インタビュー
ソニーが誇る最高峰レンズ「G Master」シリーズの取り組み(前編)
持てる全ての技術を投入 "10年後のボディでも物足りなくないように"
2017年12月26日 12:00
ソニーがEマウント最高峰のレンズとして2016年から展開する「G Master」シリーズのインタビューをお届けする。企画の狙いから、G Masterシリーズがソニーの最高峰レンズたる技術的理由について、メーカー担当者に聞いた(編集部)。
「ソニー自身が作る本格的なレンズの必要性を痛感」(長田氏)
——まずは、G Masterシリーズがなぜ登場したのか、立ち上げのきっかけからお伺いします。
ソニーにはAマウントの交換レンズがあって、このラインナップはほぼ完成の域にありました。その後ミラーレス用のEマウントが登場し、当初はどちらかといえば小型軽量なボディに合わせたコンパクトで開放F値も抑えた交換レンズが多かったと思います。
ところがここ数年、特にG MasterシリーズではF2.8通しの大三元シリーズや、大口径単焦点レンズなど、高価だけれども高性能な交換レンズが次々に投入され、非常に高い評価を得ています。
長田:我々は常日頃から、お客様のご要望を第一に尊重し、製品開発にフィードバックさせていただいております。おっしゃる通り、Eマウントでは当初から小型軽量というところを最大の武器として、ミラーレスシステムとして立ち上げてきました。特に初代α7の頃はとにかく35mmフルサイズの小型モデルを作りたいということで、交換レンズもそうした特徴を最大限に活かせるように、F4通しのズームレンズですとか、FE 55mm F1.8 ZAやFE 35mm F2.8 ZAなど、やや明るさをおさえたコンパクトな交換レンズをメインに作ってきました。
そんな中で、α7R IIの発売をきっかけに、プロフェッショナルユーザーの方が急激な勢いで増え、特にポートレートや風景を中心に、非常に多くのプロの方に使っていただけるようになりました。ちょうどプロサポートが始まっていたことも重なり、そうしたプロ写真家から多くのフィードバックが寄せられるようになりました。
頂いたご意見の中で多かったのは、やはりF2.8の大口径ズームをはじめ、本格的な大口径単焦点レンズなど、プロの撮影現場で必要な交換レンズをすぐにでも揃えてほしいというものでした。それがまず”最高のレンズ”を作ろうと考えた変化点です。
それから、今年発売しましたα9とFE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSSの組み合わせでは、スポーツ、報道の分野の写真家にもお使いいただき、超望遠の単焦点レンズなど、より本格的なレンズシステムも揃えてほしいというご要望をいただきました。先日開発発表しました400mm F2.8のレンズを前倒しで開発するようになったのも、実はそうしたプロ写真家の強いご要望が大きな開発動機になっています。
「G Master」に取り組んだ直接のきっかけは2つありまして、1つはまずソニー自身が作る本格的なレンズの必要性を痛感した、ということです。しかも、作るなら解像とボケを両立させた最高性能のものを作りたいという考えがありました。そして、「お客様のご要望」という、この2つの要素が非常に大きくなり、現時点でソニーが投入しうる最高の技術の全てを盛り込んだレンズを作ろうということになりました。また、そこまでやるのであれば、大変ではあるけれど新たなブランドを立ち上げたいという思いから「G Master」が生まれました。
——4,200万画素に至る超高解像度のα7R IIの投入により自ずと高性能なレンズを充実させる必要があり、そしてプロの要望を取り入れる形で明るく高性能なレンズが必要だとする空気が自然と湧き上がって来たような感じでしょうか?
長田:そうですね。明るく、しかも周辺部までシャープなピントを結ぶ高性能なレンズです。そして、作るなら技術面を含めて最高のものを作ろうというのがG Master開発当初のソニーの考え方でした。
——そうしますとG Masterシリーズ全体のコンセプトとしては、高品質かつ高画質でボケも綺麗なレンズということになるのでしょうか?
