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ニコン、「D3」と「D300」発表会を開催


 ニコンは23日、デジタル一眼レフカメラ「D3」と「D300」などの発表会を都内で行なった。ニコンユーザーでもあるモデルの知花くららさんも駆けつけ、会場を盛り上げた。


知花さんとD3(左)、D300(右) 発表のメインはD3とD200

司会の一人、クリス・ペプラー氏
海外からの報道関係者もつめかけた

苅谷道郎CEO兼COO
映像カンパニー木村眞琴プレジデント

映像カンパニー副プレジデントの後藤哲郎氏
司会の千野志麻氏(左)と映像カンパニーマーケティング本部長の岡本恭幸氏

ニコン初のフルサイズ、「FXフォーマット」

 既報の通り、発表されたのはフラッグシップモデルのD3と、ミドルクラスのD300。どちらもハイアマチュアからプロユーザーをターゲットとし、特にD3には同社初のフルサイズCMOSセンサーを搭載。発表会でCEO兼COOの苅谷道郎社長は「最重要の戦略商品」と位置づけた。また、「『F』、『D1』と同じように力を入れた。必ずやプロと写真を愛する皆様の期待に応えるものだと確信している」と紹介した。APS-Cサイズ相当の「DX」フォーマットに対し、「FX」フォーマットを名乗る。

 とりわけ同社が強調するのが、画素サイズの向上による「高S/N・ダイナミックレンジ」。D3の画素サイズは8.45μm。映像カンパニー副プレジデントの後藤哲郎氏は、“他社製APS-Hサイズ”の10メガピクセル・7.2μmという画素サイズを引き合いに出し、「より高いS/N、広いダイナミックレンジを実現」とアピールした。また、他社の2,000万画素クラスのフルサイズ機に対しては、「(D3は)解像度のために速度を犠牲にしない、高速・高精細を兼ねそなえ、幅広い分野をカバー」とコンセプトを説明している。 


D3が搭載する35mm判サイズ相当のCMOSセンサー
FXフォーマットのロゴ。D3の前面右下につく

画素サイズの大きさをアピール
D300のCMOSセンサー。こちらはAPS-Cサイズ相当

 D3が「プロ写真家にあらゆる条件下で最高の機能と画質を提供する」(苅谷社長)カメラである一方、D300は「コンパクト性と機動性を兼ね備え、画質・機能の最高バランスを実現した」(同)という位置付け。「FX=ハイ・パフォーマンス」、「DX=ベスト・バランス」というコンセプトをもとに、映像カンパニープレジデントの木村眞琴氏は「今後も両フォーマットが共存共栄する」と明言した。

 フルサイズ投入までに時間がかかったのは、「DXのラインナップ整備をやっている間、もちろんFXも同時に研究していた。しかし要求レベルが高いため、品質基準を達成する前のブラッシュアップに生命をかけた」(後藤氏)ためという。

 今後、中級機種以下のCMOSへの切替は「CCDというデバイスに問題があるわけでない」(同)とした。

 なお、D3にDXレンズを装着すると自動でファインダー内に視野枠が表示される設定も可能。視野枠はD2Xのような赤いラインではなく、D2Xsと同様の薄いグレー。また、DXレンズ装着時にクロップしない設定も可能。もちろんファインダー内や画像の周囲にケラレが生じるが、DXレンズの中にはフルサイズのイメージサークルに近いものもあるという。そうしたレンズの場合、わずかなケラレを覚悟すれば、クロップなしでのフル解像度記録が行なえる。


コントラストAFに対応したライブビュー

 もうひとつの特徴は、D3、D300とも同社初のライブビュー機能を備えたこと。液晶モニターはどちらも同社最大の3型にして、デジタル一眼レフカメラ初の92万画素。「ぶつける機会が増えるだろう」(後藤氏)との考えから、大サイズ化にともない、強化ガラスも採用した。

