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キヤノンに聞いた「EOS R5」「EOS R6」一問一答(その2)
新バッテリーの違い、動画の熱対策、手ブレ補正など
2020年7月11日 02:32
7月下旬から順次発売されるミラーレスカメラ「EOS R5」「EOS R6」および新RFレンズの気になる点について、キヤノンの回答をもとにお届けする。今回の話題はカメラの細かな仕様についてで、「その1」を補足する部分もある。新しいRFレンズについても追ってお伝えする予定だ。
キヤノンEOS R5/R6、RF新レンズ関連記事
・4,500万画素ミラーレスカメラ「EOS R5」を7月下旬発売。約50万円
・約2,010万画素のスタンダードモデル「EOS R6」。約33万円
・超望遠ズーム「RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM」の詳細仕様を発表
・開放F11で小型軽量化した超望遠レンズ2本。10万円前後
・協調ISに対応した中望遠ハーフマクロ「RF85mm F2 MACRO IS STM」
・EOS R5/R6用のバッテリーグリップ「BG-R10」
・EOS R5/EOS R6のショールーム先行展示は完全予約制に
・キヤノン「EOS R5/R6」と新レンズの概要まとめ
・解説:EOS R5・EOS R6で"最大8.0段"の手ブレ補正
カメラ本体について
——どのようにして8K動画、4K 120p動画、秒20コマの4,500万画素記録を可能にしたのでしょうか?
自社フルサイズCMOSセンサーとして、半導体プロセス設計、CMOS回路設計を新規のものとしました。それによりデュアルピクセルCMOS AFに対応した高画素センサーでありながらデータ出力レートの向上を実現し、かつ高速駆動での消費電力増大化を抑制したことにより可能としました。
——イメージセンサーは裏面照射型CMOSですか? それとも積層型CMOSですか?
裏面照射型CMOSでも、積層型CMOSでもありません。
——EOS R5/R6はUSB給電・充電に対応していますか?
対応します。ただし、市販の充電器では正しく給電されないことがあるので、キヤノン純正アクセサリー「USB電源アダプターPD-E1」の使用をおすすめします。USBから電源を供給する際は、カメラの電源スイッチはONにしてください。
また、USB経由でバッテリー充電を行う際は、カメラの電源スイッチをOFFにしてください。カメラの電源がOFFでも、スマートフォンでカメラを操作中には充電が行われません。なお、旧型バッテリーのLP-E6はUSB充電できません。
——4K/8K動画記録時もUSB給電で使えますか?
使用できます。
——新バッテリーはこれまでのLP-E6Nとどう違いますか? 互換性はどうですか?
LP-E6NHはLP-E6Nより容量を増やしています。LP-E6NHはLP-E6/E6Nが使えるカメラにも使用できます。
——既存のLP-E6NをEOS R5/R6に使うと、何か違いがありますか?
LP-E6NとLP-E6NHでは、同じ電池残量でもドライブのスピードに違いが出る可能性があります。
動画について
——動画撮影への熱対策は何かあるのでしょうか?
EOS R5のメカ対策としては、カメラ本体の内部シャーシをマグネシウムにすることで、カメラ全体に熱を分散させる対策を行っています。
また、[温度上昇緩和] を設定すると、動画撮影待機中に一時的に表示フレームレートが変更されることで消費電力を抑え、発熱を抑制することができます。この機能はEOS R6も同様です。[温度上昇緩和]は、初期設定でONになっています。
——8K/4K動画は連続でどれだけ撮れますか?
温度上昇にともなう撮影時間の制限があります。動画記録サイズ・記録形式が「8K RAW 30p」および「8K 30p」では約20分、「4K 60p[クロップ:しない]」では約35分、「4K高画質30p」では約30分、「4K 60p[クロップ:する]」では約25分です。この数値はカメラがコールド・スタートで、常温23度の場合です。
撮影状況や撮影環境により、カメラ内部の温度が上昇した場合には、さらに撮影時間が短くなる場合もあります。またコールド・スタートでも、記録を開始する前にカメラの設定操作や、ライブビュー状態を維持することなどによってカメラ内部の温度上昇があるため、撮影時間が短くなる可能性があります。
最大撮影時間に達すると、動画記録を停止し、カメラをシャットダウンします。なお、カメラ内部の温度が14度未満の場合は、上記の制限より撮影可能時間が長くなる場合があります。
——カメラを冷やしながら撮影したら、撮影時間は伸びますか?
