特別企画

カメラグランプリ2020 ソニー3冠受賞記念!
「ソニー ミラーレスα」特別対談

選考委員3名が語るその魅力とは

昨年9月に発売されたソニーのフルサイズミラーレスカメラ「α7R IV」。有効約6100万画素の35mmフルサイズCMOSセンサーと最高約10コマ/秒の連写性能を両立したハイパフォーマンスモデルです。

その「α7R IV」が「カメラグランプリ2020大賞」および「カメラグランプリ2020あなたが選ぶベストカメラ賞」を受賞。さらに「カメラグランプリ2020レンズ賞」に、同じくソニーのEマウントレンズ「FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS」が選出され、ソニー史上初の3冠受賞に輝きました。

※1984年に始まったカメラグランプリは、国内の写真・カメラ専門雑誌・ウェブ媒体の担当者の集まりであるカメラ記者クラブ(1963年9月発足、現在10媒体が加盟)が主催する賞です。前年度1年間に日本国内で発売された新製品から各賞が選考されます。大賞はスチルカメラの中から最も優れた1機種、レンズ賞は交換レンズの中から最も優れた1本が、選考委員を務める専門家54名の投票によって選定されます。また、あなたが選ぶベストカメラ賞は、一般ユーザーによるWEB上での投票で選ばれます。

「カメラグランプリ2020」および「カメラグランプリ2020あなたが選ぶベストカメラ賞」を受賞したソニー「α7R IV」。2019年9月発売。実勢価格は43万5,000円前後(税込)。
「カメラグランプリ2020レンズ賞」を受賞したソニー「FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS」。2019年7月発売。実勢価格は27万8,000円前後(税込)。

本格的なミラーレス時代に突入し、単体性能もさることながら、そのシステムの強みが評価されたとも言えるソニーのミラーレスαによる3冠受賞を記念して、デジカメ Watchでは「α7R IV」や「FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS」」に票を入れた外部選考委員の3名による座談会を実施。「α7R IV」と「FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS」の魅力に加え、ミラーレスαシステム全体の革新性について語ってもらいました。

参加者はこの3名です。

宇佐見健

1966年東京生まれ。日大芸術学部写真学科卒業後、専門誌出版社、広告代理店を経てフリー。カメラ雑誌などで新製品のインプレッション記事をはじめ、カメラボディやレンズの全機種比較撮影といった特殊なメカニカル記事やHOW TOなど広いジャンルの特集記事の撮影・執筆を多数担当。カメラグランプリ2010〜2020外部選委員。


大村祐里子

写真家。1983年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部法律学科卒。クラシックカメラショップの店員を経て、写真の道へ。福島裕二氏に師事後、撮影のほか、雑誌・書籍・Webでの執筆など、さまざまなジャンルで活動中。趣味はフィルムカメラを集めて、使うこと。 2020年3月に『フィルムカメラ・スタートブック』(玄光社)を出版。


伊達淳一

1962年生まれ。作例写真家。千葉大学工学部画像工学科卒。CAPA、デジタルカメラマガジン、デジカメ Watchなどでデジタルカメラやレンズのレビュー記事を執筆。メーカーからの貸出期限に縛られず、本気でレビューするため、機材を自腹購入することも多いヒトバシラーだ。カメラグランプリ2011〜2020外部選考委員を拝命。


座談会はオンラインで行いました。上段左から時計回りに大村祐里子さん、宇佐見健さん、伊達淳一さん。

圧倒的な性能が高次元にバランスよく実装——α7R IV

——さっそくですが、みなさんは「α7R IV」のどのような点を評価されたのでしょうか。

宇佐見: 高画素を生かした風景はもちろん、動体、動画と、とにかくどんな用途でも使える点を評価しました。このモデルの売りの描写とスピード性能以外にも細かい使い勝手も本当によくなっていますね。カメラ雑誌での試用機会が多かったこともあり、いろんなところに納得して個人的にも購入しています。

大村: 前モデルからさらに画素数が多くなったことやAFの優秀さ、それに動画機能ですね。αは初代「α9」から使っていて、すでに「α7R IV」も仕事で相当役立てています。静止画だけでなく動画のAFもよくなり、色々な仕事で活躍中です。

伊達: 発表時は有効約6100万という画素数の衝撃から「え? 画素数だけ?」と思ったのですが(笑)、実際使ってみてあらゆる面でコンシューマープロダクトとしての完成度の高さと、そしてこれまでの高画素機から連想されるイメージより多様な撮影ジャンルがカバーできる汎用性を評して票を入れました。

