20周年企画

デジタルカメラニュースの20年を振り返る/第6回(2009年)

本格始動したマイクロフォーサーズ 撮影用品も進化を見せる

当年9月27日(金)をもって、「デジカメ Watch」はサイト開設から20周年を迎えます。皆様の温かいご支援によるものであり、深く感謝申し上げます。

それにちなみ、この小特集では「デジカメ Watch」の過去のニュースを年ごとに振り返っています。

今回は2009年の記事からピックアップしてお届けします。


デジタル一眼レフカメラのライブビュー/動画への対応が広がる

デジタル一眼レフカメラの話題としては、まずオリンパスが2月に「E-620」を発表。「E-30」と「E-520」の中間を名乗る製品でしたが、事実上「E-520」の後継機種ともいえる存在感がありました。

オリンパス E-620

4月にキヤノンが発表したのが、エントリーモデルの「EOS Kiss X3」。このクラスの製品が毎年モデルチェンジするのは恒例になってきました。新たに顔検出や、「EOS 5D Mark II」譲りのフルHD動画記録に対応しています。Kissシリーズで動画機能の搭載は本機が初。動画ボタンも付きました。

キヤノン EOS Kiss X3

同じく4月、ニコンがエントリーモデル「D5000」を発表しました。突然の4桁番台であり、しかも「D90」と「D60」の間に位置する製品とのこと。これまた細かく刻んできた印象です。「D90」に続き、720p動画の記録に対応しています。

ニコンのデジタル一眼レフカメラで初めてバリアングル液晶モニターを搭載しているのですが、珍しいことにボディ下部中央にヒンジを設けたタイプとなっています。これならレンズの光軸からモニターがずれることはなく、縦位置での撮影も自撮りもできますね。なぜこの方式が廃れたのでしょうか。

ニコン D5000

ソニーは5月、3機種のエントリーモデルを6月に発表します。「α380」「α330」「α230」です。いずれもマイナーチェンジといった趣ですが、びっくりしたのは「α330」に設定されたボディカラー、ノーブルブラウンです。女性を意識したカラーとのことでした。ソニーはこれら3機種を「はじめて一眼」と名付けています。

ソニー α330(ノーブルブラウン)

女性層を意識した製品リリースやマーケティングは各社とも力を入れていて、その嚆矢は“女子カメラ”を名乗るカシオ「EXILM ZOOM EX-Z80」(2008年1月発表)だったと記憶しています。

いずれにしてもこの頃から、各社が活発に女性層開拓に注力する流れが本格化してきます。

同年5月、ペンタックスがミドルクラスの「K-7」を発表しました。既発売の「K20D」より小さなメタルボディに視野率100%のファインダーを搭載。ホワイトバランスに「CTE」が追加されたのもこの機種からです。また、ライブビューがコントラストAFに対応するなどトレンドも抑えています。

ペンタックス K-7

7月にニコンが「D300S」を発表します。「D300」の実質的な後継機です。動画記録に対応、さらにCFとSDHC/SDメモリーカードのダブルスロットになりました。この時点でのボディ単体での連写性能は約7コマ/秒です(バッテリーグリップをつけると約8コマ/秒)。

ニコン D300S

同時にニコンはエントリーモデルの「D3000」も発表しました。こちらは「D60」「D40」系列のマイナーチェンジといえるもので、「D5000」と異なり、背面モニターは固定式でした。

ニコン D3000

マイナーチェンジが続くニコンに対し、キヤノンは新ラインとなる「EOS 7D」を発表。「EOS 50D」の上位となるEOS 1桁のAPS-Cモデルです。視野率100%のファンダー、全点クロスセンサー、約8コマ/秒の連写性能など、これまでのEOS 2桁系からの差別化に成功。これを機に、キヤノンのミドルクラスは、画質のEOS 5D系と、高速性能のEOS 7D系という布陣を敷くことになります。

キヤノン EOS 7D

前年に「K-m」のホワイトモデルを発表して衆目を集めたペンタックスですが、2009年はエントリーモデル「K-x」を発表しました。レギュラーカラーはブラック、ホワイトに加えてレッドの3色に。しかもボディ×グリップの組み合わせを計100パターンのカラーから選べるオーダーカラー受注サービスを開始しました。

