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【インタビュー】D200とニコン デジタル一眼レフのこれから

〜ニコン後藤統括部長に聞く

 いよいよニコン待望のハイアマチュア向けデジタル一眼レフカメラ「D200」が発売された。前モデルのD100から約3年半、いつ登場するのかと心待ちにしていたニコンファンもいることだろう。

 実際のD200は単に高画素化が図られただけでなく、上位機種のD2Xよりも拡大率の高いファインダーや多彩な内蔵ストロボモード、マグネシウムの剛性感あふれるボディ、切れ味の良いシャッターとその作動感など、実にマニア心をくすぐり、ユーザーの感性に訴えるメカニズムを備えている。

 ニコンのデジタル一眼レフカメラ開発に携わり、現在はカメラ開発全体を統括するニコン執行役員映像カンパニー開発統括部統括部長の後藤哲朗氏に、D200とその開発の背景などについて話を伺った。

 なお、製品に採用されている具体的な技術などについては、別途、開発陣へのインタビューを掲載する予定だ。


ニコン執行役員、映像カンパニー開発統括部統括部長 後藤哲朗氏
−− D200は前モデルから3年半もの時間を空けての登場となりました。その間、D70、D70s、D50と低価格化の方向へとアマチュア機を広げてきたわけですが、このうちD70sに関しては今回のD100とユーザー層が重なる部分もあるでしょう。D200の企画を練るにあたって、どのような位置付けとなることを意識しましたか?

後藤 D200に関しては比較的広い守備範囲を持っていると考えています。ひとつはハイアマチュア層に向けて満足していただける機能を提供しているということがありますが、アマチュア層を飛び越えてD2シリーズともオーバーラップする機能と性能を盛り込めました。その一方で、中級機にふさわしいコンパクトさと低価格も実現しています。

−− PMA2005のインタビューでは、コンパクトなD2Xは出さないのか? といった話題で話をしました。D200は、まさにコンパクトなD2Xのテイストに見えます。こうしたニーズはユーザーの間に強かったのでしょうか?

後藤 コンパクトで軽量なD2Xというニーズは、日本だけでなく海外のユーザーからも声が上がっていました。具体的にはD2Xのサブ機として……ということですが、実際にはD200をプロ機として使う方も多いでしょう。F100という銀塩カメラがありますよね。F5は大きく重かったため、F100はアマチュアだけでなくプロの間でも多数愛用者がいました。

−− シャッターの切れや作動感がD2Xと似ていると思っていたら、シャッターやミラーなどのメカ部分は90%以上が共通と言われて驚きました。しかしいくら量産ベースに乗せるといっても、メカ部分にプロ機と同じものを使えばコスト面でかなり厳しいはずです。最初からD2シリーズのメカを流用することを決めて開発していたのでしょうか?

後藤 もちろん。確かにD2シリーズのメカはコスト高です。そのまま作って搭載していたのではD200の価格は実現できません。そこで同じスペックの部品を、より簡単に製造できるように生産ラインへの実装に工夫を施し、D2のメカを量産できる体制を整えて行なったのです。量産体制さえ築くことができれば、部品共用化によるコストメリットも出てきます。D2だけでなくF6も含め、トータルでのコスト低減を図りました。

−− ということは、部品としての機能や性能は維持しながら、生産性を向上させることで中級機にも搭載できたということですね。それによる弊害はありませんか?

後藤 ありません。部品としては同じ設計、同じスペックです。ただし、D70sなどと比べると、少しカメラが大きく、重くなってしまいました。元々、プロスペックを満たすために設計されたものですから、この部分に関してのみ言えばマイナスかもしれません。またコストの低減は本当に大変でした。日本でひとつひとつをセル生産していたものを、タイのベルト生産に実装し、品質も同等にしなければなりません。


−− サイズに関しては、ファインダー倍率やストロボ内蔵などの点を考えれば、むしろコンパクトと言えるのではないでしょうか。むしろ縦方向に適度なサイズがあるため、グリップ感は良いように感じます。

後藤 必要な部品を入れていけば、必然的に中身の容量は決まります。増えた容量は縦に少しのばして持ちやすくしようというコンセプトは以前から持っていました。

−− すでに発表後の反響もあるでしょうが、狙い通りの反応を感じていますか?

後藤 プロユース、アドバンストアマチュアといった層の方々には大変好評のようですが、日常的に写真を仕事で撮影する方々、たとえば取材で写真を撮る人たちの普段使いのカメラとしても使ってほしいですね。

 我々の中級機に対する気持ちは以前から変わっていません。これはD70sも同じですが、写真を撮影する道具として使いやすいものにしたいということです。そのためには単にデジタル部にコストを集中させるだけでは良いバランスの製品とはなりません。おととしぐらいまでは、センサーやプロセッサ、メモリなど、カメラのデジタル部がコスト高で、メカとしてのカメラの設計自由度はとても低かったんです。

 その結果、画質は満足できるのだけど、以前に使っていた銀塩カメラよりもフィーリングに劣る、カメラとして物足りないものにならざるを得なかった。その制約が少し緩和したところで、カメラらしさを出そうと思って開発したのがD70でした。

−− つまりD200はD70の時から、さらにデジタル部のコスト構成比率が下がったことで、思い切りカメラのメカ部分にコストをかけられたということでしょうか?

