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【PMA 2005】D100後継は、D2Xの下克上に

〜ニコン 後藤哲朗ゼネラルマネージャーインタビュー

後藤哲朗氏
 今月25日に、いよいよデジタル一眼レフカメラのフラッグシップD2X発売日を控えるニコン。同社製デジタル一眼レフカメラの今後と市場動向などについて、米国オーランドで開催中のPMA 2005会場で話していただいた。

 話を伺ったのは、デジタルカメラ全般の開発を統括する執行役員、映像カンパニー開発統括部統括部長兼第一設計部ゼネラルマネジャーの後藤哲朗氏。


ニコン・デジタル一眼レフカメラ、5つのラインナップとは?

 Photokina 2004の時にニコン常務取締役兼上席執行役員、映像カンパニー副プレジデントの富野直樹氏に話を伺った時、最も強い印象を受けたのが、ユーザーニーズに合わせてデジタル一眼レフカメラだけで5つのラインナップを持つと話したことだった。D2XとD2Hsを別々に考えるとあと1シリーズ、いっしょと考えれば2つの新シリーズが必要になる計算だ。

 少ししゃべりすぎたかな? 部下から怒られちゃったよ、と笑う富野氏は全く悪びれたそぶりを見せない。しかし今考えても5つの製品ラインナップというのは、なかなか難しく思えてならない。

−−Photokina 2004のインタビューでは非常に短時間で詳しいところにまで掘り下げることができませんでしたが、もう一度、5つのラインナップの意味について伺ってもいいでしょうか?


後藤 もう少し詳しく話をしますと、ユーザーセグメントは3つしか考えていません。プロフェッショナルを中心としたハイエンド向け、その次にアマチュアカメラマン向け、それに一般ユーザーの裾野を拡げるためのローエンド製品です。

 デジタル一眼レフカメラ市場に対して、我々はかなり前向きでアグレッシブに開発を進めていますから、それらをひとつひとつカウントすると、確かに5つの製品がある、ということになります。

−−単に3つのユーザーセグメントを埋めるだけならば、発売日が間近に迫ったD2Xと発表したばかりのD2Hsでプロフェッショナル層を、D100でミッドレンジ層を、D70でエントリーユーザーをカバーできます。それ以上となると、何がどのような製品が必要でしょうか?

後藤 ユーザーのニーズは実に多彩ですから、それらに対して可能な限りフレキシブルに対応していきたいということです。お客様のニーズがあるところには、そこにきちんとフィットする製品を作りたいと考えています。

−−それはどのような位置付けの製品でしょう?

後藤 エントリーレベルの製品は、必ずしもひとつである必要はないと思います。まだ何もアナウンスは出来ませんが、D70よりも安価で手軽な製品になります。エントリークラスと一言で言っても、たくさんのユーザーがいらっしゃいます。銀塩一眼レフカメラからデジタルへと移行する方、一眼レフカメラそのものがはじめてというお客様など、色々な方がいらっしゃいます。

−−つまりエントリークラスの中でも、特に価格を意識した製品ということですね?

後藤 デジタル一眼レフカメラが欲しいけど、もっと値段がこなれたものが欲しいという声には応える必要があるでしょう。我々としても、もっと手軽に一眼レフカメラを持ち歩きたいという人に、一眼レフの形式のままで価格も安い製品に挑戦したいとは思っています。D70のスタート価格は15万円でした。これではまだまだ高いですよね。


機能と価格で製品ラインを作るのは時代遅れ

−−価格を安くするとなると、ターゲットとするユーザーを絞り込んで、そこに最適な製品を作り込まなければ、中途半端な製品になりやすいですよね。どのようなユーザーをターゲットにしているのですか?

