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デジタル一眼サイト「GANREF」はこうして生まれた

〜測定スタジオもレポート

GANREF
 デジタル一眼レフカメラユーザーのためのサイト「GANREF」(ガンレフ)β版が3月にオープンした。既に活用している読者も多いことと思う。世界でも最大規模というカメラやレンズの性能測定結果が閲覧できるほか、会員制の写真共有SNS、フォトコンテストなどが楽しめるサイトだ。なお、会員登録は無償となっている。

 今回はGANREF誕生のいきさつと楽しみかたを、インプレスジャパン GANREFチーフプロデューサーの石川雅康氏に伺った。また、機材データベースの性能テストを実施しているスタジオ「GANREFラボ」の模様もお伝えする。


機材データとSNSを融合した新形態のWebサイト

インプレスジャパンGANREFチーフプロデューサーの石川雅康氏
 GANREFは、写真SNSに加えてフォトコンテスト機能や機材データベースが一体になった新しいサイトだ。一眼レフカメラを意味する“GANREF”がサイトの名前だが、「対象ユーザーは写真、カメラを愛するすべての人」(石川氏)というように、コンパクトデジタルカメラの作品も投稿できるなど間口は広い。

 石川氏によると、会員数は当初1年で5,000人程度を見込んでいたそうだが、β版のオープン以来すでに5,500人強の会員が集まった。4月上旬に実施した会員のアンケートによると、最も利用しているページは機材データベース(59.2%)となっている。次がギャラリー(42.6%)で、作品の閲覧や投稿に興味のあるユーザーも多く集まっているのが伺える。

 もともと、インプレスジャパンが発行する月刊誌「デジタルカメラマガジン」では、ウェブサイトとして「ふぉとカフェ」を運営していた。だが、「今までの出版モデルは、わかっている人が初心者に教えるという上から下への情報伝達。ふぉとカフェもそうだった。しかし、インターネットの世界ではユーザー自身の視点による情報発信が必要になる」(石川氏)と考え、2008年2月頃にGANREFの構想を固めたという。


 石川氏は、ネットで価値を持つのはセグメント化された情報で、そうした高度な情報の発信者はユーザー自身である場合が多いという。このようなユーザー発の情報と、出版社として提供する信頼できるデータの組み合わせがGANREFのコンセプトになっている。

 GANREFでは、「探す楽しさ」、「見せる喜び」、「集うトキメキ」という3つのテーマを設定している。“探す楽しさ”は、機材を買う前のスペックやデータの比較など、カメラ、写真ファンが楽しめる部分。さらに、“この写真を撮った人はどんなカメラ、レンズを使っているのか?”、“どこで撮影したのか?”、“ほかにはどんな写真を撮っているのか?”など、知りたい情報を連鎖的に取出すこともできる。データベースとSNSを組み合わせることで実現できた機能だ。

 GANREFポイントも探す楽しさを高める工夫になっている。GANREFポイントとは、自分がアップロードした写真が評価されたり、フォトコンテストで受賞した場合などに貯まるポイント。貯まったポイントに応じて、BASICからBRONZEへ、さらにSILVER、GOLDと会員のランクが上がっていく仕組みだ。

 石川氏は、GANREFポイントによるランク分けを行なった理由をこう説明する。「GOLDの人が100%写真が上手いとは言い切れないが、おおかた上手い人。写真が好きな人なら、そういう人の使っているカメラやレンズ、どこで撮ったのかを知りたいもの。ポイントの高い情熱のある人はどういう人なんだ? という感じに探すことができる」

 現実世界では写真の上手な人が初心者に教えるのはよくあること。GANREFでは、ポイントによるヒエラルキーをあえて設けることで、“上級者が教える”、“初心者が教えてもらう”というサイクルを素直に行なってもらえる意味もある。


作品の投稿は最初は12枚まで。スライドショー形式での再生も可能だ
 GANREFでは「ポートフォリオ」というユーザー各自のギャラリーを設けている。最初に投稿できる写真の枚数は12枚までとなっており写真共有サイトでは異色のシステムだ。これは、2つめのテーマである“見せる喜び”をどう表現するかを考えた結果という。「10GBといった容量の写真共有サイトも出てきているが、それらは写真のストックであって、その中に人に見せられる作品はそう多くない。素人であればあるほど作品といえるものは少ないはず」(石川氏)と指摘。選び抜いた少数の作品をきちんと見てもらい、コメントが付き、ポイントが貯まる楽しさを体験してもらうための仕組みだ。