 ライブビューは「手持ち撮影」と「三脚撮影」の2モードがあり、そのうち「三脚撮影」は、AFセンサーではなく、ミラーアップしたままでイメージセンサーが得た情報をもとに行なうコントラスト検知式。一方手持ちモードは、ミラーがいったんダウンし、従来と同じくAFセンサーで測距を行なう。コントラスト検知でのAFが三脚モードなのは、ピント合わせに若干の時間がかかるため。同社ではブツ撮りなどでの使用を想定している。

 「三脚撮影」では、マルチセレクターで測距点を自由に動かすことが可能。ピント位置を拡大する機能もあり、操作は再生画像を拡大するのと同様で、背面の拡大ボタンを押しながらコマンドダイヤルを回す。拡大したままのレリーズにも対応。シャッターボタン全押しのほか、AF-ONボタンでコントラストAFを作動させることもできる。絞り込んでのプレビューもライブビューで確認でき、画面が暗くなりすぎる場合は自動で増感する。


ダイヤルを「LV」にしてシャッターボタンを押すと、ライブビューになる
「手持ち撮影」と「三脚撮影」の2モードを搭載

「手持ち撮影」時の液晶モニター 「三脚撮影」。測距位置を動かせる

ライブビュー中の拡大表示。ダイヤル操作で多段階に拡大できる

 また、液晶モニター関連では、D40/40xと同じく「情報表示」を表示可能。表示を「自動」と「手動」から選択でき、「手動」では「黒文字」(背景がシアン)と「白文字」(背景が黒)から選べる。自動の場合、レンズを通った光に合わせて黒文字と白文字が切り替わる。操作は背面左のinfoボタンを押す。D40/40xのような壁紙設定機能はない。

 画像系全般のシステムとして、「EXPEED」という名称を掲げるのも特徴。EXPEEDの概念は包括的なもので、画像処理エンジンやASICを指す言葉ではない。後藤氏は対抗心からか、「画像処理エンジンは1つだが、他社が2つ使っている同等以上を1つで実現した」と語り、会場の笑いを誘った。

 さらに後藤氏は「ピクチャーコントール」について、既存の「仕上がり設定」とはコンセプトが異なることを強調。「簡単に絵作りの選択が可能になる」、「ピクチャースタイルをはるかに凌駕する」と述べた。また、アクティブD-ライティングを「フィルムでいう覆い焼き」と表現。全体のトーンを軟調にするのではなく、適用すべき特定の箇所を自動で判断することで、白トビ回避とコントラストの維持について、昔ながらの技術をデジタルで再現したものになる。


情報表示の例。写真は「白文字」
「自動」にしておくと、条件によっては「黒文字」になる

EXPEEDのロゴ
D3の基板。ロゴをシルク印刷したチップが見える

ピクチャ―コントロールのロゴ
メニューは一見仕上がり設定に似ている

さらに細かい調整が可能
グリッド上での微調整も。カスタム設定はCFなどに保存できる

アクティブD-ライティングは「覆い焼き」(後藤氏)
メニューで効果を設定できる

AFも51点に刷新。ファインダー内表示の例(右上)とクロスセンサーの配置
D3の「マルチCAM3500FX」AFセンサーモジュール

ダイナミックAFエリアは9、21、51点から選択可能。シーン認識を使った「3D-トラッキング」も

D3の連写結果。DX時には11枚/秒に
D300はバッテリーパックで連写性能が向上

D3のシャッターユニット
ミラーバランサーを採用する

待望の「セルフクリーニングセンサーユニット」を搭載。ただしD300のみ レンズ内手ブレ補正機構「VR II」の効果をアピール。ボディ内手ブレ補正との比較

シェアトップ維持を宣言、「我々はカメラを誰よりも知っている」

 発表会で木村氏は、カメラ技術、光学技術、20年以上にわたるデジタルへの取組みを同社のコア・コンピタンスに挙げている。特にカメラ技術については、「我々はカメラのことを誰よりも知っている」と強調。これらがブランドの信頼につながっているという。また、「すでに1980年には今のデジカメに近い特許を多数出願しており、それらが布石になった」と振り返る。映像事業の売上高は1999年から4倍に伸びており、研究開発費も7年間で3倍に拡大しているという。


