カメラ旅女の全国ネコ島めぐり

島旅がいっそう楽しくなる、オススメの猫宿(猫宿あれこれ総集編)

日本の島をめぐっていると、たくさんの島々で猫と出会いますが、最初に遭遇する確率が高いのは、宿。

島に着いて、まずは宿にチェックイン。すると、「いらっしゃい」と出迎えてくれるのは、宿のご主人や女将さんだけでなく、「にゃーん」と猫さんもいたりするのです。

これまでの島旅で、そうした出会いが何軒もありました。それぞれの宿で出会う猫たちは、本当に、それぞれが個性的。

人と付かず離れずのいい距離感の猫さんもいれば、人間が大好きな猫さんもいます。

気づけば宿の印象は、猫の印象とすり替わって、写真を見返せば余計にそう思えるから不思議です。

今回は、私が猫と過ごすことができた島の猫宿を10軒ご紹介します。


ネコノシマホステル@佐栁島

香川県の多度津から船で50分。

瀬戸内海で指折りの猫が多く暮らす島です。とくに、「飛び猫」の写真が撮れるとして有名になった島でもあります。

これまで宿もカフェもありませんでしたが、2017年に、島と縁のあるご夫婦が移住をして「ネコノシマホステル」をオープンさせました。

木造平屋の旧小学校をホステル兼カフェにしています。

なにより嬉しいのは、猫たちが出迎えてくれること。

島にある二つの集落、本浦地区と長崎地区のちょうど間にあって、歩き疲れたときに立ち寄れる場所にあります。

ガラガラと扉を開くと、懐かしい教室の名残が。

外廊下には猫たちが集まって、猫学級会を開いていることもしばしば。

ノスタルジックと猫を求めるなら、おすすめの猫宿です。

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オープンハートな猫の島”で、オープンしたての「ネコノシマホステル」へ向かう(佐栁島・後半)


アイランド・スター・ハウス@伊豆大島

東京の島とは思えないほど、大自然に出会える伊豆大島で、さらに「え、こんなところに宿があるの?」と疑いたくなる森の中に突如現れる「アイランド・スター・ハウス」。

移住者のオーナーが空き家を購入して、自力でDIYしてスタートさせた素泊まり宿です。

ここの魅力は、吹き抜けのおしゃれな内観もですが、ウッドデッキに集まる猫たち。

もとは猫嫌いだったオーナーも、すっかりと猫好きに。

宿で常備されているキャット・フードを、宿泊者が猫たちにあげてもいいのが嬉しい。

「ここを作っているときに、ひょっこり現れた白黒の仔猫が現れて」と、気づけば、宿を作る初期から猫が相棒となった、微笑ましい物語のある宿なのです。

空に映える黄色の一軒家。猫たちがきっと、お出迎えしてくれます。

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HOLOHOLO@石垣島

石垣島の市街地に、地元のオーナーがDIYして作った、手作り感あふれるゲストハウスが、ビルの最上階にあります。

注目すべきは、共有スペース(ゆんたくルーム)と、そこからつながる屋上テラスが猫の住まいだということ。白黒柄の3兄妹が旅人を癒してくれます。

2歳の頃にオーナーに引き取られた猫兄妹は、「もずく、てちび、きび」と沖縄らしい名前が素敵。

乱雑に置かれたようで、しっかりとデザインされている屋上テラスで、猫たちは絵になります。

共有スペースでお仕事をしていると、「にゃにしてるのー?」とでも言いに近寄ってきてくれたり。

すっかり、お仕事をする気がしなくなるので、いいのやら、わるいのやら?

いやいや、石垣島に来たのだから、ささっと仕事を終わらせて、猫たちとのんびりしたい!

屋上からは、市街地が一望できます。

ハンモックに揺られながら、猫たちと過ごすそんなひとときも、この猫宿ならでは。


ゆきむら@加計呂麻島

私が島旅にのめり込んでいった最初のきっかけは、今から12年前に訪れた奄美群島の島々です。

その頃から通っている加計呂麻島の宿ゆきむらは、私にとっては、「帰省先」のような存在。

そういう居場所を見つけることも、島旅の魅力だと感じています。

さて、この12年間で、ゆきむらでは絶えず猫がいまして、彼らの存在もまた宿の魅力をいっそう深いものにしてくれています。

宿の前はすぐ海で、ここは旅人にとってはもちろん、猫たちにとっても「パラダイス」。のんびりとした時間に、じわりじわりと、心身のコリがほぐれていくのを感じます。

今、宿には、兄弟ではないけれど、それぞれ事情があってやってきた、仲良しトリオが暮らしています。

猫たちにとっても、居心地のいい居場所なのだろうと感じます。

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マリンライフ@田代島

宮城県の猫島は、宿泊施設がとても少ないのですが、マリンライフに泊まれたらラッキー!

もともとシェフだったオーナーが地元の食材を中心に作るご飯は最高に美味しいし、なにより、朝夕と集まってくる猫のお客さんに驚きます!

