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オリンパス、一眼レフフラッグシップ「E-3」の発表会

~目標シェア20%、新カテゴリー開拓も示唆

 オリンパスは17日、デジタル一眼レフカメラ「E-3」などの新製品発表会を都内で開催した。オリンパスイメージング社長の大久保雅治氏が出席し、E-3をはじめとしたデジタル一眼レフカメラ事業ににかける意気込みを語った。また、「デジタル一眼レフカメラとコンパクトデジタルカメラのギャップを埋める」という、新カテゴリーについても言及した。


E-3を持つオリンパスイメージング大久保社長(中央)
E-3。レンズは同時発売のED 12-60mm F2.8-4 SWD

 E-3は、同社のデジタル一眼レフラインナップにおけるフラッグシップモデル。既存の最上位モデル「E-1」から、約4年ぶりのモデルチェンジとなる。価格はオープンプライス。店頭予想価格は20万円前後の見込み。発売日は11月23日。


世界最速のAFと5段分の手ブレ補正

商品開発部の朝倉部長
 E-3の基本思想について説明したのは、オリンパスイメージング開発本部の商品開発部長、朝倉康夫氏。開発コンセプトを「Speed」、「Image Quality」、「Viewing」、「Reliability」(信頼性)の4つにまとめ、それぞれの詳細を解説した。

 まず「Speed」については、世界最速のAF速度を特徴として挙げた。同社の製品として初めて超音波モーター「SWD」をAF駆動に採用した同時発表の新レンズ「ZUIKO DIGITAL ED 12-60mm F2.8-4 SWD」(11月23日発売)、「ZUIKO DIGITAL ED 14-35mm F2 SWD」(2008年春発売)、「ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8-3.5 SWD」(11月23日発売)と組み合わせることで、高速かつ精度の高い被写体測距が得られるという。例えば同社の測定条件によると、A社、B社、C社に比べて、スポットAFでの25%、マルチAFで35%高速としている。

 SWDについては、オリンパスイメージングの小川治男商品戦略本部長も開発の苦労を述べている。顕微鏡分野で使用するマイクロマニピュレーターをアクチュエーターに応用できないかと開発を始めたのが1991年から2000年にかけて。その間、マイクロマシン技術が進んだことで小型化とパワーが進化し、実用化に結びついたという。アクチュエーターは、徐々に減速して止まる一般的なタイプとは異なり、止めたい場所にぴたりと静止できるという。イメージとしては「押し付けて蹴飛ばす」動きになるため、オリンパスでは「跳ね馬構造」と呼んでいる。


AF速度の比較
レンズに搭載されるSWD

AFは3点から11点になった
AFセンサー

ファインダー倍率が約1.15倍に高倍率化した

 測距点は11点。すべてクロスセンサーで、かつ千鳥配列のツインクロスセンサーとなっている。それら計44点分を同時に演算するエンジンを開発し、さらに動体予測と動体追尾のアルゴリズムを新規に開発。朝倉氏は「速いだけでなく、高速で動く複雑な被写体にもきっちりあわせられる。プロのダメだしを何度もくらいながら開発し、十分使えるまでになった」と自信を見せた。

 「Image Quality」では、新開発の有効1,010万画素「ハイスピードLiveMOSセンサー」と、画像処理エンジン「TruePic III」の相乗効果を強調。LiveMOSセンサーはE-510やE-410のものを改良し、ダイナミックレンジの拡大と、5枚/秒に対応する高速読み出しを実現した。センサーの画質面では、TruePic IIIの性能を引き出せるよう開発したという。「低ノイズで階調が豊か、自然で豊かな色再現」としている。

 画素数が1,010万画素にとどまっていることについては、「良い写真は画素数ではないことがわかっている。色再現、ダイナミックレンジなどファクターはたくさんある。また、レンズ性能がないと、画素数があっても活かせない。まずはレンズの性能を上げることに取り組み、総合画質で素晴らしいものを提供したい」と語った。

