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エプソン、プリンタ2007年秋モデルの発表会を開催
~年末商戦も50%以上の国内シェアでトップ堅持を宣言
エプソンは20日、プリンタの2007年秋モデルの発表会を開催した。
会場の様子
新モデルが並んだ
エプソン情報機器事業本部長の小口徹氏
まず、エプソン情報機器事業本部長の小口徹氏が、マーケットの現状と新モデルの概要説明を行なった。コンシューマーインクジェット市場は世界的には微増だが、日本市場は微減傾向にあるとした。これについて、小口氏は「プリンタの買い換えサイクルが伸びていること」、「PCの春商戦が不調であったこと」を要因としてあげた。しかし、2007年下期は、PC販売が回復基調にあることを根拠に、プリンタ市場も持ち直すと予測した。
インクジェットプリンタの世界市場動向
また、国内の目標シェアについては「上期に引き続き50%以上を確保し、トップシェアを維持する」と意気込みを見せた。また、プリント枚数ベースでは「30%以上の伸びを期待する」とした。
同社は2006年は利益重視の戦略から、採算性の悪い低価格モデルの絞り込みを行なった。その結果、販売台数は1,340万台にとどまっている。小口氏は、「製品のコストダウンが進み競争力が付いた。2007年度は1,500万台を目指したい」と目標を述べた。また、コンシューマ向けプリンタを同社の主力事業と位置づけ、「強力な商品を出し、十分に強化していく」とした。
エプソンの国内外におけるシェアの推移
年末商戦では3つのカテゴリすべてで、国内シェア50%以上を宣言
「(新モデルは)ヘッドの改良による高速化、ユーザーインターフェースの見直しによる操作性の向上などを行ない、『速い・綺麗・安心・簡単』を徹底して追求した」(同氏)と紹介。
小口氏は、「コンパクトモデルから、A4、プロセレクションまで、魅力ある商品を用意できたと確信している」と締めくくった。
エプソンコンシューマ機器事業部長の遠藤鋼一氏
続いて、エプソンコンシューマ機器事業部長の遠藤鋼一氏が、新製品の技術面を説明した。
今回発表の複合機などに搭載する注目機能の一つが、画像補整によって適切な出力を得る「オートファイン!EX」。従来の人物、風景、一般画像に加えて夜景を新設した。新アルゴリズムにより実現したモードで、ユーザーのイメージ通りのプリントを提供するとしている。また、シーンの判別精度を上げることで、肌色の補正精度向上とノイズ低減を実現した。加えて、従来トーンカーブのみで補正した色補正を、明るさ成分と色成分に分けて調整する方式に変更した。これにより、色かぶりを高精度に補正できるようになった。
PM-T960
PM-A940。外観はグランドピアノをイメージしたという
PM-A840
オートファインには夜景を追加
シーンの判別精度が向上
色補正の方法を見直し、精度アップを図った
色かぶりに対しても補正精度が上がった
遠藤氏は、「皆さんは、自分の写真写りに満足しているでしょうか?」と問いかけ、「満足しているという人がいる一方で、『写真写りが悪いから、写真に写りたくない』という人がいるのも事実」と述べ、その原因が記憶している自分の顔のイメージと、写真との違いによるものだとした。同社では、顔の大きさの感じ方に関する実験でを行ない、写真が実物より太く見えることを検証。それらをもとに、顔の大きさを補正する「小顔機能」を開発したという。顔をより綺麗に補正する「美白機能」と合わせて、「ナチュラルフェイス機能」と銘打ちアピール。プリント機会の増加を狙うとしている。
顔の太さにおける知覚サイズの仮説
知覚実験の結果
ナチュラルフェイス適用前の画像
小顔補正と、美白補正を適用したところ
ドットサイズのワイドレンジ化と、駆動周波数を上げることで高速化を実現した
なお、PM-T960/A940/A840などがサポートするUSBを利用した外部記憶機器接続機能は、CD-RドライブやMOドライブなどが接続可能。CD内の画像をプリントしたり、プリンタ本体のカードリーダーからCD-Rなどに書き込むことができる。現段階では、HDDの接続はサポートしていないとしている。
PX-G5300は、インクの色変更や新LUT(ルックアップテーブル)作成技術の採用などを行なっている。従来のブルーインクを廃止し、新たにオレンジインクを搭載しすることで、偏りのないより広い色再現領域を達成した。また、新GO(グロスオプティマイザ)により、肌色の表現力が一層向上したという。さらに、各インクの色調を最適化することで、光沢感と対擦性が大幅にアップしたとしている。
PX-G5300
内部
米ロチェスター工科大学のマンセル研究所と共同開発したLUT作成技術「LCCSテクノロジー」により、色再現領域、階調性、粒状性、カラーインコンスタンシー特性(光源依存性)の最適化を図った。トータルでの画質向上に大きく貢献しているという。
遠藤氏は最後に、「エプソンはコンシューマ、ハイアマチュア、プロに納得してもらえる商品を提供していく」とし、「昨年も同じことを言ったが、ユーザーからのフィードバックがあり、画質はもとより、普通紙における速度向上がユーザーへの回答」とまとめた。
秋冬商戦でキヤノンに対して打ち出すものは? との質問には、「キヤノンの新モデル発表がまだなので何とも言えないが、個々の製品の特徴をアピールすることと、プリントという点でのアピールで、ユーザーに訴求していきたい」と答えた。
オレンジインクを採用するなど改良した新インクを搭載
色域が滑らかに広がっているのがわかる
エプソン販売株式会社の平野清一社長
販売戦略については、エプソン販売株式会社の平野清一社長が説明した。
「デジタルカメラ出荷の上方修正があり、下期は新製品効果もあるので(対前年)イーブンかプラスになる」との予測を述べた。国内プリントサービス市場は伸張傾向にあり、今後成長に転ずる見込み出ることを明らかにした。写真用紙の販売は年30%増のペースで拡大しており、「デジタル画像印刷の確実な普及がある」とした。
年末商戦のラインナップ
プリントサービス市場は、今後拡大に転じると予測
その一方で平野氏は、デジタルカメラのコモディティ化が進むと、家庭プリントに対して、店頭プリントの比率が高くなる傾向があることを説明。画質などで、家庭用プリンタに対するネガティブなイメージを持っていることや、家庭プリント自体を知らないことなどを要因に挙げ、家庭プリントの啓蒙がプリンタメーカーにとって大きな課題であるとした。
写真のプリントは拡大傾向にある
デジカメを新規に購入した人のプリンタ所有率は低下傾向にある
それらを踏まえ、同社では「プリンタのプロモーション」から「プリントのプロモーション」に切り替えるという。「いろいろな活用方法を、いかに多くの“個”にアピールするかが重要」との見解を示した。
なお、上期のインクジェットプリンタの価格下落は、5~10%程度という。
PM-G860
19日に発表したばかりの64インチ用紙対応プリンタ「PX-20000」も展示
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URL
エプソン
http://www.epson.jp/
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( 本誌:武石 修 )
2007/09/20 22:44
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