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ニッコールレンズ簡易描写性能テスト【追加】

~18-200mm、105mmマイクロなど新レンズも収録

 2005年に掲載したニッコールレンズ簡易テストであるが、予告では数あるニッコールレンズを次々掲載すると書いた。しかし、撮影は済んでいるものの原稿をまとめるのに時間がかかり、また掲載する手間も通常の記事に比べてはるかに大変であるため、以後進んでいないことをお詫びしたい。個人的なことだが、昨冬から体調が優れず、特にPCのディスプレイ画面を長時間観察するのが非常に苦痛である状態が続いている。

 さて予定では、次から3回で焦点距離28mm~50mmまでのAFレンズ群をとり上げる予定であったが、それより先に、前回掲載したレンズの中でニコンから貸し出しを受けた一部のレンズについて性能に不具合があったため(未掲載分も含む)、再度ニコンからレンズを貸し出してもらい撮影テストを行なったので、その結果を報告したい。

 また2005年の夏以降新発売された新レンズについて、手元でテストできたものについて、先に掲載することにした。これは新しくレンズを購入したいと考えている方の参考になると思うからである。

 なお、テスト方法は前回同様だが、D200やコダックDCS14nでのテストを行なったレンズもある。


AF-S DX Zoom Nikkor ED 17-55mm F2.8 G(IF)

 DXニッコールレンズの第3弾として2004年6月25日に発売になった、35mm判換算で25.5~82.5mm相当の全域F2.8大口径標準ズーム。前回テストに使用したレンズはニコンから借用したものであるが、その結果は芳しいものではなかった。

 これについてニコンからテストしたレンズの性能になんらかの不備があったと考えられるため、検査基準をクリアしている平均的な水準のレンズを再度テストしてほしいという要請があり、今回改めてレンズをニコンから借り受けて再テストを実施した。なお本レンズは、テスト用に特に性能が優れているものを選別したものではないという説明を受けている。

 実は前回のテストの中でこのレンズが一番反響があった。その内容はテストしたレンズがおかしいのでないかというものもあったが、テスト結果を見て自分のレンズだけが悪いのではないことがわかった、テスト結果に納得したという意見も少なくなかったのである。あるカメラメーカーのレンズ出荷検査担当の方からも、自分たちでテストした結果も似たようなものであったというコメントをいただいたりもしている。

 今回テストしたレンズは、D2Xではどの焦点距離も絞り開放では今ひとつシャープさが足りないが、広角端17mmをのぞいてF4以上に絞ると四隅以外は像が整い、F5.6まで絞るとほぼ画面全体に良い画質となる。これで17mm端がもっとくっきりシャープであれば、なかなか見事なレンズと言えるのだろうが、価格を考えるとF2.8開放での画質をもっと良くして欲しいところである。D70では焦点距離全域で、絞り開放から使えるレンズだと言えるだろう。今回同時にテストしたD200は、D2XとD70のちょうど中間の結果と言え、画素数の違いがレンズの評価に明確に関係することが理解できるだろう。

 このように今回のテスト結果と比較して、前回のテストしたレンズはやはり相当に良くなかったということがわかった。しかし、その前回のテスト結果に納得したという意見が少なくなかったことは、このレンズの出荷時の性能あるいは検査体制に問題があるということなのだろうか。調整が難しいレンズであるという話は聞いているのだが、いずれにしても皆さんの手元にこのレンズがあり、その描写性能に満足していないのであれば、使用しているカメラとともにニコンに一度検査を依頼したほうが良いと思う。

●簡易性能テスト
http://dc.watch.impress.co.jp/static/lenstest_add/17-55/17-55.htm
●製品情報
http://www.nikon-image.com/jpn/products/lens/dx/zoom/af-s_dx_ed_17-55mmf28g_if.htm


AF-S DX Zoom Nikkor ED 18-55mm F3.5-5.6 G

 ニコンD50と同時(2005年6月29日)にセット発売が開始された、新しい標準域のDX専用レンズ。2005年10月14日からは単体でも販売が開始された。焦点距離は17-55mm F2.8 Gとほぼ同じ18-55mm(35mm判換算では約27~82.5mm相当)だが、開放F値が暗い上に焦点距離によって変動し、望遠端55mmではF5.6しかない。その代わり小型軽量で携帯性には優れ、常用レンズに適している。価格も31,500円と安価だ。