——なるほど。ありがとうございます。では次に、「あなたが選ぶベストカメラ賞」に寄せられたコメントを分類しましたので一緒に見てみたいと思います。いずれも一般投票者の声ですね。さすが有効約6100万画素、まず特に目立ったのは高画素についてのコメントでした。

「超高画質なのに手軽に使えて汎用性が高い」

「性能、画素数、操作性、どれを取ってもトップクラス」

「センサー性能と総合力」

「小さいにも関わらず圧倒的に高画素」

「APS-Cクロップしても20M以上残る画素数」

「高画素がプロ以外でも体験できる」

「その解像度にお世辞抜きで驚いた」

「ピクセルシフトマルチ撮影により2億4,080万画素の写真を作り出せる」

「あなたが選ぶベストカメラ賞2020」一般ユーザーの投票コメント

伊達: 僕もAPS-Cクロップでも十分な画素数が得られる点を挙げたいです。1台でフルサイズとAPS-C、つまり高画素と望遠の両方をこなせるのです。「α7R Ⅳ」の使い勝手のまま画角を行き来できるので、個人的にはフルサイズとAPS-C、どちらのカメラを使うか悩むことがなくなりました。

宇佐見: そうですね。個人的に「α9」も併用しているのですが、「α9」でAPS-Cクロップすると約1,200万画素になります。「α7R IV」ならクロップしても2,600万画素オーバーなので、これは大きい。まるでフルサイズ機とAPS-C機を2台持っているようなものなので、海外取材などで機材を減らすことができるのも魅力です。

大村: 私は大学の講義風景を撮影することがあるのですが、そういった仕事だと用途によっては大きくトリミングされたりするんですね。「α7R IV」ならそれでも十分な画質を維持しているので、活躍する機会が多く、本当に幅広い仕事で助かっています。

——次はAF・連写についてのコメントです。

「進化したAFで、連写も暗所対応も可能というオールマイティーさ」

「動物瞳AF」

「動画撮影時の瞳AFが素晴らしい」

「あなたが選ぶベストカメラ賞2020」一般ユーザーの投票コメント

伊達: 「α7R Ⅳ」に出会うまでは「高画素機は動体を撮るものではない」というイメージがありましたが、最高約10コマ/秒連写やカバーエリアの広がった像面位相差AFなど、「α7R IV」は動く被写体をも十分にこなせますね。像面位相差AFが動作する最小絞り値ついても、「α7R III」ではF8までだったのが、F11にまで対応になったことで、テレコンバーターをつけた時の自由度も高まりました。

宇佐見: 動く被写体に関連して、私は「α7R Ⅳ」でサーキットを走るオートバイを撮ったことがあるのですが、とにかく歩留まりが良い。AF性能と連写性能の掛け合わせでここまで撮れるのか、と新鮮な感動を覚えました。大口径レンズを使った時の瞳AFについても信頼できる性能で、ピントがシビアな高画素機でこそ瞳AFは価値がありますね。

大村: 「α7R IV」になって動画のAFがよくなりました。カメラを定点において人物の動画を撮ることがあるのですが、瞳AFの効きの良さを感じています。それに加えて最近は動物を撮ることも多く、瞳AFの動物対応にはいつも助けられっぱなしです。

宇佐見: シャッターボタンを半押しするだけで瞳AFが作動するようになりましたよね。今まではカスタムボタンに設定しなければならなかったので、使い勝手が大幅に向上しています。他社も瞳AFは搭載していますが、ソニーの瞳AFは優秀。追随性能もさることながら、かなり遠いところからも瞳を検出することに驚いています。

大村: そうなんですよ。人物撮影ではほとんど瞳AFを使っています。動画でも瞳AFはよく使っていて、「α7R IV」では顔の向きが変わったときでも精度よく食いついてくれます。

——続いてはデザイン・操作性についてのコメントを見てみましょう。

「操作性が格段に上がっている」

「グリップの握りが良くなっていて重さを感じさせないほど持ちやすくなっている」

「フォルムと差し色のオレンジ」

「オシャレさを感じるカメラ」

「あなたが選ぶベストカメラ賞2020」一般ユーザーの投票コメント

伊達: αといえばグリップが余る点が以前より指摘されることがありますが、「α7R IV」はグリップが長くなりました。僕は手が小さいのでそれほど気にしていませんでしたが、握り心地が深くなり、より握りやすくなったのではないでしょうか。

