Sony α7C クリエイターズ・トーク
新時代のコンパクトなフルサイズミラーレス「α7C」…フォトグラファー&ビデオグラファー対談!(PART 1)
6151さん・Ryoya Takashimaさん編
2020年12月15日 12:00
ソニーの「α7C」は、2020年11月に発売したばかりの世界最小最軽量※のフルサイズミラーレスカメラです。
※光学式ボディ内手ブレ補正機構搭載のフルサイズセンサー搭載デジタル一眼カメラとして。2020年9月時点。ソニー調べ
登場以来フルサイズミラーレスのユーザーを広げ、今なお高い定評あるベーシックモデル「α7 III」をベースに、小型・軽量化に成功。フルサイズミラーレスの世界に、新たな可能性を問いかけてくれるニューモデルです。その使い勝手や実力はどのようなものでしょうか。
このページでは2名のクリエイターに「α7C」を使っていただき、その印象をお聞きしました。
登場するのは、Instagramで一躍有名になり、現在はフリーのフォトグラファーとして多方面で活躍する6151さん。そして、静謐で美しい料理動画「Peaceful Cuisine」で知られるRyoya Takashimaさんです。
※取材はオンラインでおこないました。
身軽な状態で持ち出しやすい
——まずは自己紹介をお願いします。
6151: フリーのフォトグラファーです。Instagramがきっかけで、だいたい4年前から写真を仕事にするようになりました。撮影するジャンルにこだわりはなく、何でも撮るのですが、最近は主にトラベルフォトを撮っています。
Ryoya Takashima (以下Ryoya):2010年からYouTubeで料理動画をメインに公開してきました。その前からカメラが好きで、料理に限らず、日常や旅先での風景などいろんなテーマで写真と動画を撮っています。
——おふたりはα7Cを初めて手にしてどう思われました?
6151: 「形がかわいい!」と思いました(笑)。いま「α7R III」を使っていますが、それと比較するとボディ上部のファインダー部分の出っ張りがなくなり、見た目がすっきりしています。グリップはα7 IIIに比べると小さいですが、私は手が小さいのでこれくらいの方が手への収まりが良いと思いました。
Ryoya: 「α7C」の「C」がCompactの「C」だと聞いていたので期待していたのですが、見た瞬間、意外と大きく感じました。もともと自分の中では、従来のαシリーズ自体に「小さなカメラ」というイメージがあったためでしょう。
——α歴の長いRyoyaさんにとっては、見慣れたサイズ感からそれほど変わらなかったのかもしれませんね。
Ryoya: 最初に買ったフルサイズαが「α7 II」でした。それから「α7R II」「α7S II」「α7 III」「α6500」と続き、最近は「α7S III」を気に入って使っています。主に動画用途なのですが、写真もきれいに撮れるので、Instagramに公開するような写真も「α7S III」で撮影することがあります。
——「α7C」を見て、どのような使いかたが合いそうだと感じられました?
6151: 身軽になりたい旅に持っていきたいですね。このボディ1台、レンズ1本、これだけを連れていく。小さいのでスナップ向きですね。気軽に持っていけるサイズは、写真を撮るフットワークを軽くしてくれると思います。大きく重い機材だと他の荷物とのバランスで置いてきてしまい、ここぞというシーンに出会ったときに、カメラを持って来なかったことを後悔することもありました。持ち出す機会が増えるのは間違いなくよいことだと思います。
Ryoya: ビューファインダーの出っ張りがないので、バッグに入れやすいのがまず特徴でしょう。撮影が“ついで”の外出時に、バックの中に入れておくのに適しているのではないでしょうか。そういう用途でRX100シリーズを持ち出していた時期もありましたし、最近ではスマートフォンで事足りると感じることもあります。でも、フルサイズ画質の「α7C」は魅力的ですね。
6151さんの作品
——では、作品を見ながら話をお聞きします。まずは6151さんの作品からです。
6151: 今回の作品はいずれも散歩しながら撮影したものです。これは美術館の透明なベンチですね。ちょうど西日が当たって、床に落ちた光が綺麗だなと思って撮りました。
——光と透明感がいいですね。被写体がセンターから外れていますが、合焦にタッチパネルを使われました?
6151: 普段はAFエリアの設定に「フレキシブルスポットM」を使っていますが、この日はトントンとタッチパネルで合わせていました。「α7C」は他のフルサイズαに比べてマルチセレクターがなく操作系のボタンもシンプルな構成なのですが、液晶モニターのタッチ操作で補えますね。直感的に操作できるのが良いと思いました。
◇ ◇ ◇
——次の作品です。遠景と周囲の人の反射が組み合わさって面白い効果が出ています。
6151: こういうシーンを探すのが好きです。演出ではなく、作られていないシーンに偶然出会ってそれにワクワクするとシャターを押したくなります。この写真も面白い!と思ってサっとカメラをバッグから取り出して撮った1枚ですね。夕日の色のグラデーションもきれいに出ましたし、日が沈んで暗くなっていく街も豊かに映し出せました。
——電源を入れてから撮れるまでの時間はどうですか?