後藤 単純に安いだけの製品は絶対に作りません。対象ユーザーが価値を感じてくれる要素をきちんと入れた製品になります。ただ現時点で、どういったユーザーが対象、ということは、製品と直接関係することなのでここでは明らかにできません。

 ニコンは対象ユーザーをこれまでの単純なひとつのピラミッドで分けるのではなく、カメラの使われ方で切り分けるセグメンテーションを行なっています。以前の一眼レフカメラは、フラッグシップがあり、その機能や性能を徐々に安価な製品へと投入してラインナップを構成する。そうした製品の企画はもう時代遅れです。購入していただけるお客様に対して、きちんとフォーカスすること。それは価格の問題だけではなく、ユーザーが求める価値です。価格だけでその価値は評価できません。

−−D2Xが発売目前となった今、製品ラインナップで気になるのは、やはりD100の次ですね。かれこれ3年近くになるD100ですが、後継機の計画はどのようになっているのでしょう。正直に言えば、このPMAでの発表を期待していたのですが。

後藤 もう少しだけ待ってください。D100クラスのカメラは、ニコンの得意な分野です。開発側としては、部分的にはD2Xを喰ってもいいという気持ちで作業しています。デジタルの時代はどんどんデジタル部の性能が上がっていきます。上位機種との明確な区分を決めて開発をしていては、お客様にとって魅力的な製品を作ることは出来ません。D2XとD100後継機には発売の時間差がありますから、その時間分の技術的な進歩はきちんと盛り込んで行きますよ。社内の都合だけで性能格差を付け、シリーズ化してもユーザーには受け入れられません。

−−操作の互換性、たとえばD2Xのサブ機として持ち替えながら併用しても、違和感のない製品になるのでしょうか?

後藤 D70が登場した時、D100を下克上したと言われましたね。D100後継も、D2Xの下克上と言われるぐらいの製品になるでしょう。少なくとも開発する側は、そのつもりで作っています。もちろん、操作系も工夫して、D2Xとの持ち替えで違和感のないようにしますよ。


−−そこまでの性能を目指すのであれば、感覚的な部分、端的に言えば撮影時にシャッターを切る事に快感を得られるような、感性に訴える部分も優れていて欲しいと思うユーザーが多いでしょうね。

後藤 そこの部分は、とても大切だと考えています。やはりシャッターのキレ、レスポンス、ボディの剛性感やグリップの握りやすさなど、D100の後継機種は利用者が受ける使用感、爽快感にもきちんと配慮していきます。

−−とはいえ、D2系にはD100系列では得られないファインダーの見え味などさらなる+αがあります。D2Xに50万円を投じるユーザーの中には、D2Xの持つメカニズム面での性能、それはファインダーであったり、様々な操作に対するレスポンスだったり、ファインダー消失時間であったり、あるいはバッファ量だったりするでしょうが、そうした部分をキープしつつ、別の面でやや性能を落とし軽量化や小型化を行った製品を望む人も多いのではないでしょうか。ニコンは多くのハイアマチュアユーザーを抱えていますし、もっと機動力のあるD2Xの派生版があれば飛びつく人も多いのでは?

後藤 もちろん、そうした製品があってもいいですね。しかし、ハイエンド機を求めるユーザーのニーズというのは、実に多彩ですから、なかなか大変ですが、我々の製品を使っていただいているユーザー層に、そうした製品を求める声があることは認識しています。


レンズ展開の今後

−−レンズに関してはいかがでしょう。超音波モーター化やDXフォーマット対応など、さまざまな面で過渡期にあるように見えます。

後藤 新しいレンズには超音波モーターを積極的に導入しています。安価なレンズから高価なレンズまで、あらゆるレンズを超音波モーターが拡がっていくでしょう。同時進行とはなかなか行かないのですが、ズームレンズのラインナップが揃ってきてから、単焦点レンズに関しても超音波モーターに取り組みたいとは思います。

 もうひとつ、デジタル対応という面では、D1やD1Xといったプロフェッショナル向けカメラを使っているユーザーのニーズを満たす事から順に取り組んできているため、DXレンズは高価な製品ばかりです。DXレンズの今後の課題は、それを安価なレンズにも拡げていくこと、それにバリエーションを増やしていく事だと考えてます。

−−17mmスタートぐらいの標準ズームで手ぶれ補正付き、といったレンズがニコンのラインナップにはありませんね。

後藤 たとえばですが、手ぶれ補正レンズなど欲しいと思う焦点域に順に投入していきたいですね。ただし通常の135フォーマット用レンズもメンテナンスをしていく必要がありますし、具体的な計画はなかなか言えません。順次、努力をしていく形になるでしょう。そのほかPCレンズ(パースペクティブコントロールレンズ)のDXフォーマット版が欲しいという声も頂いていますから、いつかは投入したいと思っています。

