交換レンズレビュー
“小さくて軽い” 35mmAF単焦点レンズを一挙紹介【第2回】
キヤノン「RF35mm F1.8 MACRO IS STM」
2024年8月8日 12:10
“小さくて軽い” 35mmAF単焦点レンズの短期集中連載、第2回となる今回はキヤノン「RF35mm F1.8 MACRO IS STM」のレビューをお届けします。
名称に「MACRO」や「IS」といったなんだかすごそうな文字が入っているだけに、期待も膨らむというものですね。
外観・仕様
「RF35mm F1.8 MACRO IS STM」は、2018年11月に登場した35mmフルサイズ対応の35mm単焦点レンズ。なのですが、「MACRO」とあることからも分かるように、最大撮影倍率0.5倍のハーフマクロ撮影も行える、いわゆる35mmマクロというわけです。それでいて開放F1.8という大口径であるところがスゴイ。
また「IS」の表記が示す通り、最大5段分の補正効果があるという光学式手ブレ補正機構を搭載。AFモーターには、キヤノンが得意とするところの速くて静かな「STM」(ステッピングモーター)が採用されているなど、まさに至れり尽くせりと言った感のある仕様です。
これだけ機能が満載だとさぞかしサイズは肥大化しているかと思いきや、実はそうでもありません。本レンズの最大径×長さは約φ74.4mm×62.8mmで、質量は約305g。フルサイズミラーレスカメラ用の「35mm F1.8」クラスのレンズとしては標準的であり、スペックの高さを考えれば、むしろ小柄にできていると言っても良いくらいだと思います。
操作性
多くの機能を搭載しているだけあって、操作性についても充実した内容。レンズ鏡筒の左側面には、AFとMFを切り換えるための「フォーカスモードスイッチ」と、手ブレ補正機構(IS)を切り換えるための「手ブレ補正スイッチ」の2つが並んでいます。
リング類としては、「フォーカスリング」が独立して備えられているほか、RFレンズらしく、ISO感度や露出補正といったさまざまな機能を好みに合わせて割り当てることのできる「コントロールリング」も搭載されています。
下位クラスのRFレンズだと、「フォーカスリング」と「コントロールリング」が兼用となっており、スイッチでそれらの用途を切り換えるタイプのものもありますので、「RF35mm F1.8 MACRO IS STM」が、その操作性の高さからも決して廉価版のレンズなどではないことが伺えます。
作例
35mmのハーフマクロでもある本レンズ、実際に寄って撮影してみても、ピント面の解像感は十分で色収差などもまったく見られません。マクロレンズとしての描写性能も一級品として問題ないでしょう。ちなみに、本レンズが搭載する光学式手ブレ補正機構は、角度ブレだけでなくシフトブレも高精度に補正してくれるため、近接撮影時の手ブレにも良く効いてくれます。
35mmの広めの画角でF1.8という明るさですので、ちょっと暗めな室内でも撮影はとても簡単でした。今回組み合わせて使ったキヤノン「EOS R8」は、被写体検出機能で動物の瞳を正確に検出してくれるためピント合わせに戸惑うこともありません。レンズのAF性能も良好で、最新のEOS Rシリーズとの相性は抜群に良いです。
絞りをF4としてスナップ撮影を楽しんでみました。上の2点での作例ですでにお気づきかもしれませんが、本レンズのボケ味は素直で柔らかく、とても好ましいものがあります。近接撮影だけでなく、通常の撮影距離でも普通の35mmレンズ以上の性能を発揮してくれます。本当に描写性能の高いレンズだなあと感心しきりでした。
まとめ
何かにつけて至れり尽くせりな本レンズ、”小さくて軽い” 35mmAF単焦点レンズというカテゴリーのなかでは、トップクラスのハイスペックレンズだと感じました。まさに仕様に隙がないと言ったところです。
最大撮影倍率0.5倍のハーフマクロでありながら、通常の撮影距離での描写性能も秀逸で、さらにはボケ味も操作性も申し分がないときたものですからたまりません。
これだけハイスペックでバランスの取れた単焦点レンズでありながら、焦点距離が地味なこともあってか、比較的見過ごされがちになっているような気がします。出たばかりの「RF35mm F1.4 L VCM」も素晴らしいレンズですが、7万円台という手頃な価格面を見ても、あわせてご自身のレンズ購入予定リストに加えても良いかもしれません。