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富士フイルム、FinePix 10周年記念モデル発表会を開催

~ワイドダイナミックレンジ技術の詳細など説明

10周年を記念して展示された歴代FinePix
 富士フイルムは24日、デジタルカメラ「FinePix」シリーズ新製品の発表会を東京 六本木の同社内で開催した。

 発表されたのはFinePix S100FS、F100fd、S8100fd、J50、J10の5つ。それぞれの詳細なスペックなどは各機種の記事を参照されたい。

 発表会では、電子映像事業部商品部長の守内篤氏が各機種の概要を、同事業部営業部長の三ツ木秀之氏が世界市場でのマーケティング戦略を、富士フイルムイメージング代表取締役社長の杉原和朗氏が国内販売戦略を説明した。


S100FSはネイチャーフォト向け、F100fdは思い出撮りNo.1コンパクト

S100FS
 FinePix S100FSは「ネイチャーフォト向けロングズームデジタルカメラ」とし、「リバーサルフィルムで作品撮りをしてきたフォトグラファー、写真愛好家向け」に、4種のフィルムシミュレーションモード、従来比4倍のワイドダイナミックレンジ、レンズ交換不要でダストフリーで使える28~400mmの高倍率ズームレンズ、マルチアングル液晶モニター、拡張性を備えたカメラと紹介した。

 S100FSは、すでに一眼レフカメラを持つネイチャーフォト派をターゲットに、「2台目の一眼」として訴求していく。


大型のモードダイヤルとコマンドダイヤル1つを装備。ペンタ部にはホットシューを備える 前面にはシンクロターミナルがある。同社らしく、営業写真館も想定ユーザーに入っている

バッテリー
xDピクチャーカードとSDHC/SDメモリーカード兼用のスロット

内蔵ストロボはかなり高くポップアップする
フードにはPLフィルターを操作するための穴が開く

液晶モニターは上は90度まで動く
下は45度まで

フィルムシミュレーションモードの設定画面。「PROVIA」はスタンダードな画作り。各モードのダイナミックレンジやカラーなどのパラメーターが左上に表示されているが、ここからユーザーがパラメーターをアレンジすることはできない
鮮やかな「Velvia」

落ち着いた「ASTIA」
「PORTRAIT」は人物撮影向きで、プロ用カラーネガの発色に近づけた

カラー、トーン、シャープネスは個別に設定することもできる
ダイナミックレンジの設定メニュー

F100fd。レリーズボタンの横に電源ボタンがあり、その横にIr Simpleに対応した赤外線通信ポートがある
 F100fdは「最高峰のF、史上最強の最高画質コンパクト」として開発したとし、「旅先の風景撮影に最適なワイドダイナミックレンジ」と28mmから始まる手ブレ補正付きの5倍ズームレンズ、顔検出速度や範囲が強化された「顔キレイナビ」をアピールした。特にワイドダイナミックレンジについては、「広角側の28mmでは、(従来の)36mmよりも明暗がより多く混在するので必須」とした。

 国内では「子ども撮りNo.1コンパクト」として販売された前機種のF50fdに対し、F100fdは旅先などにも撮影領域を広げ、「思い出撮りNo.1コンパクト」として訴求していく。


背面には十字キー兼ホイールダイヤルを装備
バッテリーとメモリカードスロット

上下さかさまの顔でも検出できる
顔キレイナビの性能向上には、顔データの増量と、顔チップの改良が貢献

S8100fd
 S8100fdは、「最強のロングズーム機」とし、S8000fdの撮影性能向上版と位置付け、「レンズ3本ぶんの撮影領域を1台に集約したカメラ」とした。画素数や最高感度の向上、ズームアップ3枚撮りやねらい撮りズームなどの高倍率ズームを活かす新機能を紹介した。

 エントリーモデルとして新設されたJシリーズのうち、J50は「旅行やスナップのために5倍ズームレンズや2.7型液晶を備えた」とし、J10は「スリムでスタイリッシュでシンプルな持ち歩きカメラ」とした。


S8100fdのモードダイヤル。「ズームアップ3枚撮り」ポジションが設けられている
単3乾電池4本で駆動する

メモリカードスロット
「ねらい撮りズーム」の画面。青い枠の内側だけが撮影される。フレームの外側が見えるので、高倍率時にも被写体を見失いにくい

「ズームアップ3枚撮り」の画面。中央の青い枠が2倍、その外が1.4倍の撮影範囲。等倍を合わせて3つの倍率のズーム画像を1度に撮影できる
ズームアップ3枚撮り時に顔キレイナビがONになっていれば、ズーム位置を顔に合わせてくれる

S5 Proとは異なるダイナミックレンジ拡大技術

 S100FSとF100fdに搭載されているワイドダイナミックレンジ技術は、カメラがシーンに応じて最適なダイナミックレンジを設定する「AUTO」のほか、「100%」、「200%」、「400%」をユーザーが選択できる。400%時には2EV程度のダイナミックレンジ拡張効果が期待できるという。

