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【PMA09】標準大口径レンズへの手ブレ補正機構搭載を目指す

〜VCでシェア拡大を図るタムロン
会期:2009年3月3日〜3月5日(現地時間)
会場:米国ラスベガスコンベンションセンター


 PMA09には新製品を持ち込まなかったタムロンだが、しかし今年は交換レンズ事業を従来より拡大していく予定だ。“産業の目”を事業コンセプトに掲げ、監視カメラやレンズユニットOEMなどを主要な事業とするタムロンだが、今年はタムロンブランドを付けた交換レンズの分野において、より多くの製品を目にすることになるかもしれない。

 PMA09の会場で、タムロン代表取締役社長の小野守男氏と、上席執行役員映像事業本部長の大瀬英世氏に話を聞いた。


新商品を出せば売れる土壌はある

AF 18-270mm F3.5-6.3 Di II VC LD Aspherical [IF] Macro
 一眼レフカメラのエンドユーザーから見たタムロンは、もちろん、交換レンズメーカーとして広く知られたブランドだが、冒頭にも述べたようにタムロンの事業はコンシューマ向けのB2C事業よりも、産業向け事業、OEM事業などのB2B事業の方が比重が大きかった。

 たとえばPMA直前の2月27日には55倍という超高倍率ズーム機能を持つCCTVカメラ用レンズを開発したことを発表している。自社開発の手ぶれ補正機能「VC」(Vibration Compensation)を搭載したこのレンズは、35mm判換算で43mm(45.5度)から2,380ミリ(0.83度)相当の画角を持つ。屋外設置用超望遠カメラなどでは、手ぶれ補正機能が重要な意味を持つ。こうした産業向けで磨いた技術を交換レンズに応用してきた。

 ところが昨年、タムロンの事業構成は写真向け、すなわち一眼レフカメラ用交換レンズ事業の売上が、産業向け機器、レンズOEMなどを超えてもっとも大きな比率を占めるようになったと大瀬氏。

 社長の小野氏は「新商品を出せば売れる土壌、市場をカメラメーカーが作ってくれた。すでにレンズ交換可能なデジタルカメラは、市場に4,000万台がある。最初の1本はメーカー製標準ズームかもしれない。しかし、2本目に利便性の高いスペックを持つ自分たちのレンズを使ってもらえるチャンスがあるなら、そこは事業として挑戦すべきでしょう。魅力ある新商品を出せば、購入してくれるお客さんはいると信念を持って開発をします」と話し、一眼レフカメラ向け交換レンズに今まで以上に力を入れると話した。


タムロン代表取締役社長の小野守男氏
 昨年、タムロンは得意の超高倍率ズームレンズというカテゴリに「AF 18-270mm F3.5-6.3 Di II VC LD Aspherical [IF] Macro」(Model B003)を投入。15倍という高倍率ながら画質と手ぶれ補正機能の優秀性でヒット商品となり、写真関連部門の売上増加に大きく貢献した。

 小野氏は「特にVCには、他社比で大きな競争力があると考えています」と、VCの優秀性を訴求する。CCTV用55倍ズームレンズで良好な補正精度を実現しているように、VCはXY軸方向へのモーター制御ではなく、3つのボールで補正ユニットを支え、3つの電磁コイルを用いて補正光学系を駆動する。必要な方向へリニアに、スムースに動かせる。

 補正光学系の配置や補正の方法などに関しても、他社とは異なる独自のアプローチを取っているそうで、今後はVCをさらに多くの交換レンズ商品へと積極的に展開し、商品の競争力を高めていくという。

 では、どのような商品からVCを導入していくのだろう?


