Sony α7C クリエイターズ・トーク

写真&映像…それぞれのクリエイターが「α7C」を語る!フォトグラファー&ビデオグラファー対談 PART 3

Shabonさん・AUXOUTさん編

α7C(レンズキット)

ソニーのフルサイズミラーレスカメラ「α7C」をテーマにした、フォトグラファー&ビデオグラファーの対談企画【PART 3】をお送りします。

【PART 1】【PART 2】はこちらになります。


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今回登場いただくのはこちらのおふたりです。

フォトグラファー Shabonさん

宮城県生まれ。埼玉県在住。関東を拠点として活動。主に日常の中の幻想的なシーンを撮影している。また、風景を生かしてポートレートや多重露光を駆使したアート作品も手掛ける。東京カメラ部10選2017。Instagramフォロワー数約7万9,000人。

https://www.instagram.com/shabon/
https://twitter.com/shabon_photo

フォトグラファー/ビデオグラファー AUXOUTさん

趣味として日常の風景や旅行を映画のワンシーンの様に切り取る「Cinematic」な作品を作り続けている週末フォトグラファー/ビデオグラファー。独学でプロのような映像表現を追求しSNSに投稿する作品が国内外で多くの反響を呼ぶ。カメラを始めて3年でSNS総フォロワー数は約22万人、作品から生まれるオリジナルLUTは160ヵ国以上でダウンロードされるなど映像制作者から注目を集めている。

https://www.youtube.com/AUXOUT
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https://www.instagram.com/auxout.jp/

「α7C」といえば、世界最小最軽量のフルサイズミラーレスカメラ(※)。ベーシックモデル「α7 III」から基本性能を落とすことなく、ボディの小型軽量化やAFの強化などが施されています。

※光学式ボディ内手ブレ補正機構搭載のフルサイズセンサー搭載デジタル一眼カメラとして。2020年9月時点。ソニー調べ

今回対談をお願いしたShabonさんとAUXOUTさんは、どちらも2021年2月25日(木)から28日(日)まで開催されるCP+2021 ONLINE ソニーブースに登壇されます。写真と動画それぞれの領域で、「α7C」についてどのような印象を抱いているのでしょうか。


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作品の幅を広げる小さくて軽いボディ

——まずはおふたりのα使用遍歴をお聞かせいただけますか。

AUXOUT: 最初に購入したソニーのミラーレスはα6400でした。その後半年くらいでα7 IIIを発売と同時に買っています。それから2年くらいメイン機としてα7 IIIを使いました。いまはα7 IIIをメインにα7Cも併用しています。

Shabon: フルサイズのカメラでオールドレンズを使いたくてα7を買ったのが最初です。それからα7 IIに買い替えました。α7Cは発売されたころから使っています。

——最初にα7Cを見た時の印象はどうでしたか?

AUXOUT: フルサイズミラーレスのαシリーズとしては初めてのシルバー。その色と形に好感が持てました。α6400を使っていたので、そのころのサイズ感に戻った感じです。あと、なんといってもバリアングル液晶モニター。動画を撮る自分にとって待望の装備でした。これもフルサイズミラーレスα初でしたのでインパクトがありましたね。

Shabon: これくらいコンパクトだと持っていて苦になりませんね。撮影の時は荷物が多くなりがちですし、こういうコンパクトさは助かります。軽くなった分、三脚を持っていこう、レンズをもう1本持っていこう、あの小道具を持っていこう……という気持ちになります。持ち出しやすさは作品の幅につながるのではないでしょうか。そしてこのサイズでフルサイズ。この両立はすごいです。

AUXOUT: 今回、キャンプ用品を持ち運んでの撮影でしたが、まさにそれが当てはまりましたね。

Shabon: 作品撮り以外の時、ちょっとした散歩とか旅行でもカメラは持ち歩いています。カメラを持ってないとき、「カメラを持ってくればよかった」ということがあります。持ち出しやすいことは作品との出会いに直結し、さらにフルサイズ品質は作品の幅が広がることにつながるのではないでしょうか。

Shabonさんの作品

——では、Shabonさんの作品を見ていきましょう。今回はすべて「α7C」と「FE 24mm F1.4 GM」でポートレートを撮っていただきました。こちらは逆光の中で撮られた作品です。リアルタイム瞳AFを使用されていますか?

