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EOS 40D。レンズは、EF-S 18-55mm F3.5-5.6 IS
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キヤノンは20日、ハイエンドデジタル一眼レフカメラ「EOS-1Ds Mark III」など新製品の発表会を都内で開催した。
発表したのはEOS-1Ds Mark IIIのほか、ミドルクラスのデジタル一眼レフカメラ「EOS 40D」、交換レンズ3本、コンパクトデジタルカメラの秋モデル7機種。ここでは、発表会の模様をお伝えする。新製品それぞれの詳細は別ページを参照されたい。
キヤノンは2007年で創立70周年に当たり、3月には創立70周年モデルの第1弾として「EOS-1D Mark III」などを発表。今回の各モデルは70周年記念の第2弾との位置づけになっている。
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EOS-1Ds Mark IIIとEF 14mm F2.8 II USM
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会場の様子
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■ EOS 40Dは「快速快適」を追求
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キヤノン取締役イメージコミュニケーション事業本部長の真栄田雅也氏
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新製品の説明は、キヤノン取締役でイメージコミュニケーション事業本部長の真栄田雅也氏が行なった。
「プロ向けのEOS-1Ds Mark IIIは、EOS-1D Mark IIIと同様に『プロ機一新』をテーマに開発に当たった。風景撮影やスタジオでの使用をターゲットにしている」とコンセプトを述べた。
真栄田氏は、「自社製となる有効画素数約2,110万画素のCMOSセンサーは、マイクロレンズの開口部を拡大し、フォトダイオードまでの距離を短縮した。これにより従来よりノイズを抑えることができる」と搭載センサーの高画質を強調。「暗いシーンでもほとんどノイズが目立たない」と述べた。また、「中判や大判カメラのユーザーでも満足してもらえる画質」と自信を見せた。
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デジタル一眼レフカメラのラインナップ
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マイクロレンズの改良で、低ノイズを実現した
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EOS-1Ds Mark III
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デュアルDIGIC III搭載基盤
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外装を外したところ
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セルフクリーニングセンサーユニット
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ミドルクラスとなるEOS 40Dについては、「新たな技術で開発した、ワンランク上のカメラ」と説明。秒間6.5コマの連写機能を例に取り、「快速を追求した」と述べた。高速化する上の工夫として、シャッターチャージ系とミラー駆動系にそれぞれモーターを搭載した。また、ミラーバウンドを吸収するための、バウンド防止機構を採用した。
さらに、新設計のファインダー、ライブビュー機能、総合センサーダスト対策など機能の充実ぶりもアピールした。
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EOS 40D
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ライブビューを行なっているところ。会場には鉄道模型が用意され、撮影を試すことができた
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2つのモーターの採用や、ミラーバウンド防止機構で高速動作を実現
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AFシステム
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ファインダーも新設計に
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1,010万画素のCMOSセンサーは新たに開発したもの。半導体製造工程とマイクロレンズ形成工程に、新たなプロセスを導入することで、低ノイズを実現したという。加えて、第2世代オンチップノイズ処理回路もノイズ低減に貢献しているという。
「最新の技術を入れた」(真栄田氏)と言うAFでは、9点すべてで縦線、横線を同時に検出するクロスセンサーを搭載。さらに、中央部はF2.8のレンズに対応した高精度センサーとなっている。
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外装を外したところ
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AFセンサー
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セルフクリーニングセンサーユニット
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EF-S 18-55mm F3.5-5.6 IS
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同時発表のレンズのうち「EF-S 18-55mm F3.5-5.6 IS」と「EF-S 55-250mm F4-5.6 IS」は、「アマチュアからハイアマチュア向けに開発した」というデジタル一眼レフ専用のズームレンズ。ともに新開発のISユニットを採用した。EF-S 18-55mm F3.5-5.6 ISは、手ブレ補正機構なしのEF-S 18-55mm F3.5-5.6 II USMと同等のサイズと重量を実現した。また、EF-S 55-250mm F4-5.6 ISは、UD(特殊低分散)レンズを採用することで、色収差の低減を図ったという。
さらに、フルサイズCCD搭載デジタル一眼レフ対応の広角レンズ「EF 14mm F2.8 L II USM」も発表。「従来モデルから光学性能のアップと信頼性の向上を実現した」(真栄田氏)とし、「中心部から周辺まで優れた画質」と述べた。
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EF-S 18-55mm F3.5-5.6 ISをEOS 40Dに装着したところ
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EF-S 18-55mm F3.5-5.6 II USM(右)との比較。ほぼ同等の大きさに収まっている
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EF-S 55-250mm F4-5.6 IS
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EOS 40Dに装着したところ
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EF 14mm F2.8 L II USM
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同日発表のコンパクトデジタルカメラは、全機種で、映像処理エンジンDIGIC IIIを採用した。また、「PowerShot A560」以外は光学式手ブレ補正機構を搭載する。
