キヤノンは、35mm判サイズの撮像素子を搭載したデジタル一眼レフカメラ「EOS-1Ds Mark III」を、11月下旬より発売する。価格はオープンプライスだが、店頭予想価格は前機種EOS-1Ds Mark IIと同レベルの90万円前後になる見込み。
2004年11月に発売されたEOS-1Ds Mark IIの後継機種で、35mm判フィルムとほぼ同じ大きさの約36×24mmのCMOS撮像素子を継承するが、有効画素数が約1,670万画素から約2,110万画素に増えた。
またボディが1D Mark III相当となり、新開発のシャッターユニットや測光センサー、ファインダーを搭載。画像処理エンジンがデュアルDIGIC IIIになり、液晶モニターがライブビュー対応の3型となった。
■ ダスト対策を搭載
撮像素子は有効約2,110万画素。記録画素数は5,616×3,744/4,992×3,328/4,080×2,720/2,784×1,856ピクセル。また、RAWでは5,616×3,744ピクセルの画像のほか、小さなファイルサイズでRAWの調整機能を利用したいというニーズのために、2,784×1,856ピクセルのsRAW画像を記録することもできるようになった。
感度はISO100~1600だが、拡張設定によりISO50とISO3200での撮影も可能。
撮像素子にはEOS-1D Mark III同様に総合的なダスト対策が用意される。ダストの発生を抑制する部材を採用し、撮像素子の赤外吸収ガラスにダストの付着を防ぐための帯電防止処理を施す。また、赤外吸収ガラスを超音波振動させることでダストを落とすセルフクリーニングセンサーユニット、付属ソフトでデータに写りこんだゴミを消すためのダストデリートデータ取得機能を装備する。
なおシャッターユニットの耐用回数が20万回から30万回に向上した。
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1Ds Mark IIIのCMOS撮像素子
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セルフクリーニングセンサーユニット
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セルフクリーニングセンサーユニットの構造
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シャッターユニット
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■ デュアルDIGIC
画像処理エンジンは2個のDIGIC IIIにより高速化。さらにバッファ容量を1Ds Mark IIの2倍とすることで、5枚/秒の連写速度と、JPEGラージで56枚、RAWで12枚、RAW+JPEGラージで10枚の最大連写枚数を実現した。起動時間も0.3秒から0.2秒に短縮されている。
メモリカードスロットは従来どおりSDメモリーカードスロット(SDHC対応)とCFスロットを搭載するが、同一のファイルを双方のメモリカードに書き込む以外に、一方のメモリカードの空きがなくなるともう一方のカードに記録する「自動切り換え」と、異なる画像サイズごとに違うメモリカードに記録できる「振り分け」が可能になった。また、メモリカード間での画像のコピーも可能。さらに、ワイヤレスファイルトランスミッター「WFT-E2」経由で外部記録メディアに画像を記録することもできる。WFT-E2にGPS機器を接続することで、GPSタグをEXIFに書き込むこともできる。
なおメモリカードスロットはUDMA(Ultra DMA)に対応している。
画質面ではA/D変換が12bitから14bitとなったことで、階調性が向上。高感度撮影時のノイズ低減設定が追加されたほか、ホワイトバランスの設定範囲が2,500~10,000Kに拡大され、マニュアルホワイトバランスを5件まで登録しておけるようになった。
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2個搭載されたDIGIC III
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WFT-E2を装着した1Ds Mark III
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■ ライブビュー機能も搭載
ファインダーは新開発の0.76倍、視野率100%のペンタプリズムファインダー。像消失時間が87msから80msに短縮された。
AF測距点数は45と変わらないものの、F2.8対応のクロスセンサーは7から19となり、残りの26はF5.6対応のアシスト測距点となった。測光センサーは21分割から63分割となった。
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1Ds Mark III(右)と同Mark IIのファインダー視野
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AF測距点の配置
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AFセンサー
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AFユニット
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測光センサー
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液晶モニターユニット
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液晶モニターは2.5型TFTから3型TFTに大型化した。表示画素数は23万画素と変わらない。新たに30fpsのライブビュー機能が搭載された。マニュアルフォーカスのみとなるが、5倍、10倍での拡大表示や、露出設定を反映したシミュレーション表示が可能。さらに、大判/中判カメラや印画紙のアスペクト比に応じた枠を表示して撮影すると、付属ソフトDigital Photo Professionalで自動的にトリミングして表示される機能も備える。
操作系ではAFスタートボタンとISO感度設定ボタン、マルチコントローラーを新設。操作方法も、1Ds Mark IIまでのボタンを押しながらダイヤルを回す方法から、一般的なダイヤルを回してからボタンを押すように変更された。
ボディ素材はマグネシウム合金。76カ所のシーリングのほか、アクセサリーシュー周囲の構造を変更して、外部ストロボ580EX IIとの接続時にも防塵防滴となるようにした。
電源は容量2,300mAhのリチウムイオン充電池。CIPA準拠の撮影可能枚数は、常温で1,800枚。本体サイズは156×79.9×156.6mm(幅×奥行き×高さ)、本体のみの重量は1,210g。
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ボディにはマグネシウムを使用
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主要防滴実施箇所
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1Ds Mark III |
1Ds Mark II |
撮像素子 |
35mm判サイズCMOSセンサー(約36×24mm) |
ダスト対策 |
あり |
なし |
画角変化 |
レンズ表記焦点距離の等倍に相当 |
対応レンズ |
EFレンズのみ(EF-S非対応) |
感度(拡張設定含む) |
ISO50~3200 |
ファインダー倍率 (50mmレンズ時) |
約0.76倍 |
約0.7倍 |
ファインダー方式 |
ペンタプリズム |
ファインダー視野率 |
約100% |
アイポイント |
20mm |
測距点 |
45点(クロス19点) |
45点(クロス7点) |
測光 |
63分割 |
21分割 |
最高シャッター速度 |
1/8,000秒 |
ストロボ同調速度 |
1/250秒 |
最大連続撮影速度 |
約5枚/秒 |
約4枚/秒 |
最大連続撮影枚数 |
JPEGラージ:56枚、RAW:12枚、RAW+JPEGラージ:10枚 |
JPEGラージ:32枚、RAW:11枚、RAW+JPEGラージ:9枚 |
液晶モニター |
3型TFT 約23万画素 |
2型TFT 約23万画素 |
記録メディアスロット |
SD/SDHC、CF |
PCインターフェイス |
USB 2.0 |
IEEE 1394 |
電池 |
リチウムイオン充電池 LP-E4 |
ニッケル水素充電池 NP-E3 |
サイズ (幅×奥行き×高さ、mm) |
156×79.9×156.6mm |
156×79.9×157.6mm |
重量(g、本体のみ) |
約1,210g |
約1,215g |
■ URL
キヤノン
http://canon.jp/
ニュースリリース
http://cweb.canon.jp/newsrelease/2007-08/pr-eos1dsmk3.html
製品情報
http://cweb.canon.jp/camera/eosd/1dsmk3/
■ 関連記事
・ キヤノンEOS-1D Mark III関連記事リンク集(2007/03/12)
■ URL
レンズ交換式デジタルカメラ 記事リンク集(1Ds Mark II)
http://dc.watch.impress.co.jp/static/link/dslr.htm#1dsmk2
( 本誌:田中真一郎 )
2007/08/20 20:46
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