イベントレポート

野鳥撮影のための機材が勢揃い…3年ぶりのリアル開催で盛り上がった「ジャパンバードフェスティバル2022」

EOS R6 Mark II、OM-5、X-T5など新製品も

鳥をテーマにした国内最大級のイベント「ジャパンバードフェスティバル2022」が、11月5日・6日の2日間にわたり、千葉県我孫子市にある手賀沼周辺の関連施設にて開催された。

ジャパンバードフェスティバル(Japan Bird Festival/略称:JBF)は、2001年より年1回のペースで開催されている鳥関連のイベント。今年で22回目を数え、光学機器関連メーカーや観察用品メーカーなどによる出展のほか、NPOや任意団体、学生などによる鳥・自然環境に関する研究・活動発表などが行われた“鳥をテーマにした国内最大級のイベント”となっている。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、「ジャパンバードフェスティバル2020」と「ジャパンバードフェスティバル2021」は会場を設営せず、オンラインによるイベントのみとなっていたが、今年は3年ぶりの現地開催となった。

なお、これまで利用されてきた「手賀沼親水広場」「水の館」「山階鳥類研究所」は使用されず、「手賀沼公園」をメイン会場として開催している。

特に、例年メイン会場となっていた「水の館」近辺でのイベントなどは無く、最寄り駅の「我孫子(南口)」から徒歩圏内(歩いて10分程度)の「手賀沼公園」がメイン会場となったのは、電車で会場を目指す人にとっては朗報だったろう。天候によってはバス(手賀沼公園下車)が利用できるほか、50台収容可能な駐車場(最初の1時間は無料。その後1時間ごとに100円)も用意されている。

なお、「水の館」でイベントがなかったため、これまで両施設をつなぐ手段として用意されたJBF巡回バスや水上シャトルバスの運行も行われなかった。

「水の館」周辺よりも鳥が少ないという声もあったが、公園の突端に周囲を一望できる公園岬があり、岸辺の一部分は親水護岸となっているなど、ゆったりと過ごせる空間でありながら、飛来する鳥を観察できる環境というのは、鳥の撮影を目的とするなら十分だったように思える。

加えて、鳥関連の書籍展示・販売のほか、光学機器関連メーカーによるアウトレット販売も行われていた。ざっくり確認したところでは、市場価格2,000円程度のものが500円になっていたりと、お買い得品がちらほら見られた。

以下では、光学機器関連メーカーを中心にブース内容を紹介していく。

OMデジタルソリューションズ株式会社

11月の発売を予定するミラーレスカメラ「OM SYSTEM OM-5」(以下OM-5)をはじめ、3月に発売した「OM SYSTEM OM-1」(以下OM-1)を展示していた。特にOM-1のAFは鳥認識(AI被写体認識AF)が可能とあって、来場者の人気が高かったという。

また、望遠レンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO」「M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS」「M.ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7 II」「M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0 PRO」「M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO」を揃えていた。

同ブースでは、「OM-1」と「M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0 PRO」・「M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO」との組み合わせで貸し出しも行っていた。

現在供給が追いついておらず、注文をストップしている「M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO」の注目度が高い印象で、「OM-1」と「M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO」を組み合わせてじっくりと撮影している人も見受けられた。

11月の発売を予定するミラーレスカメラOM-5とM.ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7 IIの組み合わせ
OM-5はブラックとシルバーの両方を展示
OM-1とM.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 ISの組み合わせ
特に注目されていたM.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO
貸し出しでは、OM-1とM.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0 PROまたはM.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PROの組み合わせを用意

キヤノンマーケティングジャパン株式会社

12月の発売を予定するミラーレスカメラ「EOS R6 Mark II」をはじめ、「EOS R7」や「EOS R10」「EOS R3」を展示。

レンズでは、2023年1月下旬発売予定の「RF135mm F1.8 L IS USM」のほか、「RF600mm F11 IS STM」「RF600mm F4 L IS USM」「RF800mm F5.6 L IS USM」「RF100-400mm F5.6-8 IS USM」などの望遠系を展示していた。

「EOS R6 Mark II」については、「キヤノンフォトハウス」と「コミュニケーションスペース」で「EOS R6 Mark II タッチ&トライ」(予約制)を実施しているが、さまざまな望遠レンズと組み合わせながら操作できるという点で、今回のイベントも負けていない。

望遠鏡スタイルのデジタルカメラ「PowerShot ZOOM」の貸し出し(1日2回)も行われた。1回目の開始が9時30分から14時00まで(11月6日は13時00分まで)、2回目は11時00分から15時まで(11月6日は14時00分まで)とじっくり試すことができた。

EOS R6 Mark IIとRF135mm F1.8 L IS USMの組み合わせ。どちらも発表直後ながら展示されていた
EOS R6 Mark IIとRF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM
EOS R3とRF600mm F11 IS STM
EOS R10とRF100-400mm F5.6-8 IS USM
EOS R7とRF800mm F11 IS STM
公園岬側に設置されたRF600mm F4 L IS USM
長時間貸し出しを行っていたPowerShot ZOOM

株式会社ケンコー・トキナー

主に双眼鏡をメインに展示していたケンコー・トキナーブース。

同社は2021年4月1日にカールツァイス株式会社との業務提携を実施。カールツァイス株式会社コンシューマー&プロフェッショナルディビジョンが提供する写真用交換レンズ、双眼鏡、スポッティングスコープなどの製品を同社が手掛けている。

