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富士フイルム、発表会で第5世代スーパーCCDハニカム搭載機を解説


 富士写真フイルム株式会社は15日、「第5世代スーパーCCDハニカムHR」を搭載したコンパクトデジカメを含む新製品4機種について、都内で発表会を開いた。

 発表されたのは有効630万画素の「FinePix F10」、有効500万画素の「FinePix Z1」、単3電池駆動のエントリーモデル「FinePix A350」およびその下位機種「FinePix A345」。いずれも光学3倍ズームレンズを搭載し、価格はオープンプライス。店頭予想価格はF10が5万円前後、Z1が45,000円前後、A350が3万円前後、A345が2万円前後の見込み。発売時期は、F10とA350/A345が3月、Z1が5月。

 F10およびZ1の2機種には、独自開発の「第5世代スーパーCCDハニカムHR(スーパーCCDハニカムV HR)」と、デジタル一眼レフカメラ「FinePix S3 Pro」で得た技術を投入した新画像処理エンジン「リアルフォトテクノロジー」を搭載。この2機種が2005年春モデルにおける戦略機種となる。


FinePix F10 FinePix Z1 FinePix A350/A340

光利用効率を改善した第5世代スーパーCCDハニカムHR

富士写真フイルム株式会社電子映像事業部の渡辺憲二営業部長
 第5世代スーパーCCDハニカムHRは、2003年1月発表の「第4世代スーパーCCDハニカムHR」を超える感度を実現するため進化させたもの。F10の1/1.7型有効630万画素の場合、最高感度はISO1600、Z1ではISO800まで設定できる。両機種を解説したのは、富士写真フイルム株式会社電子映像事業部営業部長、渡辺憲二氏と同事業部の竹村和彦技術部長。

 第5世代スーパーCCDハニカムのコンセプトは「高感度による撮影領域の拡大」。第4世代に対して「光利用効率の改善」、「飽和拡大」、「低ノイズ化」を開発目標とした。

 CCDに関する主な設計変更については、「遮光部や電極の形状を変えるなど光学層を薄膜化し、受光効率を改善した」との説明があった。高画素化するとセルの横幅は狭まるが、電極などの間隔も近くなり、従来よりセルに届く光が少なくなる。それに対応するため、電極を低背化し、遮光部も薄くしたという。

 なお従来のスーパーCCDハニカムでは、記録画像数を実画素数以上に増やすハニカム信号処理を行なっていたが、今回の2機種の記録解像度は有効画素と同じ。「高画素化が進んだことで、有効画素数のままでも精細な画像が得られるようになったため。A4サイズならこのままでも十分な画質」という。そのため、内部的にハニカム信号処理を行ない、有効画素数に落としているという。


スーパーCCDハニカムの歴史 第5世代の断面イメージ

S3 Proゆずりのリアルフォトエンジン

 CCDそのものより同社が説明に多くを割いたのが、画像処理エンジン「リアルフォトエンジン」について。同エンジンを含めることで、高感度撮影を実現する第5世代スーパーCCDハニカムのコンセプトが完成するとしている。

 リアルフォトテクノロジーは「FinePix S3 Pro」のエンジンをIC化したもので、高画質化やシャッタータイムラグ0.01秒などを実現する高速処理、CIPA基準で撮影枚数約500の長電池寿命を特徴としている。今回はその中でも新方式のノイズ低減処理について説明があった。

 信号をぼかすことでノイズ低減処理をしていた従来の方式は、細かいノイズに対して有効だが、大きなノイズまでは抑制できないという。しかし新方式では「様々な大きさのノイズをバランスよく抑制する」とし、まだら状で大きなノイズにも利くという。その効果を「ISO1600の撮影画像のノイズレベルは従来機種のISO400に相当」(同社)としている。ただし、具体的な従来機種の機種名は明かされなかった。なお、スーパーCCDハニカムは第3世代でもISO1600を実現しているが、当時は単純な画素混合によるノイズ低減処理だったという。

