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キヤノン「EOS R5/R6」と新レンズの概要まとめ

7月9日夜の配信動画より 詳細記事へのリンク付き

キヤノンは日本時間の7月9日21時から、予告通り「Canon EOS Presentation」の動画配信を開始。21時の配信開始時点では約9,000人が待機しており、開始5分の時点では約1万3,000人が同時視聴していた。

冒頭では、キヤノン株式会社 常務執行役員の戸倉剛氏が挨拶。開発発表以来、多くのユーザーから期待の声があったEOS R5をはじめとする新製品を、世界中のカメラファンに届けられる日がやってきたと前置き、EOS誕生以来の「快速・快適・高画質」をかつてないレベルで実現した「新世代のEOS Rシステム」が今まで以上にユーザーの映像表現を広げると話した。

"5"の系譜

EOS R5では、「キヤノンにとっても大切な数字」と語る"5"を冠しているところから、"5Dの系譜"を紹介。EOS R5にも情熱を注いで開発し、これがEOS Rシステムと"5"が出会い、誕生する瞬間だと話した。

2005年、手が届く高画質フルサイズ機「EOS 5D」
2008年、デジタル一眼レフカメラとして初のフルHD動画に対応した「EOS 5D Mark II」
2012年、高感度性能、高速連写性能など基本性能を向上した「EOS 5D Mark III」
2016年、AFも含めたトータルバランスを訴求する「EOS 5D Mark IV」

EOS R5

EOS R5、6つのポイント

EOS R5は新開発の有効約4,500万画素センサーと新採用のDIGIC Xエンジンにより、解像感、ノイズ耐性、光学特性などを全面的に高めたことで「EOS最高の解像性能」を謳っている。また、電子シャッターで最高約20コマ/秒、メカシャッターおよび電子先幕シャッターで最高約12コマ/秒のAF/AE追従連写を実現するなど、表現の可能性を拡大する新機能だと説明。

HDR記録も特徴のひとつ。
EOS R5のみ「DPRAW」にも対応。

「映像表現の課題の一つ」という手ブレを克服するために、EOS初となるボディ内手ブレ補正を搭載。レンズ側ISと高速通信の活用による「協調IS」で、世界最高というシャッタースピード8.0段分の補正効果を実現したとする。また、このボディ内手ブレ補正機構により、「全てのEFレンズ、RFレンズで5軸手ブレ補正が使える」との説明もあった。

AFシステムは、新たに「デュアルピクセルCMOS AF II」とした。既存のデュアルピクセルCMOS AFが標榜する高速・高精度・広範囲に加え、ディープラーニングを活用したEOS iTR AF Xのアルゴリズム(EOS-1D X Mark III同様)により被写体検出を向上し、今まで以上に構図に専念できるという。

EOS R5の動画性能では、キーデバイスの刷新により実現した8K対応がポイント。オーバーサンプリングで4K動画や4K 120Pのハイフレームレートも、高画質での出力が可能だという。動画撮影時もデュアルピクセルCMOS AF IIが使える。

通信関連では、新たにカメラ内蔵のWi-Fi機能が5GHzに対応。より高速で安定した通信を実現するとしていた。FTP/FTPSにも対応。音声メモの転送も可能だという。

また、同社の新しいクラウドプラットフォームimage.canonへの静止画・動画の自動アップロードにも対応。カメラの電源に連動して自動でクラウドバックアップが行われるという。7月からは外部サービスへの連携も拡大する。

ワイヤレス関連では、EOS R5専用の別売アクセサリーとしてワイヤレスファイルトランスミッター「WFT-R10B」がある。カメラの底部に装着するタイプで、縦位置バッテリーグリップ機能付き。最新のセキュア対策にも対応するという。

操作性は、一眼レフのEOS 5DシリーズとミラーレスのEOS Rを融合したものだという。EOSユーザーには馴染みのある「メイン電子ダイヤルとサブ電子ダイヤル」の組み合わせに加え、上面右手側と、RFレンズ側にもダイヤル(操作リング)があり、合計で4つのダイヤル(リング)が用意されることになる。

EOSらしいサブ電子ダイヤルを装備

また、一眼レフEOSの中級機以上に備わる「マルチコントローラー」がある。背面右手側のジョイスティック状の操作部で、AF測距点の移動などに使える。EOS R6にも共通で備わる。

上級機らしい操作性を実現するマルチコントローラー。

バッテリーは、従来のLP-E6Nと形状の互換性がある「LP-E6NH」。容量をアップしているという。別売のバッテリーグリップには2個装填できる。

加えて、EOS R5とEOS R6は、いずれも記録メディアのデュアルスロットを装備。EOS R5はCFexpressとSD、EOS R6はSDスロット×2となっている。

EOS R5のスロット部

そのほか、動作耐久50万回をクリアしたメカシャッター、動体撮影でもなめらかというファインダー(EVF)、起動時間の短縮などを紹介された。これまでの"5"と同様、キヤノンが持てる技術を結集し、先進性を兼ね備えたカメラだと述べた。

EOS R6

続いて、開発発表にはなかったスタンダード機「EOS R6」がお披露目された。

こちらはEOS 6Dの系譜を受け継ぎつつ、従来の"6"にあった「弟分」や「軽量フルサイズ」のイメージとは違った、スタンダード機という立ち位置になる。同社では「このカメラのスペックがこれからのフルサイズミラーレスの基本スペックになると思っている」とのこと。

EOS-1D X Mark IIIをベースとしたイメージセンサーを採用しており、有効画素数は約2,010万画素。最高感度のISO 102400はEOS R5(ISO 51200)を上回る。

そのほか、動画記録は最大で4K UHD解像度、EVFのドット数がEOS R5の約576万ドットに比べEOS R6は約369万ドット、シャッター耐久は30万回になるなど、細かな違いはあるが、ボディ内手ブレ補正やデュアルピクセルCMOS AF IIといった主な機能面ではEOS R5と共通しているのもポイント。

操作部の配置も、EOS R5をほぼ踏襲。
EOS R5と異なり、SDカードのデュアルスロット。

新レンズ

新たに6本のレンズ(エクステンダーを含む)が加わる。
RFレンズは現在11本。
4種のアダプターを含めると80種類以上のレンズを使えるという。

RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMは、EFレンズで定評あるEF100-400mmに対し、望遠側に100mm拡大。望遠端は開放F7.1となったが、EOS R5/R6のAF性能やセンサー性能により、EF100-400mm同等以上の高画質が得られるという。手ブレ補正効果はレンズ単体で5.0段、協調ISで6.0段。

開放F値をF11とし、小型軽量で超望遠撮影を身近にすることを目指したレンズ2本を新たに発売。600mmと800mmがあり、後述のエクステンダーを800mmに付けると「1600mm F22」となるが、AFは動作するという。

RF100-500mmおよび開放F11の超望遠レンズ2本で使えるエクステンダーも新たに発表された。

加えて、美しいボケ味が魅力という小型の中望遠レンズ「RF85mm F2 MACRO IS STM」も追加。ワーキングディスタンス21cm、最大撮影倍率0.5倍と近接に強いレンズで、手ブレ補正効果はレンズ単体で5.0段、協調で8.0段。

先行展示とスペシャルサイト

今回の新製品は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、キヤノンショールームでの先行展示は予約制にするという。参加予約はWebサイトで受付が始まっており、最初の体験会は7月10日15時から行われる。

また、新たなスペシャルサイト「your EOS」では、EOS R5などの新製品に関する特徴紹介が掲載されている。

本誌:鈴木誠