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【インタビュー】いよいよ本領を発揮しはじめた「Lightroom」

~スタック、ゴミ除去、複数画像の同時拡大が可能に

 約1年間のβ版リリース期間を経て、製品版の発売が決まった「Photoshop Lightroom」(以下Lightroom)。従来のパブリックβ版との違いを中心に話を聞いた。

 回答は、アドビシステムズ株式会社デジタルイメージング製品プロダクトマネージメントグループの中川葉子プロダクトマネージャー、同プリント&パブリッシングフィルードプロダクトマーケティングマネージャーの栃谷宗央氏、同アソシエイトプロダクトマネージャーの宮川富美子氏の3名。本記事は、30日に行なったインタビューを再構成している。


左から中川氏、栃谷氏、宮川氏 Photoshop Lightroom製品版

――改めて、Lightroomの製品コンセプトをお聞かせください。

 ブラウズや現像など、プロカメラマンがこれ1本で何でもできるソフトです。デジタル化によりカメラマンがシャッターを切る回数が増えてますが、特に大量の画像を扱うのに向いてます。

――β版では、取り込んだ画像の枚数が多くなると動作が極端に遅くなるなど、作業に不都合を感じる場合もありました。

 処理可能な枚数は、β版の5,000枚から、10万枚に向上しています。カメラマンの仕事内容によっては少ないケースも考えられますが、まず充分な枚数と自負しています。プロ向けということで、自動バックアップ機能もあります。

――ファイル管理といえば、Creative SuiteやPhotshop CS2などに付属するBridgeがあります。写真家にとって使いやすいのはどちらでしょうか。

 Bridgeはデザイナーなどクリエイターに向けたソフトです。Creative Suiteに含まれるソフトで扱うファイルを管理するものです。フォトグラファーに使いやすいのはLightroomでしょう。

 とはいえ、ブリッジもCS3(現在β版が公開中)から、拡大機能など画像に関連する機能が向上しています。お互いのチームが意識し合って開発しているためもあるでしょう。

――もうひとつ、写真管理といえば、Windows版のPhotoshop Elements 5.0が強力です。アマチュアでもデジタル一眼レフカメラで大量のRAWを撮る昨今、棲み分けはどうなるのでしょう。

 機能自体への理解をふまえて使い分けることになるでしょう。Lightroomは複数の写真に複雑な設定をほどこし、バッチ処理で現像するソフトです。Elementsで画像を管理されている方とは、必要とする機能が違うと思います。


2画面の等倍表示が可能に

――新機能で目を惹くのは、ライブラリモジュールの「比較」画面で、複数画像の等倍表示が可能になったことです。やはり、β版ユーザーからの要望は多かったのでしょうか。

 世界中から数多くのフィードバックを得て、その中かで採用するべき機能の優先順位を付けるのが難しかったです。米国本社へは中でも、日本のユーザーのリクエストを積極的に検討してもらいました。ハイエンドユーザーがリクエストした機能は、だいたい網羅できたかと考えてます。

――同時等倍表示は何画面まで可能でしょうか。

 2画面までです。2つの写真を等倍まで拡大し、さらに両者を追随させてスクロールさせることが可能です。片方をスクロールさせ、片方を追随させない設定もできます。

――「選別」画面との違いは?

 「選別」は、2つ以上の写真を見比べる機能です。拡大は1枚ずつになります。同時に拡大することはできません。


「比較」画面で2画面を同時に拡大できる。ただし、表示は2画面に限られる
「選別」は同時拡大できない。その代わり、従来と同じく2画面以上を表示可能

Photoshop Elementsと同じようにスタック機能が搭載された
キーワードには同義語を付加できる

――新機能の「スタック」も要望が多そうですね。

 はい。撮影日時の近い画像をスタックにします。スタックに名前をつけて(スタックコレクション)、検索に活かすといった管理が可能です。

――そのほか、ライブラリ画面で大きな機能追加はありますか?

