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【インタビュー】2年ぶりに登場したMac用「Photoshop Elements」


 4月4日発売の「Photoshop Elements 6」により、バージョンナンバー、写真編集機能ともに、ようやくWindows版に追いついたMac用のPhotoshop Elements。Windows用の「Photoshop Elements 5.0」と「Photoshop Elements 6」の新機能を網羅しての登場となる。

 Mac用の特徴と狙いについて、アドビ日本法人のマーケティング本部プリントパブリッシング部グループリーダーの栃谷宗央氏に話を聞いた。


2年ぶりのメジャーバージョンアップ

マーケティング本部プリントパブリッシング部の栃谷宗央氏

――今回のリリースは、2006年に発売された「Photoshop Elements 4.0」から久しぶりのメジャーバージョンアップになります。その間、画像編集ソフトを巡る環境が大きく変わっていると思いますが。

 大きな違いを2つ認識しています。1つはMacを取り巻く環境です。Photoshop Elements 4.0を発売した2年前は、Intel MacもLeopardもありませんでした。2008年の現在、Photoshop Elements 4.0をそのまま販売するのは難しくなっています。Photoshop Elements 6のリリースには、ユーザーの最新環境で軽快にElemenstを使っていただきたい、との想いもあります。

 もう1つは、写真の市場環境が大きく変わっていることです。2006年から見ると、デジタルカメラは画素数が増加し、デジタル一眼レフカメラの普及も進んでいます。高品質な写真をエンドユーザーが手にすることが簡単になり、同時にレタッチのニーズが向上していると見ています。

 ユーザーターゲットは今までとほぼ同じですが、ご高齢の方や、団塊ジュニア世代などにも膨らませたいと考えています。Macを使う人、つまり本物が好きな人(笑)もカテゴリーのひとつですね。

――写真管理に対する市場の意識の変化については、どうお考えでしょうか。

 デジタル写真は撮影枚数が多い上、以前よりハードディスクや記録メディアの容量が増えています。ユーザーにとってデジタル写真の重要度が向上すると同時に、撮影枚数も増加するということは、写真管理が難しくなると同時に、写真を失ったときのダメージも大きくなっていると考えられます。管理とバックアップの重要度は上がっているはずで、今後も減ることはないでしょう。

――Mac用が遅れた理由は?

 Windows用とMac用は同じチームが作っています。今回はWindows用を先行して開発しました。Elemetnsのリリースサイクルは約1年半ですが、Leopardに対応させたことなど、Mac用のリリースはいいタイミングになったと思います。


高機能な「Bridge CS3」が付属

――Windows用との違いは?

 大きな違いは、Windows用の特徴でもある「写真整理モード」がなく、代わりに「Bridge CS3」が付属することです。 Creative Suite 3(CS3)アプリケーションに付属するファイル管理ソフトですが、CS3のものとは全くイコールではありません。Photoshop Elements 4.0のときもBridgeを付属し、管理面を補填していました。

――写真整理モードよりBridge CS3の方が高機能に見えますが、写真整理モードならではの機能はあるのでしょうか。

 Bridge CS3でも、写真管理モードでできるほぼすべてのことがが可能です。ただし、ピクチャーパッケージ(複数の写真をレイアウトしてプリントする機能)や、ブック作成機能などは利用できません。Bridge CS3の方が優れている点としては、例えばルーペ機能です。


写真管理ツールとしてBridge CS3が付属する(画像はPhotoshop CS3に付属するもの)

Bridge CS3からPhotoshop Elements 6の特徴的な機能を起動可能


――なぜ、写真整理モードはWindowsだけにあるのでしょうか。

 シリーズの歴史によるものでしょう。Elementsシリーズは、Windows用の「Photoshop Album」という管理ソフトから出発しました。その後、編集機能を強化しながら、Photoshop LE、Photoshop Elementsへと進化した経緯があります。

――写真整理モードを除くと、Mac用とWindows用とでインターフェイスがほとんど同じですね。あえてMac用のインターフェイスを変える考えはなかったのでしょうか。

 Photoshopにしても、どちらかというとWindows用がMac用のインターフェイスを取り入れてきたわけです。そのため、アドビのソフトでは、MacとWindowsでインターフェイスを大きく変えることはしていません。今回はWindows用が先に出たので「Windows用を流用している」と思われそうですが(笑)。

――今回はWindows用と同じパッケージですか。

 実は、ボックスサイズがひと回り小さくなっています。最近、Photohsop CS3やLighroomを小サイズのパッケージで提供して好評を得ました。(一般ユーザー向けの)Elementsは店頭で目立たなければならないので、Windows版は従来と同じサイズで出しています。Mac用はWindows用少し小さい。(実物を手にして)ちょっとおしゃれでしょう(笑)。輸送費や包装量の削減も考慮しています。


iPhotoへの優位性

――現在のMacには、写真ソフトとして「iPhoto」が無料で付属します。iPhotoのヘビーユーザーに、Photoshop Elements 6をすすめるポイントがあるとしたら?

 Photoshop Elements 6を使っていただく理由はたくさんありますよ(笑)。写真の鑑賞と簡単な編集なら、iPhotoでも十分でしょう。そこから先、補正や合成などプラスαのニーズがある人には打ってつけです。

 例えば、モノクロバリエーション、カラーカーブなどでは、補正前と補正後を見比べられます。Photoshopから受け継いだフィルターのバリエーションも多い。クイック選択ツールやレイヤーを組み合わせて軽いマスクも行なえるので、編集機能に重きを置いたソフトになっています。写真撮ったその次のステップを提案していければと思います。レンズ補正もようやく付きました。Mac版の方、お待たせしました(笑)。

 写真を保存して観るという用途が主体なら、iPhotoで十分だと思います。ただ、それからプラスαの作業を考えると、Elmentsは重要ですね。写真を撮ることが当たり前の方にとって、写真を作るという側面がElementsでは大きいと思います。Photoshop Elements 6では、現像室で写真を作る感覚で、RAWもJPEGもTIFFも扱えるのがElementsの大きな特徴といえるでしょう。


補正前と補正後を同時に表示可能

「ガイド」では、やりたいことをキーに編集を進められる


トーンカーブをスタイルやスライダーで調整する「カラーカーブ」

待望の「モノクロバリエーション」も搭載された


――そういう意味では、合成機能のPhotomerge関連がとても強力です。先行して使われているWindowsユーザーの感想はどうでしょう。

 まだWindows用のユーザー調査が終わっていないのですが、店舗からのフィードバックからすると、Photomergeの評判が一番高い。レタッチソフトを探している初心者の方が店頭のデモを見て、「そういうことが簡単にできるなら」と買われるケースも見られます。とりあえず、社内でも一番評価が高い機能です(笑)。

――パッケージに「Works with iPhoto」の文字がありますが、これは?

 iPhotoの外部編集ソフトとして利用できるという意味ですね。設定するとダブルクリックするだけでElementsに読み込まれます。iPhotoをお使いの方もぜひ、Elementsをお試しください(笑)。


Mac用でExposeを使うと、プロジェクトエリアにある写真を一度に表示可能

プロジェクトエリアを畳むと、表示エリアが若干増える



URL
  アドビ
  http://www.adobe.com/jp/
  製品情報
  http://www.adobe.com/jp/products/photoshopelmac/

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( 本誌:折本 幸治 )
2008/04/11 00:00
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