 もっとも、従来と同じスペックでアップデートされていないレンズでも、どんどん要求精度などは上げていて、最近のものと数年前のものでは精度や解像度の基準が異なっています。従来のレンズがそのまま使えますから、真ん中だけお使いくださいというのではダメだと思います。センサーが小さい分、レンズに対する基準が厳しくなっているのですから、それに合わせてカタログではわからないところで品質は上がっているんです。

−−フルサイズセンサーへのニーズも一部にはあると思いますが、たとえば10年後でもDXフォーマットが主流のままだと思いますか?

後藤 確かにフルサイズセンサーのニーズは我々も認識しています。しかし、すでにDXフォーマットでも非常に高い画質を実現できています。また10年後も、まだDXフォーマットが主流でしょう。強いニーズがあれば別ですが、実際にはAPSサイズのデジタル一眼レフカメラに合わせ、最適化したレンズにすれば、十分に高い性能を引き出せるからです。銀塩時代はフィルムサイズが規格で決まっていましたからサイズは変更できませんでしたが、DXフォーマットに最適化したレンズがあるならば135フィルムのサイズである必要はないと思います。


国内年100万台超は遠くない

−−デジタル一眼レフカメラの市場は急激、少々怖いぐらいに伸びていると感じているのですが、やや過熱が過ぎないでしょうか? たとえば2年後を考えるとき、急激な成長の減速があると過度の価格競争に突入してしまうかもしれません。

後藤 確かにそうした懸念はあるかもしれません。2年といったレンジで可能性はあるでしょう。しかし現状を見ると市場からより良いデジタル一眼レフカメラのニーズがあり、市場規模は伸び続けています。これは我々でコントロールできるものではありません。的確にニーズのある製品を出していく事で、少しづつ伸ばしていきます。

 もうひとつ、ニコンのデジタル一眼レフカメラに関して言えば、長く飽きずに使っていただけるものになっていると思います。また、ニコンキャプチャといったソフトウェアも提供し、カメラだけでなく撮影後にも奥深い楽しみがあります。2年、3年と長く使っていただいているお客様が多いため、さほど“過熱感”はニコンのデジタル一眼レフカメラにはありません。

−−ワールドワイドでデジタル一眼レフカメラの40%程度のシェアを取るという話がありましたが、ライバルも相当に強気の予測をしているようです。国内100万台超という、銀塩時代の最盛期と同等の市場規模へ成長するとの話もありますが、ニコンは今後の市場拡大をどのように予測していますか?

後藤 40%という数字は“これぐらいは必ずキープします”という最低線の目標です。この数字は間違いなく達成できるでしょう。今年、だいたいワールドワイドでデジタル一眼レフカメラが400万台超と言われています。国内100万台超は今年は難しいでしょうが、数年のレンジでは達成されるでしょうね。

−−各社が発表している数字を積み上げていくと、とんでもなく大きな市場になってしまいます。ニコンの数字にキヤノンの言うシェアを合わせると、残りはほとんどゼロになってしまいます。

後藤 どの数字がどう、という事は話せませんが、おそらくニコン、キヤノン以外のメーカーも10%程度のシェアは取るのではないでしょうか。それぞれのメーカーが、それぞれの特徴を活かした製品作りをすれば、市場全体を活性化させることができるでしょう。また、フォーサーズでオリンパスと松下電器が提携しましたが、松下電器のような家電に強いベンダーが、我々光学機器ベンダーとは異なる発想のカメラを作れば、そこで今とは異なる新しいユーザーがデジタル一眼レフカメラに目を向けるようになるかもしれません。現在は、そうして各社がそれぞれに新しい市場を開拓していく時期でしょう。


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【Photokina 2004】
ニコン、デジタル一眼レフで40%のシェア獲得をめざす(2004/09/30)



( 本田 雅一 )
2005/02/23 00:05
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