写真展告知
小澤太一写真展:回
2025年8月23日 15:00

写真家・小澤太一氏による写真展「回」が、10月2日(木)よりキヤノンギャラリーSにて開催される。
小澤氏はこれまで長年にわたり海外で作品を撮り続けてきたが、同展は初めて日本を題材としたものとなる。
舞台となるのは北海道。2024年には200日以上を現地で過ごし、季節の移ろいや命の循環、そして土地の歴史の変遷などを、モノクロならではの表現で仕上げた。
会期中は、毎週土曜日にトークイベントも予定されている。
コロナ禍をきっかけに、これまで海外を撮り続けていたぼくは被写体を見失った。時間だけはあったので、すべての都道府県を旅した末にひとつの魅力的な場所を見つけた。それは北海道の最果ての地だった。荒々しく何もない……そんな無垢な場所で、太陽より早く起き、星の軌跡を追う日々。自然は二週間も空けると次の季節へと変化してしまう。すべてを見逃さないために、最果てに拠点を構え、ゆっくり自然と向き合う決意をした。海や森をあてもなく歩くと、たくさんの命が生まれ消えていく瞬間を何度も目の当たりにした。
二拠点生活をする中で、次第に最果ての文化や歴史にも視野が広がっていった。北海道は寒冷な気候だったため、稲作が始まる弥生時代が無い。その代わり縄文時代から一万年以上にわたって人々の食を支えていたのは、鮭をはじめとした自然からの恵みであり、それは今もしっかり継承されている。またアイヌの人々が自分たちのことを指して使っていた「加伊」という言葉があり、「この地に生まれた者」という意味がある。それはやがて「北海道」という名前の一部へと受け継がれていく。本州からの和人たちが最果ての地へと移り住み、幾重もの歴史を重ねてきた軌跡の先に、今の風景がある。ぼくはその裏に潜む無数の想いに思考を巡らせながら、シャッターを切る毎日……それは日本にも魅力的な被写体がまだ無数にあることを再発見する時間でもあった。
作家コメント




会場
キヤノンギャラリーS
開催期間
2025年10月2日(木)~11月10日(月)
開催時間
10時00分~17時30分
休廊
日曜日・祝日
ギャラリートーク
- 10月4日(土)14時00分~15時00分、15時00分~16時00分 ※定員150名(先着申込順、参加費無料)
- 10月11日(土)16時00分~17時00分 ※事前予約不要
- 10月18日(土)14時00分~15時00分 ※定員150名(先着申込順、参加費無料)
- 10月25日(土)16時00分~17時00分 ※事前予約不要
- 11月1日(土)16時00分~17時00分 ※事前予約不要
- 11月8日(土)16時00分~17時00分 ※事前予約不要
作者プロフィール
1975年、名古屋生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、アシスタントを経て独立。人物撮影をメインに、写真雑誌での執筆や撮影会の講師・講演など、活動の範囲は多岐にわたる。ライフワークは「世界中の子どもたちの撮影」で写真展も多数開催。主な写真集に「ナウル日和」「SAHARA」「赤道白書」「HEROES」など。身長156cm 体重39kgの小さな写真家である。キヤノンEOS学園東京校講師。日本写真家協会会員。