長田:はい。お客様に対するわかりやすいメッセージとして「解像とボケを最高の次元で両立させる」ということを最初に考えました。開発当初、これを金井(真実氏。静止画光学設計担当部長)に頼んだところ、すぐに「解像とボケというのは光学的に相反する性質であって、両立させるのは難しい」という反応があったのですが(一同笑)100%でなくても、とにかく究極までやってもらうように頼みました。結果的には、その難しい課題を本当に究極のレベルで実現してくれたと考えています。
加えて、光学性能だけにとどまらず、開発中には今のα7R IIIやα9の登場もわかっていましたので、高速なAF合焦速度や動画に対応したAF動作ですとか、動作音を抑えることについても徹底していますし、耐久性や堅牢性など、あらゆる方向で最高のものをしっかりと作るというところをコンセプトとして開発しました。
——いま動画対応のお話が出ましたが、従来からのカメラメーカーはどちらかといえば動画撮影はあまり得意でない分野といえますが、ソニーはビデオカメラを長くやってこられた経験がありますね。
長田:そうですね。放送局、映画撮影用のカメラ開発メンバーとも情報共有をしていますが、動画撮影をされる方はやはり不要な作動音を気にされます。作動音や像揺れ、ズーム時の焦点移動など、動画撮影時に特に気になるポイントというものがあります。
ソニーには長年の経験による対応策がありますので、当初からEマウントレンズに対しては動画対応について対策はしてきました。しかしG Masterでは、操作感、音、像揺れ、焦点移動を含めて、より高いレベルで対策を行っています。
——最初のモデルにFE 24-70mm F2.8 GM、FE 85mm F1.4 GM、FE 70-200mm F2.8 GM OSSの3本の高級モデルを選んだ理由は何ですか?
長田:当時ラインナップがなかったということもありますが、お客様のご要望が多く、我々もいつかは作りたいレンズとして、やはりまず大三元ズームや明るい単焦点レンズが必ず最初に出てきました。一般的に大三元ズームの場合、24-70mm、70-200mm、16-35mmの順に購入されるお客様が多く、G Masterの最初のレンズとしてはやはり24-70mmが外せません。70-200mmもその延長にありますから、ここは素直に決まりました。
85mmにつきましては、G Masterのキーワードである「解像とボケ」をわかりやすく表現する上で最適と考えました。αシリーズはミノルタ時代からの伝統などもあり、ソニーになってからもレンズのボケ味を気に入っていただいていると認識しておりますが、ポートレートや風景の分野で多くのプロフェッショナルの方もお使いいただいています。そこで、ポートレート撮影における象徴的な焦点距離であり、解像とボケの両立を極めた画質をわかりやすく実感していただける85mmが、単焦点レンズの1本目として最適であろうと判断しました。
「G Master」と「ZEISS Lens」はどう違う?
——大三元や85mm F1.4などの看板レンズは、Aマウントでは「ツァイスレンズ」ブランドでしたが、Eマウントでは「G Master」ということで、これは意図的に選んでいるのですか?
長田:特に意図したということではありません。ツァイスと共同開発した「ツァイスレンズ」と、ミノルタ時代の技術をベースにソニーが新しい技術を入れ込んだ「Gレンズ」シリーズの2つのブランドがある中で、今使える技術を全て注ぎ込んで「解像とボケ」を究極まで追求するというのがG Masterのコンセプトですから、やるからにはシンプルに、先ほどの象徴的な高性能レンズにまず取り組むということになったわけです。
ですから例えば、Aマウントの85mm F1.4がツァイスレンズブランドであったから、EマウントではG Masterにしたということではありません。たまたま、解像とボケを両立させた代表例となるレンズのラインナップが従来になかったということですね。最近はツァイスさんも独自のブランドでEマウント用レンズをいろいろと出されていますので、お客様にとっては、いろいろなブランドがあって選択肢が増えるのは良いことなのでは、と思っております。
——ユーザーは「G Master」と「ツァイスレンズ」の違いをどのように理解すればよろしいですか? ともに最高の高性能を謳っているわけですが、どちらのブランドを選べばいいのか、ちょっとわかりにくい気がします。例えばツァイスレンズとGレンズは同じクラスで、G Masterはそのさらに上などといった位置付けの違いはありますか?
