ラインナップ解説

ソニー(2022年冬)

最新モデル「α7R V」、APS-Cの「ZV-E10」など

レンズ交換式デジタルカメラの主役となって久しいミラーレスカメラ。ラインナップの拡充が続く各社のミラーレスカメラをまとめました。

フルサイズミラーレスカメラの市場を切り開いたソニーは、先行するだけあって、交換レンズのラインナップが充実しているのが強みだ。

カメラ本体はハイエンドのα1、α9シリーズからミドルクラスのα7R、α7S、α7シリーズを擁し、実売価格を下げた旧型機をラインナップに残す作戦でユーザー数を大きく増やした。

APS-Cサイズ機はやや手薄に感じられるものの、それでも3機種をラインナップ。多彩なバリエーションから好みや目的に合ったモデルを選べるようにしている。

α1(35mmフルサイズ)

2021年3月19日発売

サマリー

ソニー初となるフラッグシップモデル。裏面照射積層型のExmor RS CMOSセンサーを搭載。動体歪みの少ない電子シャッター、30コマ/秒のブラックアウトフリー連写、動物の目に対応した高速AFに944万ドットの高精細EVFなど、見どころ満載のハイスペックを誇る。

センサーとエンジン

撮像センサーは高感度に強い裏面照射型と高速処理が可能な積層型の2つの長所を持つExmor RSを搭載。従来よりも大幅に動体歪みを抑えたことで、被写体の変形を気にせずに電子シャッターでの連写を実現している。

画像処理を受け持つエンジンは新型のBIONZ XRに更新。処理能力を向上。有効5,010万画素で、最高30コマ/秒連写が可能なパワーはまさにハイエンドの性能だ。

手ブレ補正

Eマウントのシステムは発表当初はレンズ内手ブレ補正だったが、今はボディ内手ブレ補正のモデルが主流になっている。

本機の手ブレ補正は5.5段分の効果を持ち、角度・シフト・ロールの5軸補正を行なう。手ブレ補正機能を持つレンズを装着した場合は役割分担をしての動作となる。

AFと連写

AFは画面の92%を759点の位相差測距点でカバー。AF演算をα9 IIの2倍の120回/秒にしたことで、スピードの変化が大きな被写体に対する追従性などを向上させている。

リアルタイム瞳AFは人物と動物(犬、猫、鳥)に対応。ピントを合わせる目を「右目」「左目」「オート」から選択できる。

メカシャッターでの連写最高速は10コマ/秒で下位モデルと同じだが、電子シャッターでは30コマ/秒もの高速連写を達成。AFとAEももちろん追従するうえにブラックアウトも解消。JPEG(Lサイズ・ファイン)で400枚、圧縮RAWで238枚の連写が可能だ。

ただし、ロスレス圧縮RAW(96枚)や非圧縮RAW(82枚)ではぐっと少なくなるので画質モードの設定には注意が必要だろう。

動画

有効5,010万画素センサーからの情報をもとにした8.6Kオーバーサンプリングによる8K(7,680×4,320)・30p動画を搭載。データ容量の軽いプロキシー動画の同時記録にも対応している。

内部構造の見直しによって放熱効率を高め、コンパクトボディのままで8K・30p動画の30分記録を実現した。

4K(3,840×2,160)解像度では最高120pのハイフレームレート撮影もカメラ内で可能としている。

電源

バッテリーはNP-FZ100(7.2V・2,280mAh)を使用する。ファインダー撮影で430枚、モニター撮影では530枚の撮影が可能。他社モデルと比べるとかなり省エネ設計と言える。

充電は付属のBC-QZ1を使うと2時間30分で完了する。また、カメラのUSB Type-C端子を介して充電や給電も可能だ。

別売の縦位置グリップVG-C4EM(税込4万1,800円)には2本のNP-FZ100が装填でき、撮影可能枚数を約2倍に増やせる。ただし、バッテリー2本を含めて重さは1,110gになる。

なお、NP-FZ100の価格は税込9,900円、BC-QZ1は1万780円だ。

その他

ボディは内部フレームも含めてマグネシウム合金製。防塵・防滴に配慮した設計となっている。

内蔵のEVFは944万ドットのOLED(有機EL)を採用。高解像度なうえに倍率も0.9倍と高い。静止画撮影時のフレームレートは「標準(60fps)」「高速(120fps)」「より高速(240fps)」から選択でき、動きの速い被写体を追いやすい。