 撮影日時での検索機能が付きました。(Photoshop Elementsのように)スライダーで写真を絞り込めます。フラグやカラーラベルを付加できるのも今回からです。

 キーワードも強化しています。キーワードに同義語を付与できるようになりました。キーワードと似た言葉を設定しておけば、検索時にヒット率が高まります。Webの写真共有サイトなどで見られる手法ですね。キーワードはキワードタグパネルからのドラッグ&ドロップのほか、スタンプツールで付加できるようになりました。

――ほかのソフトに比べて、絞り込みに関する機能がかなり多い印象です。例えば、どのような使い方が考えられるでしょうか。

 あくまで一つの例ですが、まず取り込み後、眼つぶりなど明らかにダメな写真にクイックコレクションを付けます。クイックコレクションを付けた写真を消去し、次に今回の仕事の基準となる水準の写真にフラグを立てていきます。この時点では、使用カットをあまり意識していません。ついでに、ブラケット写真をスタックにまとめます。

 その後、アングルやポージングに即して、カラーラベルでグルーピングを行ないます。クライアントから要求されるカットを素早く見つけるためです。そこまで固めてから、カラーラベルごとなどにレーティングを行ない、比較を進めます。写真家それぞれでワークフローは異なります。色んな方法が考えられるでしょう。


Windows

――現像モジュールの新機能はどうでしょう。

 「スナップショット」というパネルが新機能です。ヒストリーとは別に、調整内容を一時的に記録できるので、柔軟な設定が可能になります。

 また、「赤目補正」、「コピースタンプ」、「修復」が加わりました。「コピースタンプ」と「修復」は、ゴミの除去に使えます。複数画像の同じ位置を同様に修正できるので、ゴミ除去に便利です。

 トーンカーブパネルやカラーパネルに「対象調整ツール」が付きました。対象調整ツールをクリックし、写真上の調整対象をクリックすると、トーンカーブやカラーバー上に、クリック位置の輝度やカラーを示します。

――Lightroomでは、Lightroomライブラリに取り込む前か、参照先にファイルを置いたままにするかを選択できます。参照先が外部HDDやネットワーク先のフォルダだったとき、接続が外れるとLightroomの動作はどうなるのでしょうか。

 β4から、オフラインに等倍のプレビューキャッシュ(1:1プレビュー)を置くことができます。また、等倍のプレビューキャッシュを自動消去するタイミングが選べます。「1日後」、「1週間後」、「30日後」、「常にオフ」から選択でき、「常にオフ」にすると、永久に残ります。このとき、現像設定やプリントは行なえません。巨大なプレビュー用ファイルが溜まることになるので、アドビでは「常にオフ」は推奨していません。そういう要望があるのはわかっていますが。

――なるほど。そういえばプレビューキャッシュの品質が設定できるようになったんですね。

 3種類の解像度のほか、「大」、「中」、「小」が選択できます。

――マルチディスプレイ環境でのアップデートはありますか? 現在のインターフェイスではツールパレットを別画面におけないので、プレビュー画面だけでも別ウインドウで見たいのですが。

 β4から変わりはありません。

――取り込み画像をDNGに自動変換する設定があるなど、LightroomではDNGへの積極的な対応が見られます。DNGの優位性は。

 まず、一般的なRAWデータより軽くなります。また、使用機種のメーカーサポートをはじめ、将来に不安のある方はDNGにしておくのがいいかもしれません。ただし、RAWデータのメーカーノーツが非公開なので、その部分はDNGにすると残りません。メーカーノーツに必要な情報が含まれているなら、カメラが生成したRAWのまま管理した方が良いでしょう。

 
――BootCampでの運用もサポートされますか?

 ほかの製品と同様、BootCampでの動作はサポートしていません。

――Windows Vistaへの対応が見送られました。Microsoftの新画像フォーマット「HD Photo」を含め、対応の状況を教えてください。

 もちろんWindows Vistaへの対応は検討しています。今後の展開については期待してください。



URL
  アドビ
  http://www.adobe.com/jp/
  製品情報
  http://www.adobe.com/jp/products/photoshoplightroom/

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アドビ、写真家向けソフト「Photoshop Lightroom」を3月下旬発売(2007/01/30)


( 本誌:折本 幸治 )
2007/01/30 20:13
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