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被写体検出が可能になった「FUJIFILM X-S20」…第5世代画像処理エンジンを搭載

大容量バッテリーを採用 “Vlogモード”など動画機能も大幅強化

富士フイルムは、APS-Cミラーレスカメラ「FUJIFILM X-S20」(以下、X-S20)を6月29日に発売する。価格はオープン。店頭予想価格(税込)はボディ単体が20万4,600円前後、レンズキット(「XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZ」が付属)が22万1,100円前後。

2020年に発売した「FUJIFILM X-S10」(以下、X-S10)の後継機に位置づけられるモデル。小型軽量ボディに大きなグリップを備えるというスタイルを踏襲しつつ、画像処理エンジンの刷新、被写体検出AFの搭載、バッテリー容量の向上、動画撮影機能の進化など、いくつかのポイントでアップデートしている。

第5世代の画像処理エンジン

画像処理エンジンには、フラッグシップモデルのFUJIFILM X-H2/X-H2Sや、X-T5にも採用されたXシリーズ第5世代「X-Processor 5」を採用した。これにより、X-S10よりも消費電力を抑えつつ高画質化を実現したとしている。センサーは第4世代の「X-Trans CMOS 4」(裏面照射型・有効約2,610万画素)を搭載。X-S10はX-Trans CMOS 4とX-Processor 4の組み合わせだった。

感度はISO 160~12800(拡張でISO 80~51200)。シャッター速度は、メカシャッターで最大1/4,000秒、電子シャッターで最大1/32,000秒。連写は電子シャッターで最大約20コマ/秒(1.25×クロップ時は約30コマ/秒)。GN約5(ISO 100/1m)の内蔵フラッシュを搭載している。これらはX-S10と共通。

X-S20では静止画記録方式にHEIFとTIFFが追加されている。フィルムシミュレーションは全19種類を搭載した。

「XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZ」装着

ディープラーニング技術を用いた「被写体検出AF」

AFは、X-H2、X-H2S、X-T5にも採用された「被写体検出AF」を搭載。これはディープラーニング技術を用いたもので、動物、鳥、車、バイク、自転車、飛行機、電車、昆虫、ドローンを検出に対応する。昆虫については「鳥」、ドローンについては「飛行機」に設定した際に検出可能になる。また、AFの予測アルゴリズムの進化により、AF-C時にもフォーカシングが安定するという。

シーンを判別して最適な撮影設定を自動で選択するAUTOモードに、「AUTO 被写体検出機能」が追加された。カメラが自動で被写体を検出し、ピントを合わせたまま追従する。

フラッグシップと同等の手ブレ補正

X-S10から引き続きボディ内手ブレ補正も搭載された。補正効果は最大7.0段分(「フジノンレンズ XF35mmF1.4 R」装着時)でX-H2、X-H2S、X-T5と同等となっている。X-S10での補正効果は最大で6.0段分だった。

大幅に向上したバッテリー

大容量バッテリー「NP-W235」を新たに採用。撮影可能枚数は、X-S10の2倍超となる約800枚としている。

動画撮影時の連続撮影時間は6.2K/30pで約120分(顔検出OFF)。X-S10は4K/30pで約55分だった。

「XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZ」装着

動画撮影・ライブ配信

動画記録は最大6.2K/30p 4:2:2 10bitに対応。13+ストップのダイナミックレンジをもつ「F-Log2」記録にも対応する。外部レコーダーとHDMI接続した際には、最大6.2K/30p 12bit の動画RAW データ出力が可能としている。ATOMOS「NINJA V +」との接続時はApple ProRes RAW、Blackmagic Design「Video Assist 12G」ではBlackmagic RAWとして記録できる。これらはX-T5と同等の性能となっている。

Vlog撮影に最適という「Vlogモード」が追加された。モードダイヤルの“Vlog”に合わせることで、自分撮り時の際にワンタッチでカメラ設定を変更できるとしている。

冷却ファン「FAN-001」(2022年発売)の装着に対応する。ボディ背面にケーブルレスで取り付けられる。FAN-001は、X-H2S登場時に動画撮影をサポートするアクセサリーとしてリリースされたカメラ用の冷却ファン。電源もボディから供給される。

PCとUSB-TypeC接続した際には、「FUJIFILM X Webcam」などのソフトウェアを使用せずにWebカメラとして活用できる。ライブストリーミングやオンラインミーティングなどでもフィルムシミュレーションが使用できるほか、接続中の設定操作も可能としている。

外観ほか

外形寸法は127.7×85.1×65.4mm。質量は約491g(バッテリー、メモリーカード含む)、約410g(バッテリー、メモリーカード含まず)。X-S10は126.0×85.1×65.4mm・約465g(バッテリー、SDメモリーカード含む)だった。

EVFはX-S10と同等で、約236万ドットの0.39型有機ELを搭載(ファインダー倍率0.62倍)。背面モニターは約184万ドットのバリアングル式(3.0型)を採用。X-S10は約104万ドットだった。

インターフェースは、USB Type-C(USB3.2 Gen2)×1、HDMIマイクロ×1、3.5mmステレオミニジャック×2(マイク、ヘッドホン)。

記録メディアはSDカードに対応(シングルスロット)。UHS-II、ビデオスピードクラスV90に対応する。

本誌:宮本義朗