宇佐見: そうですね。全長が長いレンズをつけてグリップを握っていると、α9に比べて疲れないことに気づきました。あと、マルチセレクターの素材の凹凸もマイルドな触り心地になってます。いままでの機種はずっと触っていると親指の先が痛くなったのですが。本当に細かい点ですが、とにかく行き届いていると感じます。

伊達: AF ONボタンが押しやすくなったのも良いですね。「α7R III」はどこにあるか探しがちでしたから。AF ONボタンでなくシャッターボタン半押し派なのですが、「α7R IV」で動体を撮るときはMFにしておき、AF ONボタンを押しているときだけAF-Cが作動するようにしています。そうしておくとAFが行き過ぎたりしたとき、すぐにMFでリカバーできるので。「α7R IV」だからこその操作ですね。

「α7R IV」の背面。既存モデルに対し、AF ONボタンの位置や押し具合が変更されている。

大村: 操作性について、ソニーはユーザーの要望を素早く取り入れるイメージがあります。改良がとにかく早いイメージ。フルサイズミラーレスのαが登場してから既に4世代目のモデルで、ユーザーの声を反映して洗練されてきています。

宇佐見: 細かい調整が積み重なり、色々な点でよくなっていますね。デザイン面でいうと、初代「α7」が出た当時、業界では賛否両論でした。だいぶ見慣れたり、使い慣れたりというのもあるけど、細かい改良のおかげで今となってはごく自然に接していますね。

大村: 若者にはこのデザインがかっこいいんですよ。「そのカメラかっこいいですね」と女子から言われます。他社のカメラで言われたことは一度もない!(笑)

——次のコメントに行きます。全体的な性能を高次元で実現したことについてですね。

「すべてが高次元にまとまった高画素数ミラーレス」

「高画素ながらバランスのよいカメラ」

「画質、画素数、AF性能、動画機能などすべてが高いレベルにある」

「高解像度と高感度耐性、AF性能のバランスが絶妙」

「全ての部分が高次元すぎる」

「軽くて、操作性もよく、写りもとても良くて、写真を撮ることが楽しくなるカメラ」

「想像を膨らませてくれる余裕のハイスペックに脱帽です」

「あなたが選ぶベストカメラ賞2020」一般ユーザーの投票コメント

伊達: これまでの高画素モデルで通例であれば、画素数が多い代わりに「AFが遅い」、「連写性能が低い」、「高感度画質が悪い」…などの文句が出てきがちですが、「α7RⅣ」は画素数が多くなっても、連写性能や高感度画質においては、大きく損なわれる部分が見当たらない。それに加えて価格はむしろ過去モデルの発売時の比べて安くなっていますし。

大村: 私も「α7R IV」のどんな現場でも活躍できるバランスの良さのおかげで仕事の幅がさらに広がりました。

——続いて「α7R IV」の立ち位置というか、市場における位置付け、ブランドイメージについての意見です。

「革命的カメラだと思う」

「ミラーレス一眼というジャンルを更に確固たるものにした」

「フルサイズミラーレスの一つの到達点となる機種」

「初心者の自分でも綺麗に撮れた!」

「一眼レフはもういらない、と感じさせる」

「軽いレンズが豊かにある」

「小型ボディーに詰まった理想的一台」

「現代カメラの象徴」

「あなたが選ぶベストカメラ賞2020」一般ユーザーの投票コメント

伊達: 一般ユーザーのコメントにもありますが、ソニーのEマウント専用レンズの多さには圧倒されますね。純正レンズも豊富だしソニー以外のレンズメーカー製もある。さらにマウントアダプターなどもあるので、使えるレンズはかなり多い。

大村: フルサイズミラーレスで先行したソニーには新モデルが出る度に積み重ねてきた強みがありますね。ソニーがやり遂げてきたことがミラーレスジャンルにおいて確固たるポジションを築いている状況。そんなイメージがコメントから感じられます。

伊達: 他社のフルサイズミラーレスカメラと比較してマウント径が小さいと言われることもありますが、レンズの出来が良い。しかも「FE 24mm F1.4 GM」「FE 20mm F1.8 G」といった小さなレンズも揃っていて、かつ性能も優秀だったりします。ミラーレスで専用設計レンズがそこまでのバリエーション揃っているメーカーは現状ソニーだけですね。

期待を裏切らない純正品質——FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS

——「カメラグランプリ2020レンズ賞」を受賞した「FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS」についても、実際に使用しての印象をうかがえますか。

FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS

宇佐見: カメラ雑誌のレビューで試用してみて、他社の600mmクラスのズームレンズとは色々な面で違うことがわかりました。特にズーミングの操作感が軽いことは被写体との距離が変わる動体撮影ではフレーミングを決めやすいですね。それに何と言ってもインナーズームなのでズームしても全長が変わらない点ですね。ジンバル雲台に載せてカウンターバランスを取るとき、インナーズームだと調整がたやすくできる。これが便利ですね。

伊達: ソニーの望遠レンズは「FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS」を愛用していますが、百里基地での航空祭では「FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS」で撮影しました。航空機のように焦点距離が命の被写体だと400mmと600mmの差は大きいです。

——600mmまでレンズラインアップが広がったことでαが対応できる被写体が広がり、このレンズをきっかけにαに注目した人も多いのではないでしょうか。

宇佐見: 描写性能についても、撮影画像を拡大して見たときの解像感は望遠レンズとして非常に優れています。モータスポーツだとライダーの全身が入っている状態でグローブの縫い目や、カウルの奥に貼られたシールの小さな文字や番号まで読み取れたりします。AFの駆動速度も申し分ない。このレンズはG MasterではなくGレンズなのですが、そのおかげであの値段で手に取れるところも評価したいです。

作例

——ここからはみなさんの作例を観ながら語り合いたいと思います。いずれも今回カメラグランプリを受賞した「α7R IV」、または「FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS」で撮影したデータになります。

撮影:宇佐見健
α7R IV / FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS / 600mm(900mm相当) / 絞り優先AE(1/80秒・F6.3・+0.7EV) / ISO 1600

宇佐見: カメラ雑誌でα7R IVをレビューしたときの作例です。「FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS」の望遠端600mmでAPS-Cクロップ、つまり900mm相当で撮影していますが、画質は十分です。先にも述べましたが、クロップしても2,600万画素以上という、有効約6100万画素の意義を感じました。

◇   ◇   ◇

撮影:宇佐見健
α7R IV / FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS / 437mm / 絞り優先AE(1/400秒・F6.3・±0.0EV) / ISO 640

宇佐見: こちらはクロップせず、フル画素で撮影しています。まつげの1本1本、空気中の小さな虫が解像しており、「α7R IV」と「FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS」の描写性能に驚きました。瞳が潤んだ感じなども表現されています。

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撮影:宇佐見健
α9 II / FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS / 344mm / 絞り優先AE(1/1,600秒・F6.3・+0.3EV) / ISO 2500

宇佐見: こちらは「FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS」に「α9 II」を組み合わせて撮影したものです。「FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS」の使いやすさ・AF性能が現れたカットです。バードショーでフクロウを飛ばしてもらい撮影しています。途中でズーミングなどもしてるのですが、連写したほぼすべてにピントが合っていました。ボケも自然で、ピントが合っているところの解像感も出ています。手持ち撮影でも振り回せるサイズだからほんの数秒間しかない飛翔シーンでもしっかり動体追従できました。

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撮影:大村祐里子
α7R IV / Sonnar T* FE 35mm F2.8 ZA / マニュアル露出(1/2,000秒・F2.8) / ISO 100

大村: 普段「α7R IV」は受注仕事で使うことが多いのですが、これは個人的なスナップでの作例です。「α7R Ⅳ」に単焦点レンズ「Sonnar T* FE 35mm F2.8 ZA」で撮っています。被写体の色に惹かれて撮ることが多いのですが、色味にものすごく主張があるわけではなく自分の色を作りやすいソニーの色が好きですね。

◇   ◇   ◇

撮影:大村祐里子
α7R IV / Sonnar T* FE 35mm F2.8 ZA / マニュアル露出(1/1,600秒・F2.8) / ISO 100

大村: ソニーの色の良さについては、特に青について言及されている方が多いです。私も自然ですっきりしたソニーの青が好きですね。それにしても有効約6100万画素ともなると、画面の端に小さく写っている車がきっちり描写されていて驚きます。拡大すると運転席の様子までわかるようで感激しました。

◇   ◇   ◇

撮影:伊達淳一
α7R IV / FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS / 600mm(900mm相当) / シャッター速度優先AE(1/2,500秒・F6.3・±0.0EV) / ISO 400

伊達: これは確か「FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS」を渡されて最初に撮りに行った時のカットです。ボディは「α7R IV」。APS-Cサイズにクロップしていますが、機体のメタルの質感や、色のグラデーションも良く出ています。

◇   ◇   ◇

撮影:伊達淳一
α7R IV / FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS / 600mm / シャッター速度優先AE(1/500秒・F6.3・±0.0EV) / ISO 600

