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ソニー、新コンセプトミラーレス「α7C」を正式発表

フラットトップでEVF内蔵 α7 IIIの撮影性能を凝縮

ソニーは9月15日、ミラーレスカメラ「α7C」(ILCE-7C)を発表した。ボディ単体とレンズキットをラインアップしており、カラーはシルバーとブラックの2色で展開する。発売日は10月23日。価格はオープン。店頭予想価格はボディ単体が税別21万円前後、レンズキットは税別24万円前後。

C=小型・軽量(Compact)

α7Cのボディデザインは、APS-Cセンサーを搭載するα6000シリーズに近いものとなっている。モデル名に冠している「C」は、「Compact」を意味しており、フルサイズ機の撮影性能を小型・軽量なボディに凝縮することを目指したという。同社はその開発背景について、フルサイズミラーレスの導入を検討しているユーザーには、導入を考えているものの、そのサイズや重量から断念していた、という声が多く挙がっていたと説明。こうしたユーザーを含め、フルサイズミラーレスをよりひろく利用してもらうことを企図して、フルサイズαで新ラインを展開することになったという。

フルサイズαシリーズをふりかえると、α9シリーズではスピード、α7Rシリーズは解像(Resolution)、α7Sシリーズは高感度(Sensitivity)、そしてα7はスタンダード機という位置づけとなっている。いずれもボディ中央部にファインダーを配したスタイルデザインで展開。現行の最新世代であるα9 II、α7R IV、α7S IIIは、α7R IVのボディデザインに準じた外観・操作系でまとまってきており、またα7 III自体もリニューアルへの期待が高まっている状態にある。

これらデザインに対して、α7Cでは天面がフラットになったデザインを採用。ボディ左端にファインダーを配したスタイルとなった。外形寸法は124×71.1×59.7で、質量は約509g(バッテリー・記録メディア含)となっており、α7 IIIのサイズ・質量(126.9×95.6×73.3、約650g)と比べて、その質量を78%(体積は81%)に軽量・小型化することに成功している。

背面モニターはバリアングルタイプを搭載。天面に動画記録ボタンを配することで、動画撮影での使い勝手にも配慮したボタン配置デザインとなっている。ホットシューは、デジタル接続に対応したマイク(ECM-B1M)の使用にも対応。また、ワイヤレスリモコン機能を搭載したグリップ(GP-VPT2BT)の使用にも対応。Vlog記録ニーズにも応える。

またUSB Type-C端子を備えており、充電と給電に対応。給電しながらの撮影にも対応している。

α7 IIIの撮影性能を凝縮

ボディは小型・軽量化しているが、撮影性能はα7 IIIとならぶものとしており、一部撮影性能はより向上しているという。

センサーはα7 IIIと同じ有効約2,420万画素の裏面照射型CMOSを搭載。映像エンジンもBIONZ Xでα7 IIIと同じものとなっている。

α7 III同等の撮影性能の凝縮がトピックとなっており、センサーや映像エンジンのほかに、ISO感度もISO 100-51200(拡張50-204800)で、こちらも同じ。5.0段分の手ブレ補正効果を有する5軸のボディ内手ブレ補正機構を搭載する点も同じとなっている。

リアルタイム瞳AFおよびリアルタイムトラッキングに対応しており、静止画のほか、動画撮影時でも双方が利用できる。リアルタイム瞳AFの精度はα7 IIIと同等だという。このほか、AF-ONボタンによるリアルタイムトラッキング動作スタートにも新たに対応した。また、人物の肌色再現性についても向上しているという。

このほか、AF/AE追従で約10コマ/秒の連写に対応。電子シャッターを使用するサイレントモードでも同じ10コマ/秒の連写が可能となっている。連続撮影可能枚数は223枚(SD UHS-IIカード使用時)だという。

AFの測距点数は、位相差AFエリアが693点、コントラストAFは425点。EV-4の低照度環境でのAFも可能(ISO 100相当、F2.0のレンズ使用時)となっているという。

記録メディアはSDカードを使用する。UHS-II対応でスロット数は1つ。

バッテリーにはNP-FZ100を使用する。撮影可能枚数は、背面モニター使用時で約740枚、EVF使用時は約680枚だとしている。

新規開発のデバイスを搭載

小型・軽量化にあたり、新たに開発されたデバイスが数多く用いられている。

ボディにはモノコック構造を採用。フロント・トップ・リアカバーにマグネシウム合金を用いることで、強度を確保しながらも小型軽量化を実現したとしており、防塵・防滴にも配慮した設計となっているという。

また、シャッターユニット(約20万回耐久)およびボディ内手ブレ補正ユニット(5軸・5.0段分)も新たに開発したものとなっているという。

このほか無線接続も強化されており、5GHzによるWi-Fi接続およびFTP転送にも対応している。

動画性能

4Kによる撮影のほか、フルHDでは120pのスローモーション撮影にも対応。ショットガンマイクロホン「ECM-B1M」やワイヤレスリモコン機能を搭載したグリップ「GP-VPT2BT」にも対応しており、バリアングルタイプのモニターとともにVlog撮影用途向けのシステムを組むことも可能だとしている。

このほか、動画撮影時の縦位置記録に新たに対応。スマートフォン等への表示・配信での使いやすさが向上している。また、Imaging Edge Webcam(Windows 10用が公開済み。Mac版は今秋予定)によるWebカメラ使用にも対応している。

小型の新キットレンズ

小型軽量ボディにあわせて、小型ながら焦点距離28-60mmとしたレンズ「FE 28-60mm F4-5.6」も用意する。α7Cのキットレンズとなっており、単体での希望小売価格は税別6万円。発売は2021年の春を予定しているという。

駆動系にはリニアモーターを採用するほか、レンズ鏡筒は防塵防滴に配慮した設計となっているという。

リトラクタブル機構を採用しており収納時の薄型化に配慮。外形寸法は45×66.6mm。重量は167gとなっている。

本誌:宮澤孝周