映像、情報、通信の総合展示会「CEATEC JAPAN 2005」が、千葉県・幕張メッセ(日本コンベンションセンター)で開催されている。期間は8日まで。入場料は事前登録の場合無料だが、当日登録では一般が1,000円、学生が500円となる。
コンシューマー向け製品の主たる展示は携帯電話やAV機器で、デジタルカメラに関する展示は少ない。が、新製品や、普段なかなか見ることのできない分解モデルなどの展示など、デジタルカメラユーザーにも興味深いものがいくつかあるので、ここで紹介したい。
■ ソニーはサイバーショットR1を展示
ソニーブースは液晶テレビと音楽プレーヤーを前面に押し出した展示となっているが、サイバーショットのコーナーも設けられている。ただし、展示されているのはサイバーショット DSC-R1のみ。
同社現行製品のハイエンドモデルで、APS-Cを若干小さくした、レンズ一体型デジタルカメラとしては大型の撮像素子を搭載する。大型のCMOSを採用しているにもかかわらずライブビューを実現しており、デジタル一眼レフなみに大きなボディに、2型の液晶モニターをフリーアングルマウントしている。
ブースでは3台ほどの実機が用意され、手にとって操作することができる。ワイコンなどのオプション類も用意され、こちらも装着して試すことができる。
また、DSC-R1のCMOSと、前ハイエンドモデルのDSC-F828の2/3インチCCDが展示されており、DSC-R1のCMOSの大きさを実感できる。
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レンズユニット
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右がR1、左がF828の撮像素子
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ソニーブースには11月18日発売のHDDフォトストレージ「HDPS-M10」も出品されている
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■ 松下電器はLUMIXシリーズの分解モデルと手ブレ補正機構をデモ
松下電器のブースでは、デジタルカメラの展示スペースも大きめにとられており、LUMIX DMC-LX1、DMC-FZ30、DMC-FX9と、今期新発売の3機種が勢揃いしている。それぞれの分解モデルが展示されているほか、DMC-FX9は手ブレ補正効果のデモが行なわれている。
また、DMC-FX9のレンズユニットとジャイロセンサーだけで構成した手ブレ補正のデモ装置があり、ジャイロセンサー部分を手で持って動かすと、その動きを打ち消す方向にレンズユニットが動く様子がわかるようになっている。
また、16:9のアスペクト比を持つCCDを搭載したDMC-LX1と一緒に、16:9画像の印刷に対応したプリンタが参考展示されている。
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DMC-FZ30の分解モデル
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DMC-LX1の分解モデル
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DMC-FX9の分解モデル
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DMC-FX9の手ブレ効果のデモ
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手ブレ補正体験機。右のジャイロセンサーユニットを動かすと、左のレンズユニットの中のレンズがブレを補正する方向に動く
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テレビラック内に16:9対応プリンタを参考出品
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松下電工ブースにはSDメモリーカード用ソケットの展示があった。最新型では基板に切り欠きを設けてそこにソケットを落とし込んだ「基板差し込み」タイプとなっている。スタンドオフ量を0.7mm削減し、ソケット部の高さを2mmに抑えている。SDIOにも対応。出荷は今夏からで、デジタルカメラに採用されている。
なお、最近の松下製ソケットにはコの字型スライダーが組み込まれ、スプリングの力で飛び出るSDメモリーカードの飛び出しをスライダーとの摩擦で防いでいる。従来品にもスライダーは組み込まれていたが、形状がL字型だったため、SDメモリーカードに加わるストレスが2方向に分散、挿抜時に安定感を欠いた感触になっていた。これをストレスを分散させるコの字型に換えることで、まっすぐ飛び出るように改良したという。
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最新の基板差込型SDメモリーカードソケット
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L字型スライダーとコの字型スライダーの違い
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■ コダックはEasyShare Oneを参考出品
コダックは、ライブドアの「ネットラウンジ」において、米国で出荷が始まった無線LAN対応デジカメ「EasyShare One」を参考展示した。実際に動作する機材で、無線LAN経由でプリンタに出力したり、米Kodakが運営するオンラインアルバムサービス「EasyShare Gallery」に画像をアップロードするなどの操作をすることができる。