 高感度はISO3200まで。今秋の他社製新モデルにはISO6400以上の増感に対応する機種があるが、「一部のお客様にはこれ以上の感度が必要とは思っているが、(多くのユーザーにとって)安心して使っていただけるレベルを提供している」との見解を示した。

 朝倉氏は、E-510から搭載を開始したボディ内手ブレ補正の有効性についても改めて述べた。曰く、「すべてのフォーサーズレンズで有効」、「レンズ設計に負担をかけない」、「レンズの小型化が可能」というもの。さらにE-3では手ブレ補正アルゴリズムを新開発し、手ブレ補正効果を5段分に増強している。中望遠域で手ブレ限界秒時からの段数を表したもので、「業界トップの効果。最強の手ブレ補正システム」とアピールした。

 なおE-3では、E-510と同様、ライブビュー時にISボタンを長押しすることで、補正効果を液晶モニターで一定時間確かめることができる。モードは通常と流し撮りの2モードで、E-510と同じく、縦位置での流し撮りには対応しない。


中央がLiveMOSセンサーを含む手ブレ補正ユニット
手ブレ補正の段数を他社と比較

レンズ品質で「辰野クオリティ」を打ち出す

 続く「Viewing」では、E-330から続くライブビューの搭載と、フリーアングル液晶モニターの利点を紹介。上下方向のみ可動したE-330では、縦位置でのローアングルやハイアングルに対応できなかったが、E-3では2軸可動式のフリーアングル液晶モニターになった。

 ライブビューでは、E-510のように露出補正やホワイトバランスの確認が可能。さらにE-3からの新機能「SAT」(シャドウアジャストメントテクノロジー」の効果も確かめられる。すでに「μ830」などのコンパクトデジタルカメラで実用化している機能で、暗部を持ち上げておぎなうもの。E-3では、階調メニューの「オート」を選ぶと動作する。


階調メニューの「オート」でSATが作動する ライブビューでSATの効果を確認可能

液晶モニターが2軸可動式のフリーアングルになった

 最後の「Reliability」には、防塵防滴ボディ、視野率100%・1.15倍のファインダー、ゴミ除去機能のSSWF(スーパーソニックウェーブフィルター)が含まれる。ボディの頑丈さはE-1の頃から評価が高かったそうで、今回も過酷な使用条件を想定したという。SSWFについては「他社でも出てきたが、最高の性能を提供していると自負している」と、性能面での優位性を強調した。

 デザイン面を解説したのは小川氏。E-3のイメージを「アスリートのように構えたフォルム、躍動の造形」に求めたという。「強い骨格としなやかな筋肉、風格を与えた」としている。また、「デジタル一眼レフカメラはどうしてもフロントビューに注目が集まるが、ぜひバックビューにも注目いただきたい」とアピールした。

 「連写速度など、スペック面で他社の新モデルに劣るのでは」との質問に朝倉氏は、「フォーサーズとして特筆すべきところを伸ばしている。AF速度、手ブレ補正など。総合的に見劣りしていない」と回答。また、「撮像素子の面積に対してボディが大きすぎるのでは」との質問には、「それぞれの機種で最適なものを提供したい。小さいなボディが必要な人にはE-410やE-510を。E-3はカメラ全体のコンセプトに合わせた大きさを実現している。これだけの機能が入っているカメラとしては、非常に小さくできたかと思っている」と述べた。


デザインコンセプト
開発モックアップ

外装にはマグネシウム合金を採用

 朝倉氏は新レンズについても言及した。3本ともオリンパスオプトテクノロジーの辰野事業所(長野県上伊那郡辰野町)が生産を担当。同事業所はZUIKO DIGITALレンズの高級モデルを扱うところで、今回からは品質面や開発力を「タツノクォリティ」として打ち出すという。

 また、各社のデジタル専用レンズラインナップ数を挙げ、ZUIKO DIGITALだけで20本、他社製を含めて30本以上を有するフォーサーズシステムの充実度をアピールした。