長田:位置付けに関しましては、我々が甲乙をつけるものではありません。これはお使いになられたお客様が判断されることだと思います。例えば「ツァイスレンズのこういうところがいい」とおっしゃるお客様もたくさんいらっしゃいますし、その上を作ろうということではありません。エンジニアサイドからすれば独自の技術だけで最高のものを作りたいとする思いはあるかもしれませんが、ブランド的にどちらが上下ということはありません。
——それではツァイスレンズとG Masterのコンセプトの違いはどんな所にありますか?
長田:ソニーが販売しているツァイスレンズブランドのレンズは、コントラストと解像の両立という所に重点を置いています。とはいえボケを全く気にしないというのではなく、十分ケアした上でということです。G Masterは、設計から製造まで全ての段階を自分たちで行うことによって、解像とボケの究極の両立を極限まで追求して作ろうというコンセプトですね。
——従来のGレンズと今回のG Masterの位置付けの違いは、G Masterが上と考えて良いのですか?
長田:はい。それは上と考えていただいて結構です。
——ただ、FE 12-24mm F4 GやFE 90mm F2.8 Macro G OSSなど、性能的にG Masterと呼んでもよいものがありますね。
長田:ありがとうございます。お客様からも何であれがG Masterではないのかとご意見をいただくことがあります。ただG Masterでは、素材にしても「こんなに少ししかできないの?」というくらい希少なものを使ったり、アクチュエーターにしても手頃なレンズでは使えない高価なものを使ったりと、本当に究極の世界を追求しています。
FE 12-24mm F4 GやFE 90mm F2.8 Macro G OSSなどは、結果的に性能は非常に良いのですが、コンセプトとしてG Masterと呼べない面もあり、「Gレンズ」としています。ただこの2本はお客様から高い評価をいただいており、確かに「G Masterでもいいのではないか」とよく言われます。
——ラインナップ的にG Masterシリーズでは大三元と中望遠が揃い、先日400mm F2.8の開発発表がありましたが、標準・広角系の単焦点レンズがありません。ユーザーによっては、焦点距離が変わってもできるだけ描写を揃えたいという要望もあるかと思います。
長田:400mm F2.8以外に現時点でお話しできる未発売レンズはございませんが、ラインナップに関しては引き続きお客様のお声を参考にしながら進めていきたいと考えています。
——35mmや50mmのF1.4モデルは現行モデルではツァイスレンズブランドですが、ボケを生かした撮影もできそうなのでG Masterモデルがあるといいと思いますが?
長田:35mmと50mmのF1.4モデルはツァイスレンズブランドで最近出したばかりですし、2年も置かずに同じスペックのレンズを出すというのもあまり現実的ではありません。それよりはもっと優先すべきレンズがあるだろうということですね。
「G Master」が最高峰である理由
——ここまでG Masterのコンセプトをお伺いしていますと、高価格な理由もうなずけますね。
長田:実を言うと、加工から組み立てまで含めると採算性が大変厳しいレンズもあります。例えば、検査が合格に至るまでが大変で、本当に少ししか良品が取れないような歩留まりの悪い部材や、本当に特殊な素材を使用しているもの、精度をものすごく追い込んで作っているものもあります。そういった各パーツの精度だけでなく、組み立ての段階でもパーツの性能を十分に引き出せる調整が必要ということで、自ずと各段階で高度な技術が求められるわけです。
——なるほど。一部のパーツだけ良くても意味がないし、組み立てまで含めた総合的な管理も必要なのですね。ちなみにG Masterはすべて日本製ですか?
長田:日本製と、タイ製のものがあります。それぞれのレンズは、パーツの供給などの関係を踏まえて最適な国で作るということになっています。
——高価なレンズは日本製であってほしい!という希望が多いのではないですか?