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ネットラウンジ内のコダックコーナー
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EasyShare Oneからプリンタードックへ無線LAN経由で印刷することもできる
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EasyShare Gallery
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■ Ben Qは日本未発売モデルを参考展示
台湾のBen Qは、日本未発売のE510とE520というコンパクトデジタルカメラを参考展示している。どちらもペンタックス製の光学3倍ズームレンズを搭載した500万画素機で、記録媒体にはSDメモリーカードを採用している。液晶モニターはE510が2型、E520が2.5型。
2.5型液晶モニターを搭載したE520はスタイリッシュなうえ、VGAサイズのMPEG-4動画の撮影機能も搭載しており、価格次第では日本市場にも受け入れられそうな製品となっている。
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E510
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E520
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■ エプソントヨコムは手ブレ補正ジャイロセンサーを展示
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ジャイロセンサーを組み込んだパター。スイングの軌跡を記録し、プレイヤーにアドバイスする
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水晶デバイスや各種センサーのメーカーであるエプソントヨコムのブースでは、デジタルカメラの手ブレ補正に使用するジャイロセンサー「XV-3500CB」を展示。2004年4月に開発を発表した製品で、従来品よりも小型で、かつ性能がよいことをアピールしている。現在、デジタルカメラメーカー数社が検討中で、同製品を搭載したデジタルカメラは近々登場する予定とのこと。
同社はセイコーエプソンと東洋通信機が業務資本提携の上、10月1日付けで両社の水晶事業を統合した企業。振動子、共振子、発信器、プリズム、放熱板、光学ローパスフィルタなどを扱う。
今回展示のジャイロセンサー(角速度センサー)についても水晶結晶を利用した同社製品のほうが「MEMSを使ったものより精度がいい」という。1月の「ファイバーオプティクスEXPO」でも同様のデモを行なったが、ゴルフのパターに組み込むなどデモを工夫。以前のシューティングゲーム(傾けると自機が移動)より、「わかりやすい」と来場者の反応は良いという。
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中段左右の2つがジャイロセンサーのXV-3500CB。サイズは各5×3.2×1.3mm
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手ブレ補正のデモ機材。モニターで補正画像と未補正の画像を表示して比較できる
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左のジャイロセンサーの、XYZの各軸の移動量をグラフで表示するデモ
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■ セラミックレンズ「ルミセラ」に高屈折率タイプなど追加
レンズ関連では、村田製作所が昨年に引き続き透過性セラミックスレンズの「ルミセラ」をアピールした。硝材を超えるという高い屈折率が特徴で、透過率も光学ガラスと同等。カメラの薄型化に貢献できるとしている。すでに2004年にカシオが「EXILIM CARD EX-S100」で採用済み。
今回は色付きを改善した「Type-Z」と、より高屈折率の「Type-T」を中心に展示。どちらも参考出品で、Type-Zは現行品(Type-E)の「見た目が茶色い」という評価をもとに改善したもの。Type-Tは屈折率(nd)をType-Eの2.082から2.095、アッベ数23.6~24.2に引き上げたという。
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着色を抑えたType-Z(下段中央)などを展示
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ハイブリッド非球面タイプ
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厚さ0.1mmの極薄タイプも参考出品
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ブースにはType-E、およびType-Zで製作したプリズム並べ、Type-Zの着色の少なさをアピール。さらにガラス(BK-7)と比較するとことで屈折率の高さを訴求していた。
そのほか、セラミックスレンズに非球面の樹脂をかぶせたハイブリッドレンズも展示。セラミックスレンズ単体では非球面が難しかったが、これで残存収差を減らした上での小型化が可能になるという。また、厚さ0.1mmのセラミックスレンズも出品。さらに、アクセサリー用途を意識し、球形やダイヤモンド状にカットしたセラミックスレンズを並べていた。
