交換レンズレビュー
小さくて軽い28mm特集【第5回】富士フイルムXF18mmF2 R
Xマウント最初期にして安定の高画質 市場参入への強い思いを感じるパンケーキレンズ
2025年8月15日 07:00
AF対応の28mm単焦点レンズを順次紹介するこの連載。カメラメーカー各社がミラーレスカメラ用としてラインアップする28mmレンズのうち、比較的小型軽量なものをピックアップしてみました。
今回は富士フイルムの「XF18mmF2 R」のレビューをお届けします。焦点距離は18mmですが、APS-Cセンサー対応のレンズですので35mm判換算で27mm相当となります。
外観・仕様
本レンズが発売されたのは2012年2月。富士フイルム初のミラーレスカメラ「X-Pro1」と同時でした。「X-Pro1」といえば、ハイブリッドビューファインダーを搭載し、ダイヤル操作を主体とした操作系を備えた、レンジファインダースタイルのスナップシューターです。
そんな「X-Pro1」に合わせたレンズとして、小柄ながらも絞りリングを備えているあたりに、当時の富士フイルムの意欲が伝わってきます。
今回は「X-H2S」と組み合わせて使用しましたが、絞りリングを搭載しながら(ちなみにレンズ名称の「R」は絞りリング搭載の意味)小型・軽量化を目指した仕様は、ダイヤル操作を主体とした「X-T5」や「X-E5」、あるいはボディの小型・軽量化を推し進めた「X-M5」などとの方が相性は良いかもしれません。
外形寸法はφ64.5×33.7mmで、質量は約116gです。いわゆるパンケーキタイプのレンズですので長さが抑えられていますが、パンケーキというにはやや厚めに感じられるのは、開放絞り値がF2という大口径だからでしょう。いずれにしても、F2の明るさでここまで小型・軽量であることは、本レンズの長所の1つといえます。
同梱の角型フードは金属製というこだわりようです。これだけでも本レンズが欲しくなってしまうくらい、使う喜びを探求していることが感じ取れます。現代的な効率性の高さに加え、昔ながらのカメラの喜びを思い出させてくれるのが、本レンズだということなのかもしれません。
作例
ミラーレスカメラ用のフジノンレンズとしては最古参ともいえますが、バックフォーカスをぎりぎりまで短くしたミラーレスカメラ用ならではの設計が採用されています。おかげで薄型の大口径ながらも描写性能は開放絞り値から高く、少し絞れば周辺まで均一で安定した解像感が楽しめます。
パンケーキタイプとしては珍しい、F2.0の大口径はやはり嬉しいものです。小柄であることを生かして被写体に迫りやすく、その上で大口径ならではの大きなボケで被写体を演出できます。小さくても表現力の幅が広いレンズだといえるでしょう。
最短撮影距離は18cmと、思った以上に寄れます。広角レンズらしく主要被写体を大きく写しながら、背景を広く入れるといったワイドマクロ的な写し方も可能です。背景のボケ味も自然で、作画の邪魔をしないところが良い点でしょう。
まとめ
現在、Xシリーズ用レンズとしては、本レンズの他に「XF23mmF2 R WR」「XF27mmF2.8 R WR」というパンケーキレンズが用意されていますが、なかでも本レンズは最初期に発売されたものです。最初のパンケーキレンズにしてF2の大口径なので、見た目のおとなしさに反して随分と気合が入っているといえます。
パンケーキレンズというと、描写性能は控えめになりがちですが、本レンズの場合、通常タイプのレンズと比べても遜色のない味わいがあるところも良い点です。
富士フイルムのXマウントレンズのうち、焦点距離27mm相当のレンズは他にも「XF18mmF1.4 R LM WR」がありますが、Xユーザーならスナップ撮影に最適な日常の相棒として押さえておきたい1本でしょう。