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【インタビュー】E-410/510開発陣インタビュー(前編)

~E-410は女性的なエレガントさ、E-510は男性的な力強さや機能性を

E-410
 昨年までは影に身を潜めたかのように、巻き返しの機会を狙っていたオリンパス。E-330ではライブビューを提案、E-500は中級クラスの機能とコンパクトさの両立を狙うなど、単発ながらいくつかの提案を続けてきたが、市場でブレイクするまでには至らなかった。しかし、日本向けに出荷が開始されたE-410は順調にセールスを伸ばし、ボディ内手ブレ補正搭載機としては世界最小・最軽量となるE-510も順調なスタートを切ったようだ。

 とかく新フォーマットの成否に注目の集まるオリンパスのデジタル一眼レフカメラだが、今回の新製品2機種は、いずれもフォーサーズシステムの善し悪しといった議論を超えて、製品自身の魅力をもって市場に受け入れられている。

 両機種に関して、前編では製品全体のコンセプトと開発にまつわる話、後編ではE-510に搭載された、超音波モーターを用いて4段ぶんの補正を可能にするというボディ内手ブレ補正機能について話を聞いた。まずは前編からお届けしたい。

 話を伺ったのはプロダクトリーダーとして、両製品の開発だけでなく商品企画から製造、プロモーションの一部にも関わっている石橋唆月(さつき)氏。E-1、E-500、そして今回の両機種のデザインを担当した高橋純氏。E-510のメカ設計を主に担当し、E-410のメカ設計と同期しながらプロジェクトを進めた土田直弘氏。E-330以降のすべての製品に関して、画像処理や絵作りを担当している高済真哉氏の4名である(文中敬称略)。


左から高橋氏、石橋氏、土田氏、高済氏
──フォーサーズシステムのカメラには、デジタル専用マウントということ以外にも、システム全体の小型化への期待が登場以前からありました。しかし、実際にはAPS-Cサイズのセンサーを採用するカメラと比較して、明確な差異化をアピールできていなかったという経緯があります。もちろん、センサーが小さいからといって、簡単にシステムが小さくなるわけではないことは理解できるのですが、では今回はどのようなアプローチで小型化を達成できたのですか?

石橋 おっしゃるとおり、センサーが小型……小型といっても、APS-Cと比べて大幅に小さいわけではないのですが……になったからといって、カメラが簡単に小さくなるわけではありません。

 一番わかりやすいのはファインダーですね。センサーサイズが小さくなれば、見た目のファインダー像が小さくなるため、これを拡大して大きく見せなければなりません。また、メモリカードのスロットはフォーマットにかかわらずどの機種も同じ容積が必要ですし、液晶パネルのサイズや内蔵するLSIに必要な実装面積も同じ。さらに同程度のパフォーマンスを与えるとなれば、バッテリー容量(≒バッテリーサイズ)も同等条件になります。センサーサイズが135フォーマットの1/4の面積になるため、ミラーボックス周りなどに余裕ができるのは事実ですが、そのぶんまるまる小さくできるわけではありません。

 では、どうやって小型化したかですが、さまざまな周辺デバイスやバッテリーの性能向上ぶんを、より小型化する方向に割り振りました。そのあたりが、今回小さくなったと評価していただける結果につながっていると思います。

──とはいえ、ここまでできるならば、最初から小型化に特化した設計のシリーズもそろえてもらえれば……という印象もぬぐい去れません。フォーサーズの立ち上げ初期、あまりにも画質や機能、性能に振りすぎたという印象もあります。

土田 フォーサーズ1号機のE-1の時は、まだ設計側もフォーマットサイズに合わせた小型化という面で、経験値が不足していた部分はあります。最初から小型化に取り組んでいたとしても、E-400/410のレベルまでの小型化は不可能だったでしょう。まずはE-300があり、その設計をベースにE-500を作った。そして、そのE-500をベースにE-400/E-410で低さと薄さを追求して設計を切り詰めたからこそ、ここまでの小型化ができたのです。E-400/E-410と並行して開発を進めていたE-510に関しても同じです。世代を重ねることで得た経験をプラットフォームのレベルまで落とし込んで、ここまでの小型化ができました。

※編集部注:E-400は、2006年末に欧州で販売された小型デジタル一眼レフ。LiveMOSでなくCCDを搭載することなどがE-410と異なる。


E-300(2004年) E-500(2005年)

E-400(2006年) E-510(2007年)

標準ズームを装着したE-410と望遠ズームは、文庫本サイズに収まる
──小型化を賞賛する声とは矛盾してしまいますが、小さくすることによるデメリットも今度は出てきますね。小さいけれど使いやすいデザインというのは、なかなか難しい。