液晶モニターは3型・144万ドットのチルト式。横位置でのロー/ハイアングルには素早く対応できるものの、縦位置撮影時には不便なのが残念な点だ。

α9 II(35mmフルサイズ)

2019年11月1日発売

サマリー

α1の登場で2番手に格下げされたかっこうにはなってしまったものの、ミノルタ/コニカミノルタ時代からフラッグシップの象徴だった「9」を冠するハイスペックモデル。693点位相差AFや20コマ/秒連写をはじめ、「7」とはひと味違うハイパワーが魅力だ。

センサーとエンジン

撮像センサーには有効2,420万画素の裏面照射積層型Exmor RS CMOSを搭載。α1の半分弱の画素数なので、後処理の負担が小さいメリットがある。

画像処理エンジンにはBIONZ Xを搭載。感度の設定範囲は常用でISO 100〜51200、拡張でISO 50〜204800となっている。

手ブレ補正

ボディ内手ブレ補正は補正アルゴリズムを最適化したことで先代のα9の5段から5.5段に強化。とは言え、ボディ内手ブレ補正機能を持つ現行ミラーレスカメラの平均値は約6.2段なので、スペックとしてはやや物足りない。

反面、手ブレ補正機能を備えた交換レンズが多いので、ボディ内手ブレ補正の効果が弱くなりやすい望遠域での差は感じにくいかもしれない。

AFと連写

AFは像面位相差検出とコントラスト検出を併用するハイブリッド式で画面の93%をカバーする。測距点数は位相差検出が693点、コントラスト検出が425点だ。

人物の顔や瞳、動物の瞳にも対応するリアルタイム瞳AFを備えており、従来よりも動体撮影時の瞳の捕捉精度を向上させている。

電子シャッター時は最高20コマ/秒のブラックアウトフリー連写が可能。ただし、非圧縮RAW時は最高12コマ/秒となる。メカシャッターの連写最高速も先代α9の5コマ/秒から10コマ/秒に向上している。

連写可能な枚数はJPEG(Lサイズ・エクストラファイン)で361枚、RAWで239枚だ。

動画

撮像センサーの幅いっぱいを使って得られた6K相当の映像をリサイズして4K(3,840×2,160)・30pで記録する6Kオーバーサンプリングを採用。より解像感の高い動画記録を可能にしている。

多数の電子接点を持つマルチインターフェースシューを搭載しており、対応する外部マイクはケーブルレスで接続できる。また、プロ仕様のXLRアダプターキットなども用意されている。

電源

仕様バッテリーはα1と共通のNP-FZ100(7.2V・2,280mAh)。静止画ではファインダー時500枚、モニター時690枚の撮影が可能だ。

充電は付属のBC-QZ1で行なう。充電時間は2時間30分。また、USB Type-Cを介して充電や給電も可能となっている。

α1と共通の縦位置グリップVG-C4EM(税込4万1,800円)も装着可能だ。

その他

防塵・防滴に配慮した設計のマグネシウム合金ボディ。α1と同様、左手側肩にドライブモードダイヤルとフォーカスモードダイヤルを装備する。電源オフの状態でも設定を変更できるメリットがある。

α1は高速なCFexpress Type Aカードに対応しているが、本機はSDカードのみ。両スロットとも高速タイプのUHS-IIに対応している。

EVFは369万ドットのOLEDで倍率は0.78倍。モニターは3型・144万ドットのチルト式だ。

手動での測距点選択などに使うマルチセレクター(ジョイスティック)の形状を変更するなど、操作性の向上もはかられている。

α7R V(35mmフルサイズ)

2022年11月25日発売

サマリー

有効6,100万画素撮像センサーを搭載した高解像度モデル。

AIプロセッシングユニットの搭載で強化された被写体認識AFに加えて、ライバルと肩を並べる8段分の効果を持つボディ内手ブレ補正を実現。チルト式とバリアングル式の両方の強みを兼ね備えた4舳マルチアングルモニターなどの新機能を備えている。