一応「K-x」はCCDからCMOSとなり、ライブビューや動画機能などを手に入れるなど、当時のトレンドを網羅しています。が、どうしても思い出されるのは、100通りからカラーを選べる衝撃の方です。

PENTAX K-xのオーダーカラー受注サービス「100colors,100styles.」

さらに限定モデルの「K-x コレジャナイロボ」も発表。もうどうにでもなれといった謎の勢いが当時のペンタックスにはありました。

K-x コレジャナイロボモデル

この年すでにエントリークラス3機種を投入しているソニーですが、9月には「α550」を発表。「α380」などより上位の製品としており、その理由は「クイックAFライブビュー」に加えて、「マニュアルフォーカスチェックライブビュー」を搭載したことにあります。

これは他社と同じく撮像素子によるライブビューのことで、これによりライブビュー時の拡大表示ができるようになりました。懸念だった視野率も100%を実現。ライブビューに関してはまだまだ過渡期であり、完成を見るのはミラーレスカメラの時代が来るのを待たなければなりません。

ソニー α 550

この年の10月、ニコンは「D3」の強化モデルである「D3S」を発表しました。高感度耐性が上がり、ISO 102400相当というフィルムカメラでは考えられない高感度撮影が可能になっています。「D3」のISO 25600相当でもそれなりショックでしたが……。動画記録にも対応しています。

ニコン D3S

キヤノンも10月に大物を発表します。「EOS-1D Mark IV」です。ついに約10コマ/秒の連写が可能となり、F2.8対応クロスセンサーを39点に増やすなど、動体撮影に振った仕様が印象的でした。ライブビューはコントラストAF、位相差AFの両方に対応しています。

キヤノン EOS-1D Mark IV

さっそく存在感を示したマイクロフォーサーズ

パナソニックは3月、マイクロフォーサーズ第2弾の「LUMIX DMC-GH1」を発表しました。初号機の「LUMIX DMC-G1」とほぼ同じスペックですが、特定のレンズでのフルHD動画記録時にフルタイムAFが可能になっています。

パナソニック DMC-GH1

一方オリンパスは5月、2009年3月期の決算説明会の資料音声で「マイクロフォーサーズカメラを6月15日に発表する」ことをアナウンス。予告通り「オリンパス・ペンE-P1」を発表したのでした。

オリンパス・ペンE-P1

往年のフィルムカメラ「ペン」シリーズを思わせる薄型軽量ボディはつややかな金属製。実用的なコントラストAFや動画記録機能も備えています。そしてxDピクチャーカードではなくSDHCメモリーカードを採用。オリンパスがマイクロフォーサーズのデビューを飾るにふさわしい製品で、女性からマニアまでヒットしました。

同じ年にオリンパスは、欧州で小型軽量のエントリー一眼レフカメラ「E-450」を発表していましたが、日本での発売はありませんでした。「E-P1」のスペックや使用感を考えるとさもありなん、といったところです。

そういえばこの「E-P1」、張り革が大流行したのを覚えています。デジタルカメラをドレスアップするという楽しみを推し進めたのは、「GR DIGITAL」と「E-P1」だったのではないでしょうか。

一方パナソニックは、3機種目のマイクロフォーサーズ対応カメラ「LUMIX DMC-GF1」を9月に発表します。今度は「E-P1」のようなフラットスタイルで、これこそ多くの読者が想像していたマイクロフォーサーズ対応のカメラに近いのではないでしょうか。

パナソニック LUMIX DMC-GF1

同年11月、オリンパスは早くも2代目のマイクロフォーサーズカメラ「オリンパス・ペンE-P2」を発表しています。「E-P1」の上位モデルという位置づけで、要望の多かったEVFに対応。といっても内蔵ではなく外付けですが。「E-P1」になかったブラックモデルも強い要望があったそうです。このEVFを取り付けるポートには、専用マイクを装着することもできました。現在のαやEOS Rシリーズに通じるものがありますね。

オリンパス・ペンE-P2

「ユニット交換式」という独自の道

GR DIGITALが好調のリコーが11月に発表したのが、ユニット交換式カメラ「GXR」でした。ひとことで説明するのが難しいのですが、イメージセンサー&レンズを一体化したユニットを取り替えて使うという、掟破りの交換式カメラでした。リコーが行き着いたミラーレスカメラの一種のともいえます。

