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キヤノン、約2,010万画素のスタンダードモデル「EOS R6」。約33万円

EOS-1D X Mark III譲りのセンサー ボディ内手ブレ補正も搭載

キヤノンは7月9日、35mm判フルサイズセンサーを搭載するミラーレスカメラ「EOS R6」を発表した。ボディ単体とRF24-105mm F4-7.1 IS STMとのレンズキットモデルでの展開となる。発売は8月下旬の予定で、価格はオープン。同社公式オンラインショップでの販売価格はボディ単体が税別30万5,000円、レンズキットは税別34万5,000円。

同日発表の35mm判フルサイズミラーレスカメラ「EOS R5」とともに、RFマウントを採用し、EOS Rシステムを構成する製品としてラインアップに加わった機種。

同社カメラ製品の位置づけでは、フルサイズセンサー搭載機としてミドルレンジクラスの一角を占める機種位置づけられている。同クラスの他機種には、ミラーレスカメラではEOS R、EOS RPが属しており、一眼レフカメラではEOS 5D Mark IV、EOS 6D Mark IIがある。同社は本機種について「フルサイズミラーレスカメラの新標準」として訴求しており、基本性能においてEOS R5と同等のスペックを実現した、としている。

外観

キットレンズ「RF24-105mm F4-7.1 IS STM」を装着した状態
背面モニターはバリアングルタイプ
RF24-105mm F4-7.1 IS STMを装着して手に持ったところ

EOS R5との主な共通点

EOS R5との共通点は、一部操作系の共通化のほか、ボディ内手ブレ補正機構の搭載や連写速度、測距エリア、人物および動物検出に対応するAF、「Image.canon」への対応などが挙げられる。

まず操作面では、測距点選択用のマルチコントローラーの採用があげられる。このほか、ダイヤル面ではシャッターボタン近傍に配されたメイン電子ダイヤルに加え、同社一眼レフカメラの多くの機種で採用されているサブ電子ダイヤルを搭載。これに、これまでEOS Rなどでも搭載されていたサブ電子ダイヤルを加えた操作系となっている。背面モニターはバリアングルタイプでEOS R5と同じ構造。EOS R5との外観・操作上の違いは、天面の情報表示パネルが非搭載となっている点があげられる。

AF制御もEOS R5と同様。採用センサーの違いによるチューニングの相違を除けば対応している機能は同じだという。EOS-1D X Mark IIIで搭載していたEOS iTR AF Xもアルゴリズムをさらに改善して搭載。ディープラーニング技術を用いて開発されたアルゴリズムにより、人物の顔や瞳、動体検出と安定した合焦が得られるとしている。

ボディ内部構造にはマグネシウム合金が採用されており、外装にはポリカーボネート樹脂が用いられているほか、三脚ネジ穴部には亜鉛ダイキャストを用いることで強度を確保したという。また、防塵・防滴構造にも対応している。

電源オフ時にシャッター幕を閉じてセンサーを保護する機構も踏襲。機構のオン・オフの選択も可能とのことだ

ボディ内手ブレ補正機構は5軸タイプとなっており、OISとの協調制御により最高約8段分の補正効果が得られるとしている。なお、協調制御が可能なレンズはRFマウント対応レンズのみとなっている。EFマウントレンズは、レンズ内手ブレ補正機構(光学IS)を搭載している製品の場合、ピッチ・ヨー制御はレンズ側の機構を使用し、XY軸・ロールの動きはボディ内の手ブレ補正機構を使用して制御するとしている。この対応の違いについて、同社はRFマウントでは高速通信が可能であることを理由に挙げている。

協調制御のイメージ

また、連写速度ではメカシャッター(電子先幕使用)で最高約12コマ/秒、電子シャッターでは最高約20コマに対応。いずれもAF/AE追従によるコマ速度となっている。

このほか測距エリアでは縦横ともに約100%をカバー(自動選択時)したとしており、同領域を用いて顔と追尾優先AFを利用できるとしている。なお、この画面全域を利用したAFでは、対応レンズに制限がある(新しく発表されたRF600mm F11 IS STMなどとの組み合わせでは使用できないなど。このレンズを用いる場合、AF対応領域は横約40%、縦約60%となる)。

記録画像ファイルはRAW、C-RAWのほか、JPEGのほか、HEIFにも対応している。

電源には新しいバッテリー「LP-E6NH」(希望小売価格1万1,000円)を採用。従来のLP-E6Nとの互換性を保ちながら、容量が2,130mAhに向上(LP-E6Nは1,865mAh)しているという。

EOS R5との主な相違点

相違点についてみていくと、まずセンサー画素数の違いが挙げられる。センサータイプはCMOSで、画素数は約2,010万画素。同社フラッグシップ一眼レフカメラのEOS-1D X Mark IIIと同等の画素数を有するセンサーとなっているが、まったく同じものではなく、専用にチューニングが施されているという。映像エンジンはDIGIC Xが組み合わされている(この点はEOS R5と同じ)。

