私はこれを買いました!

安定感の高さが魅力の超望遠ズーム

FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS(井上六郎)

インナーズーム式はズーミングでも重心位置の変化が僅かなので、三脚装着時でも安定する。この雲台も今年手に入れたマンフロットの「MVH608AH」ビデオ雲台(パーン棒は取り外し)。私のレビュー記事で三脚装着とあれば、この手のフルード(油圧)雲台を使っている。メインの被写体に合わせ微妙な動きでフォロー出来るのがメリットだ

今年、デジカメ Watchでレビュー系の記事を複数執筆していただいた写真家・ライターの皆さんに、2019年に購入したカメラ関連製品(新品に限る)をひとつだけ挙げていただきました。(編集部)

インナーズームで安定化の高い超望遠

「光陰矢の如し」のくだりが師走の冷たい雨とともに身に沁みる……。一年は速い、もう「これ買い」の時期と。この企画でトリを務める編集者が挙げる品こそ、ガジェット感に関わらず捻りがあって面白い、が……私は捻くれずいたって忠実に、このソニーFE 200-600mm F5.6-6.3 G OSSを挙げる。数日前に公開された製品レビューでも触れたが、発表会での実使用から来る期待感を強烈に抱き、その場で発売日までの金策を練った初夏だった。発表会で実戦使用させるソニーの意気込みには恐れ入った。

では、どこが良いか。

インナーズームで、かつズームリングが先端側にある

ホールディングバランスを崩すことなく、構えながらいつでもズームが行える。顔・瞳AFによる合焦ポジションは画面内を自在に追ってくれるため、ズーミングによる画角変化に伴うAFポジションを気にしなくていい。これこそがミラーレスがもたらす新次元。

この製品前から同じことは他モデルでも出来ていたが、インナーズーム+先っぽズームリングは安定度が各段に良く、ズームリングを回しながらでも水平がキープし易い。ただ、やはりズームブレの現象は発生するので、注意はすべき。

2倍のテレコンバーターを入れて合成F値が13になってもAFが効く

α9、α9 IIでは像面位相差AFが可能で、α7R II、α7R III、α7R IVなどではコントラスト方式になり、スピードも遅く連写時の追随はできないものの、これまでの一眼レフシステムの中で開放絞りF13によるAF合焦は記憶にない。作例として掲載する写真もAFで機体を追いつつシャッターを切っている。

ただ、αシステムは点光源や低コントラスト被写体に向けてのAFキャッチの達成度が今一つ。それに高感度時のノイズ耐性もまだ足りない。今後のカメラ側の進化を待つのだが、あと半年の間(オリンピック開幕)でソニーは何とかするのかも……、と勝手に期待している。

フルード三脚にレンズを置き、2倍のテレコンバーターを装着して月齢13弱の月を狙った。翌日の満月よりも1時間早い月の出で機体にはまだ太陽の残照が当たっている。月のディテールを見せたくなるが、機体がボケるのも恰好悪い。これまではマニュアルフォーカスで懸命に機体にフォーカシングしていたが、この残照の助けもあってかAF追随が見られたのだった
SONY α7R III / FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS+SEL20TC / 1,200mm / マニュアル露出(F13・1/640秒) / ISO 800 / APS-Cクロップ・1,800mm相当

近況報告

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井上六郎

(いのうえろくろう)1971年東京生まれ。写真家アシスタント、出版社のカメラマンを経てフリーランスに。自転車レース、ツール・ド・フランスの写真集「マイヨ・ジョーヌ」を講談社から、航空機・ボーイング747型機の写真集「747 ジャンボジェット 最後の日々」を文林堂から上梓。この4月「今すぐ使えるかんたん 飛行機撮影ハンドブック」を技術評論社より刊行。日本写真家協会、日本スポーツプレス協会、国際スポーツプレス協会会員。