α7C / FE 24mm F1.4 GM / マニュアル露出(1/30秒・F1.4) / ISO 640

Shabon: はい。今回の作品は全て人物向けのリアルタイム瞳AFをONにしています。ポートレートでは頼りにしています。AFが速くてしっかりあってくれますね。逆光でもほとんど迷うことがないので常用しています。

——レフ板を使わない自然光のみでの撮影ですか? ハイライトからシャドウまで階調がきれいに出てますね。

Shabon: これこそ、フルサイズらしいダイナミックレンジの広さからくる諧調表現だと思っています。透明感が出て花もきれいに表現できました。逆光ですがフレアやゴーストも出ていませんし、髪の描写も、細部までしっかりしています。これはFE 24mm F1.4 GMの描写性能のおかげでしょう。


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——次の作品にいきましょう。もう桜が咲いているのですね。

α7C / FE 24mm F1.4 GM / マニュアル露出(1/1,000秒・F2.8) / ISO 100

Shabon: 南伊豆の河津桜です。木漏れ日が綺麗でしたので、24mmの広角で地面を大きく入れてみました。背景をしっかり残したかったので絞っています。画面の端まで流れずに描写され、FE 24mm F1.4 GMの描写力はすごいです。

AUXOUT: この場所、僕も3日前に撮りにいきましたが、こんな構図は思いつきませんでした(笑) やはり表現する人によって目の付け所が違いますね。

——高い位置から撮影されているようですが、バリアングル液晶モニターを使っているのですか? 電子ビューファインダーをのぞいて撮っているのですか?

Shabon: これは電子ビューファインダーを使っています。フィルムカメラからのくせで、ファインダーをのぞいて撮るのが普通になっていますね。ただ、α7Cを使ってからはタッチパネルでの操作がとても便利。例えばタッチでピントを合わせてから電子ビューファインダーをのぞいて撮る、など私の撮影スタイルも変わってきています。

——こういう撮影の場合、何カットくらい撮るものでしょうか。連写機能は使いますか?

Shabon: シーンによって違いますね。この場合は顔の角度違いなどたくさんとりました。連写はモデルが動く時などに使いますね。花びらなど動きがあるものの位置やタイミングも連写することでカバーします。

——結構枚数を撮るように思いますが、電池の持ちはいかがですか?

Shabon:  α7 IIからすると圧倒的に良くなっています。その頃は終日の撮影となるとバッテリーを5個も持っていきましたが、寒さもありすべて使い果たしたことがもあります。一方でα7Cは現行の他のα7シリーズと同様、大容量のZバッテリーのためそんなことはありません。フルサイズでコンパクト、それでいて長時間駆動ができることが非常に強いですね。


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——次は夕景の中で撮影されたシルエット作品です。空間が開けていて良い場所ですね。

α7C / FE 24mm F1.4 GM / マニュアル露出(1/160秒・F5.6) / ISO 100

Shabon: たまたま見つけて立ち寄ったカフェで撮影しました。人もいなくて撮影しやすく、空への枝の入り具合も良かったです(笑)。階調も色合いもすごくきれいに再現されました。

——こうした薄暗い時間帯に撮ることは多いのですか?