長田:ワールドワイドで、そういうご意見は思ったほどいただいていないですね。
——日本のユーザーは、日本製へのこだわりが強い気がしますが。
岸:100-400mmは日本製で、それ以外のG Masterレンズはタイ製となっています。日本の工場とタイの工場間での技術や情報の連携はしっかりしていますし、部品加工の面においてもG MasterシリーズのキーパーツであるXAレンズはすべて日本製で、その他のキーパーツにおいても日本で加工された部品をタイに供給している場合が多くあります。アッセンブリーをタイで行っているレンズも実際には日本発の部品や技術が多く使われています。ですので、タイで作っているから、日本で作っているからといって、作り方が変わるとか、性能や品質管理レベルが変わるということはありません。
——いっぽう、G MasterではないFE 85mm F1.8など、十分な性能で手頃な価格のモデルも出てきていますが、そうした普及価格帯のレンズとはどのように棲み分けるのでしょうか?
長田:G Masterのほうは、F1.4と明るいだけでなく、より解像とボケにこだわった設計になっていますし、より良い素材を使い、製造もより厳しくやっているということで、その辺りに付加価値を見出していただけたらと思います。
FE 85mm F1.8は良いレンズに仕上がりました。しかし開発当初の狙いとしてはG Masterが上にありますから、ある程度手頃なお値段で、APS-C機で使っても違和感のないサイズ感でまとめることが目標の製品でした。
岸:普及価格のレンズだからといって、手を抜いて設計できるということはなく、与えられた条件の中で常に最高のものを目指して設計していますので、出来上がったものが結果的に価格に対して性能が高く、割安感が出るということはありますね。
長田:エンジニアのセンスというものもあると思いますね。"こういう構成にしよう"となった場合、それが良い設計だと、作りやすいだけでなく、大量に作っても性能を維持でき、AFも高速に動作できるようになるなど、実際に作ってみると色々なことが起こります。
——G Masterを作るのは本当に大変そうですね。
長田:他社のエンジニアの方から断面図に対して「よくここまで攻めましたね」とか「よくこんなの作りますね」とおっしゃって頂いたこともありますが、我々は技術を出し惜しみするのでなく、持っている技術の全てを毎回出し切って、1本1本作っているイメージですね。
——例えばレンズの研磨ひとつをとっても、検査時のニュートンリングの本数が、一般のレンズより厳しかったりということはありますか?
岸:もちろんそうしたことも含めて、ひとつひとつの部品の精度を究極まで高めていかないとG Masterの性能が出せません。
——そこまで突き詰めるとなると、光学設計とメカ設計の間での調整も大変そうですね。
岸:はい、どの機種も大変です。光学設計者は光学的な限界性能を目指していますので、その性能を出すために高いメカ精度も求めますが、メカ設計者からは「こんな精度はとても無理なので、もう少し緩められないか?」といった調整はしょっちゅうです。
——G Masterの場合はその基準がさらに上がるわけですね。
岸:一般のレンズに比べてG Masterの基準はさらにワンランク上げていますので、たとえ生産性が悪くても絶対性能を出すには、メカ部品もワンランク上の精度を出さなくてはいけませんし、レンズの面精度もワンランク上でなくてはいけません。レンズの硝材によっては加工の難しいものもありますので、それを高精度に作るとなると、製造の難易度は一気に上がります。
長田:最初は「そんなことはできない」という声もたくさんあったのですが、今日ここにいる2名を中心にこの難しい課題にトライしてくれまして、その過程でまた新たな加工技術を生み出すなどの進化もあり、色々と調整しながら実現してくれました。天才エンジニアというのでしょうか、非常に優秀なエンジニアがいまして、そうした人たちがこのプロジェクトを本当に実現するんだという気概で取り組んでくれた結果、こうした製品が出来上がりました。
しかし、製品が市場に出てお客様から良い評価をいただきますと、またそれが自信になって「次はさらに上を目指そう」という空気が生まれ、今は非常にいい状態になっていますね。