 今回の3本と2倍テレコンバーターついては、「ED 14-35mm F2 SWDは業界最高峰の描写性能」、「全て防塵防滴」、「MFへのシームレスな切替」、「マクロと魚眼にテレコンバーターをつけられるのはZUIKO DIGITALだけ」などの点を強調した。


SHGグレードのレンズなどに冠せられる「TATSUNO QUALITY」
辰野事業所の開発力と生産品質をアピール

コンパクトと一眼のギャップを埋める新カテゴリーを示唆

オリンパスイメージング商品戦略本部長の小川治男氏
 E-3は、3月に開催したE-510とE-410の発表会において、大久保社長が「年内には」と語っていた機種でもある。

 大久保氏は「単に数値だけでなく、実用レベルでの真のフラッグシップを目指して完成度を高めた。大変お待たせした」と語り、E-3の性能と信頼性を強調。また、「最近各社が搭載しているゴミ除去とライブビューは、当社が先駆けて実現したもの。こうした新たな機能を提供し続けることで、デジタル一眼レフカメラのリーディングカンパニーのひとつでありたい」と意欲を述べた。

 小川氏からも時間があいたことについて、「いつになったら出るのか、待たせるのもいい加減しろ、とのお叱りをいただいていた。妥協を許さない開発をしたため、この時期になってしまった。お詫び申し上げたい」との内幕を述べる場面が飛び出した。

 大久保社長は「デジタル一眼レフカメラ市場の世界シェア20%を中長期的に目指す」と発言。具体的には5年以内の達成を目処にしているという。現在のシェアは7~8%。今年度50万台の計画については「進み具合として悪くないのでは」との感触を述べている。なお、累計台数は60万台という。

 さらに、「あくまで挑戦者であり、先行する2強に劣っているが、ある基盤を作りたい。そのために、当社ならではの付加価値をしっかりとつけて、販売のグローバルな強化を行ないたい」と、今後の事業展開を示した。その一端として「コンパクトデジタルカメラと一眼レフにはギャップがある。そこに何か新たな領域を作れないかと挑戦したい。新たなカテゴリーを作れないかと考えている」との発言を行なった。具体的な計画は述べなかった。

 E-3の発表で、同社の主力ラインナップは、E-3、E-510、E-410の3機種になった。小川氏は「3機種で完成ということではなく、ひとつの形を示せたかなと思っている。継続的に出して行く中で、ラインナップを多彩にして行きたい」と説明している。


パワーバッテリーホルダー「HLD-4」とグリップストラップ「GS-3」を装着したE-3。レンズはED 12-60mm F2.8-4 SWD 背面の操作部。INFOボタンなどを液晶モニター下に配置

シャッターボタンとE-1以来の前ダイヤル
本体上部が斜めになっている

E-1を最後に非装備となった表示パネルを装備 上面左の操作部。MODEは露出モードの切替ボタン

カットモデル。ペンタプリズムからアイピースまでに拡大光学系が見える 同時発売のED 12-60mm F2.8-4 SWD

スケルトンモデル。中央グレーの部材がSWDのアクチュエーター
同じく新レンズのED 50-200mm F2.8-3.5 SWD

ガラスケース内には、来春発売のED 14-35mm F2 SWDも展示してあった
26日発売のED 70-300mm F4-5.6

ED 70-300mm F4-5.6には倍率目盛も表記
E-3と同時発表の2倍テレコンバーター

E-3のトップカバー。内蔵ストロボにはコマンダー機能を搭載
ワイヤレス発光対応のFL-50RとFL-36R

発光量やグループ指定などを本体のスーパーコンパネから指定できる


URL
  オリンパス
  http://www.olympus.co.jp/
  製品情報
  http://olympus-imaging.jp/product/dslr/e3/

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( 本誌:折本 幸治 )
2007/10/17 20:53
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