デジカメ Watch
最新ニュース
【 2016/01/26 】
【 2016/01/25 】
【 2016/01/22 】
【 2016/01/21 】
【 2016/01/20 】

【PMA09】「K20D」とは違ったコンセプトの新型一眼レフを今夏に投入

~サムスンのミラーレス機にはノータッチだったペンタックス
会期:2009年3月3日~3月5日(現地時間)
会場:米国ラスベガスコンベンションセンター


HOYA ペンタックスイメージングシステム事業部商品企画グループマネジャーの川内拓氏
 昨年のフォトキナでは「K20D」、「K200D」と、2つの主力デジタル一眼レフカメラを夏前には投入すると話していたペンタックスだが、その進捗状況はどうなっているのか。

 タイミングからいって、今回のPMA09への展示がないことは予想していた人も多いだろうが、その経過について気になっているペンタックスファンも少なくないと思う。

 この3月からHOYAのペンタックスイメージングシステム事業部商品企画グループでマネジャーとなった川内拓氏に話を聞いた。


K20Dクラスの新モデルはK20D後継じゃない?

K20D
 川内氏は直前まで広報の役割を担っていたため、これまでに公開してきた情報にも精通している。質問を繰り出す前から「昨年、夏前に2機種と話しましたが……」と、自ら話し始めてくれた。

 昨年のフォトキナ2008の時点では、実際に2機種を並行で開発していたペンタックスだが、その後、ロードマップの見直しを入れたことで、タイミングはズレることになったようだ。K20Dと同価格帯になる新モデルは「夏のボーナス商戦に間に合うように頑張っている」とのことだが、K200Dの後継機種は年末商戦向けになる。

 これは景気動向の悪化が招いたものではなく、K20Dの位置付けに関して社内で議論を重ね、商品企画の方向を調整し直した結果ということのようだ。この方針変更はレンズロードマップにも影響を与えており、今月公開の新レンズロードマップでは、今まで表に掲載されていた一部のレンズが消えている。

 ただし、「レンズに関しては予定がずれ込んだことで消えただけです。企画案から消えてしまったというだけで、いずれ出すという計画には変わりはありません」という点は強調している。その背景はというと、どうやらK20Dと同価格帯の新モデル(と書けばわかるだろうが、どうやら後継機ではないようだ)の登場に合わせ、新ボディの特徴を活かすために“スタンダードのDAレンズ”に仕様変更を加えるためだという。「登場すればすぐにわかってもらえるものなので、まずは楽しみに待っていてください」(川内氏)

 「実際に製品を出すときになれば、『そういうことか』とわかってもらえると思います。光学設計を変えるなど、光学面での変化を伴う設計変更をするわけではありません。新ボディに合わせたリファインです」と川内氏。

 ではどんな要素を詰め込むのか? というと、さすがにそこまでは話していただけなかったが、「少なくとも世の中のトレンドになっている要素は、すべて入れておきたい。ペンタックスを選んだユーザーが、何か特定の機能がないからと卑屈にならないように」とのこと。機能やスペックも発売時点で最新のものになるよう開発は行なうが、何より商品のテイストそのものが、K20Dクラスの新機種が持つ最大の特徴になる。

 “K20Dクラス”、“K20Dと同価格帯の新機種”と書いているのは、このモデルがK20Dの後継としては作っていないからだ。K20Dボディそのもののユーザーからの評価は良好なものだったが、しかし一方で、“ペンタックスらしさや、ユーザーがペンタックスに求めているものとは異なるのではないか?”という疑問が、川内氏にはずっと残っていたと話す。

 「たとえば細かな造形や各部の動きにもこだわり、軽快さも意識したリミテッドレンズには、スペックだけではない普遍的な魅力がある。ボディの開発においても、発売から数カ月してスペックが他社に負けた瞬間に競争力がなくなるような製品作りではダメだと考えたんです。ではペンタックスの強みとは何でしょう?」と川内氏。


DA 15mm F4 ED AL Limited
 どのような製品になるのかについては、もちろん話さなかった川内氏だが、いくつかのヒントは残してくれた。

 たとえば「DA 15mm F4 ED AL Limited」には、鏡筒内に巧みにレンズフードが組み込まれ、精緻な印象を与える目盛り周りの造形。はめ込み式キャップやフィルタを取り付けてもフードが邪魔にならないよう配慮されていたり、フードを引き出してロックしなくとも、ピッタリとガタのない合わせで組み立てられていたりと、精密機器としての造りの良さにこだわった製品になっている。標準で装備されるスクリュー式レンズキャップには、ペンタックスロゴがエンボス加工されているが、ねじ込んでロックされたところでロゴが水平になるというこだわりようだ。

 いずれもハイテクではないが、手間をかけて良いものを作るというペンタックスの心意気の顕れなのだが、こうしたスペックに顕れない、しかし使ってみると愛着が沸き「手元に置いて寝たくなるような」カメラにするという。

 加えてK20Dのボディサイズが大きめだったことも反省材料の1つだったそうで「やっぱりペンタックスには、小型軽量を求める声が強い」と、リミテッドレンズを付けて散歩に出かけたくなる軽快な製品というのも意識しているとも川内氏は話した。

