カメラ旅女の全国ネコ島めぐり
日本の島で暮らす幸せな猫を求めて(猫島あれこれ総集編)
2019年12月30日 07:00
カメラを持って日本の島をめぐり、たくさんの猫たちに出会ってきました。日向で寝転がり、ふわふわの毛が太陽の光で柔らかく煌めいていたり、寒い日には体を寄せ合って猫団子になっていたり、猫たちの日常に出会い、シャッターを押す瞬間はいつも幸せを感じてきました。
カメラがなければ、そして猫たちがいなければ、日本の島めぐりはまた違ったものになっていたかもしれません。
今回は、これまで訪れた島で出会った猫たちの中から、印象的な猫写真をご紹介していきます。写真から、スロウな島時間を感じ取っていただけたら嬉しいです。この連載でとりあげていない島の猫も紹介します。
目次
・日本一の猫密度を誇る青島
・瀬戸内海屈指のアートの島、直島
・意外と猫が多い東京の島、伊豆大島
・黄昏猫がいる神秘的な雰囲気漂う、加計呂麻島
・三河湾のアートで猫の島、佐久島
・猫と鹿が仲良し? 南の島、座間味島
・五島列島いちばんの猫島、黄島
・日本のベネチア的港が美しい、保戸島
・猫が暮らす塩飽水軍の本拠地、本島
・東日本最大の猫の島、田代島
・カメラを持って猫島に行こう!
日本一の猫密度を誇る青島
今や世界中の猫好きが渡島する日本屈指の猫島といえば、瀬戸内海に浮かぶ青島。愛媛県大洲市の伊予長浜港から船に乗って35分で着きます。
ここは、港からたくさんの猫が出迎えてくれる奇跡の島。
ご飯をくれる観光客や地元の方に、猫はすっかり懐いていて、肩や膝にのってくる猫も少なくありません!
人が歩けば、猫たちもぞろぞろと歩く。
青島のような猫密度の島や地域は、他に知りません。
猫が穏やかに暮らしていけるには、島の人の存在があってこそ。ただ、現在人口は6名、猫は200匹以上だそう。
すでに全島避妊・去勢が行われましたが、人と猫のバランスが崩れている今、さまざまな問題が起きているのも事実。
今後、どうなっていくのか静かに見守りたい島です。
日本一の猫の楽園 秘境“青島”へ! 遠い道のりの末に猫にまみれる(青島・前半)
なかなか行けない猫の楽園で、猫と人の愛おしい関係に出会う(青島・後半)
瀬戸内海屈指のアートの島、直島
同じく瀬戸内海で、3年に一度開催される瀬戸内国際芸術祭の島の一つとして、世界中に名を馳せるようになった香川県の直島にも、猫は暮らしています。
観光客で賑わう一角を外れ、住宅地のほうへと足を運べば、人馴れした猫たちに出会えるかもしれません。
アートスポットではなくても、そこに猫の姿があれば、アート作品のように「絵」になると思いませんか?
直島はフォトジェニックで、撮影も楽しいと思います。
意外と猫が多い東京の島、伊豆大島
東京都内の竹芝桟橋から東海汽船のジェットフォイルに乗れば、1時間45分で全く東京とは思えないような大自然に出会える伊豆大島。
火山の島らしい地層や海岸線などは、まさに日本ジオパークたる風光。
一方、島の中では意外や猫と出会える機会が多くて、「隠れざる猫島?」と嬉々としてシャッターを切りまくりました。
人馴れした猫も多くて、とくに岡田地区や波浮地区で多く見かけます。
波浮地区では、港から上につづく階段を、猫と一緒にくだって行きました。とっても人懐こくて、私が止まれば猫も止まってくれる感じです。
古きよき街並が残る岡田地区で、幸運を招く“猫道”を歩く(伊豆大島・前半)
ここが東京!? 猫のいる宿からはじまる日本唯一“砂漠”までの旅(伊豆大島・後半)
黄昏猫がいる神秘的な雰囲気漂う、加計呂麻島
奄美群島の一つ、奄美大島の南に位置する加計呂麻島。
初夏にはデイゴの花が咲く諸鈍で、黄昏猫に出会いました。金色に照らされた海は、どこか神秘的。
その浜辺をパトロールする猫さんは、島の守り猫のように見えました。
猫の毛や肉球が砂まみれになっていましたが、これぞ島猫らしといえる写真が撮れました。
海の果てにあるニライカナイからやってきたみたいに、猫も神秘のオーラに包まれている気がしました。
神の島にある宿で暮らす、仲良し猫たちの日常に出会う(加計呂麻島・前半)
行けば行くほど猫に出会い、島に一歩踏み込む島歩き(加計呂麻島・後半)