センサーとエンジン

撮像センサーは有効6,100万画素の裏面照射型Exmor R CMOS。解像感を重視したローパスフィルターレス仕様も先代のα7R IVと同じだ。

画像処理エンジンにはα7R IVのBIONZ Xの8倍の処理能力を持つBIONZ XRを搭載。画像処理アルゴリズムを見直したことに加えて、ボディ内手ブレの強化なども相まって、α史上最高の解像性能を達成している。

感度設定範囲は常用でISO 100〜32000、拡張でISO 50〜102400。

手ブレ補正

ボディ内手ブレ補正はα7R IVの5.5段分から大幅に強化されて8段分の効果を実現。トップスペックだったキヤノン機に並んだ。

また、現時点ではまだ対応レンズは少ないが、レンズ側の手ブレ補正機能との協調制御でより効果的な補正も可能となっている(対応レンズはFE 24-105mm F4 G OSS、FE 70-200mm F2.8 GM OSS II、FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS、FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS)。

AFと連写

AFは画面の79%をカバーする693点位相差検出と25点コントラスト検出を併用するハイブリッド式。新しくAIプロセッシングユニットを搭載して被写体認識能力の向上をはかっている。

対応被写体は人物、動物のほか、鳥や昆虫、自動車、列車、飛行機をカバー。人物に対しては頭部や胴体の検出も可能になって、うしろを向いてもしっかりと捕捉できる。

加えて、AF-C(コンティニュアスAF)時にもフォーカスリングを回すだけでMF操作に移行できるフルタイムDMF機能を搭載。AF-Cモードを常用しやすくなったのもありがたい。

AF/AE追従での連写最高速はメカシャッターで10コマ/秒。ライブビューありの場合は8コマ/秒となる。また、電子シャッター時は最高7コマ/秒。多画素モデルとは言え、もうひと頑張りほしい印象だ。

一方、連写可能な枚数はα7R IVより大幅に増え、CFexpress Type Aカード使用時はJPEG(Lサイズ・エクストラファイン)で1,000枚以上、ロスレス圧縮RAWで547枚とストレスを感じさせないスペックを実現している。

動画

動画はα1にやや譲る8K(7,680×4,320)・24p。4K(3,840×2,160)解像度での60p記録も可能だ。

動画撮影時の手ブレ補正にアクティブモードを追加。対応レンズ(現時点ではFE 24-105mm F4 G OSS、FE 70-200mm F2.8 GM OSS II、FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS、FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSSの4本のみ)と組み合わせると、ボディとレンズの両方の手ブレ補正が協調制御となり、より効果的な手ブレ補正が可能となる。

マルチインターフェースシューに対応した外付けマイクならケーブルレスで接続できる。

電源

バッテリーは上位モデルと共通のNP-FZ100(7.2V・2,280mAh)を使用。静止画の撮影可能枚数はファインダーで440枚、モニターで530枚。

付属充電器のBC-QZ1、縦位置グリップVG-C4EM(税込4万1,800円)も共通だ。

その他

ボディ外装と内部フレームには堅牢で放熱効果の高いマグネシウム合金を採用。防塵・防滴に配慮した設計がなされている。

モードダイヤル下部に静止画/動画/S&Q(スロー&クイック)切り換えダイヤルを備え、静止画と動画を素早くかつ確実に切り換えられる。また、露出補正ダイヤルが後ダイヤルに変更され、好みなどに応じて機能を割り当てられる。

EVFは944万ドットのOLED。倍率は0.9倍とハイスペック。3.2型・210万ドットの液晶モニターは4軸マルチアングル式になり、横位置でも縦位置でもハイ/ローアングル撮影が快適になった。

α7S III(35mmフルサイズ)

2020年7月29日発売

サマリー

画素数をスタンダードモデルの半分の有効1,210万画素に抑えた高感度モデル。

像面位相差検出を取り入れてAFを高速化したほか、新しくCFexpress Type Aカードに対応。内部構造の変更で放熱効率を上げることで4K動画の長時間撮影も可能にしている。

センサーとエンジン

先代のα7S IIは表面照射型で有効1,220万画素だったが、本機は裏面照射型のExmor R CMOSセンサーに変更。画素数は有効1,210万画素でほぼ同じだが、高感度域では有利となっている。また、センサーからの読み出しも2倍に高速化。動体歪みの低減にひと役買っている。

