Sony α7C クリエイターズ・トーク
小さなフルサイズミラーレス「α7C」の魅力とは? フォトグラファー&ビデオグラファー対談(PART 4)
加藤光さん・Ussiyさん編
2021年3月17日 17:00
ソニーのフルサイズミラーレスカメラ「α7C」をテーマにした、フォトグラファー&ビデオグラファーの対談企画【PART 4】をお送りします。
これまでの記事はこちらになります。
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今回ご参加いただいたのは、静かで美しい構図が印象的なフォトグラファー加藤光さんと、YouTubeなどで作品を発信するUssiyさんです。
フリーランスフォトグラファーとして活動、国内・国外問わず全国を飛び回る。人や景色はもちろん物撮りなど幅広く撮影。光を最大限に掛け合わせた写真を得意としている。マガジンハウスの雑誌『Hanako』で旅の記事を連載中。
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https://hikari-k.jimdofree.com/
好きを仕事へ。福島県で生まれ育ち、高校卒業後は地元の工場に就職。友人と結婚式の余興ムービーを制作したことをきっかけに映像へ興味を持つ。海外クリエイターの Youtubeから編集スキルを独学で学び、2018年末に工場を退職しフリーランスへ。現在はCinematic作品やVlogコンテンツ、 映像制作のノウハウなどの発信を、YouTubeなど SNSでの活動を中心におこなっている。
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世界最小最軽量のフルサイズミラーレスカメラ(※)「α7C」は、同じくフルサイズミラーレスカメラのベーシックモデル「α7 III」から機能性能を大きく損なうことなく、小型軽量ボディやバリアングル液晶モニターの搭載などを実現。動く被写体を高精度に捉え続けるリアルタイムトラッキングなどの上位機種が採用するAFも利用できます。
※光学式ボディ内手ブレ補正機構搭載のフルサイズセンサー搭載デジタル一眼カメラとして。2020年9月時点。ソニー調べ
写真と映像、それぞれカメラの用途は違いますが、自分の思い描く世界を表現するという面では共通しています。α7Cを使用したお二人は、どのような感想をお持ちなのでしょうか。
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——まずは写真や映像に興味を持ったきっかけや、初めてカメラを購入した理由などを教えていただけますか?
加藤光さん(以下、加藤): 学生の頃からインスタントカメラで撮影を楽しんでいました。本格的に始めたのは、どうしてもフィルムカメラで写真を撮りたくなり、ローライコードを買ってからです。その後、趣味の延長でInstagramに投稿するようになってから仕事のオーダーをいただくようになり、いまに至っています。
Ussiyさん(以下、Ussiy): 初めてカメラを買ったきっかけは、海外旅行に行くことになったときです。その後、友達の結婚式で余興ムービーをつくることになり、最初は「面倒だな」くらいに感じていたのですが……やってみるとやりがいや楽しさを発見、動画制作の世界にハマりました。
——これまでどのようなαを使用されてきたのですか?
加藤: 初代フルサイズミラーレス一眼α7が発売されたときに購入しています。それが私にとって最初のデジタルカメラでした。その後、α7 IIを購入して今も使っています。Instagramの作品もほとんどαですね。
Ussiy: 動画制作に興味を覚えた時、使っていたのは他社のフルサイズ一眼レフカメラでしたがα7R IIIに買い替え、今はα7S IIIをメインに使っています。プライベートではVLOGCAM ZV-1も使用しています。
——最初にα7Cをご覧になったときどんな印象でしたか?
加藤: シルバーボディの見た目がフィルムカメラ風で、とてもかわいいと思いました。もともと小さなカメラが好きでしたし、初代α7を買ったのもそのせいもあります。
——これまでシルバーボディのフルサイズミラーレスαはありませんでしたよね。Ussiyさんはどう思われますか?
Ussiy: ブラックボディのα7Cも好きですけど、シルバーボディの場合、「フルサイズなのにかわいい」という意外性に惹かれました。僕も使っているのはシルバーのα7Cです。
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加藤光さんの作品
——では加藤さんの作品を見ていきましょう。朝焼けですが、加藤さんらしい色合いの作品ですね。
加藤: 雲海を撮りに長野県の美ヶ原にいったときの作品です。山を登るということで装備を重たくしたくなかったため、α7Cとレンズ1本、FE 24mm F1.4 GMの組み合わせで行きました。α7Cは小さくて軽いのにフルサイズセンサー搭載の本格的なカメラ。FE 24mm F1.4 GMは景色もポートレートもどちらも撮れるレンズ。三脚も持っていかず、手持ちで撮影しました。かなり身軽な装備になったと思います。
——空の色と階調がとても印象的です。フルサイズセンサーらしいダイナミックレンジの広さが出ているように思います。レタッチはされているのですか?
加藤: 補正は少しだけで極端にはしていません。明るいところと暗いところ、撮って出しでもどちらもしっかり出ていました。かなり暗い状況でしたが、明るい広角レンズとボディ内手ブレ補正の組み合わせもあり、低感度でしっかり撮れました。ボディ内手ブレ補正については信頼しています。
——山に登られての撮影ですが、バッテリーの持ちが気になることはありましたか?