そのユニットの1つ、50mmレンズとAPS-Cセンサーを組み合わせた「GR LENS A12 50mm F2.5 Macro」が私のお気に入りでした。こればっかり使っていたので、ユニット交換式のメリットをあまり享受できていなかったのが今さら悔やまれます。

後にライカMマウントを搭載したユニットが出るなど、独自の世界を突き進んだカメラでした。

左からGXR、GR LENS A12 50mm F2.5 Macro、RICOH LENS S10 24-72mm F2.5-4.4 VC

デジタルライカがついにライカ判へ

ライカは9月、レンジファインダーデジタルカメラの「M9」を発表しました。APS-Hサイズのイメージセンサーだった「M8」「M8.2」に対し、35mmフルサイズセンサーを搭載。古今のライカレンズを画角そのままで使用できるようになったのです。

ライカM9

「M9」の登場も衝撃的でしたが、同時発表の「X1」も話題になりました。こちらはAPS-Cサイズセンサーを採用するレンズ一体型カメラ。ライカファンならずとも、スタイリングや作りの良さに惚れ込んだ人は当時多かったことでしょう。いまなら「ライカD-LUX8」が相当するのではないでしょうか。

ライカX1

VMレンズを拡充するコシナ

この年コシナが発表したのが、VMマウントの「SUPER WIDE HELIAR 15mm F4.5 Aspherical II」です。前モデルと光学系が変わっていませんが、スタイリッシュなデザインになりました。

当時のコシナフォクトレンダーのターゲットは、自社のベッサシリーズとライカユーザー、それにエプソンR-D1シリーズのユーザーといったところでしょうか。特にR-D1はイメージセンサーがAPS-Cサイズであり、広角表現のために本レンズのような超広角レンズを必要としていました。

エプソン R-D1xG

このあとミラーレスカメラが主流になっていく中、さまざまなマニュアルフォーカスレンズがマウントアダプターを介して取り付けられることになります。その中でも35mm判換算で22.5〜30mm相当、金属製でルックスが良く、しかも新品で買えるMFレンズとあって、このレンズは支持を集めました。III型が現在も現役です。

SUPER WIDE HELIAR 15mm F4.5 Aspherical II

防水デジカメが各社から

オリンパスはこの年の1月、防水・防塵・耐衝撃・耐寒性能を持つ「μTOUGH」を発表。これまでも「μSW」の名称で展開していたシリーズですが、ここにきて改称しています。これが功を奏したのか、コンパクトデジタルカメラのヒットシリーズとなりました。

μTOUGH-8000

この手のタフネスデジカメでともに有名なのは、「Optio WP」(2005年発表)から始まるペンタックスの「Optio W」シリーズです。この年には「Optio W80」「Optio WS80」が発表されました。

ペンタックス Optio W80

以後、キヤノン、ニコン、パナソニック、富士フイルムなど主要メーカーがこの分野に参入。激戦区となったものの、現在まで残っているのはオリンパス(OM SYSTEM)とペンタックス(リコーイメージング)の製品だけ。スマートフォンの影響というより、この分野はGoProをはじめとしたアクションカメラの台頭が影響しているのかもしれません。

キヤノン PowerShot D10
富士フイルム FinePix Z33WP

「ネオ一眼」と呼ばれたカメラたち

この年に限らないのですが、当時は高倍率ズームレンズを搭載したレンズ一体型のデジタルカメラが、季節ごとに新製品として供給されていました。徐々に製品数を減らしていくジャンルですが、この時点では年々進化を見せており、季節イベントや旅行などでの需要に応えていたのです。

そうした機種の1つ、光学20倍ズームのソニー「サイバーショットDSC-HX1」は、イメージセンサーに「α900」「α700」と同じ名称の「Exmor」CMOSセンサーを採用。画像処理エンジンも「BIONZ」であり、しかも「Gレンズ」を搭載するというプチαのような存在でした。