岸:設計側もこの新しいブランドを立ち上げた時は「本当にこのスペックで量産できるのか」という不安があったり、製造側も「本当にこのスペックを保証しなければいけないのか」「そのために新しい設備を開発する必要があるのか」など色々な葛藤がありました。しかし最初のG Masterシリーズ3本を発売し、お客様から非常に高い評価をいただいた時は開発、製造に携わった皆の大きな自信に繋がりました。お客様は、いいものを作れば必ず評価してくださる。そういった自信が今、それぞれの現場で、さらにいいものを作ろうというモチベーションに繋がっています。
——確かにG Masterシリーズを使うと、どのレンズも非常に優れた画質で、ソニーの本気度が伝わりますし、G Masterを使いたいからソニーを選ぶという動きにもつながっていると思います。
岸:そうですね。レンズを担当している我々としては「G Masterが使いたいからソニーを選ぶ」とお客様に言っていただけたら、それが最高の褒め言葉ですね。
長田:例えば24-70mmを出した時のインターネット上の評判で特に印象に残っているのは、「画面周辺までシャープなピントが得られていて画質面も優れているが、これを手ブレ補正ありで使えるところが最高だ」と書いていただいたことですね。αはボディ側の手ブレ補正機能との相乗効果で、画質を犠牲にせずに、さらに高い付加価値をお届けできます。その点にメリットを感じていただいているのだなと思いました。
——そう考えますと、高機能なボディがあるからこそレンズも活きてくるし、高性能なレンズがあるからこそボディの実力が100%発揮できるとも言えそうですね。
長田:α9は100-400mmと同時発表し、直後に大三元レンズを完成させたことで、プロの方にも違和感なく移行できたとおっしゃっていただけました。一部では明るい400mmレンズがないというご指摘もありましたが、やはり最低限のレンズが揃っていないとプロの方の選択肢にはならないと認識しています。
——ちょうど400mmのお話が出ましたので、先日開発発表されたレンズにつきましてもお伺いしておきたいと思います。超望遠レンズの1本目として400mm F2.8を選ばれた理由は?
長田:スポーツを撮るのであれば、"ど真ん中"のレンズが400mm F2.8であると伺っていました。スポーツ、報道のプロフェッショナルの世界では400mm F2.8が必須と言われるほどよく使われるレンズで、まずはここを押さえておく必要があると考えたためです。
——アマチュアの野鳥撮影をやっている方などはもう少し長めで、600mm F4レンズが標準レンズだそうですが。
長田:そのようなニーズも認識はしていますが、そのあたりはテレコンバーターでの対応を考えています。Eマウントのテレコンバーターは非常に優秀で、例えば100-400mmの400mm側で2倍のテレコンバーターを使用した場合の合成F値はF11になりますが、α9などでは像面位相差AFも動作可能です。
——テレコンバーター使用時にAFスピードは落ちませんか?
長田:デフォーカス量が大きくなりますので、ピントが大きく外れた場合の復帰には少し時間がかかる場合もあると思いますが、動体に追従してピントを合わせているときのAFスピードは変わりません。
——G Masterシリーズは今ある最高の技術で作ったということですが、過去のレンズの中には、時代が経過しても少しも性能が色褪せないものや、今はもう途絶えてしまった技術が使われていてプレミアがつくようなものもあります。そうした技術的なプロパティを残したいという意味もあるのですか?
長田:ちょっと違うところは、我々はある特殊な技術を使って「それはその時にしかできない」というものをやるのではなく、新しいものを取り入れていくという姿勢なのです。例えば、オフィスで私の隣にはカメラボディの責任者がいるのですが、次にどうするかを日々考えています。イメージセンサーからLSIまで、常に最新の技術要素を研究して、次に何をやるか模索しています。
そうすると、10年後にボディはどんどん進化しているのにレンズはそのまま、というのではなく、ボディとともにどんどん進化していくように考えたいと思いました。今のレンズは10年後でも陳腐化せずに使っていただけて、基準を決めたら10年後のボディでも物足りない状況にならないように最高レベルを追い続けるブランドというのが、G Masterの開発姿勢だと私の中に考えがあります。
(後編に続きます)