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ソニーに聞いた「α7C」一問一答(その1)

今回の"新コンセプト"とは? α7 IIIとの違いはどこ? など

ソニーが10月23日に発売するミラーレスカメラ「α7C」に関する気になる部分について、ソニーから得られた回答を元にお届けする。このほか回答を待っている部分についても、追って「その2」としてお届けする予定だ。

——今回の製品の"新コンセプト"とは、どういった点を指していますか?

「フルサイズミラーレス一眼カメラでありながら、小型・軽量ボディに妥協のない撮影性能を盛り込む」ことがα7Cのコンセプトです。静止画から動画までの撮影性能を凝縮し、より幅広いフィールドで高い機動力と描写力を生かした撮影を楽しんでいただくことを目指したモデルです。

——以前のインタビューで「要素を割り切らずに小型化するのがソニーの存在意義」と伺いましたが、α7Cの小型化にはまた違った切り口があるのでしょうか?

今回の機種はまさに、「要素を割り切らずに小型化」したモデルです。今回は特に、妥協のないフルサイズミラーレス一眼カメラの撮影性能を小型・軽量ボディに凝縮しています。また、ボディ自体も単に小型化するだけでなく、操作性の高さを維持できるように、グリップ性や手探りでの操作性、ボタンの位置や高さ、ダイヤルの回しやすさ、レリーズの切りやすさ等を検討し、改良を重ねています。

関連記事:「要素を割り切らずに小型化してこそ、ソニーが存在する価値」 APS-Cミラーレス新機種投入について聞く(2019/9/19)

——このタイミングで、このフラットトップのモデルを追加した狙いは何ですか? フラットトップのスタイルについて、ユーザーからの要望もありましたか?

小型・軽量を実現していくために、お客様のご要望を踏まえつつ最適な形状を目指した結果、現在のようなフラットトップのスタイルになりました。

——カラーバリエーションを用意した狙いは何ですか?

より幅広いお客様にアプローチできるように、黒に加えてシルバーをご用意しました。α7Cのコンパクト性を前面に出しながらシックな印象を持たせ、品格を感じられるような佇まいを目指しました。特に、シルバーはやや落ち着いた色味にすることで、道具としての価値を表現しながらも、αブランドの持つ先進性を感じていただけるようにしています。

α7C(シルバー)

——新コンセプトのα7Cは、想定ユーザーも従来とは異なりますか?

プロフェショナル、ハイアマチュアからエントリーユーザーまで、小型・軽量かつ高画質撮影が可能なフルサイズミラーレス一眼カメラを求める幅広いお客様が想定ユーザーです。フルサイズミラーレス一眼カメラのユーザーの裾野を広げられるモデルであると考えています。

——基本性能をα7 III相当ではなく、α7 II相当の機能・性能でカジュアル向けに安くする案もあったかと思います。最新世代とした理由は何でしょう?

「フルサイズミラーレス一眼カメラでありながら、小型・軽量ボディに妥協のない撮影性能を盛り込む」というコンセプトに合わせて、最適な選択を取っております。

——目標としたサイズはありましたか?

「小型軽量で日常的に持ち運んで撮影する」というコンセプトや、フルサイズの撮影性能・使い勝手などを総合的に考慮した結果、APS-C機のサイズに近い大きさを実現しました。

APS-C機のα6400(右)と比較

——α7Cのために新開発したデバイスは何がありますか?

主に光学式5軸ボディ内手ブレ補正機構と、シャッターユニットです。いずれも小型・軽量を実現するために新開発しました。

α7Cの手ブレ補正ユニット
α7Cのシャッターユニット

——本機におすすめのアクセサリーにはどのようなものがありますか?

同時発表の小型・軽量のフラッシュ「HVL-F28RM」と組み合わせると、システムとして非常に取り回し良く使えます。また、別売のショットガンマイクロホン「ECM-B1M」やXLRアダプターキット「XLR-K3M」と組み合わせれば、音声をデジタル信号で直接カメラに入力でき、映像のみならず、音質にもこだわった撮影を楽しめます。このほか、シューティンググリップ「GP-VPT2BT」との組み合わせてのVlog等への使用もおすすめです。

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ショットガンマイクロホン「ECM-B1M」装着例
シューティンググリップ「GP-VPT2BT」装着例

既存モデルとの違い

——イメージセンサーや画像処理エンジンは、いずれかの既存モデルと同じものですか?

