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ソニーに聞いた「VLOGCAM ZV-E10」一問一答(その2)

各部デザインの理由、前方指向性3カプセルマイク、価格設定などについて

ソニーが9月17日に発売したミラーレスカメラ「VLOGCAM ZV-E10」の、仕様表だけでは読み取れない“気になる”部分について、ソニーから得られた回答(その2)をお届けする。今回は、本機のデザイン的な特徴や、外付けアクセサリーとの組み合わせによる拡張性についてまとめた。

質問事項(2)

・カメラの小型・軽量化はどのように実現しているのでしょうか?
・動画機としてのデザイン面でのこだわりはありますか?
・ストラップ環のデザインについて、特徴と採用理由を教えてください。
・バリアングルモニターを採用した理由を教えてください。
・バリアングルモニターの採用はAPS-Cのミラーレスαとして初めてですが、搭載にあたって苦労した点はありますか?
・右肩の操作部配置について、どんなことを意識してデザインされているのでしょうか?
・内蔵マイクの特徴について教えてください。前方指向性3カプセルマイクとはどういったものでしょうか?
・内蔵マイクの位置を中央に配置するメリットは何ですか?これによる設計上の苦労などありますか?
・MIシューを利用して拡張できる機能にはどんなことがありますか?
・ZV-E10での使用を想定したレンズシリーズの展開などはあるのでしょうか?
・今回、発売開始時からホワイトカラーがラインアップされている理由はありますか?
・レンズキットで10万円を切った価格設定の狙いについて教えてくだい。

——カメラの小型・軽量化はどのように実現しているのでしょうか?

シミュレーションによる強度解析を実施し、強度が必要な部分と不要な部分を分析しています。そのうえで不要な部分の材料削減を行い、カメラの構造を最適化しました。その結果、小型・軽量を実現しております。

——動画機としてのデザイン面でのこだわりはありますか?

動画機として天面に大きなマイクやRECボタンを配置しております。動画撮影中にもズームを表現として取り入れられるよう、片手でカメラを握ったままズーム操作が可能なズームレバーを搭載しました。

右肩部に存在感のあるRECボタン。グリップ部にズームレバーが配されている

また、長時間安定して動画撮影ができるよう、自撮りでも他撮りでも持ちやすいグリップの形状にこだわりました。

さらに、Vloggerには女性や若年層の方も多くいらっしゃるので、どんな方のスタイルにも馴染むよう、白と黒のカラーバリエーション展開としました。

商品設計部プロダクトエンジニア 西川弘貴氏

——ストラップ環のデザインについて、特徴と採用理由を教えてください。

ストラップの装着部は、「α6400」では三角環を採用していましたが、ZV-E10では固定されたスリットになっています。固定式にすることで、動画撮影時に余計な音を拾わないように工夫されております。

——バリアングルモニターを採用した理由を教えてください。

自撮り時にもモニターを180度回転して自身の映りを見ながら撮影できるほか、ハイアングルやローアングルといった自由なポジションでの撮影を可能にするため、バリアングル液晶を採用しております。

また、マルチインターフェースシューに外付けマイクを付けた状態でも、モニターを自由な角度で見ることができます。

——バリアングルモニターの採用はAPS-Cのミラーレスαとして初めてですが、搭載にあたって苦労した点はありますか?

カメラ本体の小型化を実現しつつ、外付けマイクを使用した動画撮影時に、バリアングルモニターを回転しても干渉しない最適な位置に配置しております。

また、強度との両立のために、最小構成と最適な形状で必要な強度を実現しています。

——右肩の操作部配置について、どんなことを意識してデザインされているのでしょうか?

動画撮影に最適な操作性を意識してデザインしました。自撮り撮影と通常撮影どちらでも使いやすく、また片手で操作できるように配置を最適化しております。

商品企画部プロダクトプランナー 吉原英里氏

——内蔵マイクの特徴について教えてください。前方指向性3カプセルマイクとはどういったものでしょうか?

カメラに向かって語りかけるVlog撮影に適した「前方指向性3カプセルマイク」を搭載することにより、前方からの集音性向上とノイズの低減を実現し、話し手の声をクリアに捉え音声を高音質に収録します。

——内蔵マイクの位置を天面中央に配置するメリットは何ですか?これによる設計上の苦労などありますか?

天面に搭載することで、ボディ前面では搭載できなかった3カプセルマイクが搭載可能になります。3カプセルマイクの特性から得られる効果は先に述べた通りとなります。

配置については、カメラの小型化実現のために、アクセサリーシューが横にずれてもマイク端子と干渉が起こらないように配置を工夫しました。

——マルチインターフェースシュー(MIシュー)を利用して拡張できる機能にはどんなことがありますか?

MIシューに、対応するソニー製マイク(別売り)を装着するだけで簡単に高機能マイクをご使用いただけます。MIシュー経由でカメラからマイクに電源供給できるため、マイクはバッテリーレス、ケーブルレスで動作できます。

撮影時の電源を気にしたり、ケーブルによってバリアングル液晶モニターの可動を妨げることはありません。さらに、デジタルオーディオインターフェースに対応したソニー製マイク(別売)をご使用いただくことで、音声をデジタル信号のままダイレクトに伝送でき、劣化のない高音質録音を実現します。

——ZV-E10での使用を想定したレンズシリーズの展開などはあるのでしょうか?

今後の商品計画などに関してはコメントを控えさせていただきますが、ZV-E10と組み合わせるレンズとして、現状でも豊富なレンズラインナップから撮影用途に応じてお選びいただけるようになっております。

例えば、旅行や日常での自撮り時は、広角レンズと組み合わせることで背景とともに被写体をダイナミックに表現できます。商品レビュー動画撮影などでは、明るい大口径レンズと組み合わせて背景をぼかしながら、被写体を際立たせる表現が可能です。

またスポーツや遠くにいるペットなど被写体に近付きにくいシーンでは、望遠レンズと組み合わせて遠くの被写体を大きく、美しく捉える表現ができます。さらに料理動画の撮影で手元を映す際にはマクロレンズを選択するなど、ソニーのEマウントレンズ群65本からレンズを選択し、多彩な映像撮影を楽しめます。

——今回、発売開始時からホワイトカラーがラインアップされている理由はありますか?

ZV-1は発売当初はブラックのみでの展開でしたが、途中からホワイトを追加し、女性、若年層にも高い評価をいただきました。ZV-E10でも引き続き、女性層・若年層に加えて、これまでスマホで動画撮影してきた人達も手にとっていただけるよう、ホワイトカラーを最初からご用意いたしました。

——レンズキットで10万円を切った価格設定の狙いについて教えてくだい。

価格設定については、新規層を掘り起こしVLOGを中心としたカメラ市場全体を盛り上げていく狙いがあります。ZV-E10は、“これからカメラを始める”といった方にもお選びいただける価格設定だという評価をいただいております。

本誌:宮本義朗