後藤 そうですね。もちろん、デジタルカメラである以上、デジタル部の性能・画質が良くなければなりませんが、コスト配分をメカの方向に持って行けた結果、D2Xにも通じるフィーリングと機能・性能を持つ製品にすることができました。

−− D200は20万円を切る実売価格ということもあり、D70sと迷うユーザーもいるのではと思います。D70と迷っているユーザーに対して、D200のセールスポイントはどこになるでしょう?

後藤 ここ一番で威力を発揮するファインダーの見やすさ、レスポンスの良さでしょうか。D70はファインダー像が小さく、ここをなんとか改善してほしいという声が多かったのですが、今回はそうした声に対応できたと思います。また、実際に製品を手にして、グリップの持ちやすさ、重心位置の良さから来る重量バランスなど。20万円のカメラですから、画質がいいのは当たり前ですが、メカとしてのカメラらしさも重視している点に注目していただければと思います。

 また、価格に関しては安売りしようとしているわけではありません。コストダウンを図った結果、適正な価格設定を行なったつもりです。D200の中級機という位置付けを考えれば、20万円を切らなければ適正価格とは言えないでしょう。


−− 以前にお話を伺った時、フルサイズにも大きな興味を持っているとの話がありました。プロ向けはDXフォーマットで良いけれど、趣味でカメラを使うアマチュアに対してはフルサイズセンサーを、という趣旨だったと思いますが、D200をフルサイズ機にする案はなかったのでしょうか?

後藤 キヤノンのEOS 5Dは、あの価格でフルサイズセンサーというのは、他社ながら立派ですね。キヤノンはとても上手なタイミングで、かゆいところに手が届く製品をピンポイントで提供します。質問についてですが、アマチュア用途もプロ向けも、フルサイズセンサーでどのような製品が作れるのか研究中です。どのような形で製品化するのが良いのかも含めて検討しています。

−− その答えはDXフォーマットを発表以来、一貫してニコンが話してきたことですが、以前と現在では状況が異なるでしょう。たとえばPMA2005当時と現在とでは、フルサイズセンサー機開発のステータスに変化はあるのでしょうか?

後藤 変化はしています。しかし、どの段階まで進んでいるかは申し上げられません。市場の皆様はフルサイズセンサーを搭載したフルラインナップは必要だと仰っているようです。しかしニコンは素晴らしい性能のDXフォーマット専用レンズを提供していますから、DXとは異なるコンセプトをキッチリと打ち出せる製品でなければ ならないと考えています。

−− イメージサークル周辺の倍率色収差や減光など、フルサイズ化により光学的な面で不利になる部分は、将来的に解決できるでしょうか?

後藤 デジタルですから、周辺減光に関してはデジタル処理でなんとかできると思います。やろうと思えば、デジタル処理で実に様々なことができます。しかし、なんでもかんでもカメラ内のデジタル処理で補正すれば良いかと言えば、そこまでするのはカメラの領分ではないと思います。たとえば、周辺部の像の流れなどは、レンズがキッチリと性能を出さなければなりません。

 デジタル時代への対応という意味では、ニコンはDXレンズで周辺の流れがないレンズをラインナップしています。これもDXフォーマットでセンサーサイズを統一しているからこそできることです。隅から隅まで高画質を求めるならば、DXレンズを選んでいただけます。


−− DXフォーマット採用のデジタル一眼レフカメラは、これでひと通り揃いました。そのラインナップには満足してますか?

後藤 まだまだですね。フィルム時代と同じように多種多様な選択肢がなければだめです。また価格もまだまだ高い。手軽に購入できるカメラから、高性能な製品まで、ニーズに応じて様々な価格帯から選べるようにしなければと考えています。

−− D70sとD50は比較的近い価格帯で並立していますね。製品の切り口を変えることで、同じ価格帯で横方向に品種を展開する考えはありますか?

後藤 やってみたいですね。しかし、現在は市場調査中で明確な答えは出ていません。頭の中にアイディアはありますが、横展開の企画はどれが当たるかわかりませんし、結論が出るまでには時間がかかるでしょう。

−− そうした横展開アイディアのひとつがフルサイズ機ということになると思いますが、一方でD200をDXフォーマットで発売するという決断は、コスト面や最近のレンズラインナップからしても、見識のある良い判断だったとも言えるでしょう。フルサイズにはフルサイズの良さがありますが、DXにはDXの良さがあります。

後藤 DXフォーマットはカメラユーザーの中に定着し、市場の認知も進みました。DXフォーマットぐらいのセンサーサイズは、性能とサイズのバランスでリーズナブルです。価格、サイズ、それらを考えた上での結論は、今でもDXフォーマットだと思います。

−− ではなぜフルサイズにもニーズがあると考えているのでしょう。

後藤 焦点距離や被写界深度の感覚や銀塩カメラと併用したときの感覚では、DXフォーマットが不利だとは言われていますね。また、センサーサイズが大きいということは理論上ではメリットを内包しています。当社のDXラインナップは、そうしたことは十分に承知した上での判断なのです。


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( 本田雅一 )
2005/12/19 16:33
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