ソニー サイバーショットDSC-HX1

この手のグリップが大きな高倍率ズームカメラを「ネオ一眼」と呼んでいたのが、富士フイルムです。それが転じて、高倍率ズームカメラ全体を「ネオ一眼」とするWebページや雑誌も見られるほど、ある程度世間に知られた単語となりました。

富士フイルム FinePix S1500

富士フイルムからまさかの3Dデジタルカメラ

この年のコンパクトデジタルカメラのトピックの1つに、富士フイルム「FinePix REAL 3D W1」の発表があります。2組のCCDとレンズで3Dの静止画および動画を記録できるという製品です。背面液晶モニターで3D表示が可能でした。3D写真自体は昔からありましたが、コンパクトデジタルカメラで完結するシステムだったのが斬新。差異はありますが、いまでいう空間ビデオ/フォトの先駆け的な存在といって良いでしょう。

富士フイルム FinePix REAL 3D W1

ボディ前面で画像を表示

こちらもユニークです。「COOLPIX S1000pj」は、本体にプロジェクターを内蔵しており、撮影した画像を最大40型の大きさで壁などに投影できます。映像入力端子などはなく、メモリーカード内の画像を投影するだけという何ともチャレンジングな製品でした。

ニコン COOLPIX S1000pj

Samsungが8月に発表したコンパクトデジタルカメラ「DualView TL225」および「DualView TL220」は、ボディ前面に自分撮り用の1.5型モニターを装備。2009年という時期を考えると、トレンドをかなり先取りしていたのではないでしょうか。自分撮り以外にも、子供の興味を引くためのアニメーション表示機能もあったようです。日本では発売されませんでした。

裏面照射型CMOSセンサーがデビュー

この年の1月、ソニーから裏面照射型CMOSセンサー「Exmore R」の実用化が発表されています。とはいえ、この時点ではセンサーサイズは1/2.88型で、採用機種は「ハンディカム」のみ。カメラ業界としては比較的静かな告知となりました。

と思いきや8月、ソニーは「Exmore R」を採用するコンパクトデジタルカメラ2モデルを発表。高感度耐性が引き上げられるということで、デジタルカメラの今後について、大いに期待が高まりました。

ソニーの発表会より

その後、さっそくカシオが裏面照射型CMOSセンサーを採用する「HIGH SPEED EXILIM EX-FH25」を11月に発表しています。

カシオ HIGH SPEED EXILIM EX-FH25

当時のソニーはレンズ交換式カメラへの採用について、「メリットが薄い」と説明していました。あくまでも受光部の面積が狭い小型のイメージセンサーでこそ効果が高いとの見解です。その後、APS-Cサイズやフルサイズのイメージセンサーに採用が進むのはご存じの通りです。

Webブラウジングができるデジタルカメラ

ソニーが1月に発表した「サイバーショットDSC-G3」は、デジタルカメラに無線LAN機能を搭載しただけでなく、本体内でWeb閲覧を可能にした製品。ぱっと見は薄型のコンパクトデジタルカメラですが、搭載されたWebブラウザにより一般的なWebページの閲覧が可能になっています。もちろん単体でモバイル通信はできないので、外出先では公衆無線LANサービスなどに接続する必要があります。

フルブラウザが印象的な本機ですが、どちらかといえば、出先でのフォトサービスへのアップロードを目的としていたようです。フルブラウザの主な使い道としては、Webメールを使っての画像送信が挙げられていました。

2009年といえばiPhone 3GSが発売された年。スマートフォンがコンパクトデジタルカメラを駆逐するには、まだ猶予があった時期といえます。

ソニー サイバーショットDSC-G3(背面)

SDXC規格が策定

SDアソシエーションがこの年のイベント「2009 International CES」にあわせて発表したのが、SDメモリーカードの新規格「SDXC」でした。SDHCの32GBから最大2TBへと容量を拡張。現在でも現役で活躍しているSDXC規格ですが、発表からもう15年も経っているとは驚きです。

カメラバッグ界に独自の風を吹き込んだDOMKE「ワックスウェア」

2009年のカメラバッグで印象的なのは、名門DOMKE(ドンケ)が送り出したワックスウェアモデルでしょう。我々日本人にはなじみのないワックスコットン(オイル引きキャンバス)を採用、使い込んだような独特の風合いを帯びることで話題を呼びました。当初は定番モデルの「F-2」などに設定され、後に「F-3X」「F-6」などのワックスウェアモデルも現れました。