上半期のシェア。ニコンは約42%としている
 併せて、現在ニコン全体で推進している「ものづくり改革プロジェクト」についても触れる一方、中国やインドなどの新興市場における直販化についても報告した。近年では2005年に中国、2006年に韓国、2007年にインドと現地に販社を置いている。

 今後の展開について木村氏は、フルラインナップ戦略、交換レンズの拡大と強化、ソリューションの提供を挙げている。交換レンズはキット化、ハイエンド品の強化を行なう。また、ソリューション事業としては、インターネット事業も視野に入れているという。

 また、映像カンパニーマーケティング本部の岡本恭幸本部長は、CIPAの実績を引いて、1~6月のデジタル一眼レフカメラにおける同社の国内シェアトップ(42%、前年同期比112%増)を報告した。対して“A社”のシェアは「約38%、対前年同期比で30%増」とのこと。「ライバルは?」との質問に「ずばりC社」、「家電メーカーも強力だが、一眼レフはシステムが重要。現状は2社でシェアをとるのでは。キヤノンさんとは長年のライバル」と答える岡本氏だが、「月曜日(9月20日。EOS-1Ds Mark III、EOS 40Dの発表日)は安心した。十分戦えると僭越ながら思っている」と、笑いを交えながらも自信を見せた。一方、「プロ市場から普及機市場までのフルラインナップ戦略。すぐには追いつけないだろう」という発言も飛び出した。

 なお、コンパクトデジタルカメラについては、木村氏が一時はシェア3位(GfK調べ)になったこと挙げ、中でも「COOLPIX S500」の好調さをアピールした。


ニコン=「王道を行く」と知花さん

ミスユニバース2位で名を馳せた知花くららさん。2機種のお披露目を担当した
 マスコミへのD3とD300の初披露を務めたのは、モデルの知花くららさんだった。知花さんは大学生の時代からニコンを愛用しており、普段は旅先で会った人などを撮影しているという。ミスユニバースにももちろんカメラを持参。「べっぴんさんぞろいだったので、モデルには困らなかった」そうだ。また、「ニコンをもっていると、世界中でニコンユーザーと話が盛り上がる」という体験談も披露。

 知花さんはニコンについて「質実剛健、裏切らない、王道を行くイメージが好き」とのこと。一方で、「いい意味でユーザーを裏切って欲しい」と想いを述べた。

 また、D3のデザインを務めたジュジアーロ氏もビデオメッセージを寄せた。「作品のテーマは『彫刻』。こういったカメラには、一種の彫刻作品としての価値があります。車の世界では、多くのデザイナーがフェラーリをデザインすることを目指している。このようなカメラをデザインすることは、自分に撮っての夢の頂点に到達すること」と、D3のデザインを語った。


苅谷社長と知花さん
D3をデザインしたジュジアーロもビデオで登場

D3




ペンタプリズム
本当にISO6400以上が選べる

デザインモック ボディはマグネシウム合金

HDMI端子を搭載。ライブビューのスルー画も出力できる
最大1080iでの出力に対応(写真はD300)

D300



ペンタ部の造形とシャッターボタン周りがD200から変化 D200より丸みを帯びたデザインが目につく

AF-S Nikkor 14-24mm F2.8 G ED
AF-S Nikkor 24-70mm F2.8 G ED

左からAF-S Nikkor 500mm F4 G ED VR、AF-S Nikkor 400mm F2.8 G ED VR、AF-S Nikkor 600mm F4 G ED VR


URL
  ニコン
  http://www.nikon.co.jp/
  ニュースリリース(D3)
  http://www.nikon.co.jp/main/jpn/whatsnew/2007/0823_d3_01.htm
  ニュースリリース(D300)
  http://www.nikon.co.jp/main/jpn/whatsnew/2007/0823_d300_02.htm
  ニュースリリース(交換レンズ)
  http://www.nikon.co.jp/main/jpn/whatsnew/2007/0823_afs14-24_03.htm
  製品情報(D3)
  http://www.nikon-image.com/jpn/products/camera/slr/digital/d3/
  製品情報(D300)
  http://www.nikon-image.com/jpn/products/camera/slr/digital/d300/

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( 本誌:折本幸治 )
2007/08/23 23:13
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