三河湾のアートで猫の島、佐久島
今年、動物写真家の岩合光昭さんが初監督された『ねことじいちゃん』の舞台となった三河湾の島々の一つ、佐久島。
原作の漫画にあるように、猫と人がのんびりと一緒に暮らしています。
ただ、「最近は、ずいぶんと猫が減ったかもねえ、人が減っているから」と島のおばあさんが言っていました。
それでも、民家には猫がいて、家のおばあさんから「どうぞ、どうぞ、猫の写真撮っていいわよ」と優しく迎え入れてもらえました。
そんな穏やかな昼下がり、猫たちは寝たり、遊んだり、おばあさんに甘えにいったり、いろいろな顔を見せてくれました。
集落を歩いていると、「にゃーん」と向こうからやってきてご挨拶してくれる猫も。
ところで、佐久島は「元祖アートの島」の一つとも言える、昔から島にアート作品を点在させて、島おこしを頑張ってきた島です。そうしたアートを楽しみながら猫と出会えるのも魅力ですね。
三河湾に浮かぶアートとネコと、ばあちゃんの島へ(佐久島・前半)
三河湾に浮かぶアートとネコと、ばあちゃんの島へ(佐久島・後半)
猫と鹿が仲良し? 南の島、座間味島
沖縄県の離島で、慶良間ブルーと称えられる青い海がと〜っても美しい慶良間諸島の一つ、阿嘉島。
慶良間諸島のなかでも、とくに規模が小さくて、のんびりとした時間が流れているところ。
ここにはケラマジカという野生の鹿がいて、島を歩いていると、あちこちで見かけます。
猫がたくさんいる民宿のおじさんとお話していると、鹿と猫たちが集まりはじめました。
人馴れしたケラマジカ(とはいえ警戒心はある)と猫。この絵が撮れる島は、そうそうありません。
民宿の猫たちも、仲良く日向ぼっこ。みんな、とっても眠そうです。
そんななか、ひょっこり猫さんも!
ネコとウミガメ、満天の星を求めて(座間味島・前半)
ネコとウミガメ、満天の星を求めて(座間味島・後半)
五島列島いちばんの猫島、黄島
長崎県は日本でもっとも島数の多い県で、五島列島だけで大小合わせて140以上の島があります。
そのなかで、猫の多い島が黄島です。
のどかな島で、人口30名ほど、猫のほうが多いくらいだそう。
石垣の残る情緒的な街並みに、猫がおのおの自由きままに過ごしています。
猫の日常をみると、島の人の日常に重なって見えます。
「今日はどうだい?」
「ぼちぼちかにゃあ」
なんて。
日本のベネチア的港が美しい、保戸島
港にぎゅっと立ち並ぶ家並みが、「日本のベネチアみたい!」と思う大分県の保戸島も、猫が多い島です。
平らな土地の面積が少ないため、山の斜面に沿って家が立ち並んでいます。かつて、マグロの遠洋漁業で栄えたため、大きな4階立ての家なんかもありますが、集落を歩けば細い道が入り組み、冒険感があります。
そして、猫にばったりと出会います。
狭い路地に猫がいると、写真的に収まりが良くて、雰囲気のある写真が撮れます。
集落にも港にも猫がいて、街並みを楽しみながら猫と出会うのに楽しい島だと思います。
私が行った日は、おじいさんが猫たちにご飯をあげていました。
見ているだけで、とっても癒される島旅でした。
猫が暮らす塩飽水軍の本拠地、本島
瀬戸内海の塩飽諸島は、かつて塩飽水軍が活躍していた地域です。幕府の御用船方の水夫を勤めたり、物資や人を運んだり、さらに昔は海賊として戦ったり。
本島は塩飽水軍の本拠地と呼ばれ、かつて「塩飽島」という名前だったそうです。
そんな水軍の末裔にあたるのは、猫たちもでしょうか。
本島の笠島は、塩飽大工が建てた建造物が立ち並ぶ、時代劇の舞台のような地区。
ここに猫たちもいて、いっそう舞台を引き立てています。
東日本最大の猫の島、田代島
猫好きの方ならご存知の宮城県田代島は、国内外から「猫を見に行く」ことを目的とした観光客が押し寄せる島。
島のあちらこちらで、歩けば猫を見かけます。
猫神社という神社まであり、猫好きは島の中からも。古来、猫は大漁の守り神として大切な存在だったそうです。
普通はあまり見かけない山道でも、猫の衛兵が観光客をパトロール。
猫検問所で「ごはんをみせなさい」と言われます。
日本でもっとも猫が多い楽園で、1匹の黒白猫と出会う(田代島:前編)
1匹の猫との出会いで、島とつながり、旅の記憶は深まる(田代島:後編)