デジカメ Watch
最新ニュース
【 2016/01/26 】
【 2016/01/25 】
【 2016/01/22 】
【 2016/01/21 】
【 2016/01/20 】

セイコーエプソン、第3四半期決算は減収増益

~インクジェットプリンタは26%減も、改革には目途

セイコーエプソン常務取締役経営管理本部長の久保田健二氏
 セイコーエプソンは26日、2006年度第3四半期連結決算を発表した。売上高は前年同期比12.8%減の3,967億円、営業利益は48.1%増の253億円、経常利益は34.6%増の241億円、当期純利益は48.8%増の135億円となった。

 プリンタ、プロジェクタ、PCなどを含む情報関連機器事業セグメントは、売上高は前年同期比9.1%減の2,699億円、営業利益は114.6%増の324億円。

 プリンタ事業の売上高は、前年同期比9.4%減の2,351億円。インクジェットプリンタにおいては、円安がプラス効果に働いた一方で、今年度を初年度として取り組んでいる「創造と挑戦1000」で打ち出した1年次計画での出荷数量の減少の影響、および海外市場を中心とする販売価格低下の影響を受けた。

 セイコーエプソン常務取締役経営管理本部長の久保田健二氏は、「第3四半期のインクジェットプリンタは、台数ベースでは26%減となった。絞りすぎたという感じもあるが、収益性を重視したマーケティングに取り組み、その成果があったと判断している。インクカートリッジの数量は若干の増加を維持しているが、これは十分な実績が出ているという状況ではない。今後、本体出荷数量の絞り込みを続けると、インクカートリッジのビジネスにも影響してくることから、2007年度はインクジェットプリンタ本体の販売台数を伸ばすことを考えていきたい。第4四半期は、そのために拡販費用も増やす考えで、これにより2007年度の成長につなげていきたい」と語った。

 セイコーエプソンの中期経営計画「創造と挑戦1000」では、収益力強化プランとして、インクジェットプリンタ関連商品のポートフォリオの見直しを掲げていたが、今回の久保田常務の発言は、この取り組みが一応の完了を見たことを示すものだともいえる。

 第4四半期は、プリンタ事業で前年同期比4.7%減の1,924億円とし、インクジェットプリンタの本体販売台数の減少は続くとしているが、プリンタを含む情報関連機器セグメントの営業利益が37.5%減の92億円となる見通しであることは、むしろ、2007年度のインクジェットプリンタ事業の拡大に向けた拡販費用の投資による布石と見ることができそうだ。


 また、レーザープリンタでは、価格競争が激化するなか、採算性が低いモデルの出荷数量を絞り込み、プリントボリュームの多い収益性の高いモデルへとシフトした。だが、ドットマトリクスプリンタは低価格機種の販売が増加した。

 映像機器事業では、アミューズメント向け液晶モニターやプロジェクションTV用OEMエンジンの需要が減少。液晶プロジェクターについては、とくに、ビジネス用途において低価格機種の需要が大幅に増加したという。

 情報関連機器事業セグメントの増収は、インクジェットプリンタの収益性を重視した商品構成の見直しとともに、販売費および一般管理費などのコスト削減による採算の改善と、液晶プロジェクターの増収や、円安効果などが影響している。

 電子デバイス事業セグメントの売上高は23.1%減の1,131億円。営業損益は、前年同期の32億円の黒字から、マイナス57億円の赤字となった。

 ディスプレイ事業において、携帯電話端末の需要増加があったものの、MD-TFD液晶ディスプレイとアモルファスシリコンTFT液晶ディスプレイ、カラーSTN液晶ディスプレイが、競争激化にともなう価格低下の影響を受けたのが原因。また、低温ポリシリコンTFT液晶ディスプレイも、受注が低調に推移した。

 半導体事業では、システムLSIが競争激化にともなう出荷数量の減少が影響したことで、売上高は10.9%減の245億円。水晶デバイス事業は、価格低下の影響があったものの、東洋通信機の事業統合効果により、売上高で10.7%増の248億円、営業利益も大幅な増収となった。

 精密機器事業セグメントの売上高は前年同期比1.3%減の226億円。営業利益は15.4%増の15億円となった。

 工業用インクジェット装置の新規販売や、ウオッチ事業においては、国内市場向けのソーラー電波時計をはじめ、中高価格商品の販売が増加したことがプラス要因。これが収益拡大にも貢献している。

 一方、同社では、2006年度通期の見通しを下方修正した。10月25日に発表した業績予想に比べて、売上高を180億円減となる1兆4,110億円に下方修正。営業利益の400億円、経常利益の400億円、当期純利益の140億円はそのまま据え置いた。

 「プリンタ事業を中心として収益性を重視した商品戦略やコストダウン効果による採算性の向上、また円安効果の寄与による増益効果があるものの、インクジェットプリンタにおける拡販費用の追加投入や、中・小型液晶ディスプレイにおける客先の需要変動や、さらなる価格の低下などが想定されるため修正を行った。第4四半期は大変厳しい事業環境にあると予想しているが、経常利益400億円の目標達成を目指す」(久保田常務取締役)とした。

 また、久保田常務取締役は、「電子デバイス事業は、第4四半期をボトムに考えており、年度内には具体的な方向性を示したい。ディスプレイ事業、プリンタ事業を含めて、抜本的な対応をしていく必要もあり、これを推進する上では、場合によっては、構造改革費用の一部積み増しということがあるかもしれない」などとした。



URL
  エプソン
  http://www.epson.jp/
  ニュースリリース
  http://www.epson.jp/osirase/2007/070126.htm

関連記事
エプソン、プリンタ事業は減収に(2006/10/25)


( 大河原 克行 )
2007/01/26 19:45
デジカメ Watch ホームページ
・記事の情報は執筆時または掲載時のものであり、現状では異なる可能性があります。
・記事の内容につき、個別にご回答することはいたしかねます。
・記事、写真、図表などの著作権は著作者に帰属します。無断転用・転載は著作権法違反となります。必要な場合はこのページ自身にリンクをお張りください。業務関係でご利用の場合は別途お問い合わせください。

Copyright (c) 2007 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.