 「いい写真を撮れば、人に見て欲しくなる。写真を見せることはうれしいこと。見せて、“これいいね”と言ってもらえる気持ちが大事。写真は何が撮れるかわからない。素人がたまたま撮影した作品が、今世紀最大の作品になる可能性だってある」(石川氏)


写真SNSで会員同士の交流ができる。同じ機材のユーザー同士、といった繋がりもできる
 そして3つめのテーマがSNSを利用した“集うトキメキ”だ。例えば、自分の使っている機材を登録しておけば、同じ機材のユーザーが表示され、交流のきっかけになる。また、写真のキーワードが共通になっている別の作品を見ることができたりと、機材や写真からコミュニケーションが発展するシステムを取り入れている。

 「アップロードした写真にコメントが付いて、それを見に行くときはうれしくもあり不安でもある。それがトキメキ。GANREFでは自分が相手をほめれば、相手も自分をほめてくれるというマナーができてくる。暖かいコミュニケーションができる」(石川氏)と話す。お互いの良いところを見て、写真の上達をサポートしていくのが狙いになっている。

 なお、GANREFでは秋をめどに「サークル」機能を追加する。現実世界の写真サークルをインターネット上で実現するものだ。地域、被写体、機材などの共通点でサークルをつくり、撮影会や写真展の開催につなげることができるようになるという。

 GANREFは、将来的に海外での展開も視野に入れている。石川氏は最後に、「デジタル一眼レフカメラを作っているのはほぼ日本のメーカー。カメラの情報は日本が早いはず。日本発のWebサイトで世界的になったサービスはまだ無いが、デジタル一眼レフカメラという領域なら世界一になれると思う」と抱負を語った。


カメラとレンズテストする「GANREFラボ」

 GANREFの中でカメラ、レンズの仕様を一堂に集めた「機材データベース」は、カメラとレンズ約300機種分を掲載しており検索やスペックの比較が可能だ。さらに、オリジナルの測定データを提供する「性能テスト」ではこれまでのWebにはない詳細なデータを見ることができるとあって、公開直後から話題になっている。石川氏は、「これだけの機種の実測データを無償で公開するのは、世界初ではないか」と胸を張る。


スペックの比較などができる機材データベース 性能テスト

レンズテストの部屋。レールの上で、カメラを移動させながら撮影していく
 性能テストは、「GANREFラボ」と呼ばれる都内のスタジオで行なっている。レンズとカメラ本体はそれぞれ別室でテストしている。特定のカメラ、レンズメーカーから技術協力などを受けておらず、同一条件で公正なテストが行なえるとしている。テストは計測のノウハウを持つプロ写真家2名が当たっており、カメラとレンズテストの監修に加えてカメラテストの撮影を杉本利彦氏が、レンズのテストを上田晃司氏がそれぞれ担当している。

 レンズのテストは「DxOアナライザー」(DxO Labs)を使用し、シャープネス、色収差、歪曲収差、周辺減光の4つを測定している。DxOアナライザーによるテストは、ドット状のチャートを撮影するだけで4つの項目をテストできる。テスト可能なレンズの焦点距離は14〜600mm程度。魚眼レンズの測定はできない。なお、撮影に使用するボディは同じモデルを3台用意し、最も実写結果の良い個体を採用している。

 チャートの前にはレールに乗った台車を用意。その上に三脚を設置し焦点距離に合わせて台車を前後させながら撮影していく。レールの長さは約7mあり200mmまでのレンズを測定できる。それ以上の超望遠レンズも、スタジオの奥から三脚でチャートを撮影することで対応可能となっている。

 DxOアナライザーを使用したテストでは、特に均一な照明が重要となる。DxOの基準では、チャート上の明るさのムラは0.1EV以内と定めている。そのため、計測毎にスポットメーターでチャート上の数カ所を測定し、照明用ランプの向きなどを調整する。また、カメラとチャートの正対も重要になるため、こちらも計測ごとにチャートの鉛直をチェックする。さらに、ズームレンズの測定の場合は、ズーミングによってカメラの重心が変わりたわみが発生するため、焦点距離を変えるごとに雲台を微調整して水平を出している。