伊達: 「FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS」にはこういう使い方もあります。レンズの最短撮影距離で望遠撮影したものです。ソニーのハイライト描写は優秀で、白飛びまでの繋がりが良いという特徴があります。この作品では、逆光で花びらを透かした結果、白飛びぎみになっていますが、淡い色合いをあくまで自然なグラデーションに収められる描写性能は特筆すべきです。

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撮影:伊達淳一
α7R IV / FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS / 600mm / シャッター速度優先AE(1/1,000秒・F6.3・+0.7EV) / ISO 2500

伊達: 階調が豊かで、白とびや黒つぶれもしにくいのもαの特長ですね。黄色は飽和しやすいと感じているため、それを防ぐためにちょっとアンダーに撮るのですが、αならこのようなシーンでもダイナミックレンジが広いのでプラス補正で撮影しても心配ない。ヒマワリやチューリップでも破綻しくいので、鮮やかな色を撮るときの再現力には信頼を置いています。

◇   ◇   ◇

撮影:伊達淳一
α7R IV / FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS / 600mm / シャッター速度優先AE(1/1,000秒・F6.3・+0.7EV) / ISO 2500

伊達: 「α7R IV」+「FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS」の組み合わせで連写して、どこまでAFが追随するか試した時のカットです。ピントが合っている運転席周りなどは拡大してもしっかり解像しています。こういうシーンでの設定は、クリエイティブスタイルを夕景に、そしてホワイトバランスはオートに設定し、さらに強めのDRO(Dレンジオプティマイザー)をかけています。マゼンタを足すなどしてあとから夕景らしさを出すテクニックもありますが、αの場合、デフォルトで搭載されている夕景モードで自然な仕上がりになります。こういった使いやすさも、αがプロからエントリーまで幅広い層に支持される理由の一つだと思います。

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最近のフルサイズαについて

——「α7R IV」と「FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS」について語っていただいたのですが、せっかくなのでフルサイズα全体についての印象も頂戴できますか?

宇佐見: フルサイズミラーレスαは、センサーの進化に伴って2年おきくらいのペースで新機種が発売されてきました。ただ第4世代まできてここまで完成度の高い「α7R IV」が登場し、ここらでちょっと落ち着くかなあと思ってますが、皆さまはどうでしょう。

大村: 今年のカメラグランプリの結果を見てもフルサイズミラーレスではソニーの一人勝ちのイメージがありますが、他社のシステムも充実してくるでしょうし、今後の展開が気になります。フルサイズミラーレス自体は当たり前の存在になっていますし。

伊達: 第3世代までは攻めてましたが、第4世代からは熟成の方向に来たように感じます。それでもソニーはセンサーや画像エンジンをはじめデバイス技術があるので、ライバルが出ても迎え打てる態勢は整えているのかなと。ここまで完成度が高いので、欲を言えば、なのですが、例えばカメラ内RAW現像や瞳AFの個人別認識などの実装も期待したいですね。

——撮影時に期待される高機能をバランスよく実現した「α7R IV」ですが、フルサイズミラーレスαのベーシックモデルとしてバランスの良い「α7 III」についてはいかがでしょう。実売25万円で今回語っていただいたソニーαの良さが詰め込まれているモデルだと思いますが。

撮影:大村祐里子
α7 III / FE 24-70mm F2.8 GM / 49mm / マニュアル露出(1/60秒・F2.8) / ISO 3200

宇佐見: 実際、有効約6100万画素ともなると、パソコンやストレージなど環境への出資も必要でしょうから、まずは有効約2420万画素の「α7 III」でフルサイズミラーレスの楽しさを味合うのは悪くないかと思います。実際、フルサイズミラーレスのすそ野を開いたのは「α7 III」の貢献が大きいと思います。

大村: 動画の世界だと撮影機材に「α7 III」が指定されることもありますね。そういえばカメラに詳しくない私の妹が、ちょうど「α7 III」を買ったばかりです(笑)

伊達: 「α7 III」ですが、トリミング耐性を考えなければ十分過ぎる性能といえます。裏面照射型の有効約2420万画素ですから高感度性能も有利ですし、色や階調性能なども上位機種に迫る性能です。AF測距エリアは「α7R IV」より広いし、瞳AFは人物にも動物にも対応しているので家族やペットを撮る人にも使いやすい。これからフルサイズミラーレスに挑戦する方なら、まずは上位機種との差額でレンズをたくさん買ったほうがいいとも思います。

制作協力:ソニーマーケティング株式会社

デジカメ Watch編集部