6151: まず起動が速いと感じました。これは楽だと。普段からいいな、と思ったものはなんでも撮りますが、そのときカバンから出してサクッと瞬時に撮れるとテンションが上がりますね。この写真もあまり考えず瞬間的に撮ったのですが、反射にも背景にも上手い具合にピントが合いました。
——6151さんの機材と撮影時のスタイルはどのようなものでしょう。
6151: 基本的にパンツスタイルにリュックやトートバッグ、そこにカメラを入れています。カメラバッグは使いません。スナップはレンズ1本をボディにつけっぱなしで、本格的な撮影のときはレンズ数本を持っていくこともあります。レンズは「FE 24-70mm F2.8 GM」が好きですね。この作品も「FE 24-70mm F2.8 GM」で撮りました。
◇ ◇ ◇
——こちらも夕日の色がきれいですね。レタッチされたのでしょうか。
6151: この作品はその場にいた時の印象に近づけるためにレタッチしています。実際の夕日はもう少し黄色味が強い色でしたが……私はRAWで撮影して現像時に自分のイメージに近づけています。世に出す写真は全てレタッチしてますね。でも、この作品も含めて、「α7C」の撮って出しはとてもきれいでした。レタッチなしでありのままを生かしたいときも問題のないカメラだと思います。
◇ ◇ ◇
——次は人物です。顔にばっちりピントが合っていますが、「顔/瞳AF設定」をONにしていましたか?
6151: 初期設定から変更していないので、ONになっていたと思います。意識していなかったのですが、おそらくこれまでもかなり助けられていますね(笑)
——レンズは「Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA」ですか。これまでの作品は「FE 24-70mm F2.8 GM」でしたが、この2本の使い分けはどうされているのですか?
6151: 暗いところは「Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA」ですね。こちらは大口径ながらサイズが小さなレンズなので「α7C」に合うと思います。まずは写りが良くないと、とは思いますが、あまりに大きなレンズだと周りの人が身構えちゃいますよね。撮影される側が引いてしまい、緊張感が伝わってしまうときもあります。小さなカメラと小さなレンズなら、そうした威圧感がなくなり、自然な表情を引きだすのにも一役買ってくれると思います。
◇ ◇ ◇
——今度は料理を撮られた作品ですね。光と影がきれいに表現されています。
6151: 西日のきれいな時間帯でした。料理やテーブルフォトは仕事でも撮りますし、プライベートでもよく撮ります。「α7C」のような小さなカメラなら、店内でカメラを取り出すことに恥ずかしくなりがちなかたでも撮りやすくなるのではないでしょうか。カメラが小さいと撮影する機会が増える、ということについては、こういったシーンでも実感しました。
——ぼけも大きく、ハイライトとシャドウのトーンもよく出ていて、その場の雰囲気が再現されているようです。
6151: こういった日常の光景を収めるのにスマートフォンやコンパクトデジカメを使うこともありますが、やっぱり写りの良さを考えるとフルサイズセンサーのカメラですね。「α7C」だとそれを日常的に持ち歩けるわけですから。
Ryoya: 僕も外出中にスマートフォンで料理を撮ることがあります。スマートフォンにも画像処理で被写体の前後をぼかすモードはあるのですが、やっぱりどこか不自然に感じますよね。処理感が出てしまうというか。
6151: スマートフォンだとその場で感じた雰囲気は出しづらいですよね。スマートフォンを広角レンズがついているコンパクトデジカメだと思って使っているのですが、テーブルフォトに関しては余計なものが入りすぎることがあります。で、トリミングすると今度は画質に不満が残る。結局、カメラで撮っておけば後悔がないので、私はプライベートでもフルサイズのカメラを持ち歩いています。
◇ ◇ ◇
——こちらもおしゃれな料理写真ですね。
6151: 新しく買った器を使って何か撮りたくて。自宅でシンプルに設営・撮影したものですが、フルサイズらしい背景ぼけが出るなどうまくいきました。器の繊細な模様やクロスの質感も良く出ています。前景に置いた平皿が柔らかくぼけてくれるのも、まさにフルサイズならではだと思いました。
——料理を撮る上で「α7C」を使って感じたことはありますか?