 同社が2003年に調査した結果によると、デジタルカメラ利用者の撮影頻度をEVと撮影距離で見た場合、距離は3m未満、EV5~8前後に多く分布していた。これは室内での撮影と見られる。


撮影距離、LV値の頻度分布 ピンボケ、手ブレ、被写体ブレの距離、LV値の分布

 また2004年の同社の調査では、デジタルカメラユーザーの不満として29%の回答者が「暗い場所での撮影画質」を挙げている。さらに「削除することが多い画像」の質問には73.7%が「ブレている、ボケている」を挙げ、共に1位となった。

 発表会では、高感度撮影の利点として「室内、夜景スナップが明るくきれいに写る」、「暗いシーンでも被写体ブレがない」、「ストロボ到達距離が長い」、「ストロボ使用時にも背景が明るく写る」、「被写界深度を稼げる」を挙げ、上記のニーズに応えるとした。


手ブレ補正では被写体ブレは防げない

富士写真フイルム電子映像事業部長の林伸幸氏
 席上、富士写真フイルム株式会社の電子映像事業部長、林伸幸氏は「総需が鈍化し、価格競争も激しくなっている。機種のライフサイクルも短くなった。買い替え/買い増し需要とパーソナル需要に市場が写りつつある。そのため、魅力ある製品の市場導入と、コスト競争力のある製品づくりが必須条件と考えている」と考えを述べた。

 また、「2004年の国内デジタルカメラ出荷数は前年を下回る見通し。世帯普及率も50%を超えたが、東南アジアを中心に海外はまだ進捗すると予測している。今後も特徴ある機種を投入して需要を喚起し、市場全体に貢献したい」と抱負を述べた。

 林氏は、グループの強みを「フジノンレンズ、スーパーハニカムCCD、画像処理エンジンと、グループ内でキーデバイス技術を持つこと」と説明し、2004年に電子デイバイス研究所を設立したものその一環とした。また、調達部の独立、富士フイルムイメージング株式会社の設立についても「企画、開発、生産の一貫した強化を図った。富士フイルムイメージングは、タイムリーに迅速にニーズを生産に伝えられるよう連携を強化する」とした。

 新製品のFinePix F10については「(コンパクトで)ISO1600は世界初。これまでデジタルカメラに不満を持っていたユーザーに、高レスポンスや電池寿命とあわせ、どんな場合でも撮れる安心感を得てほしい。最新技術を投入した自信作」と説明。また、FinePix Z1については「東京、ニューヨーク、ロサンゼルス、パリなどで調査し、デザインとスペックを決定した。撮る喜びのほかに持つ喜びも実現できた」と解説した。


富士フイルムイメージングの田中康夫社長
 同席した富士フイルムイメージングの田中康夫社長は、「今回の機種に搭載した画像処理技術、Image Intelligence(イメージインテリジェンス)は、デジタルミニラボのフロンティアや、Z1が対応する携帯電話向けプリンターのPiviにも搭載されている。出力面でも新しい提案を出していきたい」と述べた。

 F10、Z1については店頭でサンプル写真を展示し、「撮りたいものが撮れる」とアピールする。なお、F10は「高感度No.1コンパクト」、Z1は「高感度No.1スリム」が愛称。両モデルとも店頭で、手ブレ補正では対応できない被写体ブレを含めたブレへの強さを訴求するという。



URL
  富士写真フイルム
  http://www.fujifilm.co.jp/
  ニュースリリース(FinePix F10)
  http://www.fujifilm.co.jp/news_r/nrj1332.html
  ニュースリリース(FinePix Z1)
  http://www.fujifilm.co.jp/news_r/nrj1333.html
  ニュースリリース(FinePix A350/A345)
  http://www.fujifilm.co.jp/news_r/nrj1334.html
  【2003年1月22日】富士フイルム、第4世代スーパーCCDハニカムを発表(PC)
  http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0122/fuji.htm

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( 折本 幸治 )
2005/02/15 17:25
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