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積層型CMOSセンサーを搭載した「FUJIFILM X-H2S」。最高40コマ/秒のブラックアウトフリー連写も

AI被写体検出やCFexpress Type Bに対応

富士フイルム株式会社は、ミラーレスカメラ「FUJIFILM X-H2S」を7月14日に発売する。価格はオープン。店頭予想価格は税込35万円前後(ボディ単体)。

同社がフラッグシップモデルに位置付ける「X-H」シリーズの新モデル。製品名にはハイスピードモデルを意味する“S”を冠した。従来機からセンサーや画像処理エンジンを刷新。最速40コマ/秒のブラックアウトフリー連写や、AIによる被写体検出を活用した高性能なAFを実現したとしている。

新開発センサー&エンジン。連写性能

撮像素子は新開発の有効約2,616万画素「X-Trans CMOS 5 HS」(“HS”はハイスピードの意)。従来から裏面照射構造を踏襲しつつ、新たに積層型構造を採用した。同社製ミラーレスカメラの現行機に搭載されている「X-Trans CMOS 4」との比較において、信号読み出し速度が約4倍に高速化されているという。従来機「X-H1」の撮像素子は有効2,430万画素のX-Trans CMOS III。

画像処理エンジンも新開発の「X-Processor 5」を搭載した。現行の「X-Processor 4」との比較で処理速度が約2倍に向上しているという。

電子シャッター撮影時に、最高40コマ/秒のブラックアウトフリー連写が可能。連写中にライブビューで画像を表示する際に位相差画素を独立制御することで、位相差情報の演算回数を現行機比約3倍に向上。これにより、連写中のAF/AE追従も可能になったとしている。

従来機からバッファメモリ容量が向上し、連写時の連続撮影枚数が大幅に増加した。一例として、JPEG記録時の電子シャッター撮影・約30コマ/秒設定では、1,000枚以上の連続撮影に対応する。

AF性能の向上

センサーおよび画像処理エンジンに加えて、AFの予測アルゴリズムも刷新された。動体追従性能やゾーンAF、コントラストが低い環境下でのAFの精度を大幅に向上しており、スポーツ選手や野生動物などの動き続ける被写体でも正確に捉えることができるという。

新たにディープラーニング技術を用いて開発した被写体検出AFが搭載された。従来の顔・瞳AFに加えて、動物、鳥、クルマ、バイク&自転車、飛行機、電車をAI技術により検出できるという。

このほか、AFを作動させた後に、ピントを手動で微調整する「AF+MF」機能が動画撮影にも対応した。

被写体検出AFの選択画面

動画性能

6.2K/30Pや、4K/120P 4:2:2 10bitの動画記録に対応。4K/120Pによる動画記録では、高精細で滑らかなスローモーション映像で再生することも可能としている。動画撮影時のセンサー読み出し速度を1/180秒まで高速化したことで、ローリングシャッター歪みを抑制した。

ProRes 422 HQ、ProRes 422、ProRes 422 LTの3つのApple ProResコーデックに対応。ProRes撮影時には、ProRes 422 Proxyなどのプロキシ撮影も可能とする。このほか、ダイナミックレンジを14+ストップに拡大した「F-Log2」も新たに備えた。

ボディの放熱構造を刷新して、動画撮影の記録時間を大幅に向上した。4K/60Pでは240分の連続記録に対応する(諸条件あり)。別売で冷却ファン「FAN-001」も用意している。

手ブレ補正

ボディ内手ブレ補正機構(5軸)は、センシング制御機能などの刷新により、従来より微細なブレを検出して補正することが可能になったという。補正効果は最大7.0段分(「XF35mmF1.4 R」装着時)。従来機「X-H1」は最大約5.5段分だった。

外装・記録メディアなど

基本的なデザインは従来機「X-H1」を踏襲しつつ、シャッター半押し時のシャッターストロークやAF-ONボタンの押し心地の調整、各ボタンの材質の見直しを行うことで、各種ボタンの操作性を向上したとしている。また、グリップ形状もより握りやすい形状に変更し、ホールド性を高めたという。天面のシャッター速度ダイヤルが省略され、動画撮影ボタンが独立した。

背面モニターは約162万ドットのバリアングル式を採用。従来機「X-H1」は約104万ドット、3軸チルト式だった。

EVFは約576万ドットで、X-H1の約369万ドットから向上。倍率は0.8倍、フレームレートは100fps。X-H1は倍率0.75倍、フレームレートは100fpsだった。

メモリーカードスロットは、CFexpress Type BカードとSDカードに対応したデュアル式を採用。

外形寸法は136.3×92.9×84.6mm。重量は約660g(バッテリー、メディア含む)、約579g(本体のみ)。

別売でバッテリー(NP-W235)を2つ装填できるバッテリーグリップ「VG-XH」、同じくバッテリー2つが装填できるほか有線LAN接続機能/高速無線通信機能を搭載した縦位置グリップ「FT-XH」も用意している。

本誌:宮本義朗