真栄田氏は、「トータルシステムとして、さらなる充実を図り、快速快適を追求していく」とのべ、「インプットのみならず、プリンタなどのアウトプットも世界トップクラス。こうしたキヤノンの強みを生かして入力から出力までを提供する」と結んだ。
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IXY DIGITAL 2000 IS
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IXY DIGITAL 910 IS
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PowerShot G9
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G9用速写ケース(ブラック)に装着したところ
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Webでの限定発売となるケース(ワインレッド)
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同ブラウン
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こちらもWeb限定のリングセット(シルバー)
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同ブルー
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同オレンジ
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PowerShot A650 IS
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バリアングル液晶を搭載
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PowerShot SX100 IS(シルバー)
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同ブラック
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PowerShot A720 IS
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PowerShot A560
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■ 2007年下半期はデジタル一眼でシェア50%以上を目指す
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キヤノンマーケティングジャパン専務取締役コンスーマイメージングカンパニープレジデントの芦澤光二氏
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続いて、国内の販売戦略と新製品投入の狙いについて、キヤノンマーケティングジャパン専務取締役でコンスーマイメージングカンパニープレジデントの芦澤光二氏が説明した。
芦澤氏は、国内のデジタル一眼レフの市場について説明し、2007年は90万台以上、2010年には130万台に達するとの予測を明らかにした。「過去最高のカメラ販売を記録下のは、1980年の128万台で、27年間その記録を超えることはできなかったが、超える時期に差し掛かっている」と述べ、デジタル一眼レフ市場が成長を続けていることを印象づけた。
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デジタル一眼レフカメラの市場予測
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ミドルクラスの重要性を強調
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EOS 40Dは、ハイアマチュアだけでなく本物志向の初心者もターゲット
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デジタル一眼レフカメラの購入意向では、50代が突出している
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「2007年上期は。コンパクトデジタルカメラからのステップアップが(デジタル一眼レフの売り上げに)大きく寄与した」(芦澤氏)としながらも、「裾野を広げるだけでは、ユーザーの要望に充分応えていないと考えている」と述べた。そのため同氏は、ミドルクラスモデルの需要を感じてたという。
芦澤氏はEOS 40Dを「ミドルクラスの決定版」とし、「市場拡大の起爆剤にしたい」と語った。また、「プロ写真家のサブ機やハイアマチュアはもとより、本格派エントリーユーザー向けたい」とした。同氏は、本格派エントリーユーザーについて、「いわゆる団塊の世代が中心になってくると考えている」と述べ、同世代向けに積極的にアピールを展開するという。
40Dのカタログは、写真家の立木義浩氏が北欧で撮影した作例を採用した。作例の違いで2種類が用意される。あまりにも傑作が多かったためという。
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会場では、立木義浩氏の動画を上映した
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カタログの撮影風景
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また、フォトカルチャー活動の拡充も明らかになった。これまでに、約5万人が受講したという写真講座「EOS学園」は、講座数を3倍に増やすほか、スキルに合わせて学べる4段階講座を新設する。また、会員制サークルの「キヤノンフォトサークル」は、会費を安価にしたウェブ会員制度をEOS 40Dの発売に合わせて31日にスタートする。EOS 40Dの初回出荷10万台限定で、キヤノンフォトサークルウェブを3カ月無料体験できるキャンペーンも合わせて実施する。
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EOS学園などの充実を図る
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デジタル一眼レフカメラの国内での目標シェア
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芦澤氏は、デジタル一眼レフカメラの国内シェアについて、EOS 40D発売以降は50%以上を狙う考え。さらに、「2007年の年間シェアは43%以上をとって、5年連続のナンバーワンをとりたい」と述べた。また、2008年はシェア48%を目標にするとした。
「現在、ニコンにトップシェアを奪われているが?」との質問には、「前半戦はニコンに負けたが、競馬でいえばまくりの年。市場拡大は、ニコンとの健全な競争があって100万台が見えてきた。後半は僅差になるだろうが、トップをとりたい」(芦澤氏)とシェア挽回への意欲を見せた。
また、ローエンドのデジタル一眼レフのラインナップについては、「あらゆる意味で、ローエンドからハイエンドまで今後も拡大していく。ここでは、言えないが期待して欲しい」(真栄田氏)、さらに、EOS Kiss Digital Xより低い価格のモデルについては、「EOS Kiss Digital Xは発売以来ベストセラーであり、満足いただけていると思っている」との回答にとどまった。
■ URL
キヤノン
http://canon.jp/
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( 本誌:武石 修 )
2007/08/20 22:31
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