 新開発された小型超音波モーターの採用により、AF動作は静かだし動作速度もさほど速くはないが実用上気にはならない。ただしマイクロモーター式のため、M/Aモード(AF中でもタイムラグなしにMF動作が可能なマニュアル優先オートフォーカス)には対応していない。その点も含めてもっとスペックがほしい人には、AF-S DX ED 18-70mm F3.5-4.5 G(IF)が好適な選択肢である。さらに性能がほしい人には、今は手ブレ補正機能を内蔵した常用ズームの決定版とも言えるAF-S DX VR ED 18-200mm F3.5-5.6 G(IF)がある。

 また、このレンズはD40発売と同時にリニューアルされ、AF-S DX Zoom Nikkor ED 18-55mm F3.5-5.6 G IIとなったが、変更されたのは外観のみで、光学系に変更はない。

●簡易性能テスト
http://dc.watch.impress.co.jp/static/lenstest_add/18-55/18-55.htm
●製品情報
http://www.nikon-image.com/jpn/products/lens/dx/zoom/af-s_dx_ed_18-55mmf35-56g.htm


AF-S DX Zoom Nikkor ED 55-200mm F4-5.6 G

 このレンズはD50の発売とほぼ同時(2005年6月15日)に単体販売が開始された、望遠域のズームである(35mm判換算では約82.5~300mm相当)。D50とはAF-S DX Zoom Nikkor ED 18-55mm F3.5-5.6 Gとともにダブルズームキットとして販売されている。この2本で18~200mm(35mm判換算では約27~300mm相当)という約11倍の焦点レンジをカバーすることができることになる。

 望遠系ズームとしては小型軽量で、新開発された小型超音波モーターの採用により、AF動作は静かだ。ただしAF動作はもわっとした感じで、AF-S DX ED 18-55mm F3.5-5.6 Gと交換して使うとAF動作感にかなり違和感があるのが非常に気になる。またM/Aモード(マニュアル優先オートフォーカス)にも対応していない。

 このレンズはボディ駆動にしたほうが、AF動作をはるかに高速にできたのではないだろうかと思うのだがどうだろうか。たしかに量販店などの話では、今はモーター内蔵レンズの方がはるかに売れ行きが良いのだそうである。そうした点も反映させてAF-S仕様としたのだろうが、M/A切り替え可能なタイプのAF-S望遠系ニッコールレンズが皆すばらしく高速なので、そのイメージでこのレンズを選ぶと失望するだろう。

●簡易性能テスト
http://dc.watch.impress.co.jp/static/lenstest_add/55-200/55-200.htm
●製品情報
http://www.nikon-image.com/jpn/products/lens/dx/zoom/af-s_dx_ed_55-200mmf4-56g.htm


AF-S DX VR Zoom Nikkor ED 18-200mm F3.5-5.6 G(IF)

 このレンズはD200と同時発売された(2005年12月16日)、DXフォーマット初の標準域高倍率ズームである。発売と同時に圧倒的な人気となり、生産が追いつかずに納期待ちという状態が続いている。

 それも当然であろう、35mm判換算約27~300mm相当の約11倍の高倍率ズームレンズながらズーム全域で最短撮影距離0.5mまで近接可能であり、同時にM/Aモード(マニュアル優先オートフォーカス)対応可能な超音波モーターによってピント合わせは静粛かつ迅速である。手ブレ補正機能(次世代手ブレ補正機能VR II)はシャッタースピード約4段分相当と世界最高性能レベル。EDレンズ 2枚、非球面レンズ 3枚採用のハイレベルな光学系に、円形絞りの採用で描写性能にもこだわっており、その上サイズも18-70mm Gレンズよりわずかに太くて約2cm長いだけというコンパクトさである。

 元々35mm判でも28~200mmあるいは28~300mmというのは、売れ筋の焦点距離であり、DXフォーマットでは18~200mmはレンズメーカーが先行して人気となっていた。そこにスペック的に現在考えられるすべての技術を投入したといって良い、つまり高倍率ズームによる利便性、超音波モーターよる使いやすさ、光学系の高い性能を支援するVR II機構の搭載と、ニッコールらしい妥協のないレンズ作りを感じさせる傑作レンズが登場したのである。人気が集中するのは当たり前である。