画像処理エンジンもBIONZ XからBIONZ XRに変更。AF性能やメニュー操作などのレスポンスを向上させている。

感度の設定範囲はα7S IIよりも低感度側が少し広がった常用ISO 80〜102400、拡張ISO 40〜409600となっている。

手ブレ補正

ボディ内手ブレ補正はα7S IIの4.5段分から1段分アップの5.5段分。手ブレ補正機能を搭載したレンズを装着したときは、ボディとレンズとで役割分担をして補正を行なう。

動画撮影時は新設のアクティブモードを設定可能。画角が少し狭くなるほか、120p記録に対応していないなどの制約はあるものの、通常よりも強い手ブレ補正効果が得られる。

AFと連写

AFは画面の92%をカバーする759点の位相差検出と425点のコントラスト検出を併用するファストハイブリッド。コントラスト検出のみだったα7S IIに比べると格段に動体追従性能が向上している。

被写体認識は人物と動物だけで、人物はピントを合わせる目を「右目」「左目」「オート」から選べる。

AF/AE追従での連写最高速はメカシャッター、電子シャッターのどちらでも10コマ/秒。ライブビュー表示ありの場合は8コマ/秒となる。CFexpress Type Aカード使用時にはJPEGはもちろん、データサイズの大きな非圧縮RAW+JPEGでも1,000枚以上の連写が可能だ。

動画

動画は4K(3,840×2,160)解像度で120pのハイフレームレート撮影に対応。最大5倍のスローモーション動画を可能にしている。

手ブレ補正ユニットに組み込まれたグラファイト素材を介してセンサーやエンジンからの熱を効率よくボディに逃がせるようにして、従来の5倍の放熱効果を実現。4K・60p動画を1時間以上撮影できる。

また、外部レコーダー使用時には16bit RAW動画出力も可能となっている。

電源

電源にはα1などと同じくNP-FZ100(7.2V・2,280mAh)を使用する。フル充電での静止画撮影可能枚数はファインダー使用時で510枚、モニター使用時は600枚。

充電は付属のBC-QZ1で行なう。USB Type C端子経由での充電や給電も可能。別売の縦位置グリップVG-C4EM(税込4万1,800円)にも対応する。

その他

防塵・防滴に配慮した設計のマグネシウム合金ボディにα1と同じスペックの944万ドットOLEDを採用したEVFを内蔵。倍率は0.9倍と高い。表示フレームレートは標準60fpsと高速120fpsの切り替え式となる。

液晶モニターは3型・144万ドット。チルト式だったα7S IIと違って対面撮影に対応できるバリアングル式を採用している。

α7 IV(35mmフルサイズ)

2021年12月17日発売

サマリー

フルサイズαミラーレスカメララインナップの下位となるスタンダードモデル。撮像センサーが裏面照射型の有効3,300万画素Exmor Rに、画像処理エンジンがBIONZ XRにスペックアップしたほか、AFや動画の機能、性能がブラッシュアップされている。また、3つ目の電子ダイヤルやバリアングル式モニターの装備なども見どころだ。

センサーとエンジン

撮像センサーは先代のα7 IIIと同じく裏面照射型のExmor R CMOSだが、画素数は2,420万画素から3,300万画素にスペックアップ。スタンダードモデルの基準がついに動いた、という印象だ。

画像処理エンジンもBIONZ XからBIONZ XRに更新。大幅なパワーアップがはかられている。画素数が増えたにもかかわらず、感度上限は常用でISO 51200、拡張でISO 204800と据え置き。新エンジンの搭載のおかげでノイズ低減や色再現向上などがはかられている。

手ブレ補正

ボディ内手ブレ補正はα7 IIIの5段分から5.5段分へと効果を高めている。動画撮影時により強力な補正が行なえるアクティブモードも装備。歩きながらの撮影などカメラの揺れが気になりやすいシーンでも安定した映像が得られるのがメリットだ。