Shabon: 朝、夕方の時間帯に撮ることは多いですね。この作品では感度を上げていませんが、α7Cの高感度ノイズの少なさは素晴らしいと思います。この前星を撮りに行った時に高感度で撮影したのですが、光を多く取り込めるフルサイズセンサーの力でノイズが気になりませんでした。


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——次の作品は雪景色の中、青い空と赤いマフラーが印象的です。

α7C / FE 24mm F1.4 GM / マニュアル露出(1/320秒・F5.6) / ISO 100

Shabon: α7Cの色表現は好きですね。順光でかなり日差しが強かったのですが、雪が白とびせずになめらかに表現できました。階調がとてもきれいです。あと、衣装のパターンを見てレンズの描写がすごいと思いました。

AUXOUT: 配色がいいですね。雪の中で人物をポップさせる赤をマフラーに使われていますね。参考になります(笑)

Shabon: ありがとうございます。

——広角レンズによるポートレートは最近よく見かけるのですが、パースを強調するような作品になりがちです。こういうすっきりした構図の作品はShabonさんらしいですね。

Shabon: FE 24mm F1.4 GMは本当に気に入りました。風景の中で人物が浮き立つ感じやその解像感がとても良くて。

——AUXOUTさんもFE 24mm F1.4 GMをお使いですよね。

AUXOUT: 動画で広角レンズはよく使います。ロケーションにモデルをどう配置して絵を作るのか試される画角だと思います。腕が試される画角でもあります。

Shabon: 最近、広角ポートレートをよく撮っていますが、フルサイズでFE 24mm F1.4 GMのような明るくて描写の美しい広角レンズがあるのがソニー純正レンズラインアップの魅力の一つだと思います。α7Cと組み合わせたときのバランスもコンパクトに収まるのでとても良いですね。フルサイズでありながら軽快なボディの携帯性を損なわず、気楽に持ち出すことができる。携帯性と品質が両立できていることは、写真を撮るのが好きな人にとっては本当に大切なことだと思います。

AUXOUTさんの作品

——では、AUXOUTさんの作品を見てみましょう。α7CとFE 35mm F1.4 GMで撮影された約1分の動画です。

——素敵な作品ですね。動きながらモデルを撮るシーンが多いのですが、自然なブレで違和感がありません。ジンバルを使わず手持ちで撮っているのですか?

AUXOUT: この動画ではすべてα7Cを手持ちで撮影していて、ジンバルは全く使っていません。フレームレートを高めにして撮り、それをスローにして音楽に合わせたりします。

——結構モデルが動いてますね。α7Cには指定した被写体にピントを合わせ追いかけ続ける「リアルタイムトラッキング」が利用でき、さらにそれが静止画だけでなく動画撮影中も使えますが、効果は感じられますか?

AUXOUT: AFはすごいですね。素早くパンオフしたときもフォーカスを合わせてくれてびっくりしました。ソニーのカメラの一番好きなところはAFなんです。逆光で撮ることが多いのですが、コントラストAFと位相差AFのハイブリッドのおかげなのか、逆光で撮ってもフォーカスが暴れません。特に人物を撮っている時のリアルタイム瞳AFが強いです。カメラが自動で瞳にピントを合わせて離さない感じ。

——スローが印象的ですね。α7Cにはスロー&クイックモードがありますが、それを使うことはありますか?

AUXOUT: 僕の場合は通常の撮影で120fpsにして撮ります。スロー&クイックのスローで撮ると通常の撮影よりビットレートが上がり画質がよくなるので、音声が不要なシーンで、印象的なスロー映像を入れたいときに優先して使います。動画の全編で音声を入れているわけではありませんから、ケースバイケースで使い分けていますね。スロー&クイックはカメラ内で完結できる点が使いやすいです。タイムラプスを撮る時にはスロー&クイックを使いますね。

——音声といえば、この作品の音声はα7Cの内蔵マイクで収録しているのですか?

AUXOUT: そうです。高価な外部マイクに比べるともちろん違いは出ますが、目の前の人の声や自分の声を録音するには申し分ないクオリティです。これからVlogを始める、という方には申し分ないレベルだと思います。

——ソニー純正のショットガンマイクロホン ECM-B1Mを使われたことはありますか? α7Cに合いそうな大きさなので個人的に気になっています。

AUXOUT: これは本当に使いやすいですよね。さすが純正ということでαとの相性がすごくいい。デジタルオーディオインターフェイスに対応していてオーディオ接続がいらない。取り回しがいいんですよ。内蔵マイクだとカメラが向いている方向だけですが、このマイクは指向性を切り替えられるので、前方に集中させたり全方向にしたりできて、音を工夫して作品を作ることができる。

——オプションといえばシューティンググリップ GP-VPT2BTもα7Cで使ってみましたか?