 このレンズは発表と同時に量販店に予約し、幸運にも発売日に入手することができた。その性能の高さは期待通りで、即座に私の主力レンズとなり現在にいたっている。特にD200とは重さやサイズの点からベストマッチだ。もちろん手元のD2XでもD70でも、不満なく使用できる。使用上の注意としては、D200やD70/D50の内蔵ストロボでは、広角時の近距離撮影でレンズ先端部に光が遮られるので、SB-600などの外付けストロボを使用することが必要である。

 今回のレンズテストは、D2X、D70に加えてD200での結果も追加しておいたので、参考にして欲しい。

●簡易性能テスト
http://dc.watch.impress.co.jp/static/lenstest_add/18-200/18-200.htm
●製品情報
http://www.nikon-image.com/jpn/products/lens/dx/zoom/af-s_dx_vr_ed_18-200mmf35_56g_if.htm


AF-S VR Micro Nikkor ED 105mm F2.8 G(IF)

 世界で初めて手ブレ補正機構をマクロレンズにも内蔵した革新的レンズ。35mmフルサイズ対応で、DXデジタル一眼レフで使用する場合には約157.5mm相当の望遠マクロとなる。単体で等倍までの撮影が可能で、最短撮影距離0.314mである。

 手ブレ補正機能VR IIはシャッタースピード約4段分相当の手ブレ軽減効果を実現するという(ただし無限遠~約3mまで)。また流し撮りはセンサーが自動検出する。現時点ではもっとも性能が高い手ブレ補正システムである。

 またニッコールの105mmマイクロレンズでは、初めて内焦(IF)タイプとなったほか、Gタイプとなって絞り環がなくなった。これは少し残念で、超音波モーター対応のカメラでも絞り環がないために絞り優先AEでの使用ができない機種がある(ニコンF4やF90など)。

 レンズ性能についてはニコン独自のED(特殊低分散)ガラスによる色収差の補正とともに、良好なボケ味が得られる円形絞りを採用。そしてこのレンズは、ニッコールではAF-S VR Nikkor ED 300mm F2.8 G(IF)についで2本目となるナノクリスタルコート(Nano Crystal Coat)を採用した。高度な反射防止レンズコーティング技術により、ゴーストおよびフレアーを低減し、優れた光学性能と描写性能を発揮するという。レンズ銘板に描かれたNのマークはこのナノクリスタルコートを使用したレンズを示している。

 このような性能の高さから、このレンズはTIPA ヨーロピアン・フォト・アンド・イメージング・アワード 2006において、TIPA ベスト プロフェッショナルレンズ 2006を受賞している。

 すでに様々な被写体を撮影しているが、マイクロニッコール初の超音波モーター搭載によるピント操作性の迅速さと正確さ、またMF切り替えの容易さといった操作面のすばらしさは申し分がない。手ブレ防止機能の効果もしっかり実感できる。そしてなによりピント面がきっちりシャープで、前後のボケ味がとても美しいその撮影結果の良さには文句なしに満足している。本当にすばらしいレンズだ。しいて難を言えば、従来のAFマイクロニッコールに比べ、鏡胴部がかなり太くなってしまったことであろうか。

 このような見事なレンズを手にすると、DXフォーマット対応の小型コンパクトな35mm判換算90~105mm程度のマイクロレンズがほしくなる。もちろんM/Aモード対応のAF-S仕様でVR IIを搭載してほしい。

 今回のレンズテストでは、特別にニコンFマウント対応のフルサイズデジタル一眼レフ、コダックDCS14nでの撮影結果と、ニコンD200での撮影結果も参考として掲載する。どのカメラでの撮影結果も、絞り開放から最周辺部までシャープで均質な画質といえ、このレンズの圧倒的なパフォーマンスを実感できる。

●簡易性能テスト
http://dc.watch.impress.co.jp/static/lenstest_add/105/105.htm
●製品情報
http://www.nikon-image.com/jpn/products/lens/af/singlefocal/telephoto/af-s_vr_micro_ed_105mmf28g_if.htm



URL
  ニコン
  http://www.nikon.co.jp/

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( 根本 泰人 )
2006/12/06 01:20
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