AFと連写

AFは759点位相差検出と425点コントラスト検出を併用するハイブリッド。画面に対する測距エリアの範囲が94%と広いため、激しく動く被写体にも的確に追従できる。

被写体認識は人物のほか、動物と鳥をカバー。いずれもリアルタイム瞳AFに対応している。

連写はメカシャッター、電子シャッターとも最高10コマ/秒でAF/AEに追従する。ライブビュー方式の場合は8コマ/秒となる。書き込みが高速なCFexpress Type Aカードを使用すると、非圧縮RAW+JPEG/HEIFで828枚、それ以外の画質モードでは1,000枚以上の連写が可能だ。

動画

4K(3,840×2,160)動画は撮影範囲をフルサイズとSuper 35mmから選択する。フルサイズ時は7Kオーバーサンプリングによる高解像度で30p記録が可能だ。Super 35mm時は動きをなめらかに表現できる60p記録に対応している。

モードダイヤル基部に新設された静止画/動画/S&Q切換ダイヤルで静止画と動画、スロー&クイックモーション動画の切り替えが素早く行なえる。

ピント位置による像倍率の変化を低減するブリージング補正機能をαシリーズで初めて搭載。対応レンズはかぎられるが、動画撮影中にピント位置を変えたときの像の大きさの変化を目立たなくできる。

また、マルチインターフェースシューを備えているので、対応した外付けマイクはケーブルレスで接続可能だ。

電源

バッテリーは上位モデルと共通のNP-FZ100(7.2V・2,280mAh)を使用する。静止画撮影時の撮影可能枚数はファインダー使用で520枚、モニター使用で580枚。

単体の充電器が付属する上位モデルと違って、本機は付属のACアダプターをUSB Type-C端子に接続して充電する(給電も可能)。所要時間は4時間15分と長いので、短縮化したい場合は別売の充電器BC-QZ1(税込1万780円)を用意するといい。

縦位置グリップは上位モデルと共通のVG-C4EM(税込4万1,800円)だ。

その他

ボディは内部フレームと上カバー、前カバーにマグネシウム合金を使用。防塵・防滴に配慮した設計がなされている。

従来は露出補正だったダイヤルが電子ダイヤル(後ダイヤルR)に機能が変更。露出補正のほか、ホワイトバランスやISO感度など、さまざまな機能を割り当てられるようになった。

メモリーカードスロットは上側がCFexpress Type Aカード/SDカード対応のスロット1、下側がSDカード対応のスロット2に変更(α7 IIIなどは上下が逆だった)。ややこしさが軽減された。なお、両スロットともにUHS-II対応となっている。

内蔵EVFは369万ドットのOLEDで、倍率は0.78倍。液晶モニターは3型・104万ドット。モニター画面を見ながらの自撮りや、縦位置でのロー/ハイアングルに対応できるバリアングル式となった。

α7C(35mmフルサイズ)

2020年10月23日発売

サマリー

APS-Cサイズのα6600などに似たスタイルのボディにα7 IIIと同等の機能を凝縮。EVFやボディ内手ブレ補正など、フルスペックが詰め込まれたコンパクトモデル。

沈胴式鏡胴を採用した小型軽量標準ズームFE 28-60mm F4-5.6も合わせて登場。α7Cとの組み合わせではフルサイズ機とは思えない軽快撮影が楽しめる。

センサーとエンジン

撮像センサーと画像処理エンジンはα7 IIIと同じく裏面照射型の有効2,420万画素Exmor R CMOSとBIONZ Xの組み合わせ。

新型のα7 IVと比べるとスペック的には落ちるものの、一般的な撮影シーンで不満を感じることはあまりないはずだ。

感度の設定範囲は、常用でISO 100〜51200、拡張でISO 50〜204800となっている。

手ブレ補正

小型軽量化を達成するために、シャッターユニットや手ブレ補正ユニットなども本機専用に新設計されている。スペックとしてはα7 IIIと同じ5段分だが、ユニットサイズを小さくできたことは大きな進化だと言うべきだろう。

AFと連写

AFは693点の位相差検出と425点のコントラスト検出を併用するハイブリッド式。画面に対する測距点のカバーエリアは93%と広い。

人物と動物の目を検出してピントを合わせるリアルタイム瞳AFを搭載。人物の場合はピントを合わせる目を「右目」「左目」「オート」から選択できる。

連写最高速はメカシャッター、電子シャッターとも10コマ/秒で、AF/AEが追従可能。このときの連続撮影可能枚数はJPEG(Lサイズ・エクストラファイン)で215枚、圧縮RAWで115枚となっている。

