デジカメアイテム丼

無制限でRAWも保存できるオンラインストレージ

Amazon.co.jp「プライム・フォト」

パソコンから見たプライム・フォトの画面

アマゾン・ジャパンの有料会員サービス「Amazonプライム」の新サービスとして、「プライム・フォト」が提供開始された。今日は、「写真」の無制限アップロードサービスとして話題になったそのプライム・フォトサービスを試してみた。

Amazonプライムとは?

Amazonプライムは年額3,900円(税込)の会員サービスで、限定地域ではAmazon.co.jpで注文した商品が最速1時間で配送されたり、「お急ぎ便」が無料になったり、会員限定の先行タイムセールが利用できたりといったショッピング関連のサービスに加えて、アマゾンのデジタルコンテンツのサービスも無料で利用できるようになっている。

サービスとしては、100万曲以上というラインナップの「Prime Music」、映画やテレビ番組を視聴できる「プライム・ビデオ」などのコンテンツが用意されている。電子書籍の読み放題系サービスはないが、Kindle端末を持っていれば、毎月1冊、対象の電子書籍が無料で読めるサービスもある。

そして今回開始されたのがこのプライム・フォトサービス。サービスとしては、すでに提供済みのオンラインストレージサービス「Amazon Cloud Drive」内の1サービスとなる。

Cloud Driveは写真以外に動画やオフィスファイルなどを5GBまで保存できるが、プライム・フォトでは、画像ファイルがCloud Driveの容量にカウントされなくなり、無制限に保存できるようになったのが特徴だ。

「画像」と認識されるファイル形式はJPEG/BMP/PNG/TIFF。RAWファイルも対応しており、ニコンのNEF、キヤノンのCR2、ソニーのARW形式のRAWファイルが画像として認識される。また、DNGファイルも画像ファイルとして扱われるようだ。

画像と認識されるファイル形式(引用)
RAWファイルの対応形式(引用)

これまでのオンラインストレージでは、数GBから1TBといったファイル容量制限があって、あまりに写真の点数が多いと保存しきれないこともあったが、プライム・フォトなら無制限に保存できるので安心。

同じように無制限にアップロードできる画像系サービスとしてはGoogleフォトもあるが、無料ながら一定の解像度に画像を縮小してしまう。ほかにも、無線LAN内蔵SDカードのEyefiが年額5,000円のEyefi Cloudサービスを提供。カード購入者は1年間の利用権が付属しており、こちらもRAWファイルを含めて写真の無制限アップロードが可能だ。

RAWファイルのサポート形式が少ない点は、GoogleフォトやEyefi Cloudに比べて劣る点だろう。逆に、プライム会員であれば無料で使える点は大きな優位点。すでにプライム会員であれば、そのまま特別な手続きをしなくても、無制限で写真をアップロードできる点が有利なところ。画像に手を加えることもないため、バックアップ用途として使える。

設定と使い方

では、実際に使ってみよう。パソコンから利用する場合、専用クライアントソフトを使うのが手っ取り早い。これまでCloud Driveを利用していて、すでにクライアントを使っているなら、それをそのまま利用すればいい。

専用クライアントの起動画面。画像やドキュメントフォルダを認識して自動でアップロードしてくれる

一般的なオンラインストレージとは異なり、フォルダを指定して同期する、という機能はなく、データを手動でアップロードして保存するタイプで、初回起動時に指定フォルダをアップロードする画面になる。

それ以降は、アップロード画面にファイルやフォルダをドラッグ&ドロップすれば、一気にアップロードされる。アップロードしたファイル形式から、自動で画像と判断してくれるので、画像かどうかを特別気にすることはなく、既存の画像フォルダを一気にアップロードすればいい。

アップロード画面
アップロード中の画面。アップロード速度は比較的速い

アップロード自体は高速。これだけの速度で数万枚の画像をアップロードすると、固定回線でも帯域制限に引っかかる人も出てくるかもしれないので、注意した方が良さそう。

アップロードした画像はCloud DriveのWebサイトで確認でき、「写真&ビデオ」タブでは日付順に並んだ画像をまとめてみることができる。フォルダが分散していても、画像ファイルをすべて表示してくれてわかりやすい。

Web版のCloud Drive
「写真&ビデオ」タブを選ぶと、画像が日付順に並ぶ
画像表示したところ。編集やダウンロードが可能
年表示で「1970」と出ているのは、「画像として扱われない画像」であるオリンパスのRAW画像があるから。サムネイルで「表示できませんでした」となるが、「画像」としては認識されているようで、「写真&ビデオ」に表示されている

スマートフォン側は、iOSとAndroidアプリ「Amazon Photos」が提供されている。スマートフォンの写真フォルダを読み込み、自動でアップロードする機能を搭載。スマートフォンで写真を撮ればそのまますぐにアップロードされるので、意識することなくすべての画像をクラウドにバックアップできる。

