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【新製品レビュー】リコー「CX1」

~CMOSセンサー搭載による独自機能が魅力

 リコーCX1はRシリーズの後継機で、最大の改良点は撮像素子がCCDからCMOSになったこと。連写性能がアップしただけでなく、これを利用したダイナミックレンジダブルショットモード(以下DRと表記)などの新機能が加わり、魅力的なカメラに生まれ変わった。

 外観デザインは、Rシリーズを踏襲しているが、前面グリップ部を金属製に変更。実際に手にしたときの感触が硬質で、部材の遊びによるきしみもない。まるで金属の塊を手にしたような印象を受ける。別の言い方をすればソリッド感に溢れたといった作りで、非常に高級感がある。また背面にラバー製の部材を追加し、ホールディング性を高めている。ボディカラーはシルバーとブラックに加えCaplio(キャプリオ)の時代に存在したシャンパンロゼというピンク系のメタルカラーも復活した。





 レンズはR10と同じズーム比7.1倍のズームレンズを搭載。画角は35mm判の28~200mmに相当するが、特に広角側の画角が広いので遠近感を活かした本格的な広角撮影が楽しめる。また望遠側も200mmと実用的な焦点距離で、手ブレ補正機能と組み合わせて失敗のない望遠撮影が可能である。さらにスイッチをオフにすると完全にフラットに収納されるので持ち運びもに便利だ。
 
 撮像素子にCMOSを採用したことで、CX1は秒間120コマという高速連写が可能になった(約1秒間、画像サイズVGA)。実際の撮影では、ここまで連写性能が追求されることは少ないかも知れないが、ゴルフのスウィングを記録するなど明確な使用目的があれば重宝するだろう。フル解像度では4コマ/秒、画像サイズ2Mで15コマ/秒(約2秒間)、同じく2Mで30コマ/秒(1秒間)の連写機能も搭載している。


撮影領域を広げる新機能

 さらに高速連写性能をいかしたものとして、CX1には多くの魅力的な機能が追加された。その代表が、ダイナミックレンジダブルショット機能だ。

 これは、画像処理部に採用され、最近注目を浴びているHDR(ハイダイナミックレンジ合成)を応用した機能だ。簡単に説明すると、明るさの異なる複数の画像を合成して、ダイナミックレンジを拡大する機能だが、CX1ではこれを本体に内蔵。モードダイヤルをDRに合わせると2枚の画像を連続して撮影、これをカメラ内の画像処理エンジンが処理してダイナミックレンジの広い画像を作り出す。

 このとき問題になるのが、2カット撮影する際の間隔だが、高速連写機能のおかげで、非常に短い間隔で撮影が可能。手持ち撮影でも画像のずれが最小限に抑えられる。画像処理ソフトを使ったこれまでの方法だと、三脚を使ってカメラを固定し露出を変えた画像を撮影したり、RAWデータから明るさを変えて現像するなど、面倒な操作が必要である。だがCX1なら通常と同じ感覚で撮影できる。またDR+の設定を選べばDRあり/なしの両方の画像を保存することもできる。


ダイナミックレンジダブルショットの効果は、微弱、弱、中、強の4段階から選ぶことができる 撮影画像の確認画面では、DR効果あり/なしの画像がヒストグラムととにも表示される

 もう一つの注目すべき新機能は、マルチターゲットAFだ。このモードを選ぶとフォーカスエリアをずらしながら7カットを連続撮影。このとき記録されるデータは、複数の静止画を1つにしたMPファイル形式なので、そのままでは静止画として利用できないが、ボディ側の再生機能を使えば、任意のカットをJPEGに変換して保存できる。また専用のビューワソフト(Windowsでは同梱のIrodio、Mac OS XではリコーからダウンロードできるVM-1)を利用すれば、パソコンで上でも同様の作業が可能である。


マルチターゲットAFで撮影した画面を表示させると、ピント位置を表示した画面が表示される。

再生設定画面で「静止画の書き出し」を選び、継いで1コマを選択。十字キーの←→ボタンを操作すると撮影した画像を順番に表示する。このときOKボタンを押すと表示された画像がJPEGで保存できる


 このほかCX1に搭載された画像処理エンジンは「画素出力補間アルゴリズム」専用回路を搭載。明暗差が激しい条件でも、白トビに近い明るさの出力を補間演算することによって、最大で+1EV(従来比)のダイナミックレンジ拡大が可能になった。さらに異なる色温度が混在する条件でも、各エリアごとに最適なホワイトバランスを設定するマルチパターンホワイトバランスも搭載している。