なお、「連続撮影:Hi」時は被写体をリアルタイムで見られるライブビュー方式となり、最高速は8コマ/秒となる。

動画

動画の撮影範囲はフルサイズとSuper 35mmから選べ、どちらも4K(3,840×2,160)解像度を確保。フルサイズ時は6Kオーバーサンプリングによる高い解像感が楽しめる。

多接点タイプのマルチインターフェースシューを備え、対応する外付けマイクをケーブルレスで使用できる。

また、テーブル三脚としても活用できる別売のワイヤレスリモートコマンダー機能付シューティンググリップGP-VPT2BT(税込1万3,816円)を使用すると、手持ち撮影時の安定性を向上させられる。

電源

電源は上位モデルなどと同じNP-FZ100(7.2V・2,280mAh)。静止画はファインダー撮影時で680枚、モニター撮影時は740枚の撮影が可能だ。

充電は付属のACアダプターを使ってUSB Type-C端子経由で行なうが、ゼロ→フルで4時間45分もかかってしまう。予算に余裕があるなら別売の充電器BC-QZ1(税込1万780円)を用意すると充電時間を半分強(2時間30分)に短縮できる。

その他

外装カバーがカメラの骨格部材を兼ねるモノコック構造を採用したボディは上、前、後カバーがマグネシウム合金製。防塵・防滴に配慮した設計となっている。

内蔵するEVFは236万ドットのOLEDで、倍率は0.59倍と低めのスペックとなっている。モニターは三脚やシューティンググリップ使用時にも対面撮影が可能なバリアングル式で3型、92.16万ドット。

ボディの大きさはAPS-Cサイズ機のα6600よりわずかに大きく、重さも6g重いだけ。フルサイズ機らしからぬ軽快さが大きな魅力だ。

なお、ボディカラーがブラックとシルバーの2色から選べるところも本機だけの特徴と言える。

α6600(APS-C)

2019年11月1日発売

サマリー

APS-Cサイズの最上位モデル。AFスピードの向上やコントラスト検出測距点の増加、動物対応瞳AFといったAFの強化に加えて、フルサイズ機で標準となっているNP-FZ100バッテリーに対応したなどが新しい点だ。

センサーとエンジン

有効2,420万画素のExmor CMOS撮像センサーは先代のα6500と同じスペック。画像処理を受け持つBIONZ XをフロントエンドLSIでサポートする構成も同じだが、トータルで改良が加えられており、感度上限がα6500(常用ISO 25600、拡張ISO 51200)より少し上がって常用ISO 32000、拡張ISO 102400となった。また、拡張感度では低い側のISO 50が追加された。

手ブレ補正

ボディ内手ブレ補正の効果は5段分。手ブレ補正機能を備えたレンズを装着した際はレンズ側で角度ブレの2舳、ボディ側でシフトブレトロールブレの3舳を補正する。手ブレ補正のないレンズの場合はボディ側で5軸補正を行なう。

AFと連写

AFは位相差検出とコントラスト検出を併用するファストハイブリッド。位相差検出測距点数はα6500と同じ425点だが、コントラスト検出測距点は169点から大幅アップの425点になった。カバーエリアの広さは撮影画面の84%となる。

AFスピードがα6500の0.05秒から0.02秒に高速化したことに加えて、リアルタイム瞳AFが動物に対応。犬や猫といったペットの撮影の成功率が大幅にアップした。

AF/AEが追従する連写最高速は11コマ/秒。ライブビュー方式の場合と電子シャッターでの連写では8コマ/秒となる。

11コマ/秒時の連写可能な枚数はJPEG(Lサイズ・エクストラファイン)で99枚、RAWで46枚。

動画

画素加算なしの全画素読み出しによる4K(3,840×2,160)・30p記録に対応。センサー幅すべてを使った6Kエリアからリサイズする6Kオーバーサンプリングによって高精細な映像を記録できる。

対応するアクセサリーとの通信や給電機能を持つマルチインターフェースシューを備えており、外部マイクをケーブルレスで使用できる。端子カバーを閉じたままでいいので、カメラの防塵・防滴性能が犠牲にならないのがメリットだ。

