|
日本でのeVJ発表会の模様
|
映像処理エンジンの専業ベンダー、ニューコアテクノロジーは22日、eVJ(Electronic Video Jockey)を日本で発表した。eVJは画像処理プロセッサ「SiP-1280}のミドルウェアとして提供される開発者向けソフトウェアモジュール群。720PのHDTV出力などと組み合わせ、カメラ単体での本格的なスライドショーを実現させる。
eVJは今後、機能の充実を図ることでイメージ検索などのファンクションを追加していくそうだが、eVJで提供されるモジュールを用いることで、液晶画面上での写真プレビューにも新しいユーザーインターフェイスを導入できるかもしれない。
一方、ニューコアは次世代のイメージプロセッサについても、順調に開発を続けているようだ。その登場は今年後半と、比較的早いタイミングになる模様。しかも現在わかっているスペックだけでも、なかなか刺激的なものになりそうだ。
|
|
eVJの概要
|
eVJは画像プロセッサSiP-1280の機能を利用して実行される
|
■ アナログフロントエンドの更新で画質の大幅向上へ
同社のデジタルカメラ向けチップセットは、イメージセンサーから受けた信号をアナログレベルで処理した後にデジタル化するアナログフロントエンド「NDXシリーズ」と画像処理プロセッサ「SiPシリーズ」に分けることができる。
昨年、ニューコアはSiPの性能を向上させたが、NDXはそのまま以前からのものを使用してきた。実は画質面でのニューコアの特徴は、NDXによるところが大きいのだが、すでに十分な性能を確保していたこともあって、プロセッサ側の強化を優先させていたようだ。
しかしそのアナログフロントエンド、NDX1260がついに次世代へと進化する模様だ。
次世代NDXも、信号をアナログレベルで処理することで量子化ノイズを最小限に抑え、信号品質を落とさないという特徴に変化はない。しかし全体のスペックを底上げすることで、フロントエンドとしての品質をさらに向上させているようだ。
次世代NDXはコードネーム「Hayabusa」と呼ばれているもので、細かな機能面でのスペックアップは不明だ。しかしアナログ処理後のA/D変換部が16bitから22bitへと向上。ガンマ補正などの細かい前処理を行ったあと、イメージプロセッサに対して12/14/16bitのいずれかでデータを引き渡す(従来は12bit)。
Hayabusaはちょうどファーストシリコン(最初の試作半導体)が出来たばかりとのことだが、従来の開発用基板に組み込んだテスト機が既に動作していた。
その最初のHayabusaでキャプチャしたという映像を見せていただいたが、小型CCDを用いているとは思えないほど、階調が豊富で不自然なエッジ強調がなく、ディテール感がありながらノイズが少ない、というNDX1260よりも明らかに優れた映像を出していた。
試作品ということで色のチューニングは行なわれていなかったが、素性の良さは見るだけで十分に理解できるほど。イメージセンサーからの情報を処理するフロントエンド部分の質が高まったため、現像時あるいは後処理で極端な画像処理を施さなくとも、十分な低ノイズを実現できたことが、結果的に全体の画質を引き上げることに繋がっているようだ。
|
|
次世代アナログフロントエンド「Hayabusa」
|
Hayabusaを搭載したテストベッド。レンズ裏にあるオレンジ色の特殊なソケットの中に「Hayabusa」が収められている
|
■ 毎秒10コマ撮影を実現する「Puma」
一方、SiP-1280も今年後半にはより高性能な第3世代品へと進化する模様だ。
現在のSiPは毎秒3~3.5コマ程度の連写を実現しているが、次世代SiPの「Puma」では毎秒10コマの処理速度を実現できる。実際に毎秒10コマのキャプチャを行なうためには、大量のメモリバッファ搭載が必要になるだろう。また高速メモリカードでの無限連写も、メモリカードの書き込み速度に依存する事になるはずだ。
従ってニューコアの次世代チップを用いた製品すべてが毎秒10コマの連写が可能になるかどうかは製品の実装次第だ。しかし能力の向上は邪魔にはならないはずだ。今年の運動会シーズンには、秒10コマ撮影が可能な大量バッファ搭載のコンパクトデジタルカメラが登場しているかもしれない。
Pumaに関して、これ以上の情報は出てきていないが、SiPは画像のプレビューやユーザーインターフェイスの構築も担当しているため、高速化により全体的なレスポンスアップやより優れたユーザーインターフェイスの実装などが可能になるだろう。
問題はどのような形で我々の手元に届くかだ。現在、ニューコアのOEM先として明らかになっているデジタルカメラベンダーは京セラとエプソンのみ。もちろん、他にも採用ベンダーはあるだろうが、何社ぐらいから登場するのか。担当者に採用企業の数を伺ったところ「数を言えば、OEM先がわかってしまう」と何も話さなかったが「2社ということはない。もっと、もっと多くのベンダーに採用していただいている」ともいう。
いずれにしろ、これまでニューコアはリリース時期の大幅な遅れを出していないことから、遅くとも年末ぐらいには画質、スペック共に大きく向上したコンパクトデジタルカメラが何機種か登場することになるだろう。
■ 関連記事
・ ニューコアテクノロジー、デジカメ上でスライドショーを生成する「eVJ」(2005/02/22)
( 本田 雅一 )
2005/02/24 00:56
・記事の情報は執筆時または掲載時のものであり、現状では異なる可能性があります。
・記事の内容につき、個別にご回答することはいたしかねます。
・記事、写真、図表などの著作権は著作者に帰属します。無断転用・転載は著作権法違反となります。必要な場合はこのページ自身にリンクをお張りください。業務関係でご利用の場合は別途お問い合わせください。
|
|