AUXOUT: 以前は脚が多関節の小さな三脚をボディ底面に取り付けてグリップにしていましたが、シューティンググリップを使ってからはずっとそれを使っています。Vlogを撮りたいと思っている方がいるなら強くおすすめしますね。

ショットガンマイクロホン ECM-B1Mとシューティンググリップ GP-VPT2BTを装着したα7C

——バリアングル液晶モニターを使ったローアングルを多用されていますね。これまでもαは上下チルト式の液晶モニターを装備していましたが、α7Cは横に開くバリアングル液晶モニターになっています。動画用途でこれがどう役に立つのでしょうか。

AUXOUT: 作品撮りでは使わないのですが、やはり自撮りのときですね。それにチルト式だと、アクセサリーシューに取り付けたマイクと干渉してしまいます。それが解消されるのは助かります。

——自撮りのときもリアルタイム瞳AFは動作しますか?

AUXOUT: はい。ピントが瞳に追随しているのが液晶モニターでわかります。自撮りっていってみれば片手で無茶な持ち方をして撮るわけじゃないですか。そんなときでも顔さえフレームに入れておけば、カメラがピントを合わせてくれるのは安心ですね。

写真を撮る人も、動画を撮る人も

——Shabonさん、AUXOUTさんの作品を見ていかがですか?

Shabon: 色がきれいですね。AUXOUTさんの動画はYouTubeで見るのですが、全部色に魅力を感じました。

AUXOUT: ありがとうございます。プロファイルはα7 IIIと同じHLG2(ピクチャープロファイル10)で、カラーグレーディングは結構いじってます。一般的なミラーレスカメラで撮る動画は、写真のようのRAWに後から大きく調整することはできません。そういう意味で、もともとのダイナミックレンジの広さや暗所でのノイズの少なさなど、フルサイズセンサーがもたらしてくれる高画質の利点を感じますね。

Shabon: つい最近はじめて仕事で動画を撮って編集してみましたけど、本当に難しかったです。この作品はカメラワークや切り取り方など勉強になりますね。特にカメラワークは写真にない考え方なので、つい止まった画ばかりになります(笑)

AUXOUT: 写真でもスナップを撮っている方は、動画を撮るのも上手だと思います。確かに、1本の動画を作るためには、写真を1カット現像をするより手数は多い。ですが、構図やライティングといった考え方は同じではないでしょうか。写真を撮られている方でそういったセンスが身に付いている方は、すごく良い動画を撮られると思いますね。そういう意味でも僕は、写真と動画の両方をやって勉強しています。


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——おふたりともCP+2021 ONLINE ソニーブースに登壇されますよね。どんなプログラムを予定されているのですか?

Shabon: スペシャルセミナーで背景を生かした広角ポートレートについて、何点か作品を出しながらお話しするつもりです。

AUXOUT: スペシャルセミナーのテーマもちろんCinematic Vlogについてで、取り上げる機材ははα7C、α7S IIIについてです。実演を交えたスペシャルワークショップも担当させていただき、そちらは普段写真を撮られている方を対象に、動画の魅力や撮影テクニックを解説する内容です。あと、僭越ながらwacameraさんのワークショップに動画講師として出させていただく予定になっています。

——面白そうですね。楽しみにしています。

この小さなボディでフルサイズ…高画質を気軽に持ち歩きたい方に!

以上、ShabonさんとAUXOUTさんにα7Cを使われての印象を語ってもらいました。特に印象的だったのは、ボディが小さいからこそ広がる撮影の幅。そしてベースとなるα7 IIIと遜色のないフルサイズセンサーならではの画質。これからフルサイズにステップアップされる方や、毎日持ち歩けるフルサイズミラーレスを探している方にとって、お二人の話は参考になるのではないでしょうか。

提供:ソニーマーケティング株式会社

デジカメ Watch編集部