ニコンは、デジタル一眼レフカメラ「D3」を11月に発売する。価格はオープンプライスだが、店頭予想価格は58万円前後の見込み。
2006年6月に発売された「D2Xs」の後継となる製品で、同社製デジタル一眼レフカメラのフラッグシップ機。報道、スポーツ、コマーシャルなどのプロユーザーと、アドバンストアマチュア層向けとされる。
D3では撮像素子のサイズを、D2XsのDXフォーマット(23.6×15.8mm)から、35mm判サイズ相当(36×23.9mm)に変更した。したがってレンズ表記どおりの画角で撮影が可能になった。同社ではこのフォーマットを「FXフォーマット」と呼ぶ。
DXフォーマットおよび画面左右を断ち落としたアスペクト比5:4(30×24mm)でのクロップ撮影も可能なほか、DXフォーマット専用レンズを装着した際には自動的にDXフォーマットにクロップされる設定も設けられる。
また、画像処理コンセプト「EXPEED」、画作り設定システム「ピクチャーコントロール」、「シーン認識システム」、アクティブD-ライティングなどの新技術を搭載するほか、付属ソフトウェアがView NXとNikon Transferに変更された。これらの新技術については別稿にて詳細をレポートする。
■ 12チャンネル読み出しのCMOS撮像素子を搭載
撮像素子はFXフォーマットで有効1,210万画素のCMOS。同社の開発による。DXフォーマットでのクロップ撮影時には有効510万画素となる。読み出しは12チャンネル。
画素ピッチは8.45μmで、広い画素ピッチを活かして常用感度ISO200~6400を実現した。拡張設定でISO100~25600での撮影も可能。
記録画素数はFXフォーマットで4,256×2,832ピクセル、5:4で3,552×2,832ピクセル、DXフォーマットで2,784×1,848ピクセル。記録形式はJPEGとRAWだが、D3では新たにロスレス圧縮RAWを出力できるようになった。
連写枚数はFXフォーマットと5:4で9枚/秒、DXフォーマット時は11枚/秒。起動時間は約0.12秒。
■ ライブビュー機能を搭載
シャッタースピードは最高1/8,000秒。シンクロ速度は1/250秒以下。シャッターユニットの耐用回数は、D2Xsの15万回から30万回に倍増となった。
AFセンサーは新開発のマルチCAM3500FX。51の測距点を持ち、うち中央部15点がクロスセンサーとなっている。測距点を11とすることも可能。
AEセンサーは1,005分割RGBセンサーで、このセンサーからの出力をAE以外にもAF、AWBに活かすことで「シーン認識システム」が実現されている。
レンズマウントはニコンFマウントで、AF駆動用のボディ内モーターも備える。
ファインダーは視野率100%、倍率は0.7倍。アイポイントは18mm。ファインダースクリーンはB型クリアマットスクリーン。
液晶モニターは3型92万画素で視野角170度。撮像素子からのスルー画を表示するライブビュー機能を搭載する。ライブビューはドライブモードスイッチで選択する。
ライブビューには「手持ち撮影モード」と「三脚撮影モード」がある。手持ち撮影では、シャッターボタンを押すとミラーダウンし、位相差AFによるピント合わせが行なわれる。三脚撮影モードは厳密なピント合わせを行なうためのモードで、画面上の任意のポイントでコントラストAFによるピント合わせが可能。
背面液晶モニターには絞り、シャッター速度などのInfo表示が可能になった。Info表示は黒文字、白文字での表示が可能なほか、周囲の明るさに応じて自動的に切り替える機能も搭載する。このほか、ボディ内の傾斜センサーの情報により、ボディの左右の傾きを背面液晶モニターに表示する「デジタル水準器」が搭載された。
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14-24mm F2.8を装着したところ
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24-70mm F2.8を装着したところ
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■ UDMAに対応
記録メディアはCF(Microdrive対応)。2つのCFスロットを備え、2つのCFを順番に使う「順次記録」、2つのCFに同じ画像を保存する「バックアップ記録」、RAWとJPEGを同時記録する際にRAWとJPEGを別々のCFに記録する「RAW+JPEG 分割記録」、さらにCF間の画像コピーが行なえる。
またCFスロットはUDMA(Ultra Direct Memory Access)に対応しており、データ転送速度がD2Xsの4倍の35MB/秒となった。
PCとの接続はUSB 2.0。新たにHDMIのType A端子を備える。
操作系では8方向マルチセレクターの中央にOKボタンが新設されたほか、プレビューボタン、AE/AFロックボタンにもファンクションボタン機能を割り当てられるようになった。
ボディ外観はイタリアのジュジャーロ・デザインがデザイン。ペンタプリズム部に特徴的な造形が施され、グリップ部の赤いアクセントの形状が変更された。
外観カバー、シャーシー、ミラーボックスにマグネシウム合金を使用。防塵防滴機能を備える。
電源はリチウムイオン充電池「EN-EL4a」または「EN-EL4」。
本体サイズは約159.5×87.5×157mm(幅×奥行き×高さ)、バッテリーと記録メディアを除く重量は1,240g。
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D3 |
D2Xs |
撮像素子フォーマット |
FX(36×23.9mm) |
DX(23.7×15.7mm) |
撮像素子 |
有効画素数1,210万画素CMOS |
有効画素数1,240万画素CMOS |
最大記録画素数 |
4,256×2,832ピクセル (DXクロップ時2,784×1,848ピクセル) |
4,288×2,848ピクセル (クロップ時3,216×2,136ピクセル) |
画角変化 |
なし |
35mm判換算で約1.5倍相当 |
ISO感度 |
ISO200~6400、拡張時ISO100~25600 |
ISO100~800、拡張時~3200 |
ファインダー倍率 |
0.7倍 |
0.86倍 |
ファインダー視野率 |
100% |
アイポイント |
18mm |
19.9mm |
測距点 |
51点(クロス15点) |
11点(クロス9点) |
最大シャッター速度 |
1/8,000秒 |
ストロボ同調速度 |
1/250秒以下 |
シャッターユニット耐用回数 |
30万回 |
15万回 |
最大連続撮影速度 |
約9枚/秒 (クロップ時約11枚/秒) |
約5枚/秒 (クロップ時約8枚/秒) |
液晶モニター |
3型、約92万画素 |
2.5型、約23万画素 |
ライブビュー機能 |
あり |
なし |
記録メディアスロット |
CF×2 (UDMA対応) |
CF×1 |
インターフェース |
USB 2.0、ビデオ出力端子、HDMI |
USB 2.0、ビデオ出力端子 |
バッテリー |
EN-EL4/EN-EL4a |
サイズ (幅×奥行き×高さ、mm) |
約159.5×87.5×157mm |
約157.5×85.5×149.5mm |
重量(本体のみ) |
約1,240g |
約1,070g |
■ URL
ニコン
http://www.nikon.co.jp/
ニュースリリース
http://www.nikon.co.jp/main/jpn/whatsnew/2007/0823_d3_01.htm
製品情報
http://www.nikon-image.com/jpn/products/camera/slr/digital/d3/
レンズ交換式デジタルカメラ機種別記事リンク集(D2Xs)
http://dc.watch.impress.co.jp/static/link/dslr.htm#d2xs
( 本誌:田中真一郎 )
2007/08/23 17:25
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