はい、伸びます。熱制限のために動画撮影を再開できない場合は、電源を切ってからカメラをファンなどで全体的に冷やすと、撮影再開までの時間を短縮することが可能です。過度の冷却は結露などを引き起こす危険があるので十分にご注意ください。
手ブレ補正について
——ボディ内手ブレ補正の効果について教えてください。
EOS R5とEOS R6は、EOSシリーズで初めてボディ内手ブレ補正機構(IBIS)を搭載しました。手ブレに連動して撮像センサーを動かす機構を搭載することで、IS非搭載のレンズを装着しても、5軸の高い手ブレ補正効果を実現します。RF28-70mm F2L USMやRF50mm F1.2 L USMなどの超高画質レンズや、豊富なラインナップのEFレンズを使用しても、強力な手ブレ補正効果を得ることができます。
——補正段数が高まると地球の自転による影響を受けると聞きますが、今回のカメラは最高8.0段分の効果とのことで、何か対策されているのですか?
はい、地球の自転による影響も含めて補正するシステムとなっています。
——"協調IS"をアピールしていますが、協調制御とは?
一般的にはボディ内蔵のセンサーシフト式手ブレ補正は広角側の効果が高く、レンズ光学式補正は望遠や広角など、レンズによって適切な補正を行うように設計されています。しかし、ボディ内手ブレ補正単体もしくはレンズ内手ブレ補正単体で効果を高めようとすると、カメラやレンズの大きさが極端に大きくなるなどの弊害があります。
そこで、ボディとレンズそれぞれの手ブレ補正の得手不得手を互いに補完し、両者が合わさった際により大きな補正効果となるように協調して制御することで、以下のような効果を発揮しています。
・補正できる角度が拡大し、大きなブレへの対応や手ブレ補正性能向上
広角レンズにおいても、センサーシフト補正単体よりも優れた効果
動画撮影時も大きなブレに効果
・ボディ側とレンズ側両方でブレを検知できるため、より高精度に補正
・システムとしてシームレスに幅広い焦点距離をカバー
——ボディ内手ブレ補正のみと、協調制御の場合で、手ブレ補正の効果段数が同じようですが、段数以外に効果の違いはありますか?
どちらの場合も、補正効果の段数はCIPA基準に準拠しています。そのため、測定条件として明記した使用レンズと焦点距離においては、ほぼ同等の手ブレ補正効果があります。
——レンズによって協調動作の補正段数が変わるのは何故ですか?
レンズの焦点距離、ISユニットや光学設計等によって補正段数が変わります。
——EOS R/RPのデュアルセンシングISやコンビネーションISと、今回の協調ISはどう違いますか?
デュアルセンシングISは、レンズのジャイロセンサーに加え、カメラのCMOSセンサーの画像情報からブレ量を検出しますが、手ブレ補正自体はレンズ側のISのみで行います。一方EOS R5/R6の協調制御は、ボディ側のセンサーシフト式ISとレンズ側の光学式ISの両方で手ブレを補正しています。
コンビネーションISは、センサーシフト式ISを搭載しないカメラにおいて、ボディ側の動画電子ISとレンズ側の光学式ISの組み合わせで動画撮影時の手ブレ補正を行います。EOS R5/R6は、協調制御+動画電子ISにより、動画撮影時のより強力な手ブレ補正を行います。
——EOS R5とEOS R6ではどちらのIS性能が良いですか?
IS性能は同じです。
キヤノンに聞いた「EOS R5」「EOS R6」一問一答
・(その1)現行EOSにおける2機種の位置づけ、8K動画対応の狙いなど
・(その3)同時発表の新RFレンズについて 600mm/800mm F11の"DOレンズ"とは?など