加藤: α7 IIに比べて、α7Cはバッテリーの持ちがすごくよくなっています。α7 IIでは何個も持ち歩いていましたし、途中で充電したり、寒暖差で急に減ることもありました。でも、この撮影では1個で足りました。バッテリーが持つことはもう、安心感しかありません(笑) 荷物も少なくなりますし。
——後で見せていただきますけど、Ussiyさんの撮影地も寒そうな場所でしたよね?
Ussiy: 僕の今回の動画もバッテリー1個で撮影しました。冬の東北南部の寒い日でも1日くらい持ちます。2個あると余裕ですね。
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——こちらも空の色がとてもきれいです。柔らかですが色それぞれが印象的というか。霧である程度和らいでいますが、日の出なので明暗差が激しいですね。
加藤: どうしても霧を撮りたくて、太陽が登ったところを樹木を配置して撮りました。αは見たままの、感動したままの色が出る印象です。手前の暗い部分も描写や階調がしっかり残っていますね。
——普段AFの設定はどのようにされているのですか?
加藤: 実は今までAFレンズをほとんど使ったことがなく……これまでほとんどMF(マニュアルフォーカス)のレンズを使っていました。今回ソニー純正のAFレンズを使ってみたのですが、タッチでフォーカス位置を指定できるのがとても便利ですよね。
——では今回は主にファインダーではなく、背面液晶モニターで撮影したのですね。
加藤: はい。普段使っているα7 IIはタッチ操作ができないので新鮮でした。私は感覚で写真を撮っているようなところがあるので、こうしたタッチをメインにした撮り方が合っているのかもしれません。
——動画の撮影だと背面モニターがメインでファインダーを使用しないイメージがあります。Ussiyさん、いかがですか?
Ussiy: そうですね。ほぼ背面モニターです。でも僕の場合、周りが明るい時にはファインダーを使っています。どうしてかというと、撮影時はS-Logを適用しているので、コントラストと色が浅く、明るい場所だと映っているものが見えづらくなるのです。そういうときにファインダーを覗きますね。
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——これも加藤さんらしい作品ですね。赤い花が中央に配置され、周りの緑に濃い影がなく爽やかです。
加藤: 散歩のとき見つけた花です。ほぼ真上を向いて撮りました。Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZAをつけています。軽いボディとレンズなので助かりました。
——なるほど、だから晴れているのに影がないのですね。Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZAの印象はいかがですか?
α7Cとバランスが良く、ふわっとしたボケが作れるのがいいですね。私の周りで評判が良いのも分かりました。子どもが産まれてからは出かける時の荷物が多くなり、カメラを一緒に持っていくことを躊躇しがちでした。でもα7CとSonnar T* FE 55mm F1.8 ZAの組み合わせなら、散歩の時にも持ち出しやすい。日常で持ち歩きたいカメラとレンズだと思います。
——普段からカメラを持ち歩いているのですか?
加藤: はい。でも、できればカメラの画質には妥協したくありません。スマートフォンで撮るよりも、ちゃんとしたフルサイズのカメラで撮りたい気持ちがあります。
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——ご自宅の猫ちゃんですか? ポーズが決まってますね。柔らかい光も素敵です。
加藤: 動物の瞳も自動で追いかけてくれるリアルタイム瞳AFを使った作品です。いままではMFレンズで連写しながら苦労して撮っていましたが、α7Cだと一発で撮れてしまいました(笑) しかも本当に瞳にぴったり合っています。俊敏に動く猫を自動で追いかけてくれるなんて、とにかくびっくりです。
——この作品も明暗差が激しいシーンですね。
加藤: 白飛び、黒つブレすることなく、主役の猫も明るく撮れています。Distagon T* FE 35mm F1.4 ZAの解像感も素晴らしいです。このレンズ、ボディと比べるとさすがに大きく重いのですが、撮影自体はそれほど苦にはなりませんでした。シャープな描写やボケ感についても満足しています。
——被写体の目線に近い高さから撮られていますが、バリアングル液晶モニターを活用されていますか?
加藤: はい、カメラを縦位置にしてバリアングル液晶モニターを開いて撮りました。普段使っているα7 IIは上下方向のみのチルト式だったので、縦位置でのローアングル撮影に多少不便を覚えていたのです。特に猫や子どもはローアングルで撮りたいですよね。バリアングル液晶モニターならそのとき、横位置だけでなく縦位置でも撮影しやすいのは便利だと感じました。
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——Distagon T* FE 35mm F1.4 ZAで撮影されたお子さんですね。ボケがとても効いていると思います。
加藤: ボケは立体感を出すため重要だと考えています。あえて前にものを配置して前ボケを作ったり、被写体のいる世界に奥行きを持たせるのがボケだと思います。フルサイズセンサーのカメラや明るいレンズは大きくボケるのがいいですね。
——白の階調表現についても、ダイナミックレンジの広さがうかがえますね。AFは顔認識ですか?