DOMKE F-2(ワックスウェア)

脚を逆さに畳む「トラベル三脚」が登場

この年の3月、ジッツオから粋な三脚の国内発売が発表されます。「オーシャントラベラー」と呼ばれるその製品は、ナットロックに青いアクセントを入れ、防水仕様であることをアピール。さらに脚を逆側に折り畳んで縮長を短くする機構を搭載していました。つまり現在「トラベル三脚」の名で呼ばれるジャンルの製品です。

ジッツオでは以前から「トラベラー」シリーズとして、こうした逆折り方式の三脚をラインアップしていましたが、他社がこれに随するのはまだ先のこととなります。

ジッツオ GK1581OT(オーシャントラベラー)

バスケット型のコンパクトフォトプリンター

キヤノンのコンパクトフォトプリンター「SELPHY」も息の長いシリーズです。それだけに特徴ある製品もいくつか出ています。

この年発表された「SELPHY CP790」は、プリンター本体とバケツのような収納部で構成。子供が喜びそうなデザインで、収納部に消耗品などを入れて家庭内を移動して使うことを想定していました。

SELPHY CP790

Capture OneがJPEG編集に対応

Phaseone社のRAW現像ソフト「Capture One」は、もともと中判デジタルカメラ用のソフトが出自とあってアマチュアには縁遠い存在でしたが、対応機種の増加とテザー撮影の広がりもあり、プロを中心にこの頃ユーザーを増やしていきます。

そしてこの年の4月にリリースされた「Capture One 4.7」では、RAW形式だけでなくJPEGの編集にも対応。これによりぐっと身近な存在になりました。

Capture One 4

当時の汎用RAW現像ソフトとしては、「Lightroom」「Aperture」の海外勢に対し、「SILKYPIX Developer Studio」シリーズが人気を博していました。アップルの「Aperture」以外、現在も存続して版を重ねています。

SILKYPIX Developer Studio Pro

すでに世に出ていた「シューティンググリップ」

ソニーのVLOGCAMをはじめ、現在のVlog用を謳うミラーレスカメラがオプションとして用意してるシューティンググリップ。その元祖ともいえる製品が、2009年に登場していました。

カメラにつながるコードは、レリーズを行うためのもの。つまりリモートレリーズをグリップ化したものというわけです。

レンジファインダーカメラには「ボトムグリップ」なるアクセサリーがありましたが、電気的な仕掛けを持っているという意味で、この製品を現在のシューティンググリップの元祖と認定したいです。

ユーエヌ STグリップ

PIEからCP+へ

当時、国内で最大の写真業界のイベントとしては「フォトイメージングエキスポ(PIE)」がありました。日本写真映像用品工業会、カメラ映像機器工業会(CIPA)、写真感光材料工業会、日本カラーラボ協会が共催するもので、2005年から回を重ねていました。

ところが2009年3月、次のPIEが新体制で実施されるとの発表が。共催4団体のうち、CIPAが離脱すると決まったためです。

その後CIPAは、新しいイベントとして「CP+」の開催を発表します。会場はそれまでの東京ビッグサイトからパシフィコ横浜へ。翌2010年からスタートしました。

それから14年。途中コロナ禍で瞬断しつつも現在まで続く「CP+」ですが、当時の記事を読むと、最初の理念から大きなブレもなく続いていることに感じ入ります。当時と現在の状況は大きく変わっていますが、次の「CP+2025」にも期待したいです。

「コダクローム」が生産終了

デジタルカメラがフィルムカメラを置き換えたと認識されてはや数年。この年、ついにコダックがリバーサルフィルム「コダクローム」の生産終了を発表しました。このニュースは大きな衝撃を持って迎えられました。

写真の世界においてたくさんの名作を生み出したコダクロームですが、その色調は時代を越え、デジタルカメラやスマートフォンアプリのエフェクト機能に(それぞれの解釈で)受け継がれています。

その後も主要なフィルム銘柄が生産終了するというニュースが続きますが、その一方で、フィルムへの人気が若年層を中心に再燃・維持しているのは興味深いところです。

本誌:折本幸治