ニュース

ソニー、4,240万画素×秒間10コマ連写の「α7R III」

α9の操作性を継承 連写合成の「ピクセルシフトマルチ撮影」も

ソニー、4,240万画素×秒間10コマ連写の「α7R III」

ソニーは、ミラーレスカメラ「α7R III」(ILCE-7RM3)を11月25日に発売する。価格はオープン。店頭予想価格は税別37万円前後。

ソニーの35mmフルサイズミラーレスカメラ「α7」シリーズにおいて、高解像度を特徴とする「R」(Resolution)を冠した最新モデル。2015年8月に発売した「α7R II」の後継モデルとなり、操作性や機能面には最新の高速モデル「α9」からの影響が色濃く見られる。

ソニー、4,240万画素×秒間10コマ連写の「α7R III」

α7R IIIの大きな特徴として「約4,240万画素×約10コマ/秒」という高解像度と連写速度の両立がある。Aマウント機には約4,240万画素×最高約12コマ/秒のスペックを持つ「α99 II」があるが、α7シリーズで高解像度と連写を両立させたモデルは初めて。

これまでのモデルを例に挙げると、α7R IIは約4,240万画素ながら最高約5コマ/秒、α9は電子シャッターで最高約20コマ/秒(メカシャッターで最高約5コマ/秒)ながら有効約2,420万画素。歴代α7シリーズにおいて、メカシャッターで最高5コマ/秒を超えたのもα7R IIIが初となる。

ソニー、4,240万画素×秒間10コマ連写の「α7R III」

なお、シャッターチャージユニットを新開発したことで、約50万回のレリーズ耐久性(電子先幕シャッター時)と静音性も実現したという。シャッター速度は1/8,000秒〜30秒、バルブ。シンクロ速度は1/250秒。電子先幕シャッターおよびサイレント撮影(完全電子シャッター撮影)も可能。

外観はα9とα7R IIが融合したようなスタイリング。α9にあった左肩のドライブモードダイヤルはないが、背面左手側のC3ボタンは継承されており、α7R IIIではプロテクトが割り当てられている(変更可)。シャッターボタンの皿の形状なども、α9にならっている。確実な識別のポイントは、背面左手側にあるMENUボタン付近のバッジ。ここに「α7R III」と記載されている。

ソニー、4,240万画素×秒間10コマ連写の「α7R III」 前面には、α7R IIから大きな変化が見られない
前面には、α7R IIから大きな変化が見られない
ソニー、4,240万画素×秒間10コマ連写の「α7R III」 背面に「α7R III」というバッジがある
背面に「α7R III」というバッジがある
ソニー、4,240万画素×秒間10コマ連写の「α7R III」
ソニー、4,240万画素×秒間10コマ連写の「α7R III」
ソニー、4,240万画素×秒間10コマ連写の「α7R III」
ソニー、4,240万画素×秒間10コマ連写の「α7R III」
ソニー、4,240万画素×秒間10コマ連写の「α7R III」
ソニー、4,240万画素×秒間10コマ連写の「α7R III」 参考:α7R III(左)と従来モデルのα7R II(右)
参考:α7R III(左)と従来モデルのα7R II(右)
ソニー、4,240万画素×秒間10コマ連写の「α7R III」
ソニー、4,240万画素×秒間10コマ連写の「α7R III」
ソニー、4,240万画素×秒間10コマ連写の「α7R III」
ソニー、4,240万画素×秒間10コマ連写の「α7R III」
ソニー、4,240万画素×秒間10コマ連写の「α7R III」

画像処理や手ブレ補正をチューニング

イメージセンサーはα7R IIと同様に、裏面照射型CMOSセンサーの「Exmor R」を採用。総画素数約4,360万画素、有効約4,240万画素。感度はISO100〜32000(拡張でISO50〜102400)。

画像処理システムのBIONZ Xを新世代のものに一新し、センサー自体は同じながらそのポテンシャルを引き出すことにフォーカスしたという。具体的には、ISO800〜3200前後で約1段分のノイズが低減されたとしている。また、連写時や電子シャッターを使ったサイレント撮影時においても14bitでのRAW出力が可能になった。

ソニー、4,240万画素×秒間10コマ連写の「α7R III」

センサーシフト式のボディ内手ブレ補正は、最大効果が5.5段分に向上。手ブレ補正ユニットとジャイロセンサーを新開発し、アルゴリズムも最適化した。

連写は電子シャッター時もメカシャッター時と同じく最高約10コマ/秒に対応。α9のようなセンサーからの高速読み出しに対応していないため、ローリングシャッター歪みの影響は従来のα7R IIと同じレベルだという。

10月27日追記:α7R IIIのローリングシャッター歪みについて、ソニーから後日届いた詳細情報によると、JPEG記録時および圧縮RAW連写時はα7R IIより歪みが改善されており、RAWの単写および非圧縮RAWの連写時はα7R IIと同等の歪みになるという。

データ書き込み中の操作性などを向上

連続撮影後に各種操作ができなくなる仕様について、特にα9ユーザーから改善の要望があった点が反映された。連写後の書き込み中にも「Fnメニューでの撮影設定変更」、「再生画面へのアクセス」、「メニュー画面へのアクセスと設定変更」を可能とした。