6151: バリアングル液晶モニターがすごくいいですね。テーブルフォトの場合、よく俯瞰(被写体の真上から)で撮影します。バリアングル液晶モニターだとこれが気軽にできるのです。ファインダー撮影だとどうしても自分の視線のバリエーションがそのままアングルのバリエーションになってしまうのですが、バリアングルモニターで被写体を捉える視点を増やせるのは、写真のバリエーションが増えることにつながります。それに加えて「α7C」は軽いので俯瞰撮影がさらにやりやすいです。
Ryoya Takashimaさんの作品
——次は、Ryoyaさんが今回のために撮影していただいた作品です。「α7C」で撮影された3分弱の動画になっています。使用レンズはRyoyaさんの他の料理動画でも使われている「Distagon T* FE 35mm F1.4 ZA」です。
6151: いいですね。いつまでもずっと見ていたい……
——Ryoyaさんといえば料理動画ですが、そもそも普段はどのように撮影されているのですか?
Ryoya: カメラは1台です。三脚に載せ、外部モニターを繋いでいます。あとは外部マイクを必ず用意します。撮影にあたって絵コンテは用意しません。料理を進めながらアングルを探し、ピントもマニュアルで合わせています。ライティングは部屋の明かりのままですね。
——今回の「α7C」でもその方法で撮影されたと。では「α7C」を作品録りに使われていかがでした?
Ryoya: 「α7 II」「α7S II」を使っていた頃に比べて、バッテリーが大きくなり持ちが良くなりました。バッテリー1つをフル充電すれば何時間も録れます。写真と違い、動画だということもありますが、以前のモデルだとバッテリーがすぐなくなったので、モバイルバッテリーを繋いで充電しながら撮影していましたが、それでも「α7S II」は間に合わず、充電速度よりバッテリーの減りの方が速かったくらい。
バリアングル液晶モニターになったのもいいですね。「α7 II」の頃からソニーはなぜバリアングルにしてくれないんだろうと思ってたので、「α7S III」「α7C」ではバリアングルになってくれたので嬉しいです。料理動画では外部モニターを使うのでカメラのモニターを使うことはないのですが、料理以外で使えるとやはり便利です。
あとは細かい点かもしれないですが、大きく押しやすくなった録画ボタン、これは場所も大きさも良いですね。いままでの小さな録画ボタンは私にとっては押しにくくて、C2ボタンなどに録画開始を割り当てていました。
——作られる料理はもちろん、調理器具も美しく雰囲気のあるものが多いですし、正確な手の動きにも引き込まれますね。
Ryoya: 被写界深度が浅いとそういう効果が得やすいですね。動画制作のためフルサイズより小さなフォーマットの他社カメラを使っていた時期もありましたが、ぼけのきれいさが全然違います。ぼけと被写界深度内の画質を両立させようとすると、レンズの選択肢も少なかった。それでフルサイズミラーレスが充実し、純正レンズのクオリティが高く、選択肢の多いソニーに乗り換えたのです。
——動画編集についてお聞きします。今回の動画のピクチャープロファイルは?
デフォルトのPP7、S-Log2です。そこからDaVinci Resolveで編集しています。
——ジンバルを使われることもありますか?
Ryoya: 作品によっては使います。ジンバルにカメラを載せるときは軽いほうがいいですね。
“α”の印象は?…豊富なレンズに先進的な機能
——6151さんは動画を撮ることはありますか?
6151: やりたいですね。Instagramのストーリーに流すために写真を撮ったあと2〜3秒くらいの動画を撮るので、実は素材はたくさんあります。それをつなぎ合わせて作品にしたいけど、そこに気持ち的に高いハードルが(笑)。動画編集には写真現像よりもまとまった時間が必要でしょうし……。コツやアドバイスがあれば是非お聞きしたいです。
——Ryoyaさんは今回の撮影と編集にどのくらいの時間をかけているのですか?
Ryoya: 撮影に20〜30分、編集に1時間足らずといったところです。飲み物ではなく料理ならもう少しかかりますね。
——意外と短いですね。
Ryoya: 10年やってますから(笑)。ルーティンが決まってますし。
——最後に、ソニーα全体に対する印象をお聞かせいただけますか?
6151: 種類が豊富で写りの良い純正レンズがある。選択肢が多くて助けられています。そして、ただでさえ小ささに驚いたフルサイズミラーレスを、「α7C」がさらに小さなボディにしてくれましたが、これからもこういった新機軸の進化した製品が出てくると期待しています。
Ryoya: 「α7 II」を購入した時は、ソニー以外のフルサイズミラーレスカメラで選択肢がなかったこともありますが、その頃から本体が小さかったり、レンズも多彩で、さらにモバイルバッテリーからの給電ができたりと既に先進的だった印象です。ソニーのカメラを買わない理由がありませんでした。それからいままで、バッテリーの持ちがよくなり、バリアングル液晶モニターも実装された。日を追うごとによくなっている印象ですね。
提供:ソニーマーケティング株式会社
PART 2を近日公開します