グリップ前面のラバーはなくなったが、背面の親指が掛かる位置にラバー製の部材を追加、ホールド感を高めている 撮影モードはオートモードが基本。ダイヤルをDRに合わせると、ダイナミックレンジダブルショット機能が利用できる

バッテリーとSDHC/SDメモリーカードはボディ底面のカバーを開けて収納 ボディ側面にあるUSBとビデオ出力端子


スイッチをオフにすると、その日撮影したカット数が表示される


上級機への展開にも期待

 リコーは新製品を発売する際に大胆なデザイン変更を避ける傾向があり、場合によっては新製品らしく見えないことも多い。今回のCX1も従来からあるRシリーズと外観はそれほど変わらないが、その内容はかなり革新的だ。シリーズ名を変えたことが、これを如実に現していると言えるのではないだろうか。

 リコーは自社のデジタルカメラをスタンダード、プロフェッショナル、ビジネスの3つのカテゴリーに分けている。CX1はスタンダードに属し、写真マニアではない一般ユーザーをターゲットにした商品である。だが今回、新たに採用されたダイナミックレンジダブルショットなどは、プロフェッショナルに分類されるGR DIGITALやGXなどに登載されてもおかしくない機能だ。今のところ、GR DIGITALシリーズについて新製品情報は聞かれないが、新製品登場の際には、ぜひこれらの機能を入れて欲しいと思う。


 

●作例

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像を別ウィンドウで表示します。


画角

 35mm判換算で28~200mmをカバーしているので、遠近感を強調した広角撮影から本格的な望遠撮影まで、多彩なレンズワークが思いのまま。


広角端
CX1 / 約3.3MB / 3,456×2,592 / 1/540秒 / F5 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 5mm
望遠端
CX1 / 約3.1MB / 3,456×2,592 / 1/164秒 / F5.2 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 35.4mm

CX1 / 約3.3MB / 3,456×2,592 / 1/620秒 / F5 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 5mm CX1 / 約3.4MB / 3,456×2,592 / 1/90秒 / F4.1 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 8mm

CX1 / 約3.4MB / 3,456×2,592 / 1/203秒 / F6.5 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 10.2mm

ダイナミックレンジダブルショットモード(DR)

 DRなしの画像は外の風景が完全に白トビしているが、DRありでは植木の像が確認できる。


DR(中)
CX1 / 約3.0MB / 3,456×2,592 / 1/5秒 / F3.3 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 5mm
DRなし
CX1 / 約3.1MB / 3,456×2,592 / 1/9秒 / F3.3 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 5mm

 DRなしの画像は室内の暗い部分がつぶれ気味だが、DRありでは明るく再現された。


DR(中)
CX1 / 約3.1MB / 3,456×2,592 / 1/23秒 / F5.6 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 6.2mm
DRなし
CX1 / 約3.0MB / 3,456×2,592 / 1/84秒 / F3.7 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 6.2mm

マルチターゲットAF

本文中での解説で使った写真の元画像
CX1 / 約3.3MB / 3,456×2,592 / 1/97秒 / F3.6 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 5.7mm
マルチターゲットAFは、このように前後に重なった被写体を撮影するときに威力を発揮する
CX1 / 約2.9MB / 2,592×3,456 / 1/310秒 / F4.3 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 10.2mm

自由作例

ズーム比が高いにも関わらず、ディストーションはそれほど目立たない
CX1 / 約3.2MB / 3,456×2,592 / 1/203秒 / F3.7 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 6.2mm
正方形フォーマットを選ぶこともできる
CX1 / 約2.7MB / 2,592×2,592 / 1/380秒 / F4.4 / -1EV / ISO80 / WB:オート / 11.5mm

マクロモードでの撮影
CX1 / 約3.1MB / 3,456×2,592 / 1/760秒 / F4.3 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 10.2mm

CX1 / 約3.4MB / 2,592×3,456 / 1/540秒 / F4.7 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 16.3mm CX1 / 約3.3MB / 3,456×2,592 / 1/143秒 / F5.2 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 35.4mm

CX1 / 約3.2MB / 3,456×2,592 / 1/189秒 / F4.9 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 20.9mm


URL
  リコー
  http://www.ricoh.co.jp/
  製品情報
  http://www.ricoh.co.jp/dc/cx/cx1/

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( 中村文夫 )
2009/04/27 14:34
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