高橋 E-400/410でもっとも注力したのは、薄さを追求したことと、グリップ部をそぎ落として使用時の軽快感を出すことでした。しかし、グリップ部が薄くなり、さらに小さいというのでは、指の配置が狭苦しくなり、操作しにくく持ちにくいカメラになってしまいます。そこで意図的に横幅に余裕を持たせるようデザインしました。

 肝心なことはコンパクトさと持ちやすさ、使いやすさのバランスなのですが、いくら高性能でも、写真を撮りたい時に持ち歩いていなければ撮影はできません。E-400/410に関しては、「携帯性」を重要な機能と位置づけて、全体のデザイン、設計を行なっています。実は、文庫本の上にダブルズームのキットが載るサイズになっているんですよ。

──軽さも重要な点ですね。前述されているように、内蔵しなければならないコンポーネントそのものは、フォーサーズシステムでもそれほど変わらない。しかし省電力化によってバッテリーサイズが小さくなったことも大きいのでしょうが、バッテリぶんを除いてもE-410は非常に軽量に仕上がりました。しかし、E-510に関しては手ブレ補正が追加されたことが大きいのでしょうが、バッテリーの増分を除いても100g以上、重くなっています。

石橋 “E-510のボディ内手ブレ補正は魅力だけど、重いんだよね”という声はよく聞くのですが、手ブレ補正機能を内蔵したカメラとしてE-510はよりも軽いカメラはありません。では手ブレ補正機能を内蔵しないエントリークラスの他社カメラと比べてどうか? というと、やはり軽量なんです。重量という面で言えば、E-510はボディ内手ブレ補正を内蔵しながら、ライバルはE-410だけ。市販されるデジタル一眼レフカメラの中で、2番目に軽量なカメラがE-510です。

──小型化すれば外装部の面積が減るぶん、軽量化には有利です。しかし、そのまま小さくしただけで、ここまで軽くは通常なりません。シャシー構造そのものの見直しなどは行なっているのですか?

土田 CADを使ったシミュレーションで、剛性や耐久性を落とさずに肉抜きできるところには、穴あけ加工や外装の厚みを削るなどの努力を施しています。シャシー構造や材質は同じなのですが、細かなRの付け方など形状を検討することで剛性を高め、そのぶん、肉を落とすというアプローチで軽量化を果たしました。


E-410の内部
E-510の内部

──E-500までの製品ラインと素材や構造は同じということですが、実際に手にした感覚で言うと、E-410/E-510の方が質感やしっかりとした剛性感があります。ほんの少しの雰囲気の違いですが、これは大きい。

石橋 設計としては、どちらも十分な剛性や耐久性を持たせていますが、デザイナーやメカ設計のこだわりが、細かな部分での強度を向上させている部分はあります。たとえばE-410/E-510では、バッテリーがグリップの突起部には入っていません。こうすることでグリップ部の形状や構造に自由度が出て、結果的に握りやすく、グリップ部の剛性が出しやすくなっています。

土田 E-500ではグリップの突起部に電池を収めていたのでグリップ形状にも制約がでます。また、電池収納部の構成も外装とシャシーの2分割で構成されていました。E-410/E-510では電池収納部をシャシーで構成して剛性を上げています。

──実際のE-510を見ると、写真やスペックで見るよりもE-410との差が大きい。単に手ブレ補正機能とグリップのぶんだけ大きく、重くなったというのではなく、ボタンの増加や操作面での余裕が増えたことなどで使いやすくなり、存在感も増したように思います。ふたつの製品が同じプラットフォームを共有する兄弟機であることは明白ですが、実際の製品にはきちんと上下関係が出来ていました。このあたり、デザインや設計の面でどのように工夫したのでしょう?

石橋 通常ならば共通部品を使うところでも、異なる部品を使っているところがあります。スペック上、E-510の方がわずかに高さがあるのですが、これはペンタプリズムの上にあるストロボカバーの形状が異なるためです。厚みに関しても、手ブレ補正ユニットの厚みぶんほども、実は厚くなっていないんですよ。手ブレ補正に必要な構造物を、センサーの横に割り振って厚みを削っています。そういった小型化を行なったうえで、E-410は女性的なエレガントさ、E-510は男性的な力強さや機能性をデザインに盛り込んだ結果が、おっしゃるような印象の違いになっています。


E-510(左)とE-410


──設計の面で、E-410とE-510の差異化は(手ブレ補正やグリップ以外に)どのように施したのでしょうか?