連写時の連続撮影可能枚数は、非圧縮RAWで28枚、圧縮RAWで76枚、JPEGで76枚。バッファメモリー増加やUHS-II対応で実現した。

加えて、α7R IIやα9には未搭載の「フリッカーレス撮影」も新対応。蛍光灯などの人口光源のちらつきを検知し、影響の少ないタイミングで静止画を撮影する。

また、連写した撮影画像をグループ表示できるようになり、グループ単位での削除やプロテクトも可能になった。

α9の機能性を継承したAF

399点の像面位相差AFセンサーと、425点に増えたコントラストAF(α7R IIは25点)のハイブリッドで高密度にカバーする。低照度時のAF速度、動体および瞳AFの追随性は、いずれもα7R II比で最大2倍になっているという。

動体予測アルゴリズムはα9のものをα7R IIIに最適化したという。これに伴い、「AF追従感度設定」、「フォーカスエリア登録機能」、「縦横フォーカスエリア切り換え」といったAF関連機能もα9から継承している。低輝度はα7R IIの-2EVに対し、満月の月明かりぐらいという-3EVに対応。

ジョイスティック式のマルチセレクター、AF-ONボタンもα9と同様にカメラ背面に備わる。EVF撮影時のタッチパッドAF操作や、背面モニターでのタッチフォーカス撮影にも対応している。

ソニー、4,240万画素×秒間10コマ連写の「α7R III」

4枚を連写合成する「ピクセルシフトマルチ撮影」

RGGBのベイヤー配列フィルターを用いたカラーセンサーでは、各ピクセルについて残り2色を隣接画素の情報から補完する必要があり、モアレや偽色の原因となっている。

新搭載のピクセルシフトマルチ撮影は、1ピクセルずつイメージセンサーを動かして4枚を連写合成し、各画素でRGGBを直接合成することでより忠実な再現を目指す機能。

動作原理はペンタックスの「リアル・レゾリューション・システム」(1画素シフト×4枚合成)や、オリンパスの「ハイレゾショット」(0.5画素シフト×8枚合成)に近く、ソニーでは4枚合成で得た約1億6,960万画素分のデータを専用パソコンソフトの「Imaging Edge」で合成・現像し、約4,240万画素の画像を出力する。

ソニー、4,240万画素×秒間10コマ連写の「α7R III」 一般的なRGGBフィルターの概念図
一般的なRGGBフィルターの概念図
ソニー、4,240万画素×秒間10コマ連写の「α7R III」 ピクセルシフトマルチ撮影の概念図
ピクセルシフトマルチ撮影の概念図

カメラもしくは被写体がブレると正しく合成されないため、カメラを三脚に据えて、かつPCリモート撮影やリモートコマンダーを併用してほしいとしている。撮影時は非圧縮RAWのサイレント撮影となり、フラッシュ撮影などに一部制限が生じる。

4K HDR動画に対応

画素加算のない全画素読み出しで、4K動画を記録。新たにHLG(Hybrid Log-Gamma)に対応し、広ダイナミックレンジで広色域の4K HDR動画を記録できるようになった。

従来のS-Log2に加えて、14ストップの再現域を確保するS-Log3を搭載。ほかにもフルHD 120fps記録、スロー&クイックモーションなどに対応している。

ファインダーと背面モニター

約369万ドットの有機ELパネルを採用。ファインダー倍率は0.78倍。α7R IIに比べ、最大輝度が約2倍、撮影可能な状態になるまでの時間が約30%の高速化した。

フレームレートは標準(60fps)と高速(120fps)の2モードから選べる。

背面モニターは3型約144万ドット。RGBWの画素構成により明るいWhiteMagicパネルを採用している。上方向に約107度、下方向に約41度チルトする。

ソニー、4,240万画素×秒間10コマ連写の「α7R III」

画面表示の切り替えで「モニター消灯」が追加。「ファインダー撮影用」の表示とは別に用意され、モニターを消灯できる。

SDデュアルスロットに進化

ソニー、4,240万画素×秒間10コマ連写の「α7R III」

α7R IIのシングルスロットから、α9のようなデュアルスロットになった。UHS-II対応のスロット1と、メモリースティック系に対応するスロット2(SDはUHS-I)の構成。リレー記録、同時記録、RAW/JPEGや静止画/動画の振り分け、メディア間コピーに対応する。

また、新たにRAW+JPEG記録時のJPEG画質を変更できるようになった。これまでファイン固定だったところ、エクストラファイン/ファイン/スタンダードが選べる。

インターフェースなど

ソニー、4,240万画素×秒間10コマ連写の「α7R III」

スタジオ用フラッシュとの接続を想定したシンクロ端子を搭載。ワイヤレスフラッシュ撮影時は後幕シンクロ、スローシンクロが可能になった。

バッテリーはα9用に登場した「NP-FZ100」。撮影可能枚数はファインダーで約530枚、液晶モニターで約650枚。縦位置グリップはα9と共通の「VG-C3EM」(税別3万5,000円)。

USB端子はmicroUSBとUSB Type-Cを装備。片方にリモコンを繋ぎながら、もう一つの端子でUSB給電などが可能。

通信機能はWi-Fi/Bluetooth、NFCを装備。

外形寸法は約126.9×95.6×62.7mm(グリップからモニターまでの厚さ。以下同)。重量はバッテリーとメディア込みで約657g、本体のみで約572g。

ちなみにα9は約126.9×95.6×63mm、約673g(バッテリー、メディア込み)のため、サイズ感はα9と同様。重さはα7R IIとα9の中間。

本誌:鈴木誠