電源

バッテリーはフルサイズαにも使われているNP-FZ100(7.2V・2,280mAh)。静止画撮影可能枚数はファインダー撮影時720枚、モニター撮影時で810枚と多い。

ただし、充電が付属のACアダプターとUSB Type-C端子経由で4時間45分もかかるのは難点。時間短縮をはかるなら別売の充電器BC-QZ1(税込1万780円)を入手することをおすすめする。

その他

フラットトップのコンパクトボディは内部フレームと前後上カバーにマグネシウム合金パーツを使用。防塵・防滴に配慮した設計がなされている。

内蔵EVFは236万ドットのOLED。フルサイズ換算の倍率は0.7倍相当だ。液晶モニターは3型・92.16万ドット。上向き180度まで開くチルト式で、自撮りにも対応可能だ。

α6400(APS-C)

2019年2月22日発売

サマリー

2016年に発売されたα6300の後継となるモデル。フラットトップのコンパクトなボディに有効2,420万画素撮像センサー、画像処理エンジンBIONZ Xを搭載。さらに高速化に寄与するフロントエンドLSIを追加するなどしてパワーアップをはかっている。

センサーとエンジン

撮像センサーの有効2,420万画素のExmor CMOS、画像処理エンジンBIONZ Xはα6300とスペック上は同じ。

しかし、本機にはα9などにも搭載されているフロントエンドLSIを組み合わせて処理の高速化をはかっている。そのおかげで従来よりも解像感や質感描写性が向上している。

感度の上限はα6300が常用最大ISO25600、拡張ISO 51200だったのが、本機では常用最大ISO 32000、拡張ISO 102400にアップしている。

手ブレ補正

ボディ内手ブレ補正は搭載していない。また、動画向けの電子手ブレ補正も備えていない。

とは言え、交換レンズラインナップのうちでAPS-Cサイズ専用のEレンズは21本中13本が手ブレ補正機能を内蔵しているので、一般的な撮影で困ることはあまりないだろう。

AFと連写

AFは画面の84%をカバーする425点の位相差検出と、α6300の169点から425点に細分化したコントラスト検出を併用するファストハイブリッドAF。フルサイズαの動体予測アルゴリズムを取り入れた。また、α6500と同じく0.02秒のAFスピードを誇る。

人物はもちろん、犬や猫といった動物の目にも対応するリアルタイム瞳AFを搭載。フルサイズαでつちかった技術を応用してひとみをけ瞳を検出するスピードと精度、追従性が強化されている。

メカシャッターでの連写最高速は連写Hi+モード、AF/AE追従で11コマ/秒。このときの連写可能枚数はJPEG(Lサイズ・エクストラファイン)で99枚、RAWで46枚となる。

8コマ/秒の連写Hiモードでは被写体の動きをリアルタイムで追えるライブビュー方式となる。

また、電子シャッター時も最高8コマ/秒連写が可能だ。

動画

動画は撮像センサーの幅いっぱいを使って撮影を行ない、その映像をリサイズして記録する6Kオーバーサンプリングによる4K(3,840×2,160)解像度。フレームレートは30p。

4KなどのXAVC S動画時にビットレートの低いプロキシー動画を同時記録できる。スマートフォンやSNSなどに使いやすい。

電源

バッテリーはNP-FW50(6.6V・1,020mAh)を使用する。フルサイズαで標準的なNP-FZ100に比べるとかなり容量は小さいものの、撮影可能枚数はファインダーで360枚、モニターで410枚と多めのスペックだ。

充電は付属のACアダプターからmicroUSB端子を介して行なう。充電時間は2時間30分。シリーズ初代のα6000は5時間10分だったのを思うとずいぶん高速化したと言える。

ちなみに、別売の充電器BC-TRW(税込7,370円)での充電時間は3時間40分。予備のバッテリーは単品で買うと税込9,240円するが、NP-FW50とBC-TRWが同梱になったアクセサリーキットACC-TRW(税込1万1,550円)なら5,060円安い。