静止画撮影時のISO感度は常用でISO 102400に対応。拡張設定でISO 204800相当に対応する。動画撮影時のISO感度は常用でISO 25600。拡張時は静止画と同じくISO 204800相当となっている。

低照度時の輝度検出ではEV-6.5に対応(F1.2レンズ使用かつ中央の測距点を使用した場合。AFはワンショットでISO 100時)。この点ではEV-6までとするEOS R5よりもまさっている点となっている。

動画撮影では8K記録に対応していない点があげられる。本機種ではUHD 4Kでの撮影が可能(フレームレートは60pに対応)となっているほか、FHDでは120pでの記録が可能となっている。また、タイムラプスを除くすべての動画撮影モードでサーボAFが利用できるとしている。なお、4K UHD収録では5.1Kからのオーバーサンプリングにより、より高い画質での4K記録に対応しているという

メカシャッターの動作耐久性能は、約50万回としているEOS R5に対して、本機種では約30万回となっている。なお、EOS Rは20万回。

干渉部材を介してシャッターユニットをボディに取り付ける構造を採用したとしており、EOS R/RPに比してレリーズ時の音・振動も抑制しているという。

EVFは0.5型でEOS R5と同等サイズとなっているが、表示ドット数が約369万ドットに抑えられている。この表示ドット数はEOS Rと同等だが、表示フレームレートは2倍に向上しているという。表示フレームレートは最大で119.88fps(なめらかさ優先)で、省電力時でも59.94fpsとなっている。

背面モニターもわずかに小型の3.0型が採用されており、約162万ドット表示となっている(EOS R5は3.2型・約210万ドット表示)。

また、記録メディアはSDカードのみの対応となっている。スロット数は2つで、両スロットともにSD UHS-II対応となっている。

通信面では、Wi-FiはIEEE 802.11n/g/b対応(2.4GHz)に対応。5GHz帯には非対応となっている。

外部端子はUSB Type-C、HDMI Type D(マイクロ端子)、3.5mm径ステレオミニジャック(マイクとヘッドホン)、リモコン端子(リモートスイッチ RS-60E3対応)で構成されている。USB Type-C端子はUSB電源アダプター「PD-E1」により充電・給電に対応する。

主な仕様

センサー

有効約2,010万画素CMOS(約35.9×23.9mm)

映像エンジン

DIGIC X

手ブレ補正機構

ボディ内手ブレ補正機構(5軸)

シャッター速度

[メカシャッター]1/8,000秒〜30秒、バルブ
[電子シャッター]1/8,000秒〜0.5秒
[シンクロ同調]1/200秒(メカ)、1/250秒(電子)
[メカシャッター耐久]約30万回

連写速度

[メカシャッター]最高約12コマ/秒
[電子シャッター]最高約20コマ/秒

ISO感度

常用:ISO 100〜ISO 102400(静止画)、ISO 25600(動画)
拡張:ISO 50、ISO 204800相当(静止画・動画)

AFエリア分割数(自動選択AF時)

静止画:1,053分割
動画:819分割

EVF

[サイズ・ドット数]0.5型369万ドット(OLED)
[倍率]0.76倍(50mmレンズ)
[アイポイント]約23mm
[フレームレート]119.88fps(なめらかさ優先)/59.94fps(省電力優先)

背面モニター

[タイプ]バリアングル・タッチ対応(静電容量方式)
[サイズ]3.0型
[表示ドット数]162万ドット

撮影可能枚数:静止画(なめらかさ優先/省電力優先)

[ファインダー撮影時]250枚/380枚
[ファインダー撮影時(エコモード)]590枚/590枚
[ライブビュー撮影時]360枚/510枚
※LP-E6NH使用時。気温23度の場合

動画撮影

4K UHD 60p(タイムラプスは30p)
フルHD 120p(タイムラプスは30p)

撮影可能時間:動画

[4K UHD]約1時間20分(59.94fps/50fps)
[FHD]約2時間40分(29.97fps/25fps)
※LP-E6NH使用時。気温23度の場合

記録メディア

SD/SDHC/SDXCカード

カードスロット

SDカードスロット×2(UHS-II対応)

外部端子

USB Type-C(USB電源アダプター「PD-E1」により充電・給電に対応)
HDMI マイクロ端子(Type D)
3.5mm径ステレオミニジャック
リモコン端子(リモートスイッチ RS-60E3対応)

ネットワーク

Wi-Fi(IEEE 802.11b/g/n[2.4GHz])、Bluetooth(LE)、別売ワイヤレストランスミッターWFT-R10B

バッテリー

LP-E6NH

外形寸法

約138.4×97.5×88.4mm

質量

約680g(バッテリー、メモリーカードを含む)
約598g(本体のみ)

本誌:宮澤孝周