石橋 E-510にはE-500の後継機種という意味もありますが、E-500が対象としていた幅広いユーザーでなく、中級によりフォーカスしています。中級ぐらいまでで、あらゆる機能を欲しいユーザー向けの製品として開発しました。E-410は、従来のエントリーユーザーよりもさらに初心者向け、あるいは別の切り口でデジタル一眼レフカメラを購入する、女性を含めた層を意識しています。

 E-410とE-510は、特に操作性の面で大胆に違いを出しています。E-410はメニューの複雑さや機能のわかりにくさを排除して、ユーザーが迷わずに使えるようナビゲートするように作っています。一方のE-510は多機能で、可能な限りの機能をユーザーに開放しています。


──次に画質の面にも注目したいのですが、今回の2製品は従来のフォーサーズカメラに比較すると、大幅にノイズ感が減っていますね。ノイズフィルタをオフにしても、十分にノイズ感が少ない。画像処理の面でどのような違いがあるのでしょうか?

高済 まずはセンサー自身の特性が良くなったことがあります。しかし、今回はそれに加えて、映像処理エンジンの一新が効いています。新しいノイズ除去のアルゴリズムが、従来機種よりも大幅に進化しているため、その結果が現れています。

──つまり、半導体技術の進歩により、従来は採用できなかった画像処理のアプローチを取ることができたということですか?

高済 その通りです。オリンパス独自開発の新しい画像処理エンジンが、大幅な画質向上に寄与しました。このエンジンは弊社が日々開発している要素技術を集約し、カメラ用エンジンとして最適化したものです。

──設定メニューではノイズフィルタの強度を選択可能ですね。さらにオフもできる。オフの時もローノイズなのはなぜでしょう?

高済 メニューで設定可能なノイズフィルタは、画像処理の中でももっとも仕上がりの印象に影響を与える部分のみです。ノイズ除去はセンサーの質、基板設計の工夫から、画像処理のさまざまなステージで行なわれているのですが、その中でも最終の、RAWデータからJPEG画像を作り出す、まさに絵作りの過程で行なうノイズ除去フィルタについてユーザーに開放したものです。このため、メニューでノイズリダクションをオフにしても、すべてのノイズ処理がオフになるわけではありません。

 フィルタ強度の変更に関しては、いろいろと調査した結果、ユーザーによって好みのノイズ処理が異なることがわかっていたため、オフを含め4段階の制御を行なえるようにしました。

──カラー設定はNATURALがデフォルトですが、素材そのままというほどには地味ではなく、しかし階調性は失わないバランスの良い絵作りという印象を持ちました。一方でVIVIDにしても、色飽和が目立つほどではなく、コンパクトデジタルカメラに慣れたユーザー向けといった印象です。どんな部分に配慮して絵作りを行なっているのでしょう。

高済 多くの人の意見を聞きながら、あらゆる人にとってのデフォルト設定を考えて、社内で議論を重ねて生み出しました。NATURALでは自然さを失わないようにすることが前提ですが、デフォルトモードとして誰もが納得できる絵を出さなければなりません。VIVIDも同じで、やりすぎると誰も使わないモードになってしまいます。いろいろな人が、どちらのモードを使っても、大きな不満なく使えるようなバランスを図りました。


──高済さん自身が好みの設定、目指した絵とは、どの設定の時に出るのでしょうか?
 
高済 私の意見は入れないように注意しています。開発者としての私の意見ではなく、実際にカメラを使っていただいているユーザーの好みを集約したものにしていますので、いろんな撮影シーンにおいて、ひとりひとりの好みに合う設定が必ず見つかるはずです。

──ところで“オリンパスブルー”という言葉が定着しつつありますよね。オリンパスのカメラは、青空が気持ちよく描写される。実際に絵作りを行なっている技術者は代替わりしていると思うのですが、この評価だけは変わらない。オリンパス社内に“オリンパスブルー”の明確な定義はあるのでしょうか?

高済 設計者としては、青空の描写にオリンパスブルーの神髄があると考えて絵を作っています。しかし、青空の描写といっても、社内だけでもいろいろな意見があって、正確に定量化できているわけではありません。現時点では社内の関係者でレビューを繰り返しながら、青空の絵を決めています。しかし、今後もオリンパスブルーを継承していくために、今まさに数値化しようと取り組んでいるところです。

 オリンパスブルーを体感したい場合は、仕上がり設定にVIVIDを選んでいただければ、晴天の青空で、これぞオリンパスブルーという色を楽しんでいただけるはずです。



URL
  オリンパス
  http://www.olympus.co.jp/
  オリンパス E-510関連記事リンク集
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2007/03/12/5812.html
  オリンパス E-410 関連記事リンク集
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2007/03/12/5811.html


( 本田雅一 )
2007/07/24 00:01
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