交換レンズレビュー
“小さくて軽い” 35mmAF単焦点レンズを一挙紹介【第5回】
ニコン「NIKKOR Z DX 24mm f/1.7」
2024年8月11日 12:00
連載第5回はニコン「NIKKOR Z DX 24mm f/1.7」のレビューをお届けします。
APS-Cサイズ対応の単焦点レンズですので、今回組み合わせて使った「Zfc」の他にも、「Z50」や「Z30」などとピッタリなレンズです。
外観・仕様
「NIKKOR Z DX 24mm f/1.7」は、2023年6月に発売されたAPS-Cサイズ対応の35mm単焦点レンズです。APS-Cサイズ用ですので、35mm判換算の焦点距離は36mm相当になります。
最大径×長さは約φ70mm×40mmで、質量は約135g。パンケーキレンズと言うほどではありませんが、それに準ずるのではと言うくらいには、薄く小さく、そして軽いのが本レンズの大きな特徴です。それでいて絞り開放F1.7という大口径であるところが嬉しい。
外装は樹脂製なため高級感はそれほどありませんが、ニコンのレンズらしく精悍なデザインが採用されていますので、クラシックスタイルの「Zfc」と組み合わせても違和感を覚えることはありません。
昨年発売されたばかりのまだ新しいレンズですが、今になってAPS-C対応の35mm AF単焦点レンズが登場してきたのは、案外「Zfc」を始めとしたニコンのAPS-Cカメラシリーズが好評だったからかもしれません。35mmフルサイズ用に比べると種数の少ないAPS-Cサイズ用の単焦点レンズですので、これは本当に良いことだと思います。
操作性
例によって非常にシンプルな操作系となっていて、スイッチ類やボタン類はいっさい備えられていません。本レンズの場合は、コンパクトであることを重視して、難しい操作は必要とせず気軽に楽しみたいところですので、シンプルな操作系であっても納得できるというものです。
先に紹介した「NIKKOR Z 35mm f/1.8 S」でもありましたが、唯一の操作系であるフォーカスリングは「コントロールリング」になっており、AF時の機能として、「M/A」、「絞り値」、「露出補正」、「ISO感度」のいずれかを割り当てることができます。
「HN-42」というレンズフードが付属します。花型でも丸型でもなく、フジツボ型の専用設計で、フードの先端にはレンズキャップやフィルターを装着できる仕様です。ニコンってこういうところが本当に粋ですね。
作例
最短撮影距離は0.18mで最大撮影倍率は0.19倍。最強というわけではありませんが、現代のミラーレス事情に合わせた、新しい35mm相当(36mm相当)レンズらしく、かなり被写体にグッと寄って大きく写すことができます。ボケ味も玉ボケの具合も良好ですので、目についたものは何でも大きく綺麗に写したくなります。
コンパクトなレンズながらも描写性能は思いのほか高く、少し絞っただけで画面の隅々まで高い解像性能を見せてくれます。軽快に撮れるコンパクト性と、必要にして十分に高い描写性能、ニコンのAPS-Cカメラでスナップ撮影をするのにまさに最適なレンズだと感じました。今になって、わざわざAPS-C用の35mm相当(36mm相当)単焦点レンズを出した理由が分かる気がします。
AF性能も最新の単焦点レンズとして妥当な性能があり、狙ったところにスムーズに決まる小気味よさを感じました。ピント精度が高いだけでなく、駆動音も良く抑えられていますので、動画撮影で利用しても問題なく使えることと思います。フォーカスブリージングも最小限に抑えられているとのこと。
まとめ
APS-C対応の35mm相当AF単焦点レンズと言うのは、なぜか種類が少ないのがそもそもの難点です。APS-Cカメラをメインで使おうとした場合、その「なぜか」に悲しみを覚えてしまいます。
しかし、本レンズは2023年になって登場した新しいレンズです。しかも、小柄なAPS-Cカメラで気軽にスナップ撮影を楽しみたい人にとっては、これ以上ないくらいに嬉しいコンパクトサイズでの登場。さらには、お値段が比較的気軽に設定されているところもまた嬉しいところ。
コンパクトで低価格なレンズとは言え、現代の卓越した光学設計技術によって、描写性能も予想以上に高いため、問題なく安心して使うことができます。今現在、ニコンのAPS-Cカメラユーザーだというのでしたら、初めての単焦点レンズとして本レンズを選択するのはアリだと思います。