その他

ボディカラーはブラックとシルバーの2色から選べる。上カバーと前カバーにはマグネシウム合金を採用。防塵・防滴に配慮した設計がなされている。

EVFは236万ドットのOLED。フルサイズ換算の倍率は0.7倍相当となる。液晶モニターは3型・92.16万ドットで上向きに180度まで開いて自撮りにも対応するチルト式。α6300にはなかったタッチパネルを内蔵しており、タッチフォーカスなどの操作が容易に行なえる。

VLOGCAM ZV-E10(APS-C)

2021年9月17日発売

サマリー

おもに動画ユーザー向けのモデルでαシリーズとは性格が異なるが、α6400と同等の静止画撮影機能を備えたEマウント機でもあるので、ここでも取り上げる。

動画に関連する機能が豊富なのが大きな特徴で、EVFは内蔵していない。ボディカラーはブラックとホワイトの2色が用意されている。

センサーとエンジン

撮像センサーはAPS-Cサイズの有効2,420万画素Exmor CMOS。画像処理エンジンにはBIONZ Xを搭載する。

感度の上限は常用ではISO 32000まででα6400と同じだが、拡張ではISO 51200までで1段低い。その代わりに低感度側がISO 50も設定できる。

AFと連写

画面の84%の範囲をカバーする425点の位相差検出と425点コントラスト検出を組み合わせたファストハイブリッドAFはα6400と同等のスペック。人物と動物に対応するリアルタイム瞳AFなども備えている。

連写スペックもα6400と同じ。最高11コマ/秒でAF/AEが追従するほか、8コマ/秒のライブビュー連写も可能だ。連写可能な枚数もJPEG(Lサイズ・エクストラファイン)で99枚、RAWで46枚と同じ。

動画

撮像センサーやエンジンが同じとあって、動画のスペックも基本的にはα6400と同じ。4K(3,840×2,160)解像度で30pとなる。6Kオーバーサンプリングによる高解像仕様だ。

画面に触れることで自動追尾するタッチトラッキングや、触れるだけでピントを合わせたり、合焦後にシャッターが切れるタッチフォーカス、タッチシャッターなどの機能も備える。

また、遠近の被写体に順次ピントを合わせるフォーカス送りの速さを7段階で調整できる「AFトランジション速度」、動く被写体に対する追従の粘り強さを選べる「AF乗り移り感度」なども設定できる。

ボディ単体でも効率よく手ブレが抑えられる電子手ブレ補正のアクティブモードも備えている。

動画向け機能

Vlogなどの動画撮影に便利な機能が充実しているのが本機の特徴。

逆光のシーンや薄暗い場所でも人物の顔の明るさを維持できる「顔優先AE」、人物の顔と手に持った商品のあいだで素早くピントを移動させられる「商品レビュー用設定」のほか、背景を大きくボカす「背景ぼけ切り換え」、肌をきれいに見せる「美肌効果」なども設定できる。

高い収音性能を持つ指向性3カプセルマイクを内蔵。風切り音を低減できるウインドスクリーンが付属しており、屋外でもクリアな音声が記録できる。

シャッターボタン外周にズームレバーを装備。電動ズームやデジタルズームをスムーズに操作できるところもほかのαシリーズとは違う点だ。

電源

バッテリーはNP-FW50(6.6V・1,020mAh)を使用する。静止画の撮影可能枚数は440枚、動画の記録時間は80分。

充電は付属のACアダプターとUSB Type-C端子経由で行なう。フル充電までの所要時間は2時間30分。

また、USB給電にも対応しているので、Webカメラとして使う場合に電池切れの心配がない。

その他

EVFを内蔵していないこともあって、ボディサイズはα6400よりもコンパクト。重さは60g軽い343g(バッテリーとSDカードを含む)。防塵・防滴性については公式サイトに記述はない。

液晶モニターは3型・92.16万ドットのバリアングル式。

ほかのαシリーズと違ってモードダイヤルを持たず、電源スイッチはスライド式となる。左手側肩にマルチインターフェースシュー、左手側側面にヘッドホン端子などを備えている。

北村智史(きたむらさとし)滋賀県生まれ。大学中退後、カメラ量販店で販売員として勤務しながらカメラ専門誌にて記事執筆を開始。その後編集者兼ライターとしてメカ記事等の執筆にたずさわる。1997年からはライター専業となる。現在は北海道札幌市在住。