初回起動時に無線LANでのみアップロードする機能をオンにしておかないと、フル解像度の画像を携帯回線でアップロードしてしまうので注意した方がいいだろう。

スマートフォンアプリは初回起動時に無線LAN経由の自動保存機能を設定できる
Web版と同じように日付別に一覧表示される
スクロールすると、左側に月別のインジケータが表示される

アプリには画像の補正、編集機能が搭載されている。基本的な明るさや色あいの補正から、各種フィルタ、フレーム、ぼかし、手書き、傷補正といったかなり高機能な機能を搭載している。Web版の機能は限定的なので、編集作業はスマホアプリで行う方がいい。

画像編集機能は豊富

編集後の画像は別ファイルとして保存されて、元画像と編集後の2つのファイルに増える。画像に編集を加えても保存前なら元に戻すこともできるが、いったん保存すると編集をさかのぼることはできないので、気に入らない場合は編集後の画像を消して元画像への編集をやり直すしかない。

アプリの設定画面。「ビデオ」は無制限の対象外なので、オフにした方がいいかもしれない。「フォルダーの管理」からは自動アップロードしたいフォルダを指定できる
デフォルトでは「SDカードを使用」がオフになっており、そのままだとmicroSDカードに画像を保存している場合は自動アップロードされないので、ここで設定しておく

機能はシンプルでバックアップ向き

閲覧に関しては、基本的な機能はアプリもWebも変わらず、年月で分類されてサムネイルが一覧表示される。「This Day」機能では、「同じ日」に撮影された画像を年をまたいで一覧表示してくれる機能で、「去年の今日」の写真を簡単に見つけられる。

This Day機能。「週」は以前の年の同じ週、「シャッフル」は、以前の年のランダムの日付の写真が表示されるようだ

「アルバム」は、イベントなどに応じて個別に画像をまとめて表示する。自動分類の機能はないので、自分で画像を選択して保存する。スマートフォンやデジカメで撮影した画像をひとまとめにしてアルバム化すれば、イベントごとの分類も分かりやすいし、他人に共有するときも簡単。

共有機能は、画像単体、アルバムごとなどでほかの人に見せることができる。Googleフォトなどでも同様の一般的な機能ではある。非公開のURLが作成され、そのURLさえ分かれば誰でも閲覧できるので、ほかの人に見せやすい反面、URLの取り扱いには注意したい。

共有機能。メール、Facebook、Twitterが表示されているが、「リンクを表示」からURLをコピーして相手に送ればいい

アップロードした画像は別のデバイスに自動同期されるわけではないが、PCであれば複数画像を1つのZIPファイルにまとめてダウンロードできる。ハッシュ値で同一かどうかを調べたところ一致したため、純粋にアップロードしたものがそのままダウンロードされているようだ。

基本的に、機能としては単純ではある。日付ごとに分類されて、「過去のその日」の画像は簡単に見つけられるが、分類機能に特別なものはない。画像内に記録された位置情報での分類もないし、タグなどを独自に付与することもできない。「オンラインアルバム」というより「オンラインストレージ」で、あくまでバックアップ用途と考えた方が良さそうだ。

Googleフォトだと、自動で画像を認識して、人の顔を分類したり、場所やイベント、被写体の種類で分類したり、検索機能が優れている。Eyefiクラウドだと、自動タグ機能で被写体やイベントごとに検索できる。

RAWの対応メーカー拡大が課題

致命的なのは、対応するRAWの種類が少ないことで、オリンパスやパナソニックなど、非対応のカメラを持つユーザーにとっては、無制限の対象にならないばかりか、日付ごとの分類もされないため、使い勝手が悪い。

これまで、無制限に保存できるストレージサービスは次々と撤退していったが、アマゾンはもともとクラウドストレージに強く、「画像」に限定していることもあって、最初の一斉アップロードを除けば、極端な利用も起きにくい。個人的にはそう簡単に撤退することはなさそうと判断している。

分類機能の貧弱さ、RAW対応の少なさを除けば、すでにプライム会員であれば追加料金なしで無制限の画像保存ができるというインパクトは大きい。今後のサービス拡張に期待したい。

個人的には画像のバックアップとしてプライム・フォト(もしくはEyefi Cloud)を利用して、出先で画像を確認したり、検索したりするのには無料のGoogleフォトを使う、というのが一番バランスが良さそうだと感じた。

小山安博

某インターネット媒体の編集者からライターに転身。無節操な興味に従ってデジカメ、ケータイ、音楽プレーヤー、コンピュータセキュリティなどといったジャンルをつまみ食い。軽くて小さいものにむやみに愛情を感じるタイプ。デジカメ、音楽プレーヤー、PC……たいてい何か新しいものを欲しがっている。