 また、K20DとK200Dは、明確に兄弟機ということを意識したデザインになっていたが、年末商戦向けとなるK200D後継機種とは異なる個性を持ったデザインになることも明らかにした。「開発陣はペンタックスらしさを発揮できると、みんな嬉々として開発に取り組んでいます。きっと期待に応えられる製品になるでしょう」(川内氏)。

 なお、フォトキナ2008ではフルサイズセンサー機よりも「645デジタル」の開発を優先していること。645デジタルの開発凍結が、いよいよ解除されたことが明らかになっていたが、これがさらに進行していることも川内氏は明らかにした。

 具体的な開発の状況を対外的に、どのタイミングで公表するかは現在検討中とのことだが、最速では3月末のフォトイメージングエキスポ(PIE)2009でも具体的な製品化に向けてのアナウンスを行なう可能性もある。


サムスンの「NXシステム」にはノータッチ

PMA09でサムスンが発表したミラーレス一眼カメラ「NX」(モックアップ)
 一方、PMA09の会場内で話題になっていたサムスンのミラーレス一眼システムの「NXシステム」だが、大方の想像とは異なり、ペンタックスは完全にノータッチとのこと。ではサムスンとの提携関係は切れたのかといえば、そうした事実もないという。

 NXシステムの存在そのものも、「フォトキナ2008後の海外記事で、ミラーレス機開発中という情報は出ていたので、アイディアを持っていることは知っていたが、それ以上のことは我々も知らなかった。共同開発という事実はありません。今後、製品化に際してサムスンから相談があるかもしれませんが、現時点では無関係ですし、NXシステムのカメラやレンズも開発していません」と川内氏。

 余談だが、サムスンがNXシステム用に(モックアップと見られているが)レンズを見せていることについて、会場内ではさまざまな噂があった。1つはペンタックスが協力しているのでは? というものだが、ペンタックスとサムスンの提携は元々ボディだけに関するもので、レンズは除外されていたそうだ(サムスンが発売しているレンズは、すべて同一仕様でのOEMのみ)。

 もう1つは、シグマがレンズ設計と製造を手伝うのではないかというものだが、こちらも別の取材でシグマの山木和人社長にお会いした時「このPMAで何度もいろいろな人から同じことを訊かれたんですが、ウチはまったく繋がりがないんですよ」と明確に否定していた。どこがレンズを供給するのか、あるいはサムスン自身が設計するつもりなのか、今もってよくわからない。


ミラーレス機よりもKマウントシステムの拡充を図る

「物作りを行なう企業としての誇りを持って製品を作りたい」(川内氏)
 ペンタックスに話を戻そう。川内氏は、「ミラーレス化によって、カメラがどう変化するかといったシステム面での興味はあります。しかし、我々は今あるレンズシステムの充実を図る必要があります。検討はしますが、具体的な開発にまで至るかどうかは、現時点では何ともいえません」とし、光学機器メーカーとして一眼レフカメラの開発にフォーカスするとの考えを示した。

 「645デジタル向けにも開発を行ないますから、マウントを新規に起こして新システムを再構築するには35mmフルサイズ機のシステムを作り上げるのと同じぐらいのパワーが必要になります。今のKマウントシステムを捨ててまでの利点があると判断できないと、踏み込むことはできません」(川内氏)

 最後に同氏はペンタックスファンに向けて、次のように話した。

 「確かに景気はとても悪い状況です。しかし、その影響を受けるのは一眼レフカメラでいえばエントリークラスでしょう。中級機以上の場合、不景気によって、よりお客さんの目がシビアになり、本当に気に入った、良いと思うものにしかお金を出さなくなります。我々としては、全部が全部コストダウンではなく、譲れない部分にはコストをしっかりと使い、物作りを行なう企業としての誇りを持って丁寧に製品を作りたい。シェアを追わず、ユニークな製品を喜んで買ってもらえるようにすることが大切だと思います。今年のペンタックスは、コンパクトも一眼レフも、いいカメラであることは当たり前。それ以上に、ワクワクと心を躍らせるようなカメラを提供します」



URL
  ペンタックス
  http://www.pentax.jp/
  ペンタックスK20D関連記事リンク集
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2008/02/05/7800.html
  ペンタックスK200D関連記事リンク集
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2008/02/05/7801.html

関連記事
PMA09関連記事リンク集(2009/03/04)
ペンタックス、超広角Limitedレンズ「DA 15mm F4 AL」(2009/03/03)


( 本田雅一 )
2009/03/09 00:01
デジカメ Watch ホームページ
・記事の情報は執筆時または掲載時のものであり、現状では異なる可能性があります。
・記事の内容につき、個別にご回答することはいたしかねます。
・記事、写真、図表などの著作権は著作者に帰属します。無断転用・転載は著作権法違反となります。必要な場合はこのページ自身にリンクをお張りください。業務関係でご利用の場合は別途お問い合わせください。

Copyright (c) 2009 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.