm F11 IS STMがある。

ただし、RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMとの組み合わせでは、使用できる焦点距離が300〜500mmとなる。この制限の発生について、同社は「ショートバックフォーカスをいかした設計のため」だとしている。

EXTENDER RF1.4×と組み合わせた状態。使用できる焦点距離は300mmからとなる

RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMは後端側のレンズが焦点距離に応じて移動する設計となっている。このため、100mm側などではテレコンバーターの突出した部分が内部的に干渉してしまうのだ。

100mm側で最も鏡筒が縮んだ状態。レンズ後玉がマウント面のすぐ近くに迫っていることがわかる
EXTENDER RF2×と組み合わせた状態。この場合でも300mmからとなる

では、両テレコンバーターを装着した場合、レンズのほうはどうなるのかといえば、300mm側でしっかりと止まる設計が施されている。これにより、移動時に300mm側よりも短い焦点距離に動いてしまい、内部的にレンズ同士がぶつかってしまう、という心配を解消しているのだ。実際にテレコンバーターを装着してみたところ、しっかりとロックされており、300mmよりも短い方に動いてしまうことはないと感じた。ただし、レンズはいくらか伸長した状態で収納・持ち運びすることになる。

RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMとEXTENDER RF1.4×を組み合わせた場合の焦点距離は300mmからとなるため、420-700mmとなり、開放F値はF8-10になる。同じくEXTENDER RF2×と組み合わせた場合は、600-1000mmとなり、開放F値はF11-14となる。

EXTENDER RF2×を装着した状態。組み合わせているカメラはEOS R5

主な仕様:RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM

レンズ構成

14群20枚(スーパーUDレンズ1枚、UDレンズ6枚を含む)

絞り羽根枚数

9枚(円形絞り)

手ブレ補正機構

IS

IS補正段数

最大6段(EOS R5使用時。EOS R5に8月下旬公開予定のファームウェアを適用した場合)

最短撮影距離/最大撮影倍率

[100mm時]0.9m/0.12倍
[500mm時]1.2m/0.33倍

外形寸法

約93.8×207.6mm

質量

約1,370g(三脚座を除く)

フード

ET-83F(WIII)

主な仕様:EXTENDER RF1.4×

レンズ構成

4群7枚

最大径×全長

71.2×20.3mm

質量

約225g

主な仕様:EXTENDER RF2×

レンズ構成

5群9枚

最大径×全長

71.2×39.3mm

質量

約340g

本誌:宮澤孝周