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ソニー「α6400」「α9/α7R III/α7 III大型アップデート」発表会レポート

実機写真を掲載 進化した瞳AFの実演動画も

α6400を手にする大島正昭氏(ソニーイメージンプロダクツ&ソリューションズ株式会社デジタルイメージング本部第一ビジネスユニット担当部長)

ソニーは1月16日、同日発表したAPS-Cミラーレスカメラの新製品「α6400」と35mmフルサイズミラーレスカメラαシリーズのファームウェアアップデートについて、都内で発表会を開催した。

資料提供:ソニーマーケティング株式会社

キーワードはAI技術の活用

冒頭でソニーイメージンプロダクツ&ソリューションズ株式会社の大島正昭氏が登壇し、ミラーレスカメラ市場において同社が2018年に発売した「α9」が歴史的な転換点としての意義を果たしたとふりかえった。

続けて、3月からの随時提供が予告された大型アップデートの内容を発表。キーポイントとして、「オートフォーカス性能の向上」「カメラ基本性能および操作性の向上」の2点を強調した。

そのキーワードとなっていたのが、「Speed×AI」だ。AIの活用によってAFの機能とスピードが向上するというもので、これによって新要素となるリアルタイム瞳AFやリアルタイムトラッキングが実現する。

大島氏は進化点について、撮影者がより構図などに集中できるようになり、円滑な撮影が可能になると紹介した。

α9のアップデートで盛り込まれる内容が紹介された。リアルタイムトラッキングの動作具合やα7R IIIやα7 IIIのアップデートについてもあわせて予告があった。

「フルサイズで培った技術をAPS-Cに凝縮」

「α6400」。本体カラーはブラックとシルバーがある。

大型アップデートの内容予告に続けて、大島氏は同社フルサイズミラーレスカメラで培った5つの要素(専用設計レンズ、画質、スピード、スタミナ、機動性)と、「Speed×AI」の技術の双方を凝縮させたとして、APS-Cミラーレスカメラの新製品α6400を紹介した。

また、EマウントシステムがフルサイズとAPS-Cで同一のマウントを共用していることに言及し、1つのマウントでプロからコンシューマーまで幅広く利用してもらえると、その利点を訴求。α6400では35mm判フルサイズ対応としてラインアップしている分も含めて、計48本のレンズが使用可能だと紹介された。

フルサイズ3機種のアップデート内容を先行搭載

続けて登壇したのは、ソニーマーケティング株式会社プロダクツビジネス本部デジタルイメージングビジネス部統括部長の小笠原啓克氏。「α6400」の製品コンセプトを紹介した。

小笠原啓克氏(ソニーマーケティング株式会社プロダクツビジネス本部デジタルイメージングビジネス部統括部長)

コンセプトは「Grab the Best of Life」。フルサイズからAPS-Cまで、動きのあるポートレートやスポーツといったシーンなどを含めた幅広い撮影で使用できることが強調された。

α6400は、追ってフルサイズの3機種にも提供されるリアルタイムトラッキングやリアルタイム瞳AFの機能を出荷時点で搭載。動きのある被写体への食いつきの良さを示し、人物が交差するようなシーンであっても追尾しつづけると、その能力の高さをアピールした。

フルサイズαの3機種に対して予告された大型アップデートは3月から順次提供されるが、APS-Cのα6400はそれに含まれる新要素も搭載しつつ、2月に発売されるというのもポイントだ。

このほか、カメラとして大幅に強化された基本能力も紹介。世界最速0.02秒の高速AF、新画像処理エンジンBIONZ Xによって向上した人物の肌色の再現性、常用感度ISO 100-32000、4K HDR動画記録への対応などが挙げられた。

背面モニターが上方向180度のチルトに対応している点、インターバル撮影への対応など、操作性の向上も。

上位機として販売されているα6500にはセンサーシフト式のボディ内手ブレ補正機構が搭載されているが、α6400では非搭載となっている。その理由は「フルサイズミラーレスカメラで培った技術をより幅広いユーザーに提供したいため」とのことだった。

またラインアップが古くなってきているAPS-C専用設計のレンズに関しては、今後も開発を続けていくと、その意向が示された。

プロの即時報道や共有ニーズに応えるソフトウェアも展開

関連ソフトのソリューションについても新たな動きがあった。今回新たに発表された2つのソフトウェアは、撮影後のすばやい画像共有や展開を実現するという点が特徴。

1つ目は「Transfer & Tagging add-on」。ジャーナリストや即時報道のスポーツプロへ向けたものだという。α9のFTP転送機能に関するアプリケーションだ。スマートフォンの音声入力を使って、タグやキャプションをつけることも可能になるという。

2つ目は、「Imaging Edge Mobile」。撮影から共有までの高速化と利便性の向上が企図されたアプリケーションとのこと。

最後に、2月に開催を控えているCP+2019に関するアナウンスもあった。同展では、α6400の実機展示があるほか、様々な被写体の撮影体験が用意されるという。

実機を確認

発表会場では、α6400の実機がいち早く操作可能な状態で展示されていた。その外観や瞳AFの追従性能について確認してきた。大きなポイントとしては、EVF内蔵のα6000シリーズではじめて180度可動式の液晶モニターを搭載した点があげられる。

シルバー
ブラック。セルフィー向けに、液晶モニターを180度チルトした状態。
液晶パネルは2段階で引き出す構造となっている。

リアルタイム瞳AFの動作も確認した。モデルに一回転してもらったところ、後ろを向いても追従しつづけており、瞳を検出するとすぐにAFポイントが合っている。瞳AFの左右の切り替えもワンボタンでスムーズに行える。

瞳の左右切り替えは、カスタマイズ設定によりワンボタンで操作可能。α6400自体もひじょうに軽量であるため、片手で操作が可能だった。このハンドリングの良さはAPS-C機ならではといったところ。

各種端子類は左側面に備わる。

バッテリーは従来機と同じ「NP-FW50」を使用しているが、撮影可能枚数はα6300の約400枚から約410枚に向上している(ともに液晶モニター使用時)。

SDカードスロットとバッテリースロット。

アップデート内容が盛り込まれたα9も展示

まだ開発調整段階のベータ版とのことだが、今回の大型アップデート内容が盛り込まれたα9も展示されていた。

リアルタイムトラッキングは、ロックオンAFにかわってフォーカスエリア選択画面に配置されていた。

タッチ操作時のフォーカスの挙動が選択できるようになっていた。

この他のアップデートの主なポイントについても聞いた。まずユニークなところとして、カスタムキー設定時にボタン配置がビジュアルで表示されるようになった。どこのボタンの機能割り当てをカスタマイズしているのか、視覚的にわかりやすい。

このほか、これまで1つの機能しか割り当てられなかった前後ダイヤルと背面のホイールに、それらの機能を任意に切り替えられる「マイダイヤル」機能が搭載された。

マイダイヤルのカスタムセットは3セットまで登録できる。
マイダイヤルセットの呼び出し方。
マイダイヤルセットの切り替えをボタンに割り当てたところ。
ダイヤルの機能割り当てを切り替えると、ライブビューの右下に現在の割り当て機能が表示される。

本誌:宮澤孝周