標準系大口径レンズにVCを導入

タムロン上席執行役員映像事業本部長の大瀬英世氏
 タムロンの得意な超高倍率ズームレンズから導入されたVCだが、今後は標準ズームの系列にVCを順次導入していく。まずは標準大口径の製品にVCを組み込んだ商品を考えているようだ。

 「うちは1本目の標準レンズは狙いません。そこはカメラメーカーのビジネス領域ですから、争うつもりはありません。カメラメーカーも2008年後半に上がった在庫レベルも、年末商戦から今年1月ぐらいまでにかけ、かなり下げることに成功したようですから、今後は正常化するでしょう。4,000万台のレンズ交換式カメラは、今後もさらに増加していくと考えています」(小野氏)

 昨年後半からの景気動向に関しては、売上減少の影響はさほどでもないが、為替による影響の方が大きかったようだ。しかし、だからといって投資を抑えることは全く考えていない。「開発投資=売上に直結している。投資、開発計画はきちんと決められたとおりに行なう。もちろん、広告宣伝や経費は抑えるが、投資と開発サイクルのスピードを重視して積極的に製品開発を続ける」(大瀬氏)と話しており、昨年に比べてカメラ交換レンズの発売ペースが増すことこそあれ、減速することはなさそうだ。

 「私は経済学者ではないから、今後、景気動向がどうなるかはわからない。しかし、悪い時期があれば、必ず次には良い時期が来る。この1〜3月期は本当に厳しい結果になるだろうが、しかしさらに悪くなっても耐えられるだけの体力は蓄えているつもりだ。来年になって回復すれば、一気に伸び上がれると思っている」(小野氏)


社員のやる気が出る商品作りを

PMA09のタムロンブース
 同じ交換レンズメーカーでも、タムロンとシグマは企業として全く異なる側面を持っている。シグマは良くも悪くも、カメラとレンズを自分たちで作りたい、という夢を実現するために作られ、それを実現するために前へと進んできた。一方のタムロンは光学レンズの技術を活かして多方面に事業を展開する多様性が特徴になっている。タムロンブランドを売ることよりも、企業としての堅実な成長を果たすため、社内の技術を最大限に活かすことに注力しているとも言える。

 とはいえ、会社は人が作っている。交換レンズが広く一般に知られているタムロンだけに、カメラ、写真が好きな人たちが多く集まっているはずだ。タムロンブランドの交換レンズ事業を拡大することで、モチベーションを高めようとしているのだろうか?

 「確かに社員に話を聞くと、もっと自社ブランドのレンズをたくさん作りたいと話す。でも、私はいつも彼らに“商品がタムロンのブランドじゃないんだよ。社員そのものがブランドなんだ”と話しています。良い商品を出すことも大事ですし、株価を上げていくことも経営としては重要でしょう。しかし、それだけではありません。社員のモチベーションを上げることそのものが重要なのであって、自社ブランドを売り込むことで社員の意気を昂揚させることが重要なのではありません」

「交換レンズに力を入れる目的は、これが自己で努力し、訴求できる唯一の製品だからです。自社の製品を直接買ってくださるお客様がいて、彼らに評価をもらうために頑張る。ここが重要なんです」(小野氏)

 このように話す小野氏は、かつてレンズ開発に携わっていた。同氏が開発部長時代、家人から“望遠レンズに付け替えようとしたら、撮り逃がしてしまった。交換式は不便ね”と言われたことをきっかけに、28mmから200mmまでをカバーする、当時最大の倍率を持つズームレンズが生まれたと、“超高倍率ズームレンズのタムロン”が生まれた背景を話す。

 「エンドユーザーが欲しいと思えるもの。一眼レフカメラをより楽しくするもの。4,000万以上のユーザーがいれば、きっといろいろな不便を感じているはずです。我々は業績好調だった数年前、10年先までを見通して40億円以上の研究開発投資を行ない、そこで長期的な商品開発の基礎となる技術を作りました。その蓄積があるので、まだまだがんばれます。何もやらないと先細るだけですからね。長期的には不況の影響も受けず、これぞと思ってもらえる商品を提供し続けていきますよ」

 そう話す小野社長の明るさが印象に残ったが、実際、タムロンの経営基盤はひじょうに強固だ。VCの技術的優位性もあるだろうが、底堅い産業向け、OEM向け事業に加え、社員そのもののモチベーションの高さを強く感じるのがタムロンだ。

 まずは3月末のPIE2009に注目したい。



URL
  タムロン
  http://www.tamron.co.jp/

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( 本田雅一 )
2009/03/10 13:15
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