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京セラオプティクスのガラスモールド非球面レンズ。成形型にセラミックスを使用
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また京セラオプティクスは、高級デジタルカメラ向けのガラスモールド非球面レンズを出品した。特徴は成形時の型をオールセラミックスとしたこと。高温に強いというセラミックスの利点を生かし、従来モールドで使用できなかった硝材を使った非球面レンズを生産できる。すでに最近の京セラ製デジタルカメラ(現在は生産中止)に採用されていたという。
最大50mm径のレンズを成形でき、30mm径以下なら大量生産が可能。対応できる形状は両凸、平凸、凸メニスカス、凹メニスカス。デジタルカメラのほか、需要が高まっているリアプロジェクションテレビの光学ユニットなどへの応用を視野に入れている。また、スキャナなどへの搭載を意識したシリンダー型も展示していた。
同社はコンパクトデジタルカメラのレンズを生産しているが、1~2年前から需要の中心がプラスチックレンズからガラスに戻ってきたという。撮像素子の画素数の増加にあわせたためで、プラスチックより自由度が低いガラスモールドの技術にセラミックスを利用することで、需要に応えたいとしている。
また同社は、一般的なアルミ蒸着ではなく、銀蒸着によるミラーのサンプルを展示していた。銀はアルミより反射率が勝り、光利用効率に優れる。そのため最近は、一部のデジタル一眼レフカメラのルーフミラーに採用される例が見られる。同社の銀蒸着サンプルはリアプロジェクションテレビやフロントプロジェターのミラーだが、同社ではデジタル一眼レフ用途にも転用できるとし、同市場に強い関心を持っているという。
■ コンパクトプリンタ向けエンジンを展示したアルプス電気
アルプス電気はA6対応の昇華型フォトプリンタエンジンを展示した。ここ数年同イベントで展示しているタイプの最新版で、2005年発売の製品に採用済み。プリント速度の高速化と全体の小型化を図ったという。ASICを開発し、高画質化も実現した。プリント速度はA6サイズで約90秒/枚。
ほかにもフォトプリンタ関連では、シチズン・システムズが業務用昇華型プリンタを展示。発売は10月1日。同社はこれまでにも店頭プリント端末などにOEM供給していたが、今回から自社ブランドでの展開も行なう。L~A5ワイド(152×229mm)に対応し、プリント、通信、排出をあわせたスループットはLサイズで約9秒、A5ワイドで約20秒(ともに高画質モード)。業界最速としている。
カードスロットなどのエンドユーザー向けインターフェイスはなく、PCにUSB 2.0で接続して利用。フロントオープン機構を採用し、店頭プリント端末などへ組み込んだ場合も用紙補充やメンテナンスが容易だという。
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アルプス電気の昇華型プリンタエンジン
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業界最速というシチズンの昇華型フォトプリンタ
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■ 日立の超小型光ディスクと幻のNHJブース
日立はCF Type 2スロットに準拠した直径28mmの光ディスク装置「Micro Data Archive」を参考出品した。デジタルカメラなどでの使用を想定している。製品化は未定。
CFアダプタ状のドライブをデジタルカメラのCFスロットに差し込み、さらにドライブに専用の小型光ディスクを挿入して使用する。今回展示したディスクは読み出し専用だが、最終的には書き換え可能なメディアを目指すという。現在の容量は約500MB。
ディスクはジャケットに入っており、シャッター機構も設けられている。ディスクの厚みは0.1mm、ジャケットが0.3mmの計0.4mm。書き込みと読み出しには赤色レーザーを使用。ただし、DVD規格と異なる波長になるという。
なお、CEATEC JAPANのホームページや、会場でもらえる出展社一覧には、8月に自己破産したエヌエイチジェイ株式会社のブースが記載されている。場所は家電メーカーが集中するHall 2。実際にはベンチを設けた空きスペースとなっており、休息する来場者が見られた。
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左が光ディスク、右がCF形状のドライブ
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光ディスク。小型ながらシャッター付きのジャケットを採用
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空きスペースとなっていたNHJブース予定地。出展登録が倒産前だったためと思われる
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■ URL
CEATEC JAPAN
http://www.ceatec.com/ja/2005/news/
■ 関連記事
・ CEATEC JAPAN 2004に各社が新製品を展示(2004/10/05)
( 本誌:田中 真一郎, 本誌:折本 幸治 )
2005/10/05 20:14
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