宿の女将さんが、毎日猫たちのご飯を手製で作ってあげています。

ご飯時間になると、あれよあれよと猫が集まり、「うまいうまい」と言ってむしゃむしゃ食べて、「ごちそうーにゃん」と方々散っていきます。

その様子をみて、人も猫も美味しいご飯が大好きだよな〜!と、ほっこりとした気持ちになります。

家に自由にあがれる猫はメイとミミ。

ちゅ〜るをもらうときは、仲良く代わる代わるなめています。
宿泊すればこそ、こういった時間にも遭遇できます。

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1匹の猫との出会いで、島とつながり、旅の記憶は深まる(田代島:後編)


はまゆり@竹島

島旅好きの人たちでも、とってもマニアックで、「行ったら面白いよね〜!」と言う話になるのが鹿児島県の三島村。

もっとも有名なのが硫黄島ですが、黒島、そして竹島も面白いです。

とくに、竹島は島一面が、大名竹(リュウキュウチク)に覆われて、さわさわ、ざわざわという音を常に感じる島です。

ここに、若きオーナーがUターンして開業した宿はまゆりも、猫がたくさん集まります。

残念ながら、オーナー以外は人見知りの猫たちですが、滞在すればじょじょに慣れてくれて、距離感もぐっと近くなります。

宿以外でも、集落で猫をよくみかけます。

竹の島に、猫。

これもまた、ここだけの島らしい写真を撮ることができます。

一見、竹に覆われた島で、鹿児島県の人も猫がたくさんいるとは知らないようですが、はまゆりに来れば竹島の猫を必ず撮ることができるはず。

見た目はファンキーだけど、心やさしいオーナーとの会話も、オススメです。

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島宿わたなべ@式根島

東京の島の一つで、竹芝桟橋から東海汽船のジェットフォイルで3時間。

温泉の島としては、あるいは釣り人が多い島として有名です。

海に行くと、岩場からぷくぷくと源泉が湧き、体を沈めれば天然の露天風呂!

されど、実は猫が多い島でもあります。

私が泊まった島宿わたなべにも猫がいて、ゲストのお出迎えをしっかりしてくれます。

子猫のとき、雨の日に迷い込んできてから、すくすくと育って、今や立派な看板猫として働くアメちゃん。

気づけば私の部屋にも遊びに来てくれたり、あちこち宿の中や外をパトロール。

それはそれは、働き者なのです。

ぐるっと島をサイクリングして、疲れたら帰ってアメちゃんとのんびり。

なんてこともできる、癒し系猫宿です。

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丸巳屋旅館@相島

九州で一番有名な猫島の福岡県相島は、船の積み残しがでるほど観光客が来るようになった島です。

人気が出た理由のひとつは、NHKの「ダーウィンが来た!」で何度も猫の生態について取り上げられて、同時に島の猫たちの愛らしさも発信されたから。

国内外から多くの人たちがやってくるようになりました。

それでも、今島にある宿はたったの一軒。

素泊まり宿の丸巳屋旅館です。ここのお父さんが、それはそれは、猫が大好き。

朝になると猫たちにご飯をあげるので、可愛い猫たちを写真に撮るチャンス。

マイペースなので、好き放題写真を撮らせてくれます。

お父さんが、塀の上に等間隔にご飯を並べるので、みんな持ち場を担当して、ひたすら食べているのも微笑ましい。

ご飯が終わったあとのほのぼのとした光景も、泊まったからこそ出会えます。

お父さんと、猫談義してみても楽しいかもしれません。

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島宿御縁@小値賀島

長崎県の五島列島の最北にある小値賀町の小値賀島は、レトロな街並みが残っていて、最近は外国人も移住したりと、インバウンドでも盛り上がっている島。

その最たる宿は、島宿御縁。

外国人が住み込みで働いていて、グローバル感あふれています。

さらに、海を一望するテラスに猫も居着いて、ゲストとの触れ合いに参加してくれています。

歩くと猫とばったり出会うことが多い島ですが、猫と外国人に出会いたいときは、御縁にお世話になると楽しいと思います。


ひるねこ

瀬戸内海で、ほとんどの人が名前を聞いて混乱する、広島。

香川県の丸亀市に広島(地元では讃岐広島という)という島があって、2016年にゲストハウスひるねこがオープンしました。

実は私も、ひるねこを作るプロジェクトにかかわったのですが、猫の大好きな島の人と「来てくれた人たちが、猫が縁側でお昼寝するように、ゆっくりとくつろいでくれるといいね」という願いを込めてつくった宿です。

看板猫の茶々丸くんも名前のとおり大活躍。

茶々丸は、仔猫のときに気づいたら居たという不思議な子でした。

始めたら人懐こく、ゲストがくれば積極的に迎えにいき、帰るときもきちんとお見送りにやってくる看板猫です。

大人になって、最近は島の人の家で寝ていることが増えましたが、ときどきお散歩に出かけては、ゲストと交流しています。

全国津々浦々に猫宿が!

いかがでしたか?

島旅をしていくなかで、これほど猫に出会える宿があるんだなというのが、私の印象です。

もちろん、猫アレルギーの人もいるでしょうし、宿によっては「家の中には入れない」というところも多いですし、「いやあ、うちは猫がいるから、それをわかってきてほしい」というところもあります。

言わずもがな、宿を選んでいくのは私たち旅人。そこにいる猫は、長い時間をかけて宿や島の人と深い絆を育んできました。

その“家族”に出会い、写真に撮ることを楽しみながら、私はこれからも島旅を続けていきたいと思います!

小林希

旅作家。元編集者。出版社を退社し、世界放浪の旅へ。帰国後、『恋する旅女、世界をゆくー29歳、会社を辞めて旅に出た』で作家に転身。著書に『泣きたくなる旅の日は、世界が美しい』や『美しい柄ネコ図鑑』など多数。現在55カ国をめぐる。