加藤: はい。目を閉じていてもしっかり認識します。他人の顔が構図に入っても、子どもの顔にフォーカスを合わせ続けてくれました。カメラを始めてからマニュアル露出・マニュアルフォーカスでしたが、子どもを撮るようになって、AEやAFの良さがわかりました。とっさの動きに対応して撮影できるのは本当に便利です。
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Ussiyさんの作品
——それでは次に、Ussiyさんの動画作品を鑑賞します。α7CとFE 20mm F1.8 Gで撮影された作品です。
Ussiy: 福島県の只見町でVLog風の作品を撮ってみました。1日に6本しか電車が走ってない、のどかで美しい場所です。
——写真ユーザーからするとFE 20mm F1.8 Gは広すぎるイメージがあるのですが、動画ではよく使う画角なのですか?
Ussiy: 用途によっても変わってきますが、自分を写しながら周囲を解説するVlogでは便利な画角です。景色を伝えるのにも使いやすい。しかもこのレンズはフルサイズのF1.8なのでボケも得られます。加藤さんもおっしゃってましたが、クリエイターにとってボケは重要。ボケがあるだけで映像の印象は変わりますよね。
——カメラワークが多彩で常にカメラが動いています。
Ussiy: 僕がこういうVlogを撮る場合、カメラを固定して撮ることは基本ありません。基本的に動きながら撮ります。ちょっとでも動いている方が観ている人にとっても面白みのある映像になると思っています。
——ジンバルは使っていますか?
Ussiy: この作品では使っていないですね。ボディ内5軸手ブレ補正が効いていることもありますが、小型で軽いボディとレンズだと、それだけで動画はブレにくくなると思います。
——ブレ以外に機材が軽いことが有利になることはありますか?
Ussiy: Vlogの場合、ずっと片手で持っているわけですから、重いとそれだけしんどくなります。今回の組み合わせも撮影を続けていれば重く感じる時はくるのですが、他の組み合わせと比べて、ずっと長く持てるのではないでしょうか。
——これだけカメラを動かしているということは、リアルタイムトラッキングは活用されています?
Ussiy: はい、カメラが動いている時も常にタッチトラッキングを使用しています。ピントを合わせたいところを一度捉えて画面内に入れている限り、ピントを外しづらくなるので安心感がありますね。自撮りのときはリアルタイム瞳AFも使っています。
——なるほど、動画でもリアルタイムトラッキングやリアルタイム瞳AFが便利に使えるわけですね。自撮りの時はやはりバリアングル液晶モニターを開いているのですか?
Ussiy: それもVlog向きの装備ですね。ないと自分の顔が映っているのか、自分の顔にピントが合っているのか分かりませんから。
——ではα7Cの画質はいかがですか?
Ussiy: フルサイズの良さがしっかり出ていると思います。4K 30Pで撮れますし。14ストップのダイナミックレンジも十分だと思います。ライティングができないVlogでは、ダイナミックレンジの広さはとにかく重要。天気がいいと白飛びしやすく、露出を下げると黒つぶれが起きる……景色をきれいなまま伝えるには、階調表現の豊かさは重要だと思っています。
——音声はα7Cの内蔵マイクですか?
いえ、外で風が強いとどうしても風切り音が強くなるので、今回はソニーの「ショットガンマイクロホン ECM-B1M」を使っています。自宅でYouTubeの収録する時などは、α7Cの内蔵マイクを使います。内蔵マイクとしてはきれいな音ですので、よほど風が強かったりしなければ、内蔵マイクで十分ではないでしょうか。
——水滴が落ちるシーンなど、スローが多用されています。最初から動画モードのフレームレートを上げて撮っているのですか? それともモードダイアルにあるスロー&クイックモーションを使っているのですか?
Ussiy: 通常は60fpsで撮影していて、スローやクイックにしたいシーンでスロー&クイックモーションに切り替えていますね。ずっと120fpsだと容量的に厳しいので。それにスロー&クイックモーションで記録するとカメラ本体でそのまま再生ができ、現場にいながらスローやクイックの確認ができる点が優れています。音声記録はされませんが、印象的にしたいシーンではとても役立つ機能です。
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——加藤さん、Ussiyさんの作品をご覧になっていかがですか?
加藤: 動画といえばたくさんの機材で撮るイメージがあり、手を出しづらく感じていました。今回Ussiyさんの作品を鑑賞して、手持ちでこれだけのクオリティの作品に仕上がることにびっくりしました。同じカメラですし、写真を撮りに行った時、一緒に動画を撮ってみるのも楽しそうです。
Ussiy: クライアントワークがメインの方はカメラの見た目を気にするかもしれませんが、Vlogや趣味の撮影なら小型軽量ボディの方がいいと思います。しかもフルサイズのα7Cなら、仕事にもVlogにも使えます。これから動画を撮りたい人にはいい選択ではないでしょうか。価格もそれほど高くないし。自分が始める時にあったら、絶対に選んでました(笑)
提供:ソニーマーケティング株式会社