α7 IIIと同じ、有効約2,420万画素の35mmフルサイズ裏面照射型CMOSイメージセンサーExmor Rと、高速処理能力を備えた画像処理エンジンBIONZ Xを搭載していますが、画質は静止画・動画共に改善を図っています。信号処理技術の向上により、さまざまなシーンのホワイトバランスをより自然に表現できるほか、動画については、α7R IVで培った色再現性アルゴリズムを継承し、人物の肌色や鮮やかな花の色などをより自然な印象で描写できます。

——α7 IIIとの主な違いを教えてください。

まず大きく小型・軽量化しています。α7 IIIと比べて、容積比で約19%の小型化、質量比で約22%の軽量化を実現しています。また、キットとして発売するズームレンズ「FE 28-60mm F4-5.6」や、別売のフラッシュ「HVL-F28RM」と組み合わせたシステムとしても小型・軽量を実現しているため、非常に取り回し良く使えます。

このほか、AF機能を搭載したフルサイズミラーレス一眼カメラとして業界最大のスタミナ性能や、リアルタイムトラッキングと動画でも使えるリアルタイム瞳AFへの対応、マルチインターフェースシューのデジタルオーディオインターフェース対応がα7 IIIからの主な進化点です。

α7 III(右)

——リアルタイム瞳AFなどの機能は、どの機種に近いですか?

α7Cのリアルタイムトラッキングおよびリアルタイム瞳AFの性能は、α7R IVなどの最新のカメラに搭載している機能と同じです。ただし、リアルタイムトラッキングに関しては、α7CはフォーカスモードがAF-S/AF-A/DMFの場合でも、AF-ONボタンを押すだけで起動できるため、スナップ撮影時に動きのある被写体をすぐに捉えたい際などに便利です。

——手ブレ補正はα7 IIIとどちらが効きますか?

α7 IIIと同じ、5軸5.0段の補正効果を可能とします。

——EVFはα7 IIIと異なりますか?

ファインダーのサイズ(α7 III:0.5型、α7C:0.39型)、倍率(α7 III:約0.78倍、α7C:約0.59倍。いずれも50mmレンズ、無限遠、-1m-1)が異なります。一方、総ドット数や明るさ調整機能、視野率、視度調整機能は両モデルとも同じです。

——バッテリーや撮影可能枚数に違いがありますか?

あります。どちらも高容量バッテリー「NP-FZ100」を採用していますが、α7Cは液晶モニター使用時で740枚、ファインダー使用時で680枚の撮影が可能であるのに対し、α7 IIIは液晶モニター使用時で710枚、ファインダー使用時で610枚となっています(数値はいずれもCIPA規格準拠)。

——ストロボを内蔵する/しないの判断は、どのように行われますか?

商品特性などを総合的に判断しています。

——フラットトップの機種にバッテリーグリップを用意しない理由は何ですか?

お客様の使用シーンや商品性などを考慮しています。

——バリアングル液晶モニターとした理由は、動画撮影のためですか?

動画撮影だけでなく、静止画撮影の際の操作性も考慮しています。横方向に開き、シーンに合わせて角度の調整が可能なため、自撮りのほか、シャッターボタンに手が届きにくいハイアングルでの撮影や、地面すれすれでのローポジションでの撮影の際に便利なほか、シューアクセサリーに邪魔されずに画面確認ができます。

——動画機能周りについて、新たな特徴があれば教えてください。

α7S IIIと同様ではありますが、MOVIEボタンをボディ天面に配置しているため、腰の位置から撮影する際や自撮りの際の操作性も向上しています。また、これもα7S IIIと同様ですが、マニュアルフォーカスでの記録中にも、目的に応じたAF動作でフォーカスワークをサポートします。

——マウント部のシナバーカラーの主張が抑えめになりました。どのようなデザイン意図でしょうか。

より繊細な輝きになるように仕上げることで、本機の性能をさりげなく主張しつつも、さまざまな使用シーンに溶け込めるようにデザインしています。

本誌:鈴木誠