カメラは、3ウェイ雲台、微動台、ギア雲台を介してマウントする 三脚にはストーンバッグを装着して、ブレを抑えている

DxOチャートを横から見たところ。チャートは高い平面性が必要なため、ガラス板に貼付けてある チャートは測定毎に鉛直を確認し、調整する

チャートの輝度差が、DxOの定めた0.1EV以内に収まっているかをスポットメーターで計測して確認する ホワイトバランスはカスタムでセットする

カメラの位置がチャートの中心に来るように鏡を置いてチェックする 撮影しているところ

撮影した画像は、DxOアナライザーで解析。得られた結果をGANREFに掲載している
 撮影はAFで行なっているが、コントラストAF搭載機はコントラストAFを使用している。照明に使用しているのは定格寿命100時間の写真用ランプだが、積算使用時間を記録しておき約50時間使用した時点で交換するという。

 今後は超望遠レンズやコシナのレンズの測定を進めていき、性能テストのモデル数を増やしていくとのこと。新機種も順次テストして行くという。


 一方、カメラの測定では各社の標準レンズを用いて解像度、ダイナミックレンジ、実効感度、ISO感度ごとの画質の各テストを行なっている。

 解像度測定はISO12233チャートに準拠したCIPAチャートを使用。CIPAチャートでは、縦方向(短辺)の解像度を2,500本まで計測可能だが、現在のデジタルカメラには足りないためチャートを1/2の大きさで撮影することで、短辺の解像度を5,000本までに対応させている。

 解像度は目視でも計測できるが、読み取り誤差や個人差の影響を排除するためオリンパスの解像度測定補助ソフト「HYResACE」(フリーソフト)を使用している。性能テストでは、得られた解像度をカメラの記録解像度(短辺)で割った数字を“解像効率”として掲載しており、「画素がどれくらい有効に使われているかの指標になる」(杉本氏)とのこと。


撮影したCIPAチャートをHYResACEで解析すると解像度が本数で表示される こちらは、ITE高精細グレースケールチャートを撮影しているところ。このチャートで実効感度を測定する。レンズのテストとは別室でボディの計測を行なっている

ダイナミックレンジの計測風景
 ダイナミックレンジは、カメラメーカーが検査などで使用している輝度箱(ライトソースボックス)と呼ばれる装置を用い、透過光のチャートを撮影して計測する。輝度箱はキセノン光源を使用しており、デーライトに近い光での測定が可能だ。チャートではダイナミックレンジを13.5段まで計測できる。撮影結果のうち、濃度の変化が認められる部分をダイナミックレンジとして掲載している。


 ISO感度は、チャートと立体物を同時に撮影できるよう工夫した杉本氏の手作りチャート(杉本チャート)でテストしている。カラーチャートやグレースケールの部分で、ノイズを見ることができるほか、色の付いた部分で発色の傾向を知ることができる。


ISO感度別作例のための“杉本チャート”。様々な色やテクスチャーを見ることができるよう工夫してある。外周の三角の指標に合わせて撮影する 円形計算尺は斜めの線を見て欲しいとのこと

サキソフォンの下にあるのはよく見ると活字だ 基板や部品の細かい文字も、解像具合の目安になるとのこと

コンテは発色を見るのと同時に、表面の文字の描写もポイント

シャドウ・ハイライトテストに使用するためのチャート
 なお、現在GANREFで公開しているカメラのテストは上記の4種類だが、今後「シャドウ・ハイライトテスト」と「分光特性」の結果を追加していく予定だ。いずれも、計測は解像度テストなどと平行して既に行なっており、秋頃の掲載を目指している。

 そのうちシャドウ・ハイライトテストは、画面内にシャドウとハイライトが混在する状況での再現性を見るためのもの。また分光特性テストでは、モノクロメーター(分光器)で発生させた単一波長の可視光を撮影しグラフ化することで、どの色にどれだけセンサーが反応するかがわかる。カメラの色再現性の検証が可能になるという。



URL
  インプレスジャパン
  http://www.impressjapan.jp/
  ガンレフ
  http://ganref.jp/

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インプレス、デジタル一眼ユーザー向けサイト「GANREF」β版(2009/03/17)


( 本誌:武石 修 )
2009/04/16 12:27
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