 デジタル一眼レフカメラのS5 Proと同じような機能だが、その実現の仕方は大きく異なる。S5 Proでは撮像素子にスーパーCCDハニカムSRを採用し、高感度なS画素と広ダイナミックレンジのR画素で得た画像を合成することでダイナミックレンジを広げている。

 一方S100FS/F100fdでは、撮像素子としてスーパーCCDハニカムHRを採用。白トビを抑えるために露出をアンダーに振り、撮影後に暗部を持ち上げ、色ノイズを除去する。暗部処理に、CCDハニカムHRとリアルフォトエンジンIIIの高感度特性/耐ノイズ性が活かされているという。

 露出アンダーでも暗部の情報を残すために、S100FS/F100fdではワイドダイナミックレンジを利用する際にはある程度感度を高める必要がある。そのためS100FSでは、400%を設定するとISO400以上に、200%に設定するとISO200以上に設定される。また200%以上のダイナミックレンジを設定しているときに感度を下げると、自動的にダイナミックレンジがAUTOに切り替わる。F100fdでは、200%以上のダイナミックレンジを選択すると、ISO200または400以下の感度が選択できなくなる。


ダイナミックレンジの比較。右がF100fd、左はF460。ワイドダイナミックレンジを装備していないF460では背景の富士山が白トビしてしまう
ワイドダイナミックレンジは新開発のCCDとノイズリダクション機能で実現

 また、第8世代に進化したスーパーCCDハニカムHRは、フォトダイオードから出力された信号を増幅する出力アンプでのノイズを低減。デジタルカメラのノイズのほとんどは出力アンプで発生するとしており、ここでのノイズをS100FSで約20%低減したという。

 また、S100FSでのみ処理が高速化され、連写速度の向上に寄与している。CCDの高速化技術には、フォトダイオードからの信号が通る転送路を2チャンネルに増やすなどの技術があるが、スーパーCCDハニカムHR VIIIでは1チャンネルのまま、高速に駆動することで転送速度を向上。画像処理系に入る手前でチャンネルを2つに分岐させ、2つの処理系で並列処理することで、高速化している。ただし2つの画像処理系は1つのチップに集約されており、小型で消費電力も低くできたとしている。


第8世代スーパーCCDハニカムは高速化とノイズ低減を図った
転送路を途中で2つに分岐させ、駆動速度を上げることで処理速度を向上させた

写真の総合メーカーならではの提案を

 守内氏は2008年がFinePixの10周年記念の年であることに触れ、10周年記念モデルとなる新製品を「気持ちも新たに思いを込めて開発した」とした。また「FinePixシリーズはワイドダイナミックレンジを手に入れて、新たな進化を始める。今後も一味違う、存在感のある商品を開発し続ける」とした。

 三ツ木氏は、2007年のデジタルカメラ出荷台数が全世界で1億台を超える見通しとのCIPAの統計を発表。2008年もBRICs等の新興市場が拡大傾向にあるため、出荷台数は1億2,000万台と予測。「1億台を超える工業製品は、ほかにTVや携帯電話がある。デジタルカメラはこれらに並ぶ巨大市場に成長した」と述べた。

 また世界市場の動向を「日米欧の成熟市場と、BRICs、東欧、中南米の新興市場に2極化している」と分析。成熟市場では独自の差別化機能を備えた製品の投入が、急成長でプレーヤーが増えて競争が激化する新興市場では新規購入者のニーズの迅速な把握が必要とした。

 2005年のFinePix F10以来、同社は「目で見たままを撮れるデジタルカメラ」を目標に開発しており、高感度/高画質には優位性があると主張。さまざまな技術で撮影領域を拡大し、2008年は「真の写真画質機による作品撮りカメラ」、「若年層、女性層の新しいターゲット層に向けたフォトコミュニケーションカメラ」、「シニア層向けの使いやすい旅カメラ」とターゲット層別に最適な機種を提案していくとした。また「写真メーカーならではの真の写真画質に向け、魅力的な独自機能カメラを開発していく」とも述べた。

 杉原氏は、2007年国内デジカメ市場が前年比118%、コンパクトデジカメのみでも115%と予想外に成長したというCIPAの調査結果を披露。FinePixシリーズの国内シェアは12~13%前後と推測しているが、春モデルで15%を目標とするとした。

 また、同社はカメラなどの入力機器からミニラボやプリンタなどの出力機器までを手がける「写真の総合メーカー」であるとし、「写真を知り尽くしている富士グループのみが展開できるマーケティング戦略を採り、デジタルならではの活用方法や楽しみ方を提案していく」と述べた。


2008年は1億2,000万台の出荷を見込む イメージキャラクターは引き続き蛯原友里さん。Z100fdを持ち歩いている。CanCam掲載のオフショットもZ100fdで撮影してるとのこと


URL
  富士フイルム
  http://fujifilm.jp/

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( 本誌:田中 真一郎 )
2008/01/24 21:34
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