そのため、11月22日発売の防振双眼鏡「VC スマート 10×30」「VC スマート 14×30」や、11月18日発売の大口径双眼鏡「ウルトラビューEXコンパクト 8×32」「ウルトラビューEXコンパクト 10×32」などの同社ブランドの双眼鏡ほか、7月29日発売の「ZEISS SFL 8×40」や「ZEISS SFL 10×40」など、ZEISSブランドの双眼鏡が多く展示されていた。

また、旧製品のアウトレット販売も実施していた。

ZEISS SFL 8×40とZEISS SFL 10×40
防振双眼鏡VC スマート 14×30
大口径双眼鏡「ウルトラビューEXコンパクト 8×32」

ソニーストア銀座

例年はソニーマーケティング株式会社として参加していたが、今回は「ソニーストア銀座」としての参加となったソニーブース。

ボディは「α7 IV」と「α1」、レンズは「FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS」「FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS」「FE 70-200mm F2.8 GM OSS II」などを展示。

このほか、バッテリーや記録メディア、アイピースカップ、キャップなどの関連アクセサリーの販売も行われていた。

また、ブース来場者限定で500円の買い物券を配布(LINEの友だち登録必須)していた。

展示されていたボディとレンズ
自社ブランド製品の販売も実施。実にソニーストアらしい

株式会社タムロン

10月13日に富士フイルムXマウント用を発売したばかりの「150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD」や、9月29日発売で同社初のニコンZマウント対応レンズ「70-300mm F/4.5-6.3 Di III RXD」、9月22発売の「50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD」などの新製品ほか、鳥類撮影に適した望遠レンズを多数出展。広角ズームではあるものの、10月27日に発売となった新製品「20-40mm F/2.8 Di III VXD」も展示されていた。

事前予約不要で、会場内を自由(120分程度)に撮影できるレンズ貸し出しも実施していた。

Xマウントの150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD
同社初のニコンZマウント対応レンズ70-300mm F/4.5-6.3 Di III RXD
50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD
20-40mm F/2.8 Di III VXD
新旧の望遠レンズを持ってきたという同ブース

株式会社ニコンイメージングジャパン

2月4日発売の「NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S」や7月15日発売の「NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S」、4月22日発売の「NIKKOR Z 800mm f/6.3 VR S」といった新レンズや、35mm判換算で24-3,000mm相当を特徴とするレンズ一体型デジタルカメラ「COOLPIX P1000」(2018年9月14日発売)などを展示。

特に「COOLPIX P1000」の注目度は高く、本イベントならではといったところ。ちなみに同社で最後に残ったレンズ一体型デジタルカメラだという。

双眼鏡では、11月25日の発売を予定する「MONARCH M5」シリーズや、6月24日発売の「PROSTAFF P7」シリーズが並んだ。

NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S
NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S
NIKKOR Z 800mm f/6.3 VR S
根強い人気のレンズ一体型デジタルカメラCOOLPIX P1000
11月25日の発売を予定するMONARCH M5シリーズ
6月24日発売のPROSTAFF P7シリーズ

ハクバ写真産業株式会社

6月1日発売の三脚「Velbon カルマーニュ N643 MT」、6月29日発売の「Velbon カルマーニュ N453 TT」などの三脚や、スワロフスキーブランドのフィールドスコープなどを展示。

同社は、2020年8月1日にベルボン株式会社からカメラ用三脚などの事業を譲受。それに伴い、同社がスワロフスキー・オプティックの総代理店となっている。ブースの担当者からは「リアルイベントでスワロフスキーの新製品を紹介できてホッとしている」「今後は積極的に展開していきたい」との声を聞いた。

Velbon カルマーニュ N643 MT
三脚Velbon カルマーニュ N453 TTとスワロフスキーのアングルタイプのフィールドスコープATC 17-40×56
ストレートタイプのフィールドスコープSTC 17-40×56

富士フイルムイメージングシステムズ株式会社

7月14日発売の「FUJIFILM X-H2S」や11月25日発売の「FUJIFILM X-T5」のほか、7月14日発売の「XF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WR」や「XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR」「XF70-300mmF4-5.6 R LM OIS WR」などの望遠ズームレンズ、大口径望遠レンズの「XF200mmF2 R LM OIS WR」を展示。

双眼鏡では、FUJINONブランドの「16×70 FMTR-SX」や「10×70FMTR-SX」を展示していた。

より鳥に特化した組み合わせとして、フラッグシップモデル「X-H2S」と超望遠レンズ「XF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WR」による貸し出しも実施。貸し出しについては、SNSなどを通じて告知しており、現地担当者曰く、同社製品を使っていない人、初心者の人に幅広く試してもらいたいという意向があった模様。そのかいあってか、子連れのファミリー、子供(保護者付き)のエントリーが多数あったようだ。

XF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WR
X-T5とXF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR
X-T5とXF70-300mmF4-5.6 R LM OIS WR
XF200mmF2 R LM OIS WR
鳥撮影向けの組み合わせとして用意された「X-H2S」と「XF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WR」
飯塚直

(いいづか なお)パソコン誌&カメラ誌を中心に編集・執筆活動を行なうフリーランスエディター。DTP誌出身ということもあり、商業用途で使われる大判プリンタから家庭用のインクジェット複合機までの幅広いプリンタ